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三章【繋がり】
3-3 道の喪失
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不死鳥の住む山の手前にある小屋。
中には必要な家具が揃っているぐらいで、無駄なものは何もなかった。
「もう一度聞きます。あなたが不死鳥に認められたという人ですか?」
「認められたかどうかは知らんがね。昔‥‥不死鳥に会って生きて帰ってきた。ただ、それだけのことさ」
老婆は小さく笑い、そして深刻な表情をリオに向け、
「お主は不死鳥に会いに行くと言ったね。地上に戻って来るのに二、三年かかるかもしれぬぞ?それほどまでに、頂上は遥か遠く、待ち受ける道は困難だ」
「二、三年‥‥」
リオは思う。その二、三年の間に、世界はカシル達によって壊されているのではないかーー?
「それに、お主自身が骨の跡形も残さずに、不死鳥の炎に焼かれ、死ぬ可能性だって高い」
「死ぬ‥‥か」
その言葉に、リオは何も感じない。
フォード国の一件以降のこの数ヵ月、生きている感覚がなかった。
それでも、
「私は生きます。約束したから」
シュイアとサジャエルに。
「守らないといけない人がいるんです」
守ると約束したから。女王とカシルに、レイラを守ると。
「約束を守る為の、大事な人を守る為の力が必要なんです」
リオの言葉に、老婆はため息を吐く。
「お主、歳はいくつじゃ?」
「十二です」
「まだまだこれからの人生なのにのう‥‥」
老婆はふふっと笑い、
「次にお主に会う時は、十五歳ぐらいに成長しているというわけじゃな。楽しみにしておるぞ」
「え?」
老婆の言葉に、リオはぽかんと口を開けた。
「ほっほっ。しかし、その服は山の中では暑かろう。わしが若い頃に着ていた服を着ていくといい」
老婆が話を進めていくので、
(これは‥‥山に立ち入ってもいいってことかな?)
◆◆◆◆◆
「なかなか似合うではないか。若い頃のわしには及ばんがな」
老婆は大笑いしながら言った。
「あ、はは。ありがとうございます、とても涼しいですし、動きやすい服ですね」
リオは一礼する。
老婆が用意した服は、青いタンクトップのような服。
首には黄色いスカーフを巻き、ズボンは前のままだ。
「む?」
リオの以前着ていた服を見て、老婆は首を傾げる。
「この青い石は?」
「あっ!」
リオは落としてしまっていた青い石を急いで拾った。
「この石は、友達とお揃いで買ったものなんです」
そう言ってから、リオは言葉を止め、
(今も、友達と呼べるのだろうか?本当は、私達は友達じゃなかったのかもしれない)
そう感じて俯く。
(でも、レイラちゃんと過ごした一ヶ月ほど‥‥あの日々は確かに温かかった。それは、真実だ)
そんなリオの思考を遮り、
「嬢ちゃんや」
と、老婆が声をかけた。
「その石に紐を付けてペンダントにしてやろうか?」
「え?」
リオは首を傾げる。
「その石、持っていくんだろう?」
聞かれて、リオは石を見つめ、静かに頷いた。
「そのままじゃ、その石は小さいし、山を登ってる途中でなくしちまいそうだろう?」
老婆は笑って、リオの手から青い石を取り、
「これは、フォード国で買ったものじゃな?」
言い当てられて、言葉にリオは驚く。
「この石はフォード国の名物なのさ。【約束の石】って言ってね」
「約束の石?」
その名称を聞き、リオは石を見つめた。
「そう。それに願い事をすれば、叶うと言われている。あくまで、噂だがね」
「願い事‥‥」
「さて。今日はもう中途半端だからね。出発は明日にしな!今日はここで夜を過ごすといい」
老婆はそう言い、食事の支度を始めようとするので、リオは呆気にとられている。
◆◆◆◆◆
「あの。どうしてこんなに良くしてくれるんですか?」
リオが老婆の作った晩ご飯を食べながら聞くと、
「なぁに。山に登ろうとする命知らずな旅人達にいつもしていることさ」
老婆は笑って言って、
「最後の晩餐ーー少しでも弔いになるようにね」
「なっ‥‥不吉なこと言わないで下さい。死ぬと決まったわけじゃないですから」
リオは少し怒ったように言う。
「いいや。不死鳥の山はな、別名を『死の山』と言う。近年で生きて帰って来た人間は、わし一人じゃからのう。近年と言っても、若き日のことじゃからな」
リオは真っ直ぐに老婆を見つめ、
(二、三年の間に世界が壊れているかもしれない。でも、きっとシュイアさんがカシルさんを止めてくれるかもしれない‥‥だから)
リオは頭の中を整理し、
「友達を助けるまで、私は死ねない。だから、必ず生きて、不死鳥に会いに行きます」
「‥‥そうかい」
リオの決意を聞き、老婆は少しだけ悲しそうにした。
◆◆◆◆◆
ーー朝の光が眩しい。
「ほら、出来たよ」
「ありがとうございます!」
レイラとお揃いで買ったあの青い石を、昨日の言葉通り、老婆はペンダントにしてくれた。
リオはそれを首にかけ、
「いってきます!」
そう言って、小屋を出ようとした時、
「ちょいと待ちな」
と、老婆はリオを呼び止める。
「名前を聞いていなかった。すっかり忘れていたよ」
「そういえば、そうですね」
リオは小さく笑い、
「私はリオです」
「わしはエナンじゃ。さあ、行くがいい。これが、わしとの最後の会話にならぬようにな」
エナンはリオの肩をぽんぽんと叩いた。
「行ってきます、エナンさん」
リオはそう言って、今度こそ、小屋を後にする。
「ーーもし会えたのなら、彼を頼んだぞ、リオ」
その背を見送り、エナンは一人、静かに呟いた。
◆◆◆◆◆
「フィレアさんー!どこか目星はないんですかー?」
一方で、フィレアとハトネはリオとシュイアを捜す為、フォード国の大陸を二人で巡っていた。
「うーん。リオちゃんとシュイア様が行きそうな場所‥‥でも、王女とカシルを追っているーーそれは、確かだと思うわ」
フィレアはなんの挨拶もなく消えた二人を思い、ため息を吐きながら言う。
「リオ君は強いなぁ‥‥」
不意に、ハトネがそんなことを言うので、フィレアは首を傾げた。
「だって、リオ君は裏切られたんだよ?レイラ様に。私、リオ君が悲しそうにしてるのを見て、辛かった!でも‥‥それでもきっと、リオ君は王女様を助けようとしてる」
膨れっ面をしながら言うハトネの言葉に、フィレアは頷く。
「それに‥‥リオ君はみーんな捨てて、一から始めようとしているんだと思う」
次に、ハトネは寂しそうに言った。それを聞き、
「一から‥‥か。リオちゃんは力を求めているのかもしれないわね。王女と女王を守れなかった事を、気にしてたもの‥‥リオちゃんのせいじゃないのに‥‥」
フィレアもまだ小さな子供であるリオの、悲痛な表情を思い出していた。
◆◆◆◆◆
(ここが不死鳥の住む山)
リオは山の入り口に立ち、遥か空まで届く山頂を見つめる。
ブォッーー‥‥と、入り口に足を踏み入れた瞬間、何か異様な感じがした。
「なんだろ?空気が‥‥何か、変な感じに?」
それが何かはわからないが、なんとなくリオはそう感じつつ、首を振り、進み始める。
山に足を踏み入れれば、両端の岩々から火が溢れ出ており、進める道は僅かだった。
下手をすれば、火傷では済まないだろう。
(こわい‥‥でも、私は約束したんだ。レイラちゃんを助けるって。世界を、守るって‥‥)
リオはそれを思い出し、改めて決意を固めようとした。
「ソレハオマエノ心カラノ願イカ?」
「ーー!?」
雑音のようだが‥‥透き通るような男の声がリオの脳裏に響き、驚いて辺りを見回すが誰もいない。
「‥‥願い?はい‥‥私は、約束を守りたいんです」
リオは声の主に疑問を抱きながらも、そう答えた。
「ソレハ自身ノ為ノ願イデアロウ?」
「え?」
「オ前ハソノ友ト、一緒ニ居タイダケ。世界ヲ守ルト言ウノモ‥‥タダノ口実デアロウ?本当ハ世界ナンテドウデモイイハズダ」
「なっ、何をっ‥‥私はっ」
だが、リオはそれ以上、反論できなかった。
「オ前ハ綺麗事ダケデ生キテ来タ人間ニ見エル。オ前ハ本当ハ他人ノ気持チナドワカッテハイナイ。自分ノ幸セニ暮ラセル世界ヲ望ンデイルダケダ」
「ーーっ」
その言葉に、リオは自分でも知らなかった自分の心に気付かされる。
頭の中には、シュイアとレイラの姿が過った。
「わっ‥‥私はいつも、綺麗事ばかり言って‥‥自分の意見だけを通していた?私はちゃんと、レイラちゃんの話に耳を傾けてあげていた?ううん‥‥私ーーそっか。私は、自分の事しか考えてなかったんだ」
リオは目を見開かせ、膝をつき、地面に崩れ落ちる。
「だって‥‥レイラちゃんはカシルさんが好きなんだ。それでいいじゃないか。好きならそれで‥‥カシルさんを選んだっていいじゃないか‥‥たったそれだけのことを、私は‥‥」
リオはギュッと目を閉じ、頭を抱え、
「わからない‥‥わからないよ!私はどうしたらいいの?わからないよ‥‥」
「見直セ、オ前ノ歩ンデ来タ道ヲーー」
その言葉の後で、視界が白に染まっていく。
「え?」
「見直スノダ。オ前ト‥‥オ前ガ出会ッタ者達ノコトヲーー」
中には必要な家具が揃っているぐらいで、無駄なものは何もなかった。
「もう一度聞きます。あなたが不死鳥に認められたという人ですか?」
「認められたかどうかは知らんがね。昔‥‥不死鳥に会って生きて帰ってきた。ただ、それだけのことさ」
老婆は小さく笑い、そして深刻な表情をリオに向け、
「お主は不死鳥に会いに行くと言ったね。地上に戻って来るのに二、三年かかるかもしれぬぞ?それほどまでに、頂上は遥か遠く、待ち受ける道は困難だ」
「二、三年‥‥」
リオは思う。その二、三年の間に、世界はカシル達によって壊されているのではないかーー?
「それに、お主自身が骨の跡形も残さずに、不死鳥の炎に焼かれ、死ぬ可能性だって高い」
「死ぬ‥‥か」
その言葉に、リオは何も感じない。
フォード国の一件以降のこの数ヵ月、生きている感覚がなかった。
それでも、
「私は生きます。約束したから」
シュイアとサジャエルに。
「守らないといけない人がいるんです」
守ると約束したから。女王とカシルに、レイラを守ると。
「約束を守る為の、大事な人を守る為の力が必要なんです」
リオの言葉に、老婆はため息を吐く。
「お主、歳はいくつじゃ?」
「十二です」
「まだまだこれからの人生なのにのう‥‥」
老婆はふふっと笑い、
「次にお主に会う時は、十五歳ぐらいに成長しているというわけじゃな。楽しみにしておるぞ」
「え?」
老婆の言葉に、リオはぽかんと口を開けた。
「ほっほっ。しかし、その服は山の中では暑かろう。わしが若い頃に着ていた服を着ていくといい」
老婆が話を進めていくので、
(これは‥‥山に立ち入ってもいいってことかな?)
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「なかなか似合うではないか。若い頃のわしには及ばんがな」
老婆は大笑いしながら言った。
「あ、はは。ありがとうございます、とても涼しいですし、動きやすい服ですね」
リオは一礼する。
老婆が用意した服は、青いタンクトップのような服。
首には黄色いスカーフを巻き、ズボンは前のままだ。
「む?」
リオの以前着ていた服を見て、老婆は首を傾げる。
「この青い石は?」
「あっ!」
リオは落としてしまっていた青い石を急いで拾った。
「この石は、友達とお揃いで買ったものなんです」
そう言ってから、リオは言葉を止め、
(今も、友達と呼べるのだろうか?本当は、私達は友達じゃなかったのかもしれない)
そう感じて俯く。
(でも、レイラちゃんと過ごした一ヶ月ほど‥‥あの日々は確かに温かかった。それは、真実だ)
そんなリオの思考を遮り、
「嬢ちゃんや」
と、老婆が声をかけた。
「その石に紐を付けてペンダントにしてやろうか?」
「え?」
リオは首を傾げる。
「その石、持っていくんだろう?」
聞かれて、リオは石を見つめ、静かに頷いた。
「そのままじゃ、その石は小さいし、山を登ってる途中でなくしちまいそうだろう?」
老婆は笑って、リオの手から青い石を取り、
「これは、フォード国で買ったものじゃな?」
言い当てられて、言葉にリオは驚く。
「この石はフォード国の名物なのさ。【約束の石】って言ってね」
「約束の石?」
その名称を聞き、リオは石を見つめた。
「そう。それに願い事をすれば、叶うと言われている。あくまで、噂だがね」
「願い事‥‥」
「さて。今日はもう中途半端だからね。出発は明日にしな!今日はここで夜を過ごすといい」
老婆はそう言い、食事の支度を始めようとするので、リオは呆気にとられている。
◆◆◆◆◆
「あの。どうしてこんなに良くしてくれるんですか?」
リオが老婆の作った晩ご飯を食べながら聞くと、
「なぁに。山に登ろうとする命知らずな旅人達にいつもしていることさ」
老婆は笑って言って、
「最後の晩餐ーー少しでも弔いになるようにね」
「なっ‥‥不吉なこと言わないで下さい。死ぬと決まったわけじゃないですから」
リオは少し怒ったように言う。
「いいや。不死鳥の山はな、別名を『死の山』と言う。近年で生きて帰って来た人間は、わし一人じゃからのう。近年と言っても、若き日のことじゃからな」
リオは真っ直ぐに老婆を見つめ、
(二、三年の間に世界が壊れているかもしれない。でも、きっとシュイアさんがカシルさんを止めてくれるかもしれない‥‥だから)
リオは頭の中を整理し、
「友達を助けるまで、私は死ねない。だから、必ず生きて、不死鳥に会いに行きます」
「‥‥そうかい」
リオの決意を聞き、老婆は少しだけ悲しそうにした。
◆◆◆◆◆
ーー朝の光が眩しい。
「ほら、出来たよ」
「ありがとうございます!」
レイラとお揃いで買ったあの青い石を、昨日の言葉通り、老婆はペンダントにしてくれた。
リオはそれを首にかけ、
「いってきます!」
そう言って、小屋を出ようとした時、
「ちょいと待ちな」
と、老婆はリオを呼び止める。
「名前を聞いていなかった。すっかり忘れていたよ」
「そういえば、そうですね」
リオは小さく笑い、
「私はリオです」
「わしはエナンじゃ。さあ、行くがいい。これが、わしとの最後の会話にならぬようにな」
エナンはリオの肩をぽんぽんと叩いた。
「行ってきます、エナンさん」
リオはそう言って、今度こそ、小屋を後にする。
「ーーもし会えたのなら、彼を頼んだぞ、リオ」
その背を見送り、エナンは一人、静かに呟いた。
◆◆◆◆◆
「フィレアさんー!どこか目星はないんですかー?」
一方で、フィレアとハトネはリオとシュイアを捜す為、フォード国の大陸を二人で巡っていた。
「うーん。リオちゃんとシュイア様が行きそうな場所‥‥でも、王女とカシルを追っているーーそれは、確かだと思うわ」
フィレアはなんの挨拶もなく消えた二人を思い、ため息を吐きながら言う。
「リオ君は強いなぁ‥‥」
不意に、ハトネがそんなことを言うので、フィレアは首を傾げた。
「だって、リオ君は裏切られたんだよ?レイラ様に。私、リオ君が悲しそうにしてるのを見て、辛かった!でも‥‥それでもきっと、リオ君は王女様を助けようとしてる」
膨れっ面をしながら言うハトネの言葉に、フィレアは頷く。
「それに‥‥リオ君はみーんな捨てて、一から始めようとしているんだと思う」
次に、ハトネは寂しそうに言った。それを聞き、
「一から‥‥か。リオちゃんは力を求めているのかもしれないわね。王女と女王を守れなかった事を、気にしてたもの‥‥リオちゃんのせいじゃないのに‥‥」
フィレアもまだ小さな子供であるリオの、悲痛な表情を思い出していた。
◆◆◆◆◆
(ここが不死鳥の住む山)
リオは山の入り口に立ち、遥か空まで届く山頂を見つめる。
ブォッーー‥‥と、入り口に足を踏み入れた瞬間、何か異様な感じがした。
「なんだろ?空気が‥‥何か、変な感じに?」
それが何かはわからないが、なんとなくリオはそう感じつつ、首を振り、進み始める。
山に足を踏み入れれば、両端の岩々から火が溢れ出ており、進める道は僅かだった。
下手をすれば、火傷では済まないだろう。
(こわい‥‥でも、私は約束したんだ。レイラちゃんを助けるって。世界を、守るって‥‥)
リオはそれを思い出し、改めて決意を固めようとした。
「ソレハオマエノ心カラノ願イカ?」
「ーー!?」
雑音のようだが‥‥透き通るような男の声がリオの脳裏に響き、驚いて辺りを見回すが誰もいない。
「‥‥願い?はい‥‥私は、約束を守りたいんです」
リオは声の主に疑問を抱きながらも、そう答えた。
「ソレハ自身ノ為ノ願イデアロウ?」
「え?」
「オ前ハソノ友ト、一緒ニ居タイダケ。世界ヲ守ルト言ウノモ‥‥タダノ口実デアロウ?本当ハ世界ナンテドウデモイイハズダ」
「なっ、何をっ‥‥私はっ」
だが、リオはそれ以上、反論できなかった。
「オ前ハ綺麗事ダケデ生キテ来タ人間ニ見エル。オ前ハ本当ハ他人ノ気持チナドワカッテハイナイ。自分ノ幸セニ暮ラセル世界ヲ望ンデイルダケダ」
「ーーっ」
その言葉に、リオは自分でも知らなかった自分の心に気付かされる。
頭の中には、シュイアとレイラの姿が過った。
「わっ‥‥私はいつも、綺麗事ばかり言って‥‥自分の意見だけを通していた?私はちゃんと、レイラちゃんの話に耳を傾けてあげていた?ううん‥‥私ーーそっか。私は、自分の事しか考えてなかったんだ」
リオは目を見開かせ、膝をつき、地面に崩れ落ちる。
「だって‥‥レイラちゃんはカシルさんが好きなんだ。それでいいじゃないか。好きならそれで‥‥カシルさんを選んだっていいじゃないか‥‥たったそれだけのことを、私は‥‥」
リオはギュッと目を閉じ、頭を抱え、
「わからない‥‥わからないよ!私はどうしたらいいの?わからないよ‥‥」
「見直セ、オ前ノ歩ンデ来タ道ヲーー」
その言葉の後で、視界が白に染まっていく。
「え?」
「見直スノダ。オ前ト‥‥オ前ガ出会ッタ者達ノコトヲーー」
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