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17、ごめんね

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 ヤル気に満ちた男達。
 それを遠目に眺める子犬……全然日常的な光景ではないですね。

『ちぇいすさん、ろーさんに黙っててごめんねって言って?』

 それを気にしないようにして、チェイスさんに声をかける。
 一瞬、何のことかと目を瞬かせた彼でしたが、すぐになんのことを言っているのかわかったようで、代弁してくれます。

「ロート、ブラッドが黙っててすまないと」
「あぁ?なんの事だ?」

 それに首をひねってよくわからないという顔をするロートさん。

「フェンリルの赤子であったことと、違法魔獣ハンターのことだ」

 優秀なチェイスさんは、すかさず補足をしてくれました。
 チェイスさんの補足を聞いて納得した様子のロートさんは、私と目を合わせます。

「何、気にすることはない。お前のお陰で違法魔獣ハンターの存在を知れたんだ。逆に感謝したい程だし、謝りたくもある」
『なんで?』

 ぽかんと口を開け、チェイスさんを見上げます。

「恐らく、ロートは違法魔獣ハンターがいることを知れたのを感謝し、違法魔獣ハンターの存在に気づけなかったが為にお前がこんな目をあっているのを気に病んでいるのだろう」

 成程。
 一つ、小さく頷いてチェイスさんの腕の中から抜け出しました。

「うぉっ」

 ロートさんの足に抱きつくと頭上から驚いたようなロートさんの声が聞こえます。
 チラリと振り返ると、チェイスさんは「温もりが……」と絶望的な顔をしていました。……なんだか申し訳ないです。後でモフらせてあげますからね。
 内心慰めながら、ロートさんの足にグリグリと額を押し当てます。

『あのね、ろーさんのお陰でわたしは生きてるの。だからね、ろーさんは謝らなくていいんだよ?だってね、だってね、そんな事があったから、ろーさんに会えたんだもん。だからね、自分を責めちゃダメなの』

 絶望の淵から復活したチェイスさんが言い方を多少変えながらも同時通訳してくれました。デキる男って素敵だと思いますよ。
 心の中でチェイスさんを賞賛していると、ロートさんに抱き上げられました。

「あぁ、分かった。だが、お前は親に会いたくはないのか?」
『会いたくないっていったら嘘になるけど、ろーさんから離れてまでではないの。ちぇいすさんも優しいし、美味しいご飯もあるし、顔はこわいけど親切にしてくれる人たちもいるの。だから、べつに構わないの』
「……そうか」

 ポツリ…と呟いた後、口を閉じたロートさん。
 ……あの、ちょっと怖いので何か話してください。お願いします。
 周りも、いつの間にか「殺ろうぜ!」って雰囲気から、「可哀想に」「健気な」みたいな私を哀れんだ雰囲気にチェンジしていました。

 しんみりとした雰囲気に、胸が押しつぶされそうです。
 沈黙に耐えかねていると、

 ……ぐぅー。

『おなかすいた』

 私の空腹は、今日も元気に限界を迎えたのでした。
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