息をするように、

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詐欺

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最近、飲食店が出来たらしく、凄く流行っているようだ。
肉も野菜も飲み物も美味しいと評判らしい。興味ないけど。
しかし、友達もどきがその店に一緒に行こうと誘ってきた。
友達もどきーー出会ったのがいつなのか、名前もちゃんと覚えてない。そいつが言うには自分達は【友達】なんだと。
人ってすぐ群れたがるよな。

数日後の昼時に友達もどきにその店に連れて行かれた。すでに席は満員だった。
店に入ると、客達がじろじろこっちを見てきやがる。気持ち悪いし不愉快だ。

「顔がいいって得だよなぁ、モテるくせに素知らぬ顔!嫌味な奴だよなぁ!」

なんて友達もどきが言ってくる。
人って外見が好きだよなー、意味不明。
自分は中身が好きだから外見とかはそんな気にしない。

昨日遅くまで起きていたから昼になった今でも正直食欲はないと言うのに友達もどきがじゃんじゃん注文をしている。
無理に誘ったから奢るよとか勝手に言っている。貧乏なくせに。

運ばれて来た食事を友達もどきや周りの客達はうまいうまいと食べているが、口をつけなかった。
これは絶対に『不味い』と確信があった。

店は仲睦まじそうな老夫婦が運営しているようだ。爺さんが調理をし、婆さんが食事を運び、レジの担当もしている為、忙しそうだ。

なんで食べないんだよと友達もどきは当然不服そうである。
腹の調子が悪いんだと言って、悪びれることなく席を立ち、店から出た。

‥‥いやぁ、あんな不味そうな料理、初めて見たかも!

野菜?あれはその辺に生えてる雑草だ。
肉‥‥あれは何日か経ってしまった人間の肉だ。人間の肉を食うならその日の内に食うべきなのに、あれは冷凍して何日も経ったものだなぁ。
‥‥もしかして‥‥まあ、いいか。
匂いからして、飲み物は体液だとか血を混ぜ合わせたものだな。

‥‥そりゃあ、流行るか。
食べたことない味だもんなぁ。
でも、自分で作って食べた方が新鮮で清潔だ。
あんな不潔な詐欺食品、誰が食うかっての。
あれは食べ物への冒涜だ、いつかあの老夫婦はぶち殺して食ってやろう。

でも面白そうだからしばらく泳がせてやるか。
ちょっと気になることもあったからなぁ。
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