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五日目-4
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「おいっ!何のつもりだ!?なんでロファースを置いて来た!?ってか降ろせっ!」
クレスルドが転移した場所は、エルフの里に入る為の森の入り口だった。
「ああ、失礼」
ドスンッ
「ぎゃっ」
抱えられたままだったレムズはそのまま地面に落とされ、尻餅をつく。
「てっ‥‥てめぇ!それにっ、足手纏いってどういう意味だ!俺だってエルフだ!ハーフだけど‥‥魔術くらい使える!戦える!バカにするな!」
「馬鹿になんかしてませんよ。ロファース君に頼まれたからやったまでです」
クレスルドはそれだけを言う。
「頼まれたからって‥‥いいのかよ!?ロファースが死んでもいいのかよ!」
「‥‥ほう?ロファース君は死ぬんですか?」
「っ‥‥」
レムズは大きく肩を揺らし、目を見開かせ、慌てて口を閉じた。
「貴方には本当に見えているんですね。ロファース君のこの先が」
「ちっ、違っ‥‥」
レムズはぶんぶんと首を横に振る。
クレスルドはそんなレムズから視線を外し、
「そうか‥‥やはり、彼は死ぬのか?」
静かに呟いた。
「‥‥無事じゃったか、レムズ。それに、紅(くれない)」
ザッ、ザッ‥‥と、草を掻き分けて、杖をつき、腰を曲げた老人が現れる。
「ええ、チェアル。貴方に言われた通り里の中を見て回りましたが‥‥生き残りは貴方とレムズ君だけです」
クレスルドはそう言った。
「‥‥同胞を殺めたエウルドス兵に裁きは与えた。じゃが、一人手強いのが居てな。其奴はまだ生きておる。もう、人の姿をしてはいなかったが‥‥惨い話じゃ‥‥」
「もしかして、それは‥‥」
クレスルドが言おうとしたが、
「クソ村長!ロファースが獣に襲われてるんだ!」
レムズがクレスルドの言葉を遮り、チェアルと呼ばれた老人ーーエルフの長に駆け寄りそう声を荒げた。
「ロファース‥‥彼か」
チェアルはクレスルドに視線を移し、
「のう、紅よ。過ちを護るのではなかったのか?間違いない。手強い獣は其奴じゃ」
「ーーチェアル。彼が望んだことだ、僕は手出ししない。ただ、もしロファースが殺されたなら、僕がその獣を殺す。さっきも殺すことは簡単に出来た。だが、あの獣は彼の知り合いだ。彼のしたいようにさせてやりたい。それが‥‥償いだ」
◆◆◆◆◆
「ぜぇっ‥‥はあっ、はあっ」
どちらの息なのか、わからない。
だが、両者とも息を荒げているのは確かだ。
「やるじゃねぇか、ロファース‥‥っ、この前まで剣を振るうのをビビってたロファースはどこ行った?」
馬鹿にするように獣の姿のセルダーが言った。
「‥‥お前に、殺されるわけにはいかないんだ」
ロファースは息を整えながら言う。
「ああ?なんでだよ」
聞かれて、ロファースは目を細め、
(エウルドスを出てまだ数日だけど‥‥色々なことがあった。神父様と、彼女との約束だってある‥‥レムズさんと、あの人が待っている‥‥)
そう考えてから、ロファースは無言のまま剣を構え直した。
「けっ、だんまりかよ‥‥いいぜ、何度でもやってやらぁーー!」
セルダーは再びロファースに飛び掛かる!
ガッキンッーー!
ロファースはセルダーの牙を剣で受け止めるが、その勢いはとてつもなく強い!
ぐぐぐっーー‥‥と、その圧しにどうしても負けそうになり、重みに耐えられずぶるぶると腕が震える。
「辛そうだなぁ?ほらっ、力を緩めちまえよ!そしたら楽になれるぜ!」
「誰が‥‥っ、そんなマネするかよぉおおっっーー!」
叫びながら、ロファースはありったけの力を込めて剣を前へ前へと圧し、両者共、一歩も引かない状態だ。
互いに足を地面に食い込ませるようにして、必死で体を支える。
ズズッ、ズズッ‥‥と、押しては返され、押しては返されーー‥‥
「グガァアアアアッーー!!!」
ロファースの剣を牙で圧したまま、セルダーはいきなり雄叫びのような声を上げ、振動によって森の木々や葉さえもザワザワと揺れる。
その全てに、ビクッ!と、ロファースの心臓が跳ねたーーそれが一瞬の隙だった。
その一瞬、ロファースの力が抜けていた。それを見逃さず、セルダーは一気にロファースの剣を押し、ドシャアァァァッ――!と、ロファースの体は地面に叩き付けられた!
「ぐぁああああっーー!?」
「はははっ!油断したなぁ、ロファース!」
ロファースは起き上がろうとしたが、ドシャッーー!
セルダーがロファースに覆い被さってきて、再び地面に体を叩きつけられる。
体の上にのし掛かられて、ロファースは起き上がることが出来ない。
「終わりだな、ロファース」
勝利を確信したのか、セルダーは落ち着いた声で言った。
「まだ、終わりなんかじゃ‥‥ぐぁああっ!?」
言い返そうとしたロファースだったが、セルダーはロファースの胸の辺りを前足で押さえ付け、そこに力を込める。鋭い爪がロファースの肉を抉った。
「わからねぇか?終わりなんだよ。お前は死ぬんだ。お前はどうせ俺を殺せない。でも、俺はお前を殺せる」
「‥‥っ、セル‥‥ダーッ‥‥」
「‥‥もう、あいつの、イルダンの指示なんか知ったことか‥‥王なんか、知ったことか」
ぼそりとセルダーが言ったが、ロファースには聞き取れない。
「‥‥くくっ、ははは、あははははは!さあ、楽になれロファース!あばよーー!」
ぐぱぁッーー!と、セルダーの口が大きく開いて、ロファースは「ぐっ‥‥!」と、苦しみにも怒りにも、諦めにも似た声を上げる。
ロファースは右手でまだ剣を掴んでいることを確認し、ぎゅっと握る。それだけで、まだ戦えるんじゃないかと、力強さを感じた気がした。
「まだ‥‥まだ終われないっ!」
そう声を荒げて右手を動かし、セルダーの腹部を斬りつけた!
「あぐぁぁあッーー!?」
とっさのことにセルダーは驚いて、跳ねるようにしてロファースから離れる。血飛沫が、舞う。
ロファースはよろりと立ち上がり、斬りつけられた腹部の痛みに苦しむセルダーを見る。
「ぐっ‥‥くそっ、くそっ、くそくそくそくそぉおおぉおおっっーー!?」
セルダーは痛みに耐えながらそう叫び、
「なんでだ!なんで殺されてくれない!?殺させろ!早くお前を殺させてくれ!」
彼は狂ったかのように叫ぶ‥‥
「死ね‥‥ない!俺には、大切な約束が‥‥ある!」
ロファースは言った。
「馬鹿めーー!お前は馬鹿だ!俺のーー友達の言う通りにしろよ!?殺されろよ!」
「何を‥‥セルダー!裏切ったのはお前だろう!?友達じゃないと、俺が邪魔だったと言ったのはお前だろう!今更そんな揺さぶり、意味はないぞ!」
そう叫ぶが‥‥なぜだろうか。
ロファースの目からぼろぼろと涙がこぼれた。
もう、セルダーは仲間でも友でもないのに‥‥
それに呼応するかのように、
「友達‥‥に‥‥っ、友達に決まってるだろうが!馬鹿ロファース!俺達は、友達なんだよぉおおっっーー!」
獣は‥‥セルダーはそう叫ぶ。
ロファースと同じように、涙を流しながら。
「ーー!?」
ロファースにはわけがわからなかった。
一体、今、何が起きているのか、わからない。
「なんで‥‥なんでお前が、泣くんだよ‥‥セルダー!?」
しん‥‥と、辺りは一気に静まり返った。
戦いに必死で気づかなかったが、空には満月が浮かんでいて、夜の森にはとても冷たい風が吹き、灰の匂いを運んでくる。
そして時刻は次の日にまたがりーー‥‥
~ 五日目〈終〉~
クレスルドが転移した場所は、エルフの里に入る為の森の入り口だった。
「ああ、失礼」
ドスンッ
「ぎゃっ」
抱えられたままだったレムズはそのまま地面に落とされ、尻餅をつく。
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クレスルドはそれだけを言う。
「頼まれたからって‥‥いいのかよ!?ロファースが死んでもいいのかよ!」
「‥‥ほう?ロファース君は死ぬんですか?」
「っ‥‥」
レムズは大きく肩を揺らし、目を見開かせ、慌てて口を閉じた。
「貴方には本当に見えているんですね。ロファース君のこの先が」
「ちっ、違っ‥‥」
レムズはぶんぶんと首を横に振る。
クレスルドはそんなレムズから視線を外し、
「そうか‥‥やはり、彼は死ぬのか?」
静かに呟いた。
「‥‥無事じゃったか、レムズ。それに、紅(くれない)」
ザッ、ザッ‥‥と、草を掻き分けて、杖をつき、腰を曲げた老人が現れる。
「ええ、チェアル。貴方に言われた通り里の中を見て回りましたが‥‥生き残りは貴方とレムズ君だけです」
クレスルドはそう言った。
「‥‥同胞を殺めたエウルドス兵に裁きは与えた。じゃが、一人手強いのが居てな。其奴はまだ生きておる。もう、人の姿をしてはいなかったが‥‥惨い話じゃ‥‥」
「もしかして、それは‥‥」
クレスルドが言おうとしたが、
「クソ村長!ロファースが獣に襲われてるんだ!」
レムズがクレスルドの言葉を遮り、チェアルと呼ばれた老人ーーエルフの長に駆け寄りそう声を荒げた。
「ロファース‥‥彼か」
チェアルはクレスルドに視線を移し、
「のう、紅よ。過ちを護るのではなかったのか?間違いない。手強い獣は其奴じゃ」
「ーーチェアル。彼が望んだことだ、僕は手出ししない。ただ、もしロファースが殺されたなら、僕がその獣を殺す。さっきも殺すことは簡単に出来た。だが、あの獣は彼の知り合いだ。彼のしたいようにさせてやりたい。それが‥‥償いだ」
◆◆◆◆◆
「ぜぇっ‥‥はあっ、はあっ」
どちらの息なのか、わからない。
だが、両者とも息を荒げているのは確かだ。
「やるじゃねぇか、ロファース‥‥っ、この前まで剣を振るうのをビビってたロファースはどこ行った?」
馬鹿にするように獣の姿のセルダーが言った。
「‥‥お前に、殺されるわけにはいかないんだ」
ロファースは息を整えながら言う。
「ああ?なんでだよ」
聞かれて、ロファースは目を細め、
(エウルドスを出てまだ数日だけど‥‥色々なことがあった。神父様と、彼女との約束だってある‥‥レムズさんと、あの人が待っている‥‥)
そう考えてから、ロファースは無言のまま剣を構え直した。
「けっ、だんまりかよ‥‥いいぜ、何度でもやってやらぁーー!」
セルダーは再びロファースに飛び掛かる!
ガッキンッーー!
ロファースはセルダーの牙を剣で受け止めるが、その勢いはとてつもなく強い!
ぐぐぐっーー‥‥と、その圧しにどうしても負けそうになり、重みに耐えられずぶるぶると腕が震える。
「辛そうだなぁ?ほらっ、力を緩めちまえよ!そしたら楽になれるぜ!」
「誰が‥‥っ、そんなマネするかよぉおおっっーー!」
叫びながら、ロファースはありったけの力を込めて剣を前へ前へと圧し、両者共、一歩も引かない状態だ。
互いに足を地面に食い込ませるようにして、必死で体を支える。
ズズッ、ズズッ‥‥と、押しては返され、押しては返されーー‥‥
「グガァアアアアッーー!!!」
ロファースの剣を牙で圧したまま、セルダーはいきなり雄叫びのような声を上げ、振動によって森の木々や葉さえもザワザワと揺れる。
その全てに、ビクッ!と、ロファースの心臓が跳ねたーーそれが一瞬の隙だった。
その一瞬、ロファースの力が抜けていた。それを見逃さず、セルダーは一気にロファースの剣を押し、ドシャアァァァッ――!と、ロファースの体は地面に叩き付けられた!
「ぐぁああああっーー!?」
「はははっ!油断したなぁ、ロファース!」
ロファースは起き上がろうとしたが、ドシャッーー!
セルダーがロファースに覆い被さってきて、再び地面に体を叩きつけられる。
体の上にのし掛かられて、ロファースは起き上がることが出来ない。
「終わりだな、ロファース」
勝利を確信したのか、セルダーは落ち着いた声で言った。
「まだ、終わりなんかじゃ‥‥ぐぁああっ!?」
言い返そうとしたロファースだったが、セルダーはロファースの胸の辺りを前足で押さえ付け、そこに力を込める。鋭い爪がロファースの肉を抉った。
「わからねぇか?終わりなんだよ。お前は死ぬんだ。お前はどうせ俺を殺せない。でも、俺はお前を殺せる」
「‥‥っ、セル‥‥ダーッ‥‥」
「‥‥もう、あいつの、イルダンの指示なんか知ったことか‥‥王なんか、知ったことか」
ぼそりとセルダーが言ったが、ロファースには聞き取れない。
「‥‥くくっ、ははは、あははははは!さあ、楽になれロファース!あばよーー!」
ぐぱぁッーー!と、セルダーの口が大きく開いて、ロファースは「ぐっ‥‥!」と、苦しみにも怒りにも、諦めにも似た声を上げる。
ロファースは右手でまだ剣を掴んでいることを確認し、ぎゅっと握る。それだけで、まだ戦えるんじゃないかと、力強さを感じた気がした。
「まだ‥‥まだ終われないっ!」
そう声を荒げて右手を動かし、セルダーの腹部を斬りつけた!
「あぐぁぁあッーー!?」
とっさのことにセルダーは驚いて、跳ねるようにしてロファースから離れる。血飛沫が、舞う。
ロファースはよろりと立ち上がり、斬りつけられた腹部の痛みに苦しむセルダーを見る。
「ぐっ‥‥くそっ、くそっ、くそくそくそくそぉおおぉおおっっーー!?」
セルダーは痛みに耐えながらそう叫び、
「なんでだ!なんで殺されてくれない!?殺させろ!早くお前を殺させてくれ!」
彼は狂ったかのように叫ぶ‥‥
「死ね‥‥ない!俺には、大切な約束が‥‥ある!」
ロファースは言った。
「馬鹿めーー!お前は馬鹿だ!俺のーー友達の言う通りにしろよ!?殺されろよ!」
「何を‥‥セルダー!裏切ったのはお前だろう!?友達じゃないと、俺が邪魔だったと言ったのはお前だろう!今更そんな揺さぶり、意味はないぞ!」
そう叫ぶが‥‥なぜだろうか。
ロファースの目からぼろぼろと涙がこぼれた。
もう、セルダーは仲間でも友でもないのに‥‥
それに呼応するかのように、
「友達‥‥に‥‥っ、友達に決まってるだろうが!馬鹿ロファース!俺達は、友達なんだよぉおおっっーー!」
獣は‥‥セルダーはそう叫ぶ。
ロファースと同じように、涙を流しながら。
「ーー!?」
ロファースにはわけがわからなかった。
一体、今、何が起きているのか、わからない。
「なんで‥‥なんでお前が、泣くんだよ‥‥セルダー!?」
しん‥‥と、辺りは一気に静まり返った。
戦いに必死で気づかなかったが、空には満月が浮かんでいて、夜の森にはとても冷たい風が吹き、灰の匂いを運んでくる。
そして時刻は次の日にまたがりーー‥‥
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