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24、街にお買い物へ その2

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 城下町にて…。

「ふわぁぁ、二人とも可愛いですね」
「っ、言うな。死にたくなる……!」
「勘弁して下さい…!」
「ははははっ、三人ともお揃いで可愛ええなぁ!」

 お菓子屋へと向かう凪達。
 凪とヴィルムとイージスは三つ子コーデをしていた。

「三人とも、猫耳…とても似合っているな」

 至極真面目な顔で、本心から言うサルージャの言葉はヴィルムとイージス心の傷を静かに、そして、深く抉っていた。

 城下町は本日もとても賑わっており、たくさんの人が行き交いをしている。
 あちこちから客寄せの声が聞こえ、街の人々の表情も明るい。この国が安全な証拠なのだろう。

 しかし、この国の中心のためか先程も言ったように人通りが多すぎる。

 そのためサルージャ達は、はぐれないように凪を真ん中にして左右の手をそれぞれヴィルムとイージスに握らせ、その周りをロルフ、サルージャ、マルクで取り囲むという移動スタイルをとっていた。

 チラチラと送られる周囲の人々からの視線。
 送られる先は、凪とサルージャ達を含めた六人全員。

 顔立ちが整っているというだけでなく、猫耳の膝丈までの少しダボッとしたパーカーを揃いで着ている子ども三人。その周りを取り囲む美形三人。
 本人達に目立っている自覚はなかったが、下手に奇抜なファッションをしている人間よりも目立っていた。

 そして、何よりも注目を集めていたのは…。

『ふむ、魔界と違って…皆、陽気じゃのう』

 六人から少し離れた距離に立つ人外的な美しさをもつ美女。

 長い漆黒の髪は緩くあみ、肩から胸へと流され。涼しげな紫の瞳と、「美しい」という言葉が陳腐に思える程整った顔立ち。スタイルも、簡易的にいえば…ボンッキュッボンッの女性が羨み、男性が涎を垂らすこと間違いなしのナイスバデー。

 どこの物語の主人公かと言いたくなる女性の正体はいったい何なのか。

「それにしても、偉い美人やなぁダグさん」
「…なぜ、女」
「男四人と子ども三人の組み合わせよりもいいだろう」
「でも、傍から見たらダグがサルージャさん達の奥さんで、私とヴィルムさんとイージスさんがダグの子どもみたいですね~」
「はぁ!?やめてくれ。コイツらの子どもなんてぜってぇ嫌だ」
「私もです。お断りですね」
『そんな事よりも、女体化できることに驚いて欲しかったわ。なぜ、誰一人として城を出る時、初めて変化して見せたのに驚かんのじゃ。解せん』

 そう。この人外的な美女の正体は凪の召喚した元魔王。ダグ。

 どうしてこんな姿なのか。 

 街に来る前、凪に城に置いていかれそうになり、少し機嫌を悪くした彼…(現在は彼女)は凪達の驚いた顔を見ようと、城を出る直前に女性に変化。しかしそれは、誰一人として驚かないという結果に終わり、不完全燃焼。
 ならば、どうせならこのままで居ようと男の吟味はどこやらに捨て去り、今日のところは女性としてお菓子屋を楽しむ事にしたらしい。

 さて、回想はこれくらいにしておき、現在の凪達。

 楽しげに会話し、目的の場所へと無駄に人々の注目を集めながら移動中だった。……道のりはまだ長い。 
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