息をするように、

ar

文字の大きさ
上 下
12 / 18

自得

しおりを挟む
あれな。
豚が井戸の上によじ登ってするするとはしごで井戸の底に降りていった続き。
井戸の底から響いてくるさっきの若い女の悲鳴。
興味ないけど井戸から涌き出ている悪臭はちょっとどうにかしたい。
そう思っていたら、いつの間にか自分もはしごを降りて井戸の底に来てしまったわけ。
そしたらビックリ。
井戸の底の壁、レンガの一部がくり抜かれ、道になっている。
水が流れて浅い川みたいになってる。

どこに続くんだろうかと仄暗い狭い道を進むと、突き当たりは広い部屋になっていた。
地面を掘り、だだっ広い部屋になっている。家具まであるじゃないか。
これを作り上げるのに、一体どれだけの年月を要したんだろうな?あの豚が一人で作ったのか?

たかが‘こんなこと’のために?


近隣の村で若い女性が行方不明になることが相次いでいる話。
まるで脱け殻になった、素っ裸の若い女達が地面に転がったり、紐にくくりつけられてオブジェみたいに吊るされている。全部死体ーー悪臭の正体。

悪臭の正体はもう一つ。

豚は、さっきのまだ生きている若い女の服をビリッとひんむき、なんの前座もなく汚いものを女の中に押し入れた。

喘ぐなんてもんじゃない。ただ痛みに叫ぶ女の狂ったような悲鳴。
そして後ろから見られていることに気づかず腰を振り続ける豚。
生臭いにおいが一気に充満する。

悪趣味だなぁ。
こんな風に死体を何日も何週間も下手したら何ヵ月も放置するのは、ただの快楽殺人鬼だ。
それで満足して死体をゴミにしちゃうダメなやつ。
おいしい内にいただくか、ちゃんと片付けないとねー?

まあ、豚には無理か!!

快楽に浸ってる豚の性器をたまたま仕事で使ったハサミでちょんぎってやった。まあ、弾力があるからちょっと時間かかるけど、豚が呆然としてたお陰で邪魔なく切れた。
豚はやっとこっちに気づいて悲鳴を上げた。
でもその場に転がって、股間を押さえて転がり回ってる。

若い女は安堵するように逃げ出そうとした。助けられたと思ったんだろう。
いやいや待ちなよと、女の腕を掴み、豚の上に放り投げた。

せっかく人間と豚の運命の出会いなんだ。二人仲良くここで暮らせばいいさ。

と思ったけど、やっぱり悪臭が嫌だったので、数日かけて全部の死体を細かく切り刻み、数十回にわけて仕事の焼却炉で破棄した。

もちろん、豚と若い女も。

いやぁー、仕事柄、いい掃除したな!

えっ?若い女に罪はなかった?
いやいや!だってあんな真夜中にミニスカートで足出して歩いてる方が悪いでしょ。あれは、男探してたんだろーな。運命的な出会いだったしいいんじゃね?
豚も豚で掃除できないから代わりにこっちで掃除してやったしさ。

これは、自業自得の結果なんだよ。わかる?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

それぞれのその後

京佳
恋愛
婚約者の裏切りから始まるそれぞれのその後のお話し。 ざまぁ ゆるゆる設定

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

もう終わってますわ

こもろう
恋愛
聖女ローラとばかり親しく付き合うの婚約者メルヴィン王子。 爪弾きにされた令嬢エメラインは覚悟を決めて立ち上がる。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

王が気づいたのはあれから十年後

基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。 妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。 仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。 側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。 王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。 王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。 新たな国王の誕生だった。

愛のゆくえ【完結】

春の小径
恋愛
私、あなたが好きでした ですが、告白した私にあなたは言いました 「妹にしか思えない」 私は幼馴染みと婚約しました それなのに、あなたはなぜ今になって私にプロポーズするのですか? ☆12時30分より1時間更新 (6月1日0時30分 完結) こう言う話はサクッと完結してから読みたいですよね? ……違う? とりあえず13日後ではなく13時間で完結させてみました。 他社でも公開

処理中です...