息をするように、

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自得

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あれな。
豚が井戸の上によじ登ってするするとはしごで井戸の底に降りていった続き。
井戸の底から響いてくるさっきの若い女の悲鳴。
興味ないけど井戸から涌き出ている悪臭はちょっとどうにかしたい。
そう思っていたら、いつの間にか自分もはしごを降りて井戸の底に来てしまったわけ。
そしたらビックリ。
井戸の底の壁、レンガの一部がくり抜かれ、道になっている。
水が流れて浅い川みたいになってる。

どこに続くんだろうかと仄暗い狭い道を進むと、突き当たりは広い部屋になっていた。
地面を掘り、だだっ広い部屋になっている。家具まであるじゃないか。
これを作り上げるのに、一体どれだけの年月を要したんだろうな?あの豚が一人で作ったのか?

たかが‘こんなこと’のために?


近隣の村で若い女性が行方不明になることが相次いでいる話。
まるで脱け殻になった、素っ裸の若い女達が地面に転がったり、紐にくくりつけられてオブジェみたいに吊るされている。全部死体ーー悪臭の正体。

悪臭の正体はもう一つ。

豚は、さっきのまだ生きている若い女の服をビリッとひんむき、なんの前座もなく汚いものを女の中に押し入れた。

喘ぐなんてもんじゃない。ただ痛みに叫ぶ女の狂ったような悲鳴。
そして後ろから見られていることに気づかず腰を振り続ける豚。
生臭いにおいが一気に充満する。

悪趣味だなぁ。
こんな風に死体を何日も何週間も下手したら何ヵ月も放置するのは、ただの快楽殺人鬼だ。
それで満足して死体をゴミにしちゃうダメなやつ。
おいしい内にいただくか、ちゃんと片付けないとねー?

まあ、豚には無理か!!

快楽に浸ってる豚の性器をたまたま仕事で使ったハサミでちょんぎってやった。まあ、弾力があるからちょっと時間かかるけど、豚が呆然としてたお陰で邪魔なく切れた。
豚はやっとこっちに気づいて悲鳴を上げた。
でもその場に転がって、股間を押さえて転がり回ってる。

若い女は安堵するように逃げ出そうとした。助けられたと思ったんだろう。
いやいや待ちなよと、女の腕を掴み、豚の上に放り投げた。

せっかく人間と豚の運命の出会いなんだ。二人仲良くここで暮らせばいいさ。

と思ったけど、やっぱり悪臭が嫌だったので、数日かけて全部の死体を細かく切り刻み、数十回にわけて仕事の焼却炉で破棄した。

もちろん、豚と若い女も。

いやぁー、仕事柄、いい掃除したな!

えっ?若い女に罪はなかった?
いやいや!だってあんな真夜中にミニスカートで足出して歩いてる方が悪いでしょ。あれは、男探してたんだろーな。運命的な出会いだったしいいんじゃね?
豚も豚で掃除できないから代わりにこっちで掃除してやったしさ。

これは、自業自得の結果なんだよ。わかる?
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