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23、遠征でもやらかしました? 4

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 先程、精霊王さんが現れた。私たちを呼び寄せた理由は、なんと私に用があるからだとか。
 …はぁ、面倒な。おっと、つい言ってしまった。気にしないで。

「精霊王さん、私にいったいどのような用が…って、え?なんでこっちに寄ってくるんですか?ちょっと近くないですか?」

 私が話しかけると精霊王さんは近づいてきた。

『ふふふ、初々しくて可愛いのぅ。なーに、そなたの気が珍しくての。興味が湧いたんじゃが…こんなに可愛いとは予想しなかったぞ』

 そう言って私を持ち上げる。いわゆる高い高い状態だ。私か?私はなすすべもなくぷらーんと腕と足をたらして、抵抗する気はサラサラない。
 団長さん達もいきなりの行動に戸惑って1歩も動けてない。

「それで、用件は私に会うだけですか。それだけなら早くはぐれた人達の元へ戻してください」
『これこれ、そう急かすでない。もうひとつ大事なことがあるんじゃよ』

 えー、まだあるの?
 私はなんだか本当に面倒くさいことが起きそうな予感がしてきた。

(この精霊王さんが満足するまで皆と合流は出来なさそうだな。ヒライも呆気にとられてるし。もうひとつの用件もさっさと終わらせて返してもらおう)

 考え込んでいたため、精霊王さんが何を言っていたのか聞き取れなかったのだが、早く帰りたい思いが強かった私は聞き返したりせず、

『……てもいいか?』
「はいはい、いいですよー」

 最後に何か問われたのでいいと返事をしてしまった。

「ちょ、ナナキ……」
「えっ、ナナちゃん!?」
「……っ」
「そんな簡単に…、いいのですか!?」

 皆は驚いた顔をしている。ヒライにいたっては、

《そうか…、俺じゃ足りなかったんだな…》

 なんか地味に絶望感を醸し出している。

(えー、本当に何?話聞いてなかったからわかんないよ)

 私の疑問は次の瞬間解消された。

『ふふっ、よかったよかった。断られると思ったんだがのぅ、嬉しいわ。まさか我とも契約をしてくれるとは…』
「ふぇっ、け、契約?」
『その通り、我はそなたを気に入ったからのぅ。一緒にいたいのよ、ここからは契約でもしない限り離れられないのでな…』

 なんだか少しだけ可哀想な気がしてきた。でも、流されるわけには…。

『我は外の世界がどんなところなのかあまり知らないのだよ、たまに外へ出かける妖精や精霊に聞くだけで想像しかできないんだ』
「ぜひ契約をしましょう」
「「「「はぁ!?」」」」

 えっ、だって可哀想じゃないか。決して精霊王さんのウルウルおめめ攻撃にやられたわけじゃない。私の良心が負けたんだ。

『ふふふ、じゃあ早速始めようかの』

 その言葉とともに精霊王さんと私の間に光る玉が現れた。

『〝我 この泉を守り妖精を管理する者 かの者ナナキに この身と生涯を捧げることをここに誓う〟』

 うぅ、なんだが結婚式の時の誓いみたいで恥ずかしい。

『さぁ、このたまを飲み込んでくれ』
「え?これ飲むの?大丈夫なの、体に毒じゃないの?」

 どう考えても正気とは思えない。光る玉を飲めとは。

『あぁ、大丈夫、体に害はない。その玉でナナキと我が繋がるのだ。簡単に言えば力の譲渡ができたりとか色々あるんだが…まぁ、細かいことは気にせんでよい』

 いや、気にするでしょ!?
 だけど飲まないことには進まない、怖いが精霊王さんを信じよう。

 ……ごくん。

「うっ……」

(なにこれ…体が熱い?いや、体というか腕が焼けるような…)

 急激な痛みが体へと走った。痛むところを見てみると、何やら魔法陣のようなものが浮き出ていた。

(えー、刺青っていうか厨二病っぽい…悪趣味…だ…な…)

 あまりにもの痛さで私の意識はプツリと途切れた。
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