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六章【道標】
6-6 ファイス国
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この辺りの草原には魔物が現れず、アドルは鼻歌を歌いながら楽しそうにクリュミケールの前を歩いていた。滅多にニキータ村から遠くに行ったことがないから楽しいのだろう。
クリュミケールはそんな彼の背中を見つめながら歩き、ズボンのポケットから何かを取り出した。
それは、二つのペンダント。
青い石の付いたペンダントと、同じ形をした、しかし光を失ったペンダント。
静かにそれを見つめ、再び鼻歌を歌うアドルの背中を見つめる。
(お前だけは巻き込まないよ、絶対に‥‥)
心の中でそう呟いた。
それからアドルの隣に並び、
「このまま行けば、予定では明日ファイス国に到着するな」
クリュミケールが言って、
「うん‥‥!父さんの家族、かぁ」
アドルは一度も会ったことのない、自分の父親の家族に会うことに緊張していた。
「まあ、緊張するよな‥‥ん?」
ふと、クリュミケールは前方を見る。
急に一人の男が二人の前に立ち止まったのだ。
「なんだお前‥‥」
クリュミケールが声を低くして聞くと、土の色をした短い髪とグレーの瞳、落ち着いた暗い緑色のジャケットを羽織った、つり目の青年が立っていた。
すると、
「お前、アドルだろ!?」
その男は嬉しそうにアドルを指差し、アドルは不思議そうに男を見つめる。
「えっと‥‥」
困っているアドルの前にクリュミケールが立ち、
「アドルの知り合いか?」
そう聞くと、男は困ったように頭を掻き、
「あー‥‥だよな。俺がニキータ村から出たの、八年も前だからなぁ」
それを聞いたアドルは「あっ!」と、大きな声を出し、
「もしかして、キャンドル兄ちゃん!?」
男と同じように、アドルは男を指差した。
「そうそう!覚えててくれたか!」
キャンドルと呼ばれた男は嬉しそうに頷き、
「へへっ!クリュミケールさん!この人はキャンドル兄ちゃん。ニキータ村の出身で、八年前まで隣に住んでたんだよ!」
嬉しそうにアドルが言い、
「そうそう。あの頃は毎日遊んでたからな!俺はアドルの兄貴みたいなもんだよな」
「でも兄ちゃん、本当に帰ってこないから心配してたんだよ!?おれ、まだ小さかったからよくわからなかったけど、母さんからキャンドル兄ちゃんは旅に出たとか聞かされて‥‥」
頬を膨らませながら言うアドルに、
「狭苦しいニキータでの生活に飽々してたんだよ。自由気ままに旅がしたかったのさ」
「まあ、確かに兄ちゃん、たくさんバイトしてお金貯めてたけど‥‥いきなり出て行って皆に心配かけて‥‥ニキータ村では皆、家族なんだよ!?」
「悪かったって!ちょうど、久々にニキータに顔出そうと思って来たんだよ」
キャンドルは笑い、
「そういやどこかに行くのか?」
「うん、ファイス国に。父さんの遺品を、父さんの家族に届けるように母さんに頼まれたんだ」
それを聞いたキャンドルは目を見開かせ、
「親父さん、亡くなったのか!?」
「うん‥‥去年、村に魔物が入り込んで来て‥‥」
俯くアドルの頭にキャンドルは手を置き、
「そんなことが‥‥お前の親父さんには世話になったからな。もう一回ぐらい会いたかったぜ‥‥辛かったな、アドル」
キャンドルはそう言って、
「なあアドル。良かったら俺もファイス国まで一緒に行っていいか?その後、一緒にニキータに帰ろうぜ」
「えっ?うーん‥‥」
アドルはちらっとクリュミケールを見た。キャンドルもクリュミケールを見て、
「そういやこいつは?村の奴じゃないよな」
「この人はクリュミケールさん。色々あって、一緒に暮らしてるんだ」
アドルがそう言うと、
「キャンドルだったか?オレはクリュミケール。アドルの家に世話になってるんだ。よろしくな」
クリュミケールはキャンドルの前に立ち、挨拶をする。
「ああ、よくわかんねーけど、こっちこそ」
キャンドルは気さくにそう言った。
◆◆◆◆◆
それから三人でファイス国を目指すこととなり、一時間ほど歩き続けた。
すっかりと、辺りは夜の静寂に包まれている。
夜風の冷たさと、闇色に染まった草原の草木が風によって揺れるのが印象的だった。
「大丈夫か?交代するか?」
クリュミケールが先を歩くキャンドルに聞けば、
「俺はこいつの兄貴だからな!余裕だぜ」
と、キャンドルは笑った。
疲れと眠気が一気に来たのだろう。途中で休憩している時にアドルは寝てしまい、そんな彼をキャンドルが背負って歩いていた。
「おっ、見えてきたな」
クリュミケールが前方を見つめ、夜の闇の中で見えにくいが、大きな城を象(かたど)るようなシルエットが見えてくる。
目的地であるファイス国だ。
「ん‥‥」
アドルが薄く目を開けると、ぼんやりと白い天井が視界に入る。
アドルは体を起こし、状況を確認した。今、自分はベッドの上にいることに気づく。
「やっと起きたか」
「キャンドル兄ちゃん!」
一室のソファーにはキャンドルが座っていて、
「えっ、あれ?ここって‥‥」
「ファイス国の宿屋だぜ」
疑問げにしているアドルにキャンドルはそう言った。
「え!?ファイス国に着いたの!?」
いつの間にーーと、アドルは驚く。
「お前が寝てる間だよ」
苦笑混じりの声が後ろから聞こえてきて、窓際にクリュミケールが立っていた。すっかりと外は明るくなり、朝になっていた。
「キャンドルがずっとお前を背負ってたんだぞ?」
クリュミケールが言って、
「わわっ、そうなんだ。ごっ、ごめんねキャンドル兄ちゃん。再会して早々に‥‥」
アドルは照れ臭そうにキャンドルを見る。
「いいってことよ。昔もよくお前背負って走り回ったなー。懐かしいぜ」
小さい頃を思い出し、キャンドルは笑った。
「さて、アドル。寝てる間にお前の父さんの身内の家の情報、手に入れて来たぜ」
クリュミケールはアドルの肩をぽんぽんと叩いて言う。
「えっ!?ほっ、本当!?」
「ああ。家を見に行ったらさ‥‥お前の親父さん、相当の貴族さんのようだぜ」
キャンドルが言い、
「とりあえず、朝食を済ませてから行くとしよう」
クリュミケールが言った。
◆◆◆◆◆
アドルは上を見上げ、大きく口を開けて固まる。
クリュミケールとキャンドルに案内された場所ーーそこは豪邸と言えるような大きな屋敷だった。
「本当に、ここ?」
アドルは疑うように二人に聞く。
「ああ。間違いないぜ」
キャンドルは頷き、
「さっ、アドル」
クリュミケールは驚いたままのアドルの背中を押し、玄関のベルを鳴らすよう促した。
アドルはドキドキと鼓動が早まるのを感じながら門の前に立ち、
「どっ、どうしよう」
と、一気に顔が熱くなり、クリュミケールとキャンドルに振り向く。
ガチガチに緊張してしまった彼に、
「アドル、そんなに緊張するなよ」
クリュミケールが苦笑しながら言えば、
「だって、父さんのお父さんもお母さんも‥‥怒ってるんじゃないかな?」
そんなことを言う彼を、クリュミケールもキャンドルも不思議そうに見つめた。
「父さんはニキータ村に来てから一度もここに戻ってないって母さんが言ってた。いきなり、孫のおれなんかが現れても‥‥」
自信なく俯いてしまうアドルに、
「なに言ってんだよアドル。孫が会いに来たんだ、きっと喜んでくれるって」
キャンドルにそう言われ、アドルは再び門に向き直る。ゴクッと息を飲み、ベルに手を伸ばした。
たったこれだけのことなのに、凄く緊張してしまう自分が情けないと心の中で自分を笑う。
意を決し、右手がベルに触れかけた時、
「あなた方は?」
後ろから老婆の声がした。
その老婆は三人を目で追い、アドルを見つめる。
「あなた‥‥アドル?」
老婆は気品のある声でそう言い、
「もっ、もしかして‥‥あなたは、父さんの‥‥カイナ父さんの、お母さん‥‥?」
アドルの問いに、老婆は静かに頷いた。
クリュミケールはそんな彼の背中を見つめながら歩き、ズボンのポケットから何かを取り出した。
それは、二つのペンダント。
青い石の付いたペンダントと、同じ形をした、しかし光を失ったペンダント。
静かにそれを見つめ、再び鼻歌を歌うアドルの背中を見つめる。
(お前だけは巻き込まないよ、絶対に‥‥)
心の中でそう呟いた。
それからアドルの隣に並び、
「このまま行けば、予定では明日ファイス国に到着するな」
クリュミケールが言って、
「うん‥‥!父さんの家族、かぁ」
アドルは一度も会ったことのない、自分の父親の家族に会うことに緊張していた。
「まあ、緊張するよな‥‥ん?」
ふと、クリュミケールは前方を見る。
急に一人の男が二人の前に立ち止まったのだ。
「なんだお前‥‥」
クリュミケールが声を低くして聞くと、土の色をした短い髪とグレーの瞳、落ち着いた暗い緑色のジャケットを羽織った、つり目の青年が立っていた。
すると、
「お前、アドルだろ!?」
その男は嬉しそうにアドルを指差し、アドルは不思議そうに男を見つめる。
「えっと‥‥」
困っているアドルの前にクリュミケールが立ち、
「アドルの知り合いか?」
そう聞くと、男は困ったように頭を掻き、
「あー‥‥だよな。俺がニキータ村から出たの、八年も前だからなぁ」
それを聞いたアドルは「あっ!」と、大きな声を出し、
「もしかして、キャンドル兄ちゃん!?」
男と同じように、アドルは男を指差した。
「そうそう!覚えててくれたか!」
キャンドルと呼ばれた男は嬉しそうに頷き、
「へへっ!クリュミケールさん!この人はキャンドル兄ちゃん。ニキータ村の出身で、八年前まで隣に住んでたんだよ!」
嬉しそうにアドルが言い、
「そうそう。あの頃は毎日遊んでたからな!俺はアドルの兄貴みたいなもんだよな」
「でも兄ちゃん、本当に帰ってこないから心配してたんだよ!?おれ、まだ小さかったからよくわからなかったけど、母さんからキャンドル兄ちゃんは旅に出たとか聞かされて‥‥」
頬を膨らませながら言うアドルに、
「狭苦しいニキータでの生活に飽々してたんだよ。自由気ままに旅がしたかったのさ」
「まあ、確かに兄ちゃん、たくさんバイトしてお金貯めてたけど‥‥いきなり出て行って皆に心配かけて‥‥ニキータ村では皆、家族なんだよ!?」
「悪かったって!ちょうど、久々にニキータに顔出そうと思って来たんだよ」
キャンドルは笑い、
「そういやどこかに行くのか?」
「うん、ファイス国に。父さんの遺品を、父さんの家族に届けるように母さんに頼まれたんだ」
それを聞いたキャンドルは目を見開かせ、
「親父さん、亡くなったのか!?」
「うん‥‥去年、村に魔物が入り込んで来て‥‥」
俯くアドルの頭にキャンドルは手を置き、
「そんなことが‥‥お前の親父さんには世話になったからな。もう一回ぐらい会いたかったぜ‥‥辛かったな、アドル」
キャンドルはそう言って、
「なあアドル。良かったら俺もファイス国まで一緒に行っていいか?その後、一緒にニキータに帰ろうぜ」
「えっ?うーん‥‥」
アドルはちらっとクリュミケールを見た。キャンドルもクリュミケールを見て、
「そういやこいつは?村の奴じゃないよな」
「この人はクリュミケールさん。色々あって、一緒に暮らしてるんだ」
アドルがそう言うと、
「キャンドルだったか?オレはクリュミケール。アドルの家に世話になってるんだ。よろしくな」
クリュミケールはキャンドルの前に立ち、挨拶をする。
「ああ、よくわかんねーけど、こっちこそ」
キャンドルは気さくにそう言った。
◆◆◆◆◆
それから三人でファイス国を目指すこととなり、一時間ほど歩き続けた。
すっかりと、辺りは夜の静寂に包まれている。
夜風の冷たさと、闇色に染まった草原の草木が風によって揺れるのが印象的だった。
「大丈夫か?交代するか?」
クリュミケールが先を歩くキャンドルに聞けば、
「俺はこいつの兄貴だからな!余裕だぜ」
と、キャンドルは笑った。
疲れと眠気が一気に来たのだろう。途中で休憩している時にアドルは寝てしまい、そんな彼をキャンドルが背負って歩いていた。
「おっ、見えてきたな」
クリュミケールが前方を見つめ、夜の闇の中で見えにくいが、大きな城を象(かたど)るようなシルエットが見えてくる。
目的地であるファイス国だ。
「ん‥‥」
アドルが薄く目を開けると、ぼんやりと白い天井が視界に入る。
アドルは体を起こし、状況を確認した。今、自分はベッドの上にいることに気づく。
「やっと起きたか」
「キャンドル兄ちゃん!」
一室のソファーにはキャンドルが座っていて、
「えっ、あれ?ここって‥‥」
「ファイス国の宿屋だぜ」
疑問げにしているアドルにキャンドルはそう言った。
「え!?ファイス国に着いたの!?」
いつの間にーーと、アドルは驚く。
「お前が寝てる間だよ」
苦笑混じりの声が後ろから聞こえてきて、窓際にクリュミケールが立っていた。すっかりと外は明るくなり、朝になっていた。
「キャンドルがずっとお前を背負ってたんだぞ?」
クリュミケールが言って、
「わわっ、そうなんだ。ごっ、ごめんねキャンドル兄ちゃん。再会して早々に‥‥」
アドルは照れ臭そうにキャンドルを見る。
「いいってことよ。昔もよくお前背負って走り回ったなー。懐かしいぜ」
小さい頃を思い出し、キャンドルは笑った。
「さて、アドル。寝てる間にお前の父さんの身内の家の情報、手に入れて来たぜ」
クリュミケールはアドルの肩をぽんぽんと叩いて言う。
「えっ!?ほっ、本当!?」
「ああ。家を見に行ったらさ‥‥お前の親父さん、相当の貴族さんのようだぜ」
キャンドルが言い、
「とりあえず、朝食を済ませてから行くとしよう」
クリュミケールが言った。
◆◆◆◆◆
アドルは上を見上げ、大きく口を開けて固まる。
クリュミケールとキャンドルに案内された場所ーーそこは豪邸と言えるような大きな屋敷だった。
「本当に、ここ?」
アドルは疑うように二人に聞く。
「ああ。間違いないぜ」
キャンドルは頷き、
「さっ、アドル」
クリュミケールは驚いたままのアドルの背中を押し、玄関のベルを鳴らすよう促した。
アドルはドキドキと鼓動が早まるのを感じながら門の前に立ち、
「どっ、どうしよう」
と、一気に顔が熱くなり、クリュミケールとキャンドルに振り向く。
ガチガチに緊張してしまった彼に、
「アドル、そんなに緊張するなよ」
クリュミケールが苦笑しながら言えば、
「だって、父さんのお父さんもお母さんも‥‥怒ってるんじゃないかな?」
そんなことを言う彼を、クリュミケールもキャンドルも不思議そうに見つめた。
「父さんはニキータ村に来てから一度もここに戻ってないって母さんが言ってた。いきなり、孫のおれなんかが現れても‥‥」
自信なく俯いてしまうアドルに、
「なに言ってんだよアドル。孫が会いに来たんだ、きっと喜んでくれるって」
キャンドルにそう言われ、アドルは再び門に向き直る。ゴクッと息を飲み、ベルに手を伸ばした。
たったこれだけのことなのに、凄く緊張してしまう自分が情けないと心の中で自分を笑う。
意を決し、右手がベルに触れかけた時、
「あなた方は?」
後ろから老婆の声がした。
その老婆は三人を目で追い、アドルを見つめる。
「あなた‥‥アドル?」
老婆は気品のある声でそう言い、
「もっ、もしかして‥‥あなたは、父さんの‥‥カイナ父さんの、お母さん‥‥?」
アドルの問いに、老婆は静かに頷いた。
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