息をするように、

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七夕

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今日は七夕。笹の葉に願い事を書いた紙ーー短冊を引っ掛ける日。
って言っても、毎年ほとんど雨だから天の川だなんだ関係ないけどな。
でも今回は珍しく晴れている。

だからだろうか、子供から大人から老人まで幅広く願い事書いてるのが笑える。
いやぁ、晴れて良かったね。はしゃいでて楽しそうじゃないか。

まあ、誰にだって願い事のひとつやふたつやみっつーーいや、もしかしたら何百何万とあるからな!

でも、自分は願い事なんて一つしかないよ。真面目だろ?

笹の葉に大量にぶら下げられた短冊を見てみる。

『新しいおもちゃがほしい』
『美味しいものが食べれますように』
『お金持ちになれますように』
『●●と付き合えますように』
『健康に生きれますように』

ーーと、まあ、よくある願い事ばかりだ。こんなの願い事に書かなくても、自ずと叶うだろうにな。

綺麗な綺麗な満天の星空の下、ボッ‥‥と、マッチ棒に火をつけて、ごうごうと笹に点火した。

翌朝、見るも無惨になってしまった笹と短冊達を見て、誰の仕業だと犯人探し。
願い事を吊るしていた子供達はわんわん泣いていた。
その子達に、かわいそうに、ざんねんだったねと、優しく声を掛けてやる。

老人達は『どうせあんただろ!』と、悪戯好きな村の住人に詰め寄っていた。
日頃の行い、大事だねー。

馬鹿馬鹿しいとそれを見送り、もう興味がなくなったのでその場から立ち去った。
どうせ、怒鳴って怒って終わりだろうしな。なにも、刺激的なことは起こりはしない。

ははっ。誰も死んでないんだ。別に、悪い話じゃないだろ?
願い事を燃やされた子供がわんわん甲高く鳴いて、大人達は醜く犯人探し、罪のなすりつけ合い。
たったそれだけ。

え?お前の願い事は何かって?そんなの決まってるじゃん。

『平穏に暮らせますように』だよ。
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