38 / 105
四章【何処かで】
4-5 似ている
しおりを挟む
リオがシェイアードの家で過ごして二日が経った。
ーー大会は、明日だ。
「そういえばお前、明日の準備はもう出来ているのか?」
シェイアードがリオに聞くと、
「準備って?」
「必要な武具類は揃えているのかと聞いている」
「まあ、この剣があるから大丈夫かな」
そう言って、リオはシュイアに貰った剣に軽く触れる。
「ふむ。あまり見掛けない珍しい剣だと思っていたが‥‥」
シェイアードはリオの腰に下げてある剣をじっと見つめた。
「えーっと。大会は力を競いあうもので、一番強い人が女王直属の騎士や、女王の結婚相手になれるんだったっけ?」
リオは確認するように言い、
「力を競うって、やっぱり戦うの?」
「ああ」
「そっか。人同士で戦うんだよね‥‥」
レイラと剣を交えた時を思い出し、リオは俯く。シェイアードは少しだけ躊躇うようにしつつも口を開き、
「‥‥ルールの一つにこんなものがある。『相手を殺しても構わない』とな」
「えっ」
その言葉に、リオは耳を疑わせる。
「言ったろう。女王は狂ってるんだ」
ーールイナ・ファインライズ。
シェイアードが言っていた、ルイナは自らの両親を殺したと。
(ほっ、本当に彼女が?殺していいなんて‥‥そんなバカな。サジャエル‥‥不死鳥‥‥やっぱ、ダメかぁ)
以前までは届いた声に相談してみようとするも、やはり、二人からの返事はない。
「あっ、そうだ!シェイアードさん、フォード国って知ってる?」
「フォード‥‥?いや、聞いたことがないな」
それを聞き、リオは数秒考え込んだ。そして、考えたくない一つの答えに至った。
(まさか‥‥ここは別の世界?サジャエルと不死鳥に声が届かない。皆、フォード国を知らないーー‥‥うーん、そんなわけないよね。別の世界なんてあるはずない。もしくは、これは全て夢!?)
色々考えて、リオは不安になる。
「どうかしたのか?」
リオの様子に気づいたシェイアードが尋ねれば、
「いや‥‥なんでも、なんでもないよ。やっぱり少し、街に出ようかな。何か良いものが見つかるかもしれないし‥‥」
リオはそう言って小さく笑い、シェイアードの屋敷を出て街に行くことにした。しばらくしてリオが外に出た後、
(そういえば、あいつ金ないんじゃ‥‥)
そのことを思い出し、シェイアードはため息を吐く。
◆◆◆◆◆
明日は大会だからだろうか、街中は賑わいを見せていた。
しかし今日は生憎の天気で、空は曇っている。
一雨降りそうだなとリオは感じた。
(騒がしい。フォード国でレイラに初めて出会った時にあったパレードみたいな騒々しさだなぁ)
そう思ってリオは眉を潜める。このような騒々しい雰囲気は、あまり好きではなかった。
親しい友と歩く者、両親に囲まれて幸せそうに歩く子供、腕を組み、寄り添うように歩く恋人たち。
なんて、平和な空間なのだろうか。
(私も‥‥何もなかったら、シュイアさんの傍に、レイラの傍に‥‥いれたのかな)
泣かないと決めたばかりなのに、じわりと涙が滲みそうになって、リオは慌ててそれを堪えた。
しかし、頬にぽつりと、冷たい雫が流れて‥‥
それは、ザァァアアーー‥‥と、激しく降り注いだ。
「あっ、雨だ」
頬に伝い、降り注いだそれにリオは慌てて両手で頭を押さえる。
道行く人々も、急いで雨宿りしたり、走って家に帰ろうとして。しかし、その姿でさえ、皆、楽しそうだ。それは、隣に誰かがいるからだろうか。
(私はぜんぜん楽しくないよ!びしょ濡れになっちゃう!!)
雨宿りしても降りやまなさそうな為、シェイアードの家に走って戻ろうとした瞬間、
「おい、リオ」
「!?」
焦っていた時に突如、背後から声を掛けられて、リオはビクッと肩を揺らした。
振り向くと、
「シェイアードさん!」
と、傘をさした彼が立っていて。
「シェイアードさん、どうし‥‥」
リオが言い終わる前に、ずいっと、シェイアードが無言で傘を差し出してきた。
「ずぶ濡れだぞ、お前」
「えっ」
差し出された傘を見つめ、それを受け取りながらリオは驚くように大きく目を開けて、
「わざわざ傘を持ってきたの‥‥?」
「いや。お前、確かこの国の通貨を持っていないんだろう?それを思い出してな。そしたらついでに雨が降ってきた」
「あっ」
言われてリオは思い出し、
「本当だ。私、買い物できないじゃないか。まあ‥‥別に買うものなんかないけど」
「なんだそれは。じゃあ、俺は無駄足だったわけだ」
シェイアードは呆れるように言って、傘をさすリオを見た。そんな彼を横目に、
(でも、明日の大会、剣一本で大丈夫かな。そういえば私って、魔術‥‥まだ使えるのかな?不死鳥の声、聞こえないから‥‥後で試してみよう)
そう思い、リオはちらりとシェイアードを見つめ、
「でも、シェイアードさんって優しいよね。見掛けと違って。家にもいさせてくれるし」
「優しい?」
そう言われたシェイアードは不思議そうにする。
「俺は、いつも冷めてるだとか、何を考えてるかわからないなどと噂されているらしいが」
「そうなんだ。冷めてるように見えて、実は優しい人ーー私、他にも知ってて。シェイアードさん、ちょっとその人に似てるんだ」
「俺に?」
「うん。この前に言った、私を拾ってくれた人」
シュイアを思い浮かべ、リオは微笑んだ。
「でも、似てるんだけど、ちょっと違う、かな?」
「そりゃ‥‥別人だからだろ」
「そうだね」
「お前、やっぱりその人のことが好きなんじゃないのか?異性として」
と、シェイアードが苦笑しながら言ってきたので、
「えっ!?なっ、ち、違うよ!?なんでそうなるの!?」
「いや、あまりに嬉しそうに話すからな」
「そっ、そりゃあ‥‥恩人だし!?」
リオは話題を変えようと視線を泳がせ、
「あっ‥‥そっ、そうだ!シェイアードさんが優しいって話に戻そう!えっと‥‥シェイアードさんはなんで、こんな赤の他人の私に良くしてくれるの?普通、ここまでしないよね、たぶん‥‥」
リオが聞けば、
「‥‥そういえば、なんでだろうな?」
なんて、彼は首を傾げる。
「えーっ!?理由ぐらいあるんじゃないかな!?」
「さあな」
「えー?まさか、私が可愛かったから!とか!あはは、なーんて、そんなわけ‥‥」
「かもな」
「‥‥。えっ」
リオが固まっていると、
「お二人共、明日は大会なのですよ?こんな雨の中で何をいちゃつきあっているのですか」
傘をさし、腕に買い物袋を下げたハナが、目を細めながらこちらを見ていて‥‥
「私は買い物の続きをして参りますから。お二人は早く帰って下さいね、明日の大会に響きますよ」
彼女はそう言って、二人の前から立ち去って行った。
リオは目を丸くしたまま立ち尽くしていて‥‥
「えっ、あれ!?あれ!?シェイアードさん、さっきの」
「冗談だ」
「へ!?」
「お前も冗談で言ったんだろう?冗談に冗談を返すのは別におかしくはないだろう」
「あ‥‥あはは、そっ、そうだね」
そわそわしながら苦笑いするリオを見つめ、
「俺は少し用事がある。お前は先に帰っていろ、風邪でもひいたら明日、出れなくなるぞ」
「あっ、うん、わかったよ」
リオは頷いた。シェイアードは街中に消えていき‥‥
一人、リオは灰色の空を見上げる。
それから、シェイアードが持ってきてくれた傘をくるくると回し、少しだけ嬉しそうに雨の中を歩いた。
ーー大会は、明日だ。
「そういえばお前、明日の準備はもう出来ているのか?」
シェイアードがリオに聞くと、
「準備って?」
「必要な武具類は揃えているのかと聞いている」
「まあ、この剣があるから大丈夫かな」
そう言って、リオはシュイアに貰った剣に軽く触れる。
「ふむ。あまり見掛けない珍しい剣だと思っていたが‥‥」
シェイアードはリオの腰に下げてある剣をじっと見つめた。
「えーっと。大会は力を競いあうもので、一番強い人が女王直属の騎士や、女王の結婚相手になれるんだったっけ?」
リオは確認するように言い、
「力を競うって、やっぱり戦うの?」
「ああ」
「そっか。人同士で戦うんだよね‥‥」
レイラと剣を交えた時を思い出し、リオは俯く。シェイアードは少しだけ躊躇うようにしつつも口を開き、
「‥‥ルールの一つにこんなものがある。『相手を殺しても構わない』とな」
「えっ」
その言葉に、リオは耳を疑わせる。
「言ったろう。女王は狂ってるんだ」
ーールイナ・ファインライズ。
シェイアードが言っていた、ルイナは自らの両親を殺したと。
(ほっ、本当に彼女が?殺していいなんて‥‥そんなバカな。サジャエル‥‥不死鳥‥‥やっぱ、ダメかぁ)
以前までは届いた声に相談してみようとするも、やはり、二人からの返事はない。
「あっ、そうだ!シェイアードさん、フォード国って知ってる?」
「フォード‥‥?いや、聞いたことがないな」
それを聞き、リオは数秒考え込んだ。そして、考えたくない一つの答えに至った。
(まさか‥‥ここは別の世界?サジャエルと不死鳥に声が届かない。皆、フォード国を知らないーー‥‥うーん、そんなわけないよね。別の世界なんてあるはずない。もしくは、これは全て夢!?)
色々考えて、リオは不安になる。
「どうかしたのか?」
リオの様子に気づいたシェイアードが尋ねれば、
「いや‥‥なんでも、なんでもないよ。やっぱり少し、街に出ようかな。何か良いものが見つかるかもしれないし‥‥」
リオはそう言って小さく笑い、シェイアードの屋敷を出て街に行くことにした。しばらくしてリオが外に出た後、
(そういえば、あいつ金ないんじゃ‥‥)
そのことを思い出し、シェイアードはため息を吐く。
◆◆◆◆◆
明日は大会だからだろうか、街中は賑わいを見せていた。
しかし今日は生憎の天気で、空は曇っている。
一雨降りそうだなとリオは感じた。
(騒がしい。フォード国でレイラに初めて出会った時にあったパレードみたいな騒々しさだなぁ)
そう思ってリオは眉を潜める。このような騒々しい雰囲気は、あまり好きではなかった。
親しい友と歩く者、両親に囲まれて幸せそうに歩く子供、腕を組み、寄り添うように歩く恋人たち。
なんて、平和な空間なのだろうか。
(私も‥‥何もなかったら、シュイアさんの傍に、レイラの傍に‥‥いれたのかな)
泣かないと決めたばかりなのに、じわりと涙が滲みそうになって、リオは慌ててそれを堪えた。
しかし、頬にぽつりと、冷たい雫が流れて‥‥
それは、ザァァアアーー‥‥と、激しく降り注いだ。
「あっ、雨だ」
頬に伝い、降り注いだそれにリオは慌てて両手で頭を押さえる。
道行く人々も、急いで雨宿りしたり、走って家に帰ろうとして。しかし、その姿でさえ、皆、楽しそうだ。それは、隣に誰かがいるからだろうか。
(私はぜんぜん楽しくないよ!びしょ濡れになっちゃう!!)
雨宿りしても降りやまなさそうな為、シェイアードの家に走って戻ろうとした瞬間、
「おい、リオ」
「!?」
焦っていた時に突如、背後から声を掛けられて、リオはビクッと肩を揺らした。
振り向くと、
「シェイアードさん!」
と、傘をさした彼が立っていて。
「シェイアードさん、どうし‥‥」
リオが言い終わる前に、ずいっと、シェイアードが無言で傘を差し出してきた。
「ずぶ濡れだぞ、お前」
「えっ」
差し出された傘を見つめ、それを受け取りながらリオは驚くように大きく目を開けて、
「わざわざ傘を持ってきたの‥‥?」
「いや。お前、確かこの国の通貨を持っていないんだろう?それを思い出してな。そしたらついでに雨が降ってきた」
「あっ」
言われてリオは思い出し、
「本当だ。私、買い物できないじゃないか。まあ‥‥別に買うものなんかないけど」
「なんだそれは。じゃあ、俺は無駄足だったわけだ」
シェイアードは呆れるように言って、傘をさすリオを見た。そんな彼を横目に、
(でも、明日の大会、剣一本で大丈夫かな。そういえば私って、魔術‥‥まだ使えるのかな?不死鳥の声、聞こえないから‥‥後で試してみよう)
そう思い、リオはちらりとシェイアードを見つめ、
「でも、シェイアードさんって優しいよね。見掛けと違って。家にもいさせてくれるし」
「優しい?」
そう言われたシェイアードは不思議そうにする。
「俺は、いつも冷めてるだとか、何を考えてるかわからないなどと噂されているらしいが」
「そうなんだ。冷めてるように見えて、実は優しい人ーー私、他にも知ってて。シェイアードさん、ちょっとその人に似てるんだ」
「俺に?」
「うん。この前に言った、私を拾ってくれた人」
シュイアを思い浮かべ、リオは微笑んだ。
「でも、似てるんだけど、ちょっと違う、かな?」
「そりゃ‥‥別人だからだろ」
「そうだね」
「お前、やっぱりその人のことが好きなんじゃないのか?異性として」
と、シェイアードが苦笑しながら言ってきたので、
「えっ!?なっ、ち、違うよ!?なんでそうなるの!?」
「いや、あまりに嬉しそうに話すからな」
「そっ、そりゃあ‥‥恩人だし!?」
リオは話題を変えようと視線を泳がせ、
「あっ‥‥そっ、そうだ!シェイアードさんが優しいって話に戻そう!えっと‥‥シェイアードさんはなんで、こんな赤の他人の私に良くしてくれるの?普通、ここまでしないよね、たぶん‥‥」
リオが聞けば、
「‥‥そういえば、なんでだろうな?」
なんて、彼は首を傾げる。
「えーっ!?理由ぐらいあるんじゃないかな!?」
「さあな」
「えー?まさか、私が可愛かったから!とか!あはは、なーんて、そんなわけ‥‥」
「かもな」
「‥‥。えっ」
リオが固まっていると、
「お二人共、明日は大会なのですよ?こんな雨の中で何をいちゃつきあっているのですか」
傘をさし、腕に買い物袋を下げたハナが、目を細めながらこちらを見ていて‥‥
「私は買い物の続きをして参りますから。お二人は早く帰って下さいね、明日の大会に響きますよ」
彼女はそう言って、二人の前から立ち去って行った。
リオは目を丸くしたまま立ち尽くしていて‥‥
「えっ、あれ!?あれ!?シェイアードさん、さっきの」
「冗談だ」
「へ!?」
「お前も冗談で言ったんだろう?冗談に冗談を返すのは別におかしくはないだろう」
「あ‥‥あはは、そっ、そうだね」
そわそわしながら苦笑いするリオを見つめ、
「俺は少し用事がある。お前は先に帰っていろ、風邪でもひいたら明日、出れなくなるぞ」
「あっ、うん、わかったよ」
リオは頷いた。シェイアードは街中に消えていき‥‥
一人、リオは灰色の空を見上げる。
それから、シェイアードが持ってきてくれた傘をくるくると回し、少しだけ嬉しそうに雨の中を歩いた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

僕は君を思うと吐き気がする
月山 歩
恋愛
貧乏侯爵家だった私は、お金持ちの夫が亡くなると、次はその弟をあてがわれた。私は、母の生活の支援もしてもらいたいから、拒否できない。今度こそ、新しい夫に愛されてみたいけど、彼は、私を思うと吐き気がするそうです。再び白い結婚が始まった。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

【完結】ドアマットに気付かない系夫の謝罪は死んだ妻には届かない
堀 和三盆
恋愛
一年にわたる長期出張から戻ると、愛する妻のシェルタが帰らぬ人になっていた。流行病に罹ったらしく、感染を避けるためにと火葬をされて骨になった妻は墓の下。
信じられなかった。
母を責め使用人を責めて暴れ回って、僕は自らの身に降りかかった突然の不幸を嘆いた。まだ、結婚して3年もたっていないというのに……。
そんな中。僕は遺品の整理中に隠すようにして仕舞われていた妻の日記帳を見つけてしまう。愛する妻が最後に何を考えていたのかを知る手段になるかもしれない。そんな軽い気持ちで日記を開いて戦慄した。
日記には妻がこの家に嫁いでから病に倒れるまでの――母や使用人からの壮絶な嫌がらせの数々が綴られていたのだ。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる