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27、第二小隊での一日 1

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 おはよう!今日もいい天気だねっ!……なんて言ってみたが、実際私の心の中は雨雲がいっぱいのどんよりした空模様だ。

(怖いことはありませんように…、というか死にませんように)

 ただひたすら祈るだけだ。
 今日一日は第二小隊で私は過ごすことになる。ザンさんとネロさんがいる小隊で戦闘を主にする部隊らしい。
 だから今私は凄く緊張している。でも、気持ちが落ち着くのを待っている時間はない、あと二時間くらいで迎えが来るのだ。

 すー、はー…すー、はー…………バンッ!

「ぅっ、ゴホッゴホッ」
「やっほー♪寝起きドッキリに来たよ~って、あーあ、残念。もう起きちゃってたのか」

 私が深呼吸している時に来たネロさんは、いきなり部屋に入ったことに悪びれもせず私が起きていることに残念がっている。…と同時に、驚いていた。
 それもそのはず、私は今四時くらいに起きているのだ。普通だったらまだ子どもはまだ寝てる時間だし、こんなに早く起きているとは予想できないだろう。

「ゴホッ、えっど…ぞれでっ、なんでこんなに早ぐ来たんでずか?……ゲホッ」

(喉つっかえてキツっ…)

 ううむ、さっきむせたせいでまだ普通に話せない。

「えっ、あ、うん。いや、ごめん特になかったんだ」

 何だよ。

「じゃあ、帰ったらどうです?」

(……というか、早く帰れ!)

「えぇー!いーや♪」
「……チッ」
「 え? 」

 おっと、失敗失敗。

「何でもありませんよ?」

 ニコニコ笑っておく。
 ネロさんは不服そうな顔だ。

「まー、別にいいや。どうせまだ時間はあるんだし…一緒に寝る?」
「結構です」
「即答!?」

 いや、そんな驚いた顔してもさ、普通に考えてみてよ。ありえないんだけど。
 というか、驚いても可愛いんですね。はいはい、ご馳走様です。

(…イケメン滅びろ)

「ならさ、その代わりに君のこと教えてよ」
「え?団長さんから聞いてますよね?」
「うん聞いてるよ。でも、街で騒ぎを起こしてレオンが連れ帰ってきた二つの爆弾抱えた孤児の女の子ってことだけ」

(ヒライたちのことだけで、ステータスのこととか前世のことは伝えてないんだ…)

「だけどそれだけじゃないよね?」
「そうだとしたらどうするんですか?」
「否定しないってことはあるってことだよね」

(し、しまった。否定し忘れた)

「そんなわけないじゃないですか!?自分は何も隠してないんで、もしも隠してた場合の時のことが気になったんですよ!」

「ふーん、そっかー。まぁ今はそういうことにしといてあげるけど…、そうだね、もし隠してた場合、カインにも隠してるとすれば拷問してはかせてたよ。話してた時は、見逃すかなー。だってカインが話さないってことはよっぽどの事だろうし」
「そうですか」
「ふふっ、安心した?」
「ええ、まぁ、はい……って、違いますからね!」
「わかってるよ♪」

 恐らくネロさんは気づいているだろう。でも、聞かないってことはそういう理由だってことも理解してくれてる。いつか話さないとなぁ…

「じゃあ寝るんで」
「うん♪一緒に寝ようね」
「さっきも断りました。なのでサヨウナラ」
「ちょっ……」

 バタンッ

(はぁ、面倒くさい)

 何か言いたそうだったが、別にいいだろう。
 あと二時間後には、また顔を合わせなきゃいけないし今日一日一緒なんだもんね。

(頑張ろう)
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