1 / 48
プロローグ
しおりを挟む
ーー俺達は親友だ。
だから絶対に、お前を裏切らないよ。
例え、この先どんな未来でも、どんな絶望が待っていても‥‥
俺が今ここにいるのは、お前との約束のお陰なんだ。
ーーどれほど歩き続けて来たのだろうか。
もうあまり、年月の感覚はなかった。
神々が消えた日から二年。
世界はとても平和になった。
だが、あの日々は消えない。
「‥‥本当に良かったよね」
殺風景な荒野を歩きながら、カルトルートは静かに言った。
レムズは相棒の言葉に首を傾げる。
「ほらっ!お姉さん‥‥クリュミケールさんが帰って来て良かったって言ってるの」
「‥‥ああ。そのこと、か‥‥そう、だな」
先日。
旅の途中、偶然、同じく旅をしているシュイアとリオラに会った。
その時にクリュミケールがニキータ村に帰って来たことを聞かされたのだ。
しかし、シュイアとリオラは未だ、クリュミケールに会いに行っていないらしい。
レイラフォードでフィレア達から聞いただけだそうで‥‥
「リオラさん、綺麗な人だったね。でも、まだお姉さんに会いにくいのかな?僕らもニキータ村に顔を出さなきゃねー」
「‥‥すまない」
レムズが謝るので、カルトルートは首を傾げる。
「俺の‥‥個人的な目的に、何年も、付き合わせて。綺麗な場所に墓を、作ったのに‥‥」
「ははっ。またまたそんなこと。何回その謝罪を聞かせるのさ。僕は勝手にお前に着いて来てるんだから気にしないでよ、相棒。それより、もうすぐ着くの?目的地に」
「‥‥ああ。もうすぐ、だ」
レムズは微笑んで頷いた。
(ようやくお前に‥‥会いに行ける。お前の墓を、綺麗な場所に建てた。遅くなったが、俺はお前にやっと‥‥顔向けが出来る‥‥)
レムズは自らの両腕に巻かれた包帯に触れ、遠き日に思いを馳せる。
(俺の、たった一人の親友‥‥ロファース)
だから絶対に、お前を裏切らないよ。
例え、この先どんな未来でも、どんな絶望が待っていても‥‥
俺が今ここにいるのは、お前との約束のお陰なんだ。
ーーどれほど歩き続けて来たのだろうか。
もうあまり、年月の感覚はなかった。
神々が消えた日から二年。
世界はとても平和になった。
だが、あの日々は消えない。
「‥‥本当に良かったよね」
殺風景な荒野を歩きながら、カルトルートは静かに言った。
レムズは相棒の言葉に首を傾げる。
「ほらっ!お姉さん‥‥クリュミケールさんが帰って来て良かったって言ってるの」
「‥‥ああ。そのこと、か‥‥そう、だな」
先日。
旅の途中、偶然、同じく旅をしているシュイアとリオラに会った。
その時にクリュミケールがニキータ村に帰って来たことを聞かされたのだ。
しかし、シュイアとリオラは未だ、クリュミケールに会いに行っていないらしい。
レイラフォードでフィレア達から聞いただけだそうで‥‥
「リオラさん、綺麗な人だったね。でも、まだお姉さんに会いにくいのかな?僕らもニキータ村に顔を出さなきゃねー」
「‥‥すまない」
レムズが謝るので、カルトルートは首を傾げる。
「俺の‥‥個人的な目的に、何年も、付き合わせて。綺麗な場所に墓を、作ったのに‥‥」
「ははっ。またまたそんなこと。何回その謝罪を聞かせるのさ。僕は勝手にお前に着いて来てるんだから気にしないでよ、相棒。それより、もうすぐ着くの?目的地に」
「‥‥ああ。もうすぐ、だ」
レムズは微笑んで頷いた。
(ようやくお前に‥‥会いに行ける。お前の墓を、綺麗な場所に建てた。遅くなったが、俺はお前にやっと‥‥顔向けが出来る‥‥)
レムズは自らの両腕に巻かれた包帯に触れ、遠き日に思いを馳せる。
(俺の、たった一人の親友‥‥ロファース)
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?


どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる