31 / 53
第四章 彷徨うウンディーネとシルフのガレット
-7-
しおりを挟む
京都駅からしばらく南下しつつ私たちは桜花の住むマンションを探していた。五重塔が北西に見えて、他のビルが見えなかったから検討はすぐに付いていた。
あれ?と私の指差す方向を見て桜花は静かにうなずいた。どうしたの?と私が訪ねてみても桜花は首を横に振るばかりだ。
桜花の表情を見てなんとなく私はわかってしまった。表情に見覚えがあったから。ミアスは表情を変えずに首をかしげている。
「どうした?ゴールはすぐそこじゃないか?」
うん。と桜花は静かに首をたてに振る。私は辺りを見渡すと近くに小さな公園がポツリとあるのが見えた。
「ねぇ。桜花ちゃん。お家に帰るまでにちょっと休憩していこうか?」
桜花は言葉もなくうなずく。不思議そうな表情のミアスを連れて私たちはその公園へと向かった。住宅街の中にある広くはない公園。ブランコが一組、象の滑り台と大小の鉄棒がある。
全体を見渡せる青いベンチに私たちは腰を下ろした。私とミアスの挟まれている桜花は足をぶらぶらとさせながらうつむいていた。
この表情もまた私は知っている。
さて何から話しましょうかと私は口を開く。こういう時にはミアスのように、しっかりと口に出した方がいいのだろう。
「桜花ちゃんは迷子になったんじゃなくて、家出をしたんじゃない?理由はわからないけど」
コクリと桜花はうなずく。やっぱりと私は桜花ちゃんの横顔を眺める。
「家出をしてみたけど、思ったよりも遠くに来てしまって、帰らなきゃと思うけどひとりでは帰れなくて、だからミアスの袖を握って離さなかったんじゃない?優しそうだし頼れるもんね。助けてくれそうだから」
そうなのか?と驚くミアスに、そうだよ。と声をかける。桜花はやっと頭をあげると私を見た。どんぐりみたいな瞳はくるくると色を変えている。
「なんで琴音お姉ちゃんはわかるの?魔法?」
「ううん。魔法じゃないよ。私も小さい頃に家出したことがあるの。家でちょっと嫌なことがあってどこか遠くで、ひとりで生きるんだって思って阪急電車で大阪まで逃げ出したの」
「そんなに遠くまで?」
「うん。でもそうしたら急にひとりになった気がしてとても寂しくなって、家に帰ったら帰ったら嫌なことと向き合わなきゃいけないでしょう?それに負けた気がする。まぁ私の時は宿題が終わらなかったとかそんな理由だったけどね。結局不安になって泣いちゃって、駅員さんに教えてもらってなんとか家に戻ったよ。家出というかただの遠出になっちゃったし電車で行き来しただけだから、両親にも知られなかったけど」
自分をずっと素敵に変えられる思っていた時の自分、結局自分は幼くて変わることができないと知った時、自分が弱いと知った時、自分の家が見えてきた時に感じた敗北感と安堵の気持ち。
嬉しいようで悲しようでうつむき加減に目を伏せる。私はさっきの桜花ちゃんと同じような表情をしていた。
「それでも桜花ちゃんは偉いと思うよ。自分では無理だとわかった時に誰かに頼ることができたんだから。私にはそれができなかった。だから・・・桜花ちゃんは偉いと思う」
そっか・・・と桜花はベンチの上で足を揺らし目線を合わせている。そして小さな口をゆっくりと開く。
「ウチね。学校に行きたくないの。お友達はできないしお母さんはいいよって言うんだけど、ウチがひとりで考え事をしている時も、先生はみんなで遊びなさいって言うの。子供はそれが普通だから。それでもうまくみんなとウチが話せないでいると、みんなと違うって先生は言うの。桜花はおかしいのかな?」
私は首をしっかりと横に振る。とても素直な気持ちにだった。秋空に漂う雲のせいか、それとも必死に励まそうとしているのに言葉が浮かばない、困った表情を浮かべるウンディーネがいるからなのか。
「桜花ちゃん。お姉ちゃんは今、学校に行ってないの。本当は行かなきゃダメないのに行けてない。学校に行こうって思って家を出るとね、呼吸ができなくなって手足が動かなくなるの。それにお姉ちゃんね。学校ではいじめられているんだ」
思ったよりはすっと言葉が出てきたことに私は驚いていた。桜花は言葉もなく目を丸めている。まだ小さな子供にこんな話はしたくはないけど、伝えておきたい言葉がある。心の中に浮かんだ言葉がひとりでに口先から音になって溶けていく。
「私のお友達、と言ってもそんなには親しくなかったけど、お友達が高校生になっていじめられていたの。先生はそれを見て見ぬ振り。だから私が守ろうとしたの。友達の気持ちが嫌というほど流れ込んできて、このままじゃいけないと思った。自分ひとりでもなんとかしなくちゃと思ったの」
彼女はクラスでたったひとりだった。どんなに馬鹿にされても、いつも隅ですがるような笑みを浮かべていた。私は彼女の瞳に耐えきれなかったのだ。最初から救おうとしたわけではない。傍観しながら恐れていた。
勇敢でもなんでもない。ただ私は彼女の瞳に耐えられなかったのだ。
「でもダメだった。今度はお姉ちゃんがいじめにあって、でもその子が結果としていじめられなくなったからよかったのかなと思っていたんだよ。このままひとりっきりになってもその子が助かればいいんだなぁって。でもそれは違った。自分を犠牲にしていじめられている私を見て、その子はずっと申し訳なさそうに、ずっとずっと辛そうにいていた。だからお姉ちゃんはきっと学校にいけなくなったの」
「先生は?守ってくれなかったの?」
おずおずと口を開いた桜花ちゃんは私を見上げる。首を横に振ると目を伏せた。
「逆に私が勝手で、いじめられるのも私に原因があるって言われたよ。周りに打ち解けられない困った生徒だって。みんなの前で謝らせられたこともあったんだ。私が悪くないのに、みんなを困らせてごめんなさいって」
桜花ちゃんが息を呑み、ミアスは何も変わらない。ただ瞳がひどく動揺していた。辛いことを話しているけど、ミアスの瞳がとても嬉しかった。
メガネをかけた優しいおさげの女の子。話したことはあまりなかったけど、ひとりで本を読むのが好きだったことは覚えている。たとえどんなにひどい扱いを受けたとしても私は我慢できたと思う。その子を救えたという思いがあったから。でもその子が私に向けるその視線には耐えられなかった。
いじめに立ち向かう私は、最初だけヒーローにでもなった気分だったのかもしれない。最初はどんなに罵倒されても、恥をかかされても気にならなかった。むしろ誇らしかったのだ。ただ結局のところ、自己犠牲に酔っていたのだと思う。彼女の瞳が私の自己欺瞞を気づかせてくれた。
自分のせいでと思いつつも何もできない自分を恥じるような、うつむいてあれほど好きだった本を開くこともできずにずっと申し訳そうにしていた。結局私は助けたつもりになっていたのだ。
そしてどうしようもなく打ちのめされた。周りの言葉や孤独に耐えられないほどに打ちのめされた。
自己満足だと知った時、偽善者という言葉が真実だと思った。そう思ってしまうといよいよダメで、私は制服を着ようとするだけで、胃の中の物をすべて戻してしまった。家から一歩も出ることができなくなったし、すべての音がわずらわしくなった。
ミーナさんたちに出会う前までは。カフェ・ノードに招かれるまでは。
「だからね。桜花ちゃんはひとりでいてもいいし、逃げ出してもいいんだよ。先生の言うことなんて聞かなくてもいいし、自分の思った通りにやればいいと思うの。未来はずっと向こうにあるしどうなるかもわからない」
本心だった。飾らずに常識なんでもう知らない。ただ私が、桜花ちゃんに伝えたい心の声だ。桜花ちゃんは黙って聞き、ミアスは感情の読めない瞳で私を覗く。口を開こうとしては閉じ、不器用な言葉を探しながら彷徨うウンディーネが抱きしめたいほど愛おしかった。
「だけどね。学校で友達ができなくても決して、世界にひとりだって思わないでほしいの。学校はとても狭いから、学校よりもずっと世界は広いから。自分が心地よく思える場所はきっとあって、知らないことや聞こえない言葉であふれているから、だから今はそれで大丈夫。もし桜花ちゃんがいじめられることがあったら、お姉ちゃんたちが助けてあげるから。ねっミアス?」
ミアス強い意志を感じさせる瞳で口を一文字に結ぶ。そしてうなずき立ち上がった。そして右手を桜花に伸ばした。
「桜花。今から一緒に琴音の学校に行こう。琴音をいじめるやつらと教師を、ミアスは深泥池(みどろがいけ)に沈めにいかなければいけない」
あれ?と私の指差す方向を見て桜花は静かにうなずいた。どうしたの?と私が訪ねてみても桜花は首を横に振るばかりだ。
桜花の表情を見てなんとなく私はわかってしまった。表情に見覚えがあったから。ミアスは表情を変えずに首をかしげている。
「どうした?ゴールはすぐそこじゃないか?」
うん。と桜花は静かに首をたてに振る。私は辺りを見渡すと近くに小さな公園がポツリとあるのが見えた。
「ねぇ。桜花ちゃん。お家に帰るまでにちょっと休憩していこうか?」
桜花は言葉もなくうなずく。不思議そうな表情のミアスを連れて私たちはその公園へと向かった。住宅街の中にある広くはない公園。ブランコが一組、象の滑り台と大小の鉄棒がある。
全体を見渡せる青いベンチに私たちは腰を下ろした。私とミアスの挟まれている桜花は足をぶらぶらとさせながらうつむいていた。
この表情もまた私は知っている。
さて何から話しましょうかと私は口を開く。こういう時にはミアスのように、しっかりと口に出した方がいいのだろう。
「桜花ちゃんは迷子になったんじゃなくて、家出をしたんじゃない?理由はわからないけど」
コクリと桜花はうなずく。やっぱりと私は桜花ちゃんの横顔を眺める。
「家出をしてみたけど、思ったよりも遠くに来てしまって、帰らなきゃと思うけどひとりでは帰れなくて、だからミアスの袖を握って離さなかったんじゃない?優しそうだし頼れるもんね。助けてくれそうだから」
そうなのか?と驚くミアスに、そうだよ。と声をかける。桜花はやっと頭をあげると私を見た。どんぐりみたいな瞳はくるくると色を変えている。
「なんで琴音お姉ちゃんはわかるの?魔法?」
「ううん。魔法じゃないよ。私も小さい頃に家出したことがあるの。家でちょっと嫌なことがあってどこか遠くで、ひとりで生きるんだって思って阪急電車で大阪まで逃げ出したの」
「そんなに遠くまで?」
「うん。でもそうしたら急にひとりになった気がしてとても寂しくなって、家に帰ったら帰ったら嫌なことと向き合わなきゃいけないでしょう?それに負けた気がする。まぁ私の時は宿題が終わらなかったとかそんな理由だったけどね。結局不安になって泣いちゃって、駅員さんに教えてもらってなんとか家に戻ったよ。家出というかただの遠出になっちゃったし電車で行き来しただけだから、両親にも知られなかったけど」
自分をずっと素敵に変えられる思っていた時の自分、結局自分は幼くて変わることができないと知った時、自分が弱いと知った時、自分の家が見えてきた時に感じた敗北感と安堵の気持ち。
嬉しいようで悲しようでうつむき加減に目を伏せる。私はさっきの桜花ちゃんと同じような表情をしていた。
「それでも桜花ちゃんは偉いと思うよ。自分では無理だとわかった時に誰かに頼ることができたんだから。私にはそれができなかった。だから・・・桜花ちゃんは偉いと思う」
そっか・・・と桜花はベンチの上で足を揺らし目線を合わせている。そして小さな口をゆっくりと開く。
「ウチね。学校に行きたくないの。お友達はできないしお母さんはいいよって言うんだけど、ウチがひとりで考え事をしている時も、先生はみんなで遊びなさいって言うの。子供はそれが普通だから。それでもうまくみんなとウチが話せないでいると、みんなと違うって先生は言うの。桜花はおかしいのかな?」
私は首をしっかりと横に振る。とても素直な気持ちにだった。秋空に漂う雲のせいか、それとも必死に励まそうとしているのに言葉が浮かばない、困った表情を浮かべるウンディーネがいるからなのか。
「桜花ちゃん。お姉ちゃんは今、学校に行ってないの。本当は行かなきゃダメないのに行けてない。学校に行こうって思って家を出るとね、呼吸ができなくなって手足が動かなくなるの。それにお姉ちゃんね。学校ではいじめられているんだ」
思ったよりはすっと言葉が出てきたことに私は驚いていた。桜花は言葉もなく目を丸めている。まだ小さな子供にこんな話はしたくはないけど、伝えておきたい言葉がある。心の中に浮かんだ言葉がひとりでに口先から音になって溶けていく。
「私のお友達、と言ってもそんなには親しくなかったけど、お友達が高校生になっていじめられていたの。先生はそれを見て見ぬ振り。だから私が守ろうとしたの。友達の気持ちが嫌というほど流れ込んできて、このままじゃいけないと思った。自分ひとりでもなんとかしなくちゃと思ったの」
彼女はクラスでたったひとりだった。どんなに馬鹿にされても、いつも隅ですがるような笑みを浮かべていた。私は彼女の瞳に耐えきれなかったのだ。最初から救おうとしたわけではない。傍観しながら恐れていた。
勇敢でもなんでもない。ただ私は彼女の瞳に耐えられなかったのだ。
「でもダメだった。今度はお姉ちゃんがいじめにあって、でもその子が結果としていじめられなくなったからよかったのかなと思っていたんだよ。このままひとりっきりになってもその子が助かればいいんだなぁって。でもそれは違った。自分を犠牲にしていじめられている私を見て、その子はずっと申し訳なさそうに、ずっとずっと辛そうにいていた。だからお姉ちゃんはきっと学校にいけなくなったの」
「先生は?守ってくれなかったの?」
おずおずと口を開いた桜花ちゃんは私を見上げる。首を横に振ると目を伏せた。
「逆に私が勝手で、いじめられるのも私に原因があるって言われたよ。周りに打ち解けられない困った生徒だって。みんなの前で謝らせられたこともあったんだ。私が悪くないのに、みんなを困らせてごめんなさいって」
桜花ちゃんが息を呑み、ミアスは何も変わらない。ただ瞳がひどく動揺していた。辛いことを話しているけど、ミアスの瞳がとても嬉しかった。
メガネをかけた優しいおさげの女の子。話したことはあまりなかったけど、ひとりで本を読むのが好きだったことは覚えている。たとえどんなにひどい扱いを受けたとしても私は我慢できたと思う。その子を救えたという思いがあったから。でもその子が私に向けるその視線には耐えられなかった。
いじめに立ち向かう私は、最初だけヒーローにでもなった気分だったのかもしれない。最初はどんなに罵倒されても、恥をかかされても気にならなかった。むしろ誇らしかったのだ。ただ結局のところ、自己犠牲に酔っていたのだと思う。彼女の瞳が私の自己欺瞞を気づかせてくれた。
自分のせいでと思いつつも何もできない自分を恥じるような、うつむいてあれほど好きだった本を開くこともできずにずっと申し訳そうにしていた。結局私は助けたつもりになっていたのだ。
そしてどうしようもなく打ちのめされた。周りの言葉や孤独に耐えられないほどに打ちのめされた。
自己満足だと知った時、偽善者という言葉が真実だと思った。そう思ってしまうといよいよダメで、私は制服を着ようとするだけで、胃の中の物をすべて戻してしまった。家から一歩も出ることができなくなったし、すべての音がわずらわしくなった。
ミーナさんたちに出会う前までは。カフェ・ノードに招かれるまでは。
「だからね。桜花ちゃんはひとりでいてもいいし、逃げ出してもいいんだよ。先生の言うことなんて聞かなくてもいいし、自分の思った通りにやればいいと思うの。未来はずっと向こうにあるしどうなるかもわからない」
本心だった。飾らずに常識なんでもう知らない。ただ私が、桜花ちゃんに伝えたい心の声だ。桜花ちゃんは黙って聞き、ミアスは感情の読めない瞳で私を覗く。口を開こうとしては閉じ、不器用な言葉を探しながら彷徨うウンディーネが抱きしめたいほど愛おしかった。
「だけどね。学校で友達ができなくても決して、世界にひとりだって思わないでほしいの。学校はとても狭いから、学校よりもずっと世界は広いから。自分が心地よく思える場所はきっとあって、知らないことや聞こえない言葉であふれているから、だから今はそれで大丈夫。もし桜花ちゃんがいじめられることがあったら、お姉ちゃんたちが助けてあげるから。ねっミアス?」
ミアス強い意志を感じさせる瞳で口を一文字に結ぶ。そしてうなずき立ち上がった。そして右手を桜花に伸ばした。
「桜花。今から一緒に琴音の学校に行こう。琴音をいじめるやつらと教師を、ミアスは深泥池(みどろがいけ)に沈めにいかなければいけない」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
私と継母の極めて平凡な日常
当麻月菜
ライト文芸
ある日突然、父が再婚した。そして再婚後、たった三ヶ月で失踪した。
残されたのは私、橋坂由依(高校二年生)と、継母の琴子さん(32歳のキャリアウーマン)の二人。
「ああ、この人も出て行くんだろうな。私にどれだけ自分が不幸かをぶちまけて」
そう思って覚悟もしたけれど、彼女は出て行かなかった。
そうして始まった継母と私の二人だけの日々は、とても淡々としていながら酷く穏やかで、極めて平凡なものでした。
※他のサイトにも重複投稿しています。
心の落とし物
緋色刹那
ライト文芸
・完結済み(2024/10/12)。また書きたくなったら、番外編として投稿するかも
・第4回、第5回ライト文芸大賞にて奨励賞をいただきました!!✌︎('ω'✌︎ )✌︎('ω'✌︎ )
〈本作の楽しみ方〉
本作は読む喫茶店です。順に読んでもいいし、興味を持ったタイトルや季節から読んでもオッケーです。
知らない人、知らない設定が出てきて不安になるかもしれませんが、喫茶店の常連さんのようなものなので、雰囲気を楽しんでください(一応説明↓)。
〈あらすじ〉
〈心の落とし物〉はありませんか?
どこかに失くした物、ずっと探している人、過去の後悔、忘れていた夢。
あなたは忘れているつもりでも、心があなたの代わりに探し続けているかもしれません……。
喫茶店LAMP(ランプ)の店長、添野由良(そえのゆら)は、人の未練が具現化した幻〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉と、それを探す生き霊〈探し人(さがしびと)〉に気づきやすい体質。
ある夏の日、由良は店の前を何度も通る男性に目を止め、声をかける。男性は数年前に移転した古本屋を探していて……。
懐かしくも切ない、過去の未練に魅せられる。
〈主人公と作中用語〉
・添野由良(そえのゆら)
洋燈町にある喫茶店LAMP(ランプ)の店長。〈心の落とし物〉や〈探し人〉に気づきやすい体質。
・〈心の落とし物(こころのおとしもの)〉
人の未練が具現化した幻。あるいは、未練そのもの。
・〈探し人(さがしびと)〉
〈心の落とし物〉を探す生き霊で、落とし主。当人に代わって、〈心の落とし物〉を探している。
・〈未練溜まり(みれんだまり)〉
忘れられた〈心の落とし物〉が行き着く場所。
・〈分け御霊(わけみたま)〉
生者の後悔や未練が物に宿り、具現化した者。込められた念が強ければ強いほど、人のように自由意志を持つ。いわゆる付喪神に近い。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
愛しくて悲しい僕ら
寺音
ライト文芸
第6回ライト文芸大賞 奨励賞をいただきました。ありがとうございます。
それは、どこかで聞いたことのある歌だった。
まだひと気のない商店街のアーケード。大学一年生中山三月はそこで歌を歌う一人の青年、神崎優太と出会う。
彼女は彼が紡ぐそのメロディを、つい先程まで聴いていた事に気づく。
それは、今朝彼女が見た「夢」の中での事。
その夢は事故に遭い亡くなった愛猫が出てくる不思議な、それでいて優しく彼女の悲しみを癒してくれた不思議な夢だった。
後日、大学で再会した二人。柔らかな雰囲気を持つ優太に三月は次第に惹かれていく。
しかし、彼の知り合いだと言う宮本真志に「アイツには近づかない方が良い」と警告される。
やがて三月は優太の持つ不思議な「力」について知ることとなる。
※第一話から主人公の猫が事故で亡くなっております。描写はぼかしてありますがご注意下さい。
※時代設定は平成後期、まだスマートフォンが主流でなかった時代です。その為、主人公の持ち物が現在と異なります。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる