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4、個性が強いお姉さん? その1
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「さて、さっきはブラッドを助けることにしか意識が向かなかったが、他の奴らにも状況を伝えなければな」
そう言って、私が飲み終わったミルクの皿と私自身を腕に抱えました。
『お兄さん。私、一応フェンリルらしいですよ?分かってますか?』
「ははっ、心配するな。俺はここの隊長だ。今まで俺の言うことを聞かなかったやつ全員に文句を言わせるものか。不平不満を言うものならば、俺の心の、胃の安全のためにも……」
何やら不穏な顔をなさっております。
ダメですよ?物理的に黙らせたらダメですよ?
しかも、私の言葉がきちんと伝わっていません。もしかして、私の言葉を理解できないのでしょうか。それなら納得…したくありませんが、とりあえず納得しましょう。
男性は私を抱えたまま、食堂と思われる場所に向かいます。
……いや、動物を連れていっちゃダメでしょう。衛生的に悪い。なので、精一杯の抵抗をしました。
「こら、おいたはいけないな」
手に噛み付いてみましたが、何処吹く風。爪も牙も小さいので当たり前かも知れませんが、悔しいです。
変な敗北感に苛まれながらも、食堂に着いてしまいました。…あぁ、食堂にいる人達の驚いた顔が見えます。えぇ、えぇ、分かってますよ。
「なんで動物が食堂に居る」って、言いたいんでしょう?そんなの、私が聞きたいです。
私はまるでぬいぐるみのように抵抗をやめて、体の力を抜きました。これで私の毛が舞うことは少ないでしょう。本当に、すいません。
「おい、料理長を呼んでくれ」
「はっ、はひぃっ!」
近くにいた茶髪の男性が反応します。いや、その驚き方はなんですか。
少し間を置いて、私を抱いている男性よりも体の大きな男性が現れました。
「ロートさん、どうしました?」
私を抱く男性にそう声をかけます。
(この人、ろーとさんって言うんだ。じゃあ、言い難いし呼ぶ時は、ろーさんだね)
新しい情報を得たので、この男性の呼び方を決めました。
ロートさんは、私を料理長に見えやすいように脇の下を持って上に持ち上げました。
「こいつの飯をこれから毎日作ってほしい」
「別に構いませんが、この子犬、どうしたんです?」
「雪原で拾った」
「えっ?」
まじまじと私を見つめた後(穴が開くかと思った)、雪原で拾ったという発言を聞いて何やら眉間にシワが寄りました。
(それなりにいい顔をしてるのに、もったいないですよー)
そんなふうに思ったので、丁度足の届く範囲だったので眉間をムギュムギュ私の柔らかい肉球で解してあげました。
それに驚いたような顔をした後、ふっと力を抜いたように笑います。
「どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません。ご飯は朝昼夕でいいんですよね?」
「あぁ、固形のものはまだ食べられなさそうだからな。そこを考慮してくれ」
「勿論です」
私の頭を撫でてから離れていきます。
それに合わせて、ロートさんも踵を返します。何かから逃げようとしているようにも感じました。
数秒後、なぜそんなふうに感じたのか理解できました。
バンッ!
「ロート!子犬を拾ったって本当!?」
理由は扉を蹴破らんばかりの勢いで、綺麗な女性(?)が現れたからです。
そう言って、私が飲み終わったミルクの皿と私自身を腕に抱えました。
『お兄さん。私、一応フェンリルらしいですよ?分かってますか?』
「ははっ、心配するな。俺はここの隊長だ。今まで俺の言うことを聞かなかったやつ全員に文句を言わせるものか。不平不満を言うものならば、俺の心の、胃の安全のためにも……」
何やら不穏な顔をなさっております。
ダメですよ?物理的に黙らせたらダメですよ?
しかも、私の言葉がきちんと伝わっていません。もしかして、私の言葉を理解できないのでしょうか。それなら納得…したくありませんが、とりあえず納得しましょう。
男性は私を抱えたまま、食堂と思われる場所に向かいます。
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手に噛み付いてみましたが、何処吹く風。爪も牙も小さいので当たり前かも知れませんが、悔しいです。
変な敗北感に苛まれながらも、食堂に着いてしまいました。…あぁ、食堂にいる人達の驚いた顔が見えます。えぇ、えぇ、分かってますよ。
「なんで動物が食堂に居る」って、言いたいんでしょう?そんなの、私が聞きたいです。
私はまるでぬいぐるみのように抵抗をやめて、体の力を抜きました。これで私の毛が舞うことは少ないでしょう。本当に、すいません。
「おい、料理長を呼んでくれ」
「はっ、はひぃっ!」
近くにいた茶髪の男性が反応します。いや、その驚き方はなんですか。
少し間を置いて、私を抱いている男性よりも体の大きな男性が現れました。
「ロートさん、どうしました?」
私を抱く男性にそう声をかけます。
(この人、ろーとさんって言うんだ。じゃあ、言い難いし呼ぶ時は、ろーさんだね)
新しい情報を得たので、この男性の呼び方を決めました。
ロートさんは、私を料理長に見えやすいように脇の下を持って上に持ち上げました。
「こいつの飯をこれから毎日作ってほしい」
「別に構いませんが、この子犬、どうしたんです?」
「雪原で拾った」
「えっ?」
まじまじと私を見つめた後(穴が開くかと思った)、雪原で拾ったという発言を聞いて何やら眉間にシワが寄りました。
(それなりにいい顔をしてるのに、もったいないですよー)
そんなふうに思ったので、丁度足の届く範囲だったので眉間をムギュムギュ私の柔らかい肉球で解してあげました。
それに驚いたような顔をした後、ふっと力を抜いたように笑います。
「どうかしたか?」
「いえ、なんでもありません。ご飯は朝昼夕でいいんですよね?」
「あぁ、固形のものはまだ食べられなさそうだからな。そこを考慮してくれ」
「勿論です」
私の頭を撫でてから離れていきます。
それに合わせて、ロートさんも踵を返します。何かから逃げようとしているようにも感じました。
数秒後、なぜそんなふうに感じたのか理解できました。
バンッ!
「ロート!子犬を拾ったって本当!?」
理由は扉を蹴破らんばかりの勢いで、綺麗な女性(?)が現れたからです。
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