息をするように、

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自業

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ーーうわぁ、悪趣味。
浮かんだのはそんな言葉だった。

近隣の村で若い女性が行方不明になることが相次いでいるらしい。
拐われたのか殺されたのかなんなのかは不明らしい。

え?違う違う、自分じゃないって。
そんな同じような人間を狙わないって。

だって、毎日毎日若い女性を狙うってことは、毎日毎日同じものを食べるようなものだろ?
そんなの飽きちゃうじゃん?

若い女は確かに世間からしたらいいかもしれないけど、ほら、欲望の対象ってやつ?
でも、欠点があると思うんだよなー。

とにかく声がうるさい、金切り声。
そりゃあ、悲鳴を聞くのは楽しいけど、毎日はキツいかなー。

それに、綺麗なフリして切羽詰まると口汚くなるし、顔も醜く歪む。それにすぐ『なんでもします』『なんでもするから』って言って体を売ろうとしてくる。
‥‥女ってコワイなぁ。
自分の体に価値があるって思ってんだろうね。自信満々な肉のかたまり、肉だるま。キモッ。
こっちは、そんなのが欲しいわけじゃないからさぁ。

ーーさてさて本題に戻ろう。
近隣の村で若い女性が行方不明になることが相次いでいるって話。

仕事帰りの深夜、道端にたむろってた悪そうな男共が『金を出せ』とか言ってきて、遊んでほしそうにしてたから、そいつらの四肢をじわじわ切り離して体の中身を引っ張り出して遊んでやってたんだ。
その時、若い女の悲鳴が聞こえて、拉致される瞬間を目撃しちまったわけ。

いやぁ‥‥あれはまるで、豚だな!
豚みたいな人間‥‥人間みたいな豚?
どっちでもいっか!!

その豚が若い女の髪を鷲掴んで、ズルズルと森の中に引きずって行ったんだ。
帰り道だったからその様を離れて歩きながら見てたら‥‥
使われていない古井戸があった。
井戸があるのは知ってたが、別に興味はなかった。
ただ、確かにあの近くを通ると臭いなぁとは思ってたんだよな。ゴミでも放り投げてそれが井戸の底にたまってるんだろうと思ったけど‥‥

豚は引きずってた若い女の体を持ち上げて、井戸の底に放り投げた。
まあ、なんとなくそうするんだろうとは思ったが。

放り投げられた若い女の悲鳴が井戸の底で響く。

豚は井戸の上によじ登り、自分はするすると、はしごで井戸の底に降りていった。

で、その井戸の底が悪趣味だったんだよなー。

え?飽きてきた顔かな、それ?
こっからが本題なんだけどなー。
まっ、関係ない豚の話だし、続きはまた今度だな!
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