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最終章 出刃包丁と蛇の目傘
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耳元で声が響き、あたりを包む紫煙が霧散した。腰に鈍い痛みを感じる。
腰から冷たい感触がして遅れて痛みが脳髄に響いた。目の前には歯噛みする開襟シャツの男となった彦助がいて、遅れてヤハズが地に降り立ち言葉を失っている。
影と糸に包まれた彦助から私がゆっくりと振り向くと、目の前には千鳥の瞳があった。笑みを浮かべて目尻を和らげている。私が飛び退き身を翻すと腰から小さなナイフがコトリと地面に落ちた。血が滴り、足に力が入らない。千鳥は姫を左に抱いたまま、右手についた私の血を眉間にシワを寄せながら払い落とす。
「あーあぁ。姫ちゃんに血がついたらどうするの? こんな素敵な衣装を汚したくないでしょう?」
「どういうことだ!? 千鳥!」
腰に手を当てると生温かい感触がした。痛みはまだ遠いところにあるが、想いを知ってしまったためか力がまるで入らない。
「彦助を煙に巻いて知ったのでしょう? 私はずっと知っていたの。出刃包丁の男が彦助だって。兄妹だからか不思議とわかるのね。私が子供を守るたびに私から取り上げて! あんなによくしてあげたのに!」
言葉尻にかけて千鳥は人が違ったように激高した。目は血走り赤い唇が噛み締められて頬を歪ませる。隣の姫も目を丸めて千鳥を見上げていた。逃げられないように腰は強く握られている。
「どういうことだ! 八代! 説明しろ」
ヤハズは私の隣に立ち、千鳥と対峙する。私はなんとか立ち上がり、ヤハズと同じく千鳥を見る。
「子供をさらっていたのは千鳥だよ。そして出刃包丁の男を止めようとしていた。かつては兄妹だったふたりだからお互いの場所はわかるのだろう。千鳥は子供をさらい、出刃包丁は子供を取り返していた。だから子供は帰ってくるんだよ。命を失ったとしてもね」
「そんな馬鹿なことがあるか! なぜ気がつかなかった!」
ヤハズが叫ぶと千鳥は左手を口元に当て、ケラケラと笑う。まるで人ではないように。
「だって翁さんは優しいもの。そこの男に襲われている私を助けてしまった。襲わせているのも知らずにね。助けてしまって情を注いでしまったのなら、勘違いもするでしょう? 私はこんなにも面倒見がいいお姉さんなんだもの。それに私も出刃包丁の男が邪魔だった。私のことを調べようとする狗鷲も邪魔だった。利害の一致と勘違い。やっぱり翁さんは優しいねえ」
「少なくとも俺は、千鳥は子供を愛していると思っていたよ。それも嘘だったのかい?」
「嘘じゃないわ! とっても大切なの。だから私は守ってあげる。こんな世の中で苦しまないように私の傘で包んであげるの。私と同じように朽ち果てた建物で私の想いを知ってもらって、逃げ出さないようにずっと一緒に暮らすの。でも逃げ出してしまう。ひどい世の中へと逃げ出していくの。私のことをずっと愛してくれないといけないのに。人は飢えや貧困に勝てないのはよく知っているから、そうしてあげた。飢えさえ私にすがらせた。でも・・・みんな死んじゃうの。麻子ちゃんも可愛かったわ。狗鷲に売られた赤い晴れ着に身を包んで、ずっと私の身を案じてくれた。かわいそうだねって言ってくれた」
普段と変わらないようすで千鳥は話している。いつものように子供を愛する言葉の奥には、変質してしまった想いがあった。
かつては彦助を守ろうとした想い。力が足りずに守れなかった後悔。守ることだけが目的となり、自分に依存させるために飢えさせた。麻子また同様に、命を失う寸前まで飢えさせられた。
ヤハズはキリキリと糸へ力も込める。右手の先はまだ彦助を縛りつけており、姫のイバラもまた彦助を包む。彦助は煙に巻かれて、顔を弛緩させて空を仰いだ。
「でも人だから死んでしまうのね。人形ならば、それに私と同じ付喪之人ならばずっと一緒に暮らせる。もう姫ちゃんは私の物なの。ずっと一緒に暮らす。夜桐ヤハズではなく私と一緒に暮らすの。朽ち果てることなく、飢え衰えることなく一緒に。きっとわかり合えるはず。人であったから間違っていたんだわ。人ではない子供ならば、人形ならばきっと叶うはず。一生守ってあげられるの!」
ねぇ。姫ちゃん? と千鳥は口元を歪めて硬直する姫へと目を向ける。とっさにヤハズは駆け出して、ほつれた右手を鞭のように振るう。銀糸はひとつの塊となり、千鳥の頭上から振り下ろされる。私もまた腰元から拳銃を抜き出し千鳥に向けた。
千鳥に向けて想いを込める。しかし何を・・・千鳥と過ごした日々が、穏やかな幸せを切り取った日常が脳裏をよぎり、引き金を引くことができない。
その間にもヤハズが振り下ろした糸の束は千鳥をとらえる。千鳥が笑った。そして今の今まで見えなかった、真っ赤な蛇の目傘が右手に握られているのが見えた。
「見えはしなかったでしょう? 一度だって私を理解しようとしなかったから。それに大気に溶け込む小さな小さな雨粒は、私の意図した通りに働いてくれる。 時には陽炎みたいに見せたくもない事柄を消してくれるの」
出刃包丁の中で見た蛇の目傘。色とりどりに飾られてふたりの末路を彩った傘だ。
千鳥は傘を開いて背を向ける。ヤハズは構わず銀糸の束を振り下ろすも、傘に当たる直前で弾かれた。ギィン。と鉄の擦れる鈍い音がして、弾かれた銀糸の勢いでヤハズは中で身を翻し着地する。
片膝をついて目は千鳥をとらえ続けている。
傘の合間から唇を怪しく開いた千鳥は回る。真っ赤な蛇の目傘の周りには雨をその場に止めたような水滴が浮いていた。ぐるりと回ると給仕の姿に青色の線が走る。まるで衣のように裾を浮かして青い浴衣姿となった。
ただの姿ではない。表面はてらてらと濡れており、小川のように水の流れが見えた。かつて見た青色の浴衣は布ではなく、水で編まれていたのだ。閉められた帯もまた青く濃度が濃いのか、浴衣よりもずっと濃い青色をしている。
千鳥は私と膝をつくヤハズに向き直ると、姫が千鳥を突き飛ばし、両手を姫に向けた。
出刃包丁の男をとらえた時のように、足元から影が千鳥へと登る。千鳥はあらあら・・・と左手を口元に当て、まるで童のいたずらをたしなめる表情で姫を見る。
千鳥が人差し指で宙に円を描くと、姫の周りにも水の流れが現れる。ぐるぐると螺旋を描き、流れる水の線が太さを増して濃度もまた増した。姫を包んで逃げ出す間も無く姫は水球に包まれる。
「そこで大人くしておいてね。大丈夫。人形ならば死なないわ。ただ苦しいだけ。今まで私と暮らした多くの子供みたいにたくさん苦しんで、私に守られてね」
腰から冷たい感触がして遅れて痛みが脳髄に響いた。目の前には歯噛みする開襟シャツの男となった彦助がいて、遅れてヤハズが地に降り立ち言葉を失っている。
影と糸に包まれた彦助から私がゆっくりと振り向くと、目の前には千鳥の瞳があった。笑みを浮かべて目尻を和らげている。私が飛び退き身を翻すと腰から小さなナイフがコトリと地面に落ちた。血が滴り、足に力が入らない。千鳥は姫を左に抱いたまま、右手についた私の血を眉間にシワを寄せながら払い落とす。
「あーあぁ。姫ちゃんに血がついたらどうするの? こんな素敵な衣装を汚したくないでしょう?」
「どういうことだ!? 千鳥!」
腰に手を当てると生温かい感触がした。痛みはまだ遠いところにあるが、想いを知ってしまったためか力がまるで入らない。
「彦助を煙に巻いて知ったのでしょう? 私はずっと知っていたの。出刃包丁の男が彦助だって。兄妹だからか不思議とわかるのね。私が子供を守るたびに私から取り上げて! あんなによくしてあげたのに!」
言葉尻にかけて千鳥は人が違ったように激高した。目は血走り赤い唇が噛み締められて頬を歪ませる。隣の姫も目を丸めて千鳥を見上げていた。逃げられないように腰は強く握られている。
「どういうことだ! 八代! 説明しろ」
ヤハズは私の隣に立ち、千鳥と対峙する。私はなんとか立ち上がり、ヤハズと同じく千鳥を見る。
「子供をさらっていたのは千鳥だよ。そして出刃包丁の男を止めようとしていた。かつては兄妹だったふたりだからお互いの場所はわかるのだろう。千鳥は子供をさらい、出刃包丁は子供を取り返していた。だから子供は帰ってくるんだよ。命を失ったとしてもね」
「そんな馬鹿なことがあるか! なぜ気がつかなかった!」
ヤハズが叫ぶと千鳥は左手を口元に当て、ケラケラと笑う。まるで人ではないように。
「だって翁さんは優しいもの。そこの男に襲われている私を助けてしまった。襲わせているのも知らずにね。助けてしまって情を注いでしまったのなら、勘違いもするでしょう? 私はこんなにも面倒見がいいお姉さんなんだもの。それに私も出刃包丁の男が邪魔だった。私のことを調べようとする狗鷲も邪魔だった。利害の一致と勘違い。やっぱり翁さんは優しいねえ」
「少なくとも俺は、千鳥は子供を愛していると思っていたよ。それも嘘だったのかい?」
「嘘じゃないわ! とっても大切なの。だから私は守ってあげる。こんな世の中で苦しまないように私の傘で包んであげるの。私と同じように朽ち果てた建物で私の想いを知ってもらって、逃げ出さないようにずっと一緒に暮らすの。でも逃げ出してしまう。ひどい世の中へと逃げ出していくの。私のことをずっと愛してくれないといけないのに。人は飢えや貧困に勝てないのはよく知っているから、そうしてあげた。飢えさえ私にすがらせた。でも・・・みんな死んじゃうの。麻子ちゃんも可愛かったわ。狗鷲に売られた赤い晴れ着に身を包んで、ずっと私の身を案じてくれた。かわいそうだねって言ってくれた」
普段と変わらないようすで千鳥は話している。いつものように子供を愛する言葉の奥には、変質してしまった想いがあった。
かつては彦助を守ろうとした想い。力が足りずに守れなかった後悔。守ることだけが目的となり、自分に依存させるために飢えさせた。麻子また同様に、命を失う寸前まで飢えさせられた。
ヤハズはキリキリと糸へ力も込める。右手の先はまだ彦助を縛りつけており、姫のイバラもまた彦助を包む。彦助は煙に巻かれて、顔を弛緩させて空を仰いだ。
「でも人だから死んでしまうのね。人形ならば、それに私と同じ付喪之人ならばずっと一緒に暮らせる。もう姫ちゃんは私の物なの。ずっと一緒に暮らす。夜桐ヤハズではなく私と一緒に暮らすの。朽ち果てることなく、飢え衰えることなく一緒に。きっとわかり合えるはず。人であったから間違っていたんだわ。人ではない子供ならば、人形ならばきっと叶うはず。一生守ってあげられるの!」
ねぇ。姫ちゃん? と千鳥は口元を歪めて硬直する姫へと目を向ける。とっさにヤハズは駆け出して、ほつれた右手を鞭のように振るう。銀糸はひとつの塊となり、千鳥の頭上から振り下ろされる。私もまた腰元から拳銃を抜き出し千鳥に向けた。
千鳥に向けて想いを込める。しかし何を・・・千鳥と過ごした日々が、穏やかな幸せを切り取った日常が脳裏をよぎり、引き金を引くことができない。
その間にもヤハズが振り下ろした糸の束は千鳥をとらえる。千鳥が笑った。そして今の今まで見えなかった、真っ赤な蛇の目傘が右手に握られているのが見えた。
「見えはしなかったでしょう? 一度だって私を理解しようとしなかったから。それに大気に溶け込む小さな小さな雨粒は、私の意図した通りに働いてくれる。 時には陽炎みたいに見せたくもない事柄を消してくれるの」
出刃包丁の中で見た蛇の目傘。色とりどりに飾られてふたりの末路を彩った傘だ。
千鳥は傘を開いて背を向ける。ヤハズは構わず銀糸の束を振り下ろすも、傘に当たる直前で弾かれた。ギィン。と鉄の擦れる鈍い音がして、弾かれた銀糸の勢いでヤハズは中で身を翻し着地する。
片膝をついて目は千鳥をとらえ続けている。
傘の合間から唇を怪しく開いた千鳥は回る。真っ赤な蛇の目傘の周りには雨をその場に止めたような水滴が浮いていた。ぐるりと回ると給仕の姿に青色の線が走る。まるで衣のように裾を浮かして青い浴衣姿となった。
ただの姿ではない。表面はてらてらと濡れており、小川のように水の流れが見えた。かつて見た青色の浴衣は布ではなく、水で編まれていたのだ。閉められた帯もまた青く濃度が濃いのか、浴衣よりもずっと濃い青色をしている。
千鳥は私と膝をつくヤハズに向き直ると、姫が千鳥を突き飛ばし、両手を姫に向けた。
出刃包丁の男をとらえた時のように、足元から影が千鳥へと登る。千鳥はあらあら・・・と左手を口元に当て、まるで童のいたずらをたしなめる表情で姫を見る。
千鳥が人差し指で宙に円を描くと、姫の周りにも水の流れが現れる。ぐるぐると螺旋を描き、流れる水の線が太さを増して濃度もまた増した。姫を包んで逃げ出す間も無く姫は水球に包まれる。
「そこで大人くしておいてね。大丈夫。人形ならば死なないわ。ただ苦しいだけ。今まで私と暮らした多くの子供みたいにたくさん苦しんで、私に守られてね」
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