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託され託し行く
フォード国-貧困街-
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ーーエウルドス王国崩壊から??‥‥
まるで、恋人を待ち続けるようになってからどれくらい経っただろう。
彼を想うようになって、どれくらい経っただろう。
会えない彼を想い待ち続けること。
それは日に日に淡い想いを象徴していき、それは恋なのだといつの日か気づいて彼女は、アイムはそれに涙した日もあった。
一度しか会ったことのない人。
やはりそれだけの、ましてや口約束だったのだ、叶うはずがない、と。
彼はもう、自分のことなど覚えていないはず。
彼が‥‥どうか彼が語った夢を成就させていたならそれで良いと思う。
でも、やはりどこか虚しい。
今でも彼を待ち続けてしまう自分が。
ーーフォード国の片隅にある貧困街。
アイムは気分をまぎらわすために外に出てみようと思った。
自分の世界、貧困街。
端から見れば、とても哀れむような世界だろう。
彼も哀れみをアイムに向けていたのだから。
それでもアイムにはここが全て。
この場所が自分の世界であり、幸福なのだ。
何も恥じる必要はない。
胸を張って堂々と、優しく笑って生きていきたい。
タタタタタッ‥‥
せわしない足音が聞こえてきて、アイムは振り返る。
同時にピタリと足音は止まった。
止まって、アイムが振り返った時には後ろに人が立っていた。
「え、あ、何か‥‥?」
アイムは警戒しながら尋ねる。
茶色いフードを深く被った、顔は見えないが恐らく男であろう誰か。
じっと、無言でアイムの方を見ている。
「あっ、あの‥‥」
明らかに怪しい男に叫んでやろうかと思ったが、
「君、なのか‥‥」
「はい?」
いきなりわけのわからないことを言われ、アイムは口をぽかんと開けたが、次の男の言葉に思考を奪われる。
「君からは‥‥ロファースを、感じる」
アイムはしばらく驚いたような顔で男を見つめた。
ロファース。
それはアイムが一度だけ出会った人。
アイムが想い、待ち続けている人の名だ。
「あなた‥‥ロファースを知っているの?」
予想以上に声が震えてしまう。
「ロファースは、俺の、親友だ‥‥」
「親友?じゃあ、あなたはもしかして彼が今どうしているか知っているの?彼は、元気にしているの?今はどこに‥‥!?」
期待に胸膨らませてアイムは聞いた。
「‥‥あいつは、死んだよ」
「え?」
「死んだんだ‥‥」
目の前の男の言葉が一瞬理解出来なかった。
出来なくて、でも、目の前の男の着たフードが小刻みに揺れているのがわかり、震えているのだ、目の前の男は。
【嘘ではない】。そう、物語るように。
「どっ、どう、して」
それしか言葉が出ない。
「‥‥すまない。君が、誰なのかは、知らない。でも、君からは、ロファースを、感じる‥‥ロファースを知ってる、唯一の、存在」
「ろっ‥‥ロファ‥‥ス」
アイムはその場に崩れ落ちそうになったが、男がその体を支える。
明朝の為、人通りはない。
賑わいなどない場所の為、元より人通りは少ないが‥‥
「どうか、ロファースを、忘れないでくれ。きっと、君は、ロファースにとって大切な人。そして君も、ロファースを大切に、想ってる‥‥」
なんとなく、彼女の未来と共に心が見える気がして、男は言葉を紡ぐ。
「っ‥‥あなたの、名前は?」
男に尋ねれば、しかし、男は名乗らなかった。代わりに、
「私は、アイム‥‥アイム・フォウルよ」
そう、名乗る。
「アイム、俺は‥‥綺麗な場所を探す旅をしている。あいつの、ロファースの死に場所は、何もない、嫌な、場所だから。だから‥‥綺麗な場所に墓を建てたい」
「ロファースの、墓‥‥?」
それを聞いたアイムの背筋が凍る。
ああ、本当に、彼は‥‥と。
「君の、この街に建てるのは、どうだろう?君の居る、ここに‥‥」
「ここに?」
思いも寄らない男の提案に、アイムは目を丸くして、それから小さく微笑んで首を横に振った。
「ここは、ダメよ」
「なぜ?ロファースは、きっと、喜ぶ」
「私が、ダメなの。彼の墓が近くにあったら、私は彼の死を認めてしまうわ。それは忘れてしまうと言うこと。それに、彼の墓を見続ける勇気が、私にはない。悲しくて、悲しみに負けてしまうから。だから、ごめんなさい‥‥私はまだ、信じられないの‥‥」
それからアイムは男の手を握る。
少し長い彼の爪に、もしかしたら人間ではないのかもしれないなと思ったが、そんなことは気にしなかった。
「‥‥どうか見つけてあげて。ロファースがゆっくりと眠れる場所を。いつか、彼が生まれ変われる日まで、ゆっくりと眠れる、綺麗な、美しい場所を」
「君は、聞かない、のか。あいつが‥‥死んだ理由」
「理由に意味なんてないわ。それに、私の中で彼は生き続けている。たった一度の、優しい記憶が‥‥今でも、これからも」
どこか悲しげなアイムの微笑みと言葉に、男は息を呑む。
アイムがいつロファースと知り合ったのか、どんな関係なのか、それはわからない。
聞こうとは思わなかった。
だが、きっと、二人は大切な存在だったんだと思う。
「‥‥アイム、どうか、幸せに。この国に立ち寄って、ロファースを感じられて、良かった。君の、お陰だ。君に出会えて、良かった」
「お別れみたいね‥‥また、いつでも来てちょうだい、ロファースの親友さん」
そのアイムの言葉に男はしばらく考え、
「いや、約束は出来ない。約束して、会いに来れなかったらきっと、君は悲しむ。だから、約束は、しない」
その言葉にアイムは驚く。それから目を瞑り、
「そうね、うん。その言葉の意味、よくわかるわ。約束はしないでおきましょう」
顔を上げ、ニコッと笑った。
それに、フードの下の姿形がわからない。
もし男が訪れたとしても、アイムにはわからないであろう。
ーーどうか、美しい場所に、彼の安眠が訪れますように。どうか、どうか‥‥
ぶわっ‥‥と、大きく風が吹いた。
どこからだろう、花の咲く時期ではないと言うのに、無数の花びらが風と共に流れてきて、アイムは驚く。
そして、自然に涙が溢れた。
「今日は、とても不思議な日ね‥‥」
ポタポタと、雫が地面に落ちる。
(大好きよ、ロファース。あの日からずっと、あなたが大好き‥‥これからも、ずっと‥‥)
そんなアイムの想いを、手向けの花を投げながら、別のフードの男が屋根の上から見ていた。今だけではない、これからも、何度も。
いつか彼女の元に黒い騎士と少女が現れ、彼女が独りではなくなるその日まで‥‥
(でも、予想外でしたねぇ‥‥まさか、レムズ君が彼女に辿り着くなんて。それほど‥‥ロファース君への思いは色濃く残ってしまったのだろうか)
フードの男はため息を吐き、その場から消える。
アイムの前に現れた男ーーレムズは約束を守ると誓った。
フォードには墓を建てないと。
いつかアイムが死に、たとえ彼女の墓が建とうとも、その傍にロファースの墓は建てないと。
しかし、なんの因果か。
レムズとアイムは遠くない未来に再会した。
アイムは‥‥気づくことはなかったが。
【伝えられなかった想い、果たされなかった約束。それを風に託して彼女は涙を流す。彼の、安息の地を願って‥‥】
まるで、恋人を待ち続けるようになってからどれくらい経っただろう。
彼を想うようになって、どれくらい経っただろう。
会えない彼を想い待ち続けること。
それは日に日に淡い想いを象徴していき、それは恋なのだといつの日か気づいて彼女は、アイムはそれに涙した日もあった。
一度しか会ったことのない人。
やはりそれだけの、ましてや口約束だったのだ、叶うはずがない、と。
彼はもう、自分のことなど覚えていないはず。
彼が‥‥どうか彼が語った夢を成就させていたならそれで良いと思う。
でも、やはりどこか虚しい。
今でも彼を待ち続けてしまう自分が。
ーーフォード国の片隅にある貧困街。
アイムは気分をまぎらわすために外に出てみようと思った。
自分の世界、貧困街。
端から見れば、とても哀れむような世界だろう。
彼も哀れみをアイムに向けていたのだから。
それでもアイムにはここが全て。
この場所が自分の世界であり、幸福なのだ。
何も恥じる必要はない。
胸を張って堂々と、優しく笑って生きていきたい。
タタタタタッ‥‥
せわしない足音が聞こえてきて、アイムは振り返る。
同時にピタリと足音は止まった。
止まって、アイムが振り返った時には後ろに人が立っていた。
「え、あ、何か‥‥?」
アイムは警戒しながら尋ねる。
茶色いフードを深く被った、顔は見えないが恐らく男であろう誰か。
じっと、無言でアイムの方を見ている。
「あっ、あの‥‥」
明らかに怪しい男に叫んでやろうかと思ったが、
「君、なのか‥‥」
「はい?」
いきなりわけのわからないことを言われ、アイムは口をぽかんと開けたが、次の男の言葉に思考を奪われる。
「君からは‥‥ロファースを、感じる」
アイムはしばらく驚いたような顔で男を見つめた。
ロファース。
それはアイムが一度だけ出会った人。
アイムが想い、待ち続けている人の名だ。
「あなた‥‥ロファースを知っているの?」
予想以上に声が震えてしまう。
「ロファースは、俺の、親友だ‥‥」
「親友?じゃあ、あなたはもしかして彼が今どうしているか知っているの?彼は、元気にしているの?今はどこに‥‥!?」
期待に胸膨らませてアイムは聞いた。
「‥‥あいつは、死んだよ」
「え?」
「死んだんだ‥‥」
目の前の男の言葉が一瞬理解出来なかった。
出来なくて、でも、目の前の男の着たフードが小刻みに揺れているのがわかり、震えているのだ、目の前の男は。
【嘘ではない】。そう、物語るように。
「どっ、どう、して」
それしか言葉が出ない。
「‥‥すまない。君が、誰なのかは、知らない。でも、君からは、ロファースを、感じる‥‥ロファースを知ってる、唯一の、存在」
「ろっ‥‥ロファ‥‥ス」
アイムはその場に崩れ落ちそうになったが、男がその体を支える。
明朝の為、人通りはない。
賑わいなどない場所の為、元より人通りは少ないが‥‥
「どうか、ロファースを、忘れないでくれ。きっと、君は、ロファースにとって大切な人。そして君も、ロファースを大切に、想ってる‥‥」
なんとなく、彼女の未来と共に心が見える気がして、男は言葉を紡ぐ。
「っ‥‥あなたの、名前は?」
男に尋ねれば、しかし、男は名乗らなかった。代わりに、
「私は、アイム‥‥アイム・フォウルよ」
そう、名乗る。
「アイム、俺は‥‥綺麗な場所を探す旅をしている。あいつの、ロファースの死に場所は、何もない、嫌な、場所だから。だから‥‥綺麗な場所に墓を建てたい」
「ロファースの、墓‥‥?」
それを聞いたアイムの背筋が凍る。
ああ、本当に、彼は‥‥と。
「君の、この街に建てるのは、どうだろう?君の居る、ここに‥‥」
「ここに?」
思いも寄らない男の提案に、アイムは目を丸くして、それから小さく微笑んで首を横に振った。
「ここは、ダメよ」
「なぜ?ロファースは、きっと、喜ぶ」
「私が、ダメなの。彼の墓が近くにあったら、私は彼の死を認めてしまうわ。それは忘れてしまうと言うこと。それに、彼の墓を見続ける勇気が、私にはない。悲しくて、悲しみに負けてしまうから。だから、ごめんなさい‥‥私はまだ、信じられないの‥‥」
それからアイムは男の手を握る。
少し長い彼の爪に、もしかしたら人間ではないのかもしれないなと思ったが、そんなことは気にしなかった。
「‥‥どうか見つけてあげて。ロファースがゆっくりと眠れる場所を。いつか、彼が生まれ変われる日まで、ゆっくりと眠れる、綺麗な、美しい場所を」
「君は、聞かない、のか。あいつが‥‥死んだ理由」
「理由に意味なんてないわ。それに、私の中で彼は生き続けている。たった一度の、優しい記憶が‥‥今でも、これからも」
どこか悲しげなアイムの微笑みと言葉に、男は息を呑む。
アイムがいつロファースと知り合ったのか、どんな関係なのか、それはわからない。
聞こうとは思わなかった。
だが、きっと、二人は大切な存在だったんだと思う。
「‥‥アイム、どうか、幸せに。この国に立ち寄って、ロファースを感じられて、良かった。君の、お陰だ。君に出会えて、良かった」
「お別れみたいね‥‥また、いつでも来てちょうだい、ロファースの親友さん」
そのアイムの言葉に男はしばらく考え、
「いや、約束は出来ない。約束して、会いに来れなかったらきっと、君は悲しむ。だから、約束は、しない」
その言葉にアイムは驚く。それから目を瞑り、
「そうね、うん。その言葉の意味、よくわかるわ。約束はしないでおきましょう」
顔を上げ、ニコッと笑った。
それに、フードの下の姿形がわからない。
もし男が訪れたとしても、アイムにはわからないであろう。
ーーどうか、美しい場所に、彼の安眠が訪れますように。どうか、どうか‥‥
ぶわっ‥‥と、大きく風が吹いた。
どこからだろう、花の咲く時期ではないと言うのに、無数の花びらが風と共に流れてきて、アイムは驚く。
そして、自然に涙が溢れた。
「今日は、とても不思議な日ね‥‥」
ポタポタと、雫が地面に落ちる。
(大好きよ、ロファース。あの日からずっと、あなたが大好き‥‥これからも、ずっと‥‥)
そんなアイムの想いを、手向けの花を投げながら、別のフードの男が屋根の上から見ていた。今だけではない、これからも、何度も。
いつか彼女の元に黒い騎士と少女が現れ、彼女が独りではなくなるその日まで‥‥
(でも、予想外でしたねぇ‥‥まさか、レムズ君が彼女に辿り着くなんて。それほど‥‥ロファース君への思いは色濃く残ってしまったのだろうか)
フードの男はため息を吐き、その場から消える。
アイムの前に現れた男ーーレムズは約束を守ると誓った。
フォードには墓を建てないと。
いつかアイムが死に、たとえ彼女の墓が建とうとも、その傍にロファースの墓は建てないと。
しかし、なんの因果か。
レムズとアイムは遠くない未来に再会した。
アイムは‥‥気づくことはなかったが。
【伝えられなかった想い、果たされなかった約束。それを風に託して彼女は涙を流す。彼の、安息の地を願って‥‥】
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