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あかり、完璧ブラコン番長と交流を深める
第6話 あかり、『妖怪食堂』に案内する①
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『妖怪食堂』。
普通の人間には入れないように、特殊な結界が張られている。そこにたどり着くには、ある手順を踏まないと入れない。
……まあ、たまーに酔っぱらいが間違って入ってくることもあるんだけど。
そんなわけで、私は冬夜くんと夏樹くんを、商店街にある恵比寿像の前で待っていた。シャッター通り、なんて言われがちな商店街だけど、県が設けた外国人労働者の相談施設がアーケード内のビルにある影響なのか、美味しそうなエスニック料理店がたくさん並んでいる。時折、駐車場で国際フェスタが開かれているらしい。
さて、入り方なんだけど、至ってシンプル。飲み屋が続くこの道に、『妖怪食堂』がある、と信じて入ればいい。
そして突き当たったところに、『妖怪食堂』と掲げたのれんがある。
見つけた途端、夏樹くんが一番乗りでのれんをくぐった。
「こんにちはー!」
「はい、こんにちは!」
元気よく、夏樹くんが挨拶すると、のびやかで明るい声が響く。
そして奥から、ふくよかな体格をした三十代ぐらいの男性がやってきた。店長だ。
「君は夏樹くんかな? 初めまして、店長です」
「てんちょー! こんにちはー!」
いえい、と夏樹くんと店長がハイタッチする。
後ろから冬夜くんが、ぺこり、と頭を下げた。
「こんにちは。今日はお世話になります」
「いらっしゃい! こっちこそ、今日はよろしくね!」
きゃー、と満面の笑みで店長が迎える。
……さては店長、冬夜くんの大ファン?
「お、来たね。いらっしゃい」
暖簾を上げて、音子さんがやって来た。
ふわふわと揺れる二つのしっぽと、おかっぱ頭の上にある三角形の耳を見て、冬夜くんが驚いた表情を見せる。
「こんにちは。そこそこ妖怪が来ると思うけど、悪いやつじゃないから。しんどかったら、奥のお座敷席使ってね」
そう言って、音子さんはまた奥へ戻っていった。
「……俺にも、妖怪が視えるんだな」
「ここは霊脈のそばだから、妖怪も実体を持ちやすいんだよ。だから冬夜くんも視えるよ」
時間が経つにつれ、ザワザワ、と妖怪たちが増えていく。
壁際にあるテーブル席に座った夏樹くんと冬夜くんが、その様子を興味津々で見ていた。
■
『え、冬夜くんが来るの!? 「開藤中の番長」が!?』
私が二人をここに連れて来たい、と店長に言った時、店長は目を丸くしていた。
『……前から気になってたんですが、そんなに有名なんですか? 冬夜くん』
『有名なんてものじゃないよ! この辺りが平和になったのは、彼のおかげだって言われてるぐらいなんだ!』
店長は興奮しながら話す。
『ここが霊脈が流れる土地であることは知ってるよね? 強大な力は、人間にも影響する。特に思春期の子たちは、影響を受けやすいんだ』
だからこのあたり、すごく荒れててね。店長はそう言った。
なるほど。時代遅れの番長制度があるのは、そういう影響があるのか。
『だけど、彼が番長になったとたん、一年で見違えるほど他の子たちも安定したんだよ。
彼らの陰の気を食べて悪さしていた妖怪や亡霊も、ここすっかり落ち着いたなあ。お互いに影響し合わなくなって、どんどん落ち着いたんだよね』
『へえ……』
『たいがいの生き物は、力の強いものが頂点に着くと、従うからね。……強い者を蹴落としたくなる子もいるけど』
たまに喧嘩を吹っかけられているところ見たことあるなあ、と店長は言った。
普通の人間には入れないように、特殊な結界が張られている。そこにたどり着くには、ある手順を踏まないと入れない。
……まあ、たまーに酔っぱらいが間違って入ってくることもあるんだけど。
そんなわけで、私は冬夜くんと夏樹くんを、商店街にある恵比寿像の前で待っていた。シャッター通り、なんて言われがちな商店街だけど、県が設けた外国人労働者の相談施設がアーケード内のビルにある影響なのか、美味しそうなエスニック料理店がたくさん並んでいる。時折、駐車場で国際フェスタが開かれているらしい。
さて、入り方なんだけど、至ってシンプル。飲み屋が続くこの道に、『妖怪食堂』がある、と信じて入ればいい。
そして突き当たったところに、『妖怪食堂』と掲げたのれんがある。
見つけた途端、夏樹くんが一番乗りでのれんをくぐった。
「こんにちはー!」
「はい、こんにちは!」
元気よく、夏樹くんが挨拶すると、のびやかで明るい声が響く。
そして奥から、ふくよかな体格をした三十代ぐらいの男性がやってきた。店長だ。
「君は夏樹くんかな? 初めまして、店長です」
「てんちょー! こんにちはー!」
いえい、と夏樹くんと店長がハイタッチする。
後ろから冬夜くんが、ぺこり、と頭を下げた。
「こんにちは。今日はお世話になります」
「いらっしゃい! こっちこそ、今日はよろしくね!」
きゃー、と満面の笑みで店長が迎える。
……さては店長、冬夜くんの大ファン?
「お、来たね。いらっしゃい」
暖簾を上げて、音子さんがやって来た。
ふわふわと揺れる二つのしっぽと、おかっぱ頭の上にある三角形の耳を見て、冬夜くんが驚いた表情を見せる。
「こんにちは。そこそこ妖怪が来ると思うけど、悪いやつじゃないから。しんどかったら、奥のお座敷席使ってね」
そう言って、音子さんはまた奥へ戻っていった。
「……俺にも、妖怪が視えるんだな」
「ここは霊脈のそばだから、妖怪も実体を持ちやすいんだよ。だから冬夜くんも視えるよ」
時間が経つにつれ、ザワザワ、と妖怪たちが増えていく。
壁際にあるテーブル席に座った夏樹くんと冬夜くんが、その様子を興味津々で見ていた。
■
『え、冬夜くんが来るの!? 「開藤中の番長」が!?』
私が二人をここに連れて来たい、と店長に言った時、店長は目を丸くしていた。
『……前から気になってたんですが、そんなに有名なんですか? 冬夜くん』
『有名なんてものじゃないよ! この辺りが平和になったのは、彼のおかげだって言われてるぐらいなんだ!』
店長は興奮しながら話す。
『ここが霊脈が流れる土地であることは知ってるよね? 強大な力は、人間にも影響する。特に思春期の子たちは、影響を受けやすいんだ』
だからこのあたり、すごく荒れててね。店長はそう言った。
なるほど。時代遅れの番長制度があるのは、そういう影響があるのか。
『だけど、彼が番長になったとたん、一年で見違えるほど他の子たちも安定したんだよ。
彼らの陰の気を食べて悪さしていた妖怪や亡霊も、ここすっかり落ち着いたなあ。お互いに影響し合わなくなって、どんどん落ち着いたんだよね』
『へえ……』
『たいがいの生き物は、力の強いものが頂点に着くと、従うからね。……強い者を蹴落としたくなる子もいるけど』
たまに喧嘩を吹っかけられているところ見たことあるなあ、と店長は言った。
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