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第二部
八十三話 ロレンナと嘘つきな聖女の物語 後①
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俺はまたため息を吐いてグウェンに寄りかかる。
毎回毎回、俺の周りに重要なことを言わない人間が現れるのはなんなんだ?!
隠し事の一つや二つは誰にでもあるだろうが、それにしてもそういう大事なことは先に言っとけよ!
情報共有は団体行動の基本だろうが!
「あんた達やっぱり知り合いだったのか……」
「黙っていて申し訳ありません。殿下とは、以前から面識があります」
さっきから出てくるオズワルドという名前に馴染みがないのか、ロレンナとダーウード宰相は怪訝な顔をしている。マスルールが王宮に手引きしていたと聞いて、二人はますます訝しげな顔になった。
「あ、皆さんには知らない人間の名前を連呼しててすいません。オズワルドというのは、デルトフィアの王子で、俺に不死鳥の卵を取り戻して来いって無茶振りしたはた迷惑な奴です。多分そのうち姿を現すと思いますので、紹介はその時に」
このタイミングでオズワルドのことを雑に説明すると、皆は分かったような分からないような顔になった。そもそも記憶阻害の影響があるから、名前を言ったところで覚えられない人は覚えられない。本人が現れた時にちゃんと紹介すればいいだろう。
マスルールが怪しいということに関しては、俺は結構早い段階で気付いていた。
オズワルドが難なく王宮に現れたことといい、イラムに侵入していたことといい、普通に考えたら誰かがオズを内部に手引きしたと思うだろう。あいつの忘却魔法がいくら優秀だとしても、あんなにスムーズにイラムに入り込んでくるなんておかしい。
ライネルやクリスも王宮に潜入していたんだから、それだって誰かの協力が必要だったはずだ。あの王子は特殊能力のおかげで自分は簡単に忍びこめても、人を潜入させるのは向いていない。
そしてオズワルドのことを忘れないほど神聖力が強く、不死鳥の卵の闇オークションの情報を漏らしたり、デルトフィアに計略を図ろうとするラムルの内部情勢を彼に教えるような人間は、俺の知り得る限り一人しかいない。
二人がいつから顔見知りだったのかは知らないが、オズがマスルールを利用して王宮に潜入したことは多分間違いない。
思い返すと、オズワルドはマスルールに対して他人に対する態度としては少しおかしいところもあったしな。
オズワルドの奴、そのくらい俺にも伝えとけよ。
あいつの俺を巻き込まないようにっていう無駄な気遣いが、これに関しては余計なお世話すぎる。
マスルールがオズワルドを手引きしてる協力者だと知っていれば、俺はこの二日間もう少し上手く動けたんじゃないか?
そう考えてから、いや、そうでもないかと思い直す。
いずれにしても六女典礼とアシュラフ皇帝に関してはオズワルドは関係ないし、俺もマスルールも想定外のことが多すぎた。
でも次にあの王子にあったら絶対文句言ってやる。
「あの方からは、くれぐれもあなたには逃亡犯のことがバレないように、危険が及ばないように注意しろと言われていました」
マスルールが少し居心地が悪そうにしながら言う。
「そもそもはデルトフィアから国外に逃げた指名手配犯がわが国の内部に潜んでいるようだと知って、殿下に情報を渡したのは私です。私もバレンダール卿に手を貸してクレイドルに計略を巡らせている内部の人間を炙り出したかった。殿下に頼まれてそちらの二人が王宮に入れるように手も貸しましたが、そのうち陛下が六女典礼を始めてしまい、それに加えてあなたがイラムに転がり込んで来てしまったので、私もしばらく混乱していました」
「……俺が自ら転がり込んだんじゃない。あの悪魔に勝手に買われてイラムに突っ込まれたんだよ」
「そうですね……。すみません、陛下にオークションのことを嗅ぎつけられたのは私の瑕疵です」
でもその悪魔がアシュラフ皇帝に取り憑く原因を作ったのは俺だから、やっぱり巡り巡って俺のせいってことになるのか?
もう状況がややこしくてこんがらがる。
悩み始めた俺の頭をグウェンが撫でてきた。
「君は巻き込まれただけだ。全ての責任は君を拉致したオズワルド第二王子殿下にある」
「グウェンー」
俺は横向きのまま彼に抱きついて広い胸に頭を擦り付けた。背中に腕が回って慰めるように抱き返してくれる。
そうだ。きっかけを作ったのは思いつきで俺を拉致したオズワルドなんだよ。だから俺は悪くない。多分。
落ち着いてまた前を向くと、皆が生暖かい目を向けてくるが俺は気にしない。情緒不安定なんだ。少しくらいは大目に見てほしい。
ーーママどうしたのー?
メルと戯れていたベルが俺の膝に顎を乗せてきたので、首元の被毛をふわふわさせてもらって癒された。
「なんでもないよ。ありがとう。もうちょっとで終わると思うけど、暇だったら外に遊びに行ってきてもいいよ」
そう言うと、少し考える顔になったベルは頷いた。
ーー僕おそと行ってくるー。
ベルが立ち上がると立髪にじゃれついていたメルはぴょんと跳んで俺の膝に乗った。
「メルは行かないの?」
「ぴぃ」
残る、と言っているのか、メルは俺の膝から下りない。
「僕も行きますね」
パンを食べ終わったウィルがベルに続いて立ち上がった。
「ウィル、ベルをよろしく。外は水路があるから気をつけてね、あまり奥には入らないように」
「わかりました」
頷いたウィルがベルを連れてリビングから出て行った。二人とも鈴園の中を珍しそうに眺めていたから、探検したかったのかもしれない。
話が途切れたが、俺が確認したかったことはこれで聞けた。
バレンダール公爵の案件に手を出すかどうかは、皇帝の悪魔騒動が片付いてからグウェンと交渉しよう。
そろそろアシュタルトの話に流れを戻そうかと思った時、マスルールが深刻そうな顔で「確認したいのですが」と言って俺を見てきた。
「オズワルド殿下からは、一昨日の夜を最後に連絡が途絶えています。あなたには何か知らせがありましたか」
そう聞かれて、俺はきょとんと目を瞬かせる。
「一昨日会ったとき、オズはグウェンを探して来るって言ってたはずだけど。グウェンの方から先に来ちゃったから、入れ違いになってまだどこかで探してるんじゃ?」
そういえば、俺もオズには昨日の夜も会っていないな。
軽く首を傾げると、マスルールは思案するような顔になって眉を寄せた。
「私は、彼を地上に下ろしていないんです。一昨日」
「え?」
予想外のことに俺も眉を寄せる。
下ろしていない?
つまりオズは地上に下りてないってことか?
一昨日の夜から?
「マスルールさん以外で誰かに忘却魔法をかけて下ろしてもらったとか……」
「私がいるのに、他の皇族を頼る理由がわかりません。わざわざ忘却させるのも面倒でしょうし、彼の魔法は忘れさせるのであって、従わせることはできないはずです」
「確かに……」
やけにきっぱり言い切るマスルールの態度を少し怪訝に思いながらも、俺は頷く。
でもそうすると、オズワルドはまだイラムの中にいるってことにならないか?
「あいつ、行方不明ってこと? イラムで迷子?」
どういうことなんだ。
俺が大変な目に遭っていたこの二日間、あいつは消息不明だったのか?
俺が不審な顔をすると、マスルールは緊張感のあるトーンで話を続けた。
「そちらの方を探しに行く前に鍵を探さなければならないと言って、別れたきり戻って来ませんでした」
「また鍵……?」
あいつも鍵を探してんのかよ。
そういやあの悪魔も鍵がどうとか言ってたんだよな。
ふと昨日の夜の悪魔とのやり取りを思い出していたら、今度は横からルシアも口を出してきた。
「あの、私もおかしいなと思っていました。お兄ちゃんとオズワルド殿下に連絡を取るために、サラさんが昨日地上に下りましたが見つからなくて、私もイラムの中を探しましたがやっぱり見つかりませんでした」
「……じゃあ、あいつ本当に行方不明なのか? イラムで?」
それを聞いて俺は鍵のことを一旦頭の隅に置き、盛大に呆れた声を出した。
あのお騒がせ王子はこの重大なときに何してんだよ。
「現状では殿下がいなくても問題はない。放っておこう」
グウェンが俺を抱えたまま無情なことを言い、オズをバッサリ切り捨てようとする。
彼の言い様に少し頬を引き攣らせたマスルールが食い下がった。
「殿下の荷物がイラムの私の部屋に置いたままなので、何かあったのではないかと思うのですが……」
それを聞いて俺はまた首を傾げる。
「イラムの中を探してみたんですか?」
「はい。昨日の夕方から私もイラムの中と地上の宮殿は一通り探しましたが、見つかりませんでした」
「それならやっぱり、誰かひっかけて自分で地上に下りたんじゃ? あの王子はたまにぶっとんだことをするから、何か思いついてふらっと外に出てるとか」
「それならいいのですが……」
この人、やけにオズワルドに対して過保護だな。
マスルールが昨日の夜捕まらなかったのは、これが理由だったのか。まさかうちのお騒がせ王子のせいだったとは思わなかった。
「あいつは魔力も強いし、忘却魔法が使えるから一人でも滅多なことにはならないと思う。イラムの中で見つからないなら、アシュラフ皇帝の件が片付いてから探してみよう」
あの王子のことだから、もしかしたら今日の夜にでもふらっと戻ってくるかもしれないしな。
俺がそう言うと、マスルールはまだ腑に落ちないという顔をした。何か言いたげな表情で口を開きかけ、逡巡してからその口を閉じる。
彼の態度に違和感を感じつつも、俺はオズワルドの件は一旦横に置いて話の流れを元に戻すことにした。
アシュタルトの居場所も分からない以上、呪いの方を先に片付けるべきだろう。
毎回毎回、俺の周りに重要なことを言わない人間が現れるのはなんなんだ?!
隠し事の一つや二つは誰にでもあるだろうが、それにしてもそういう大事なことは先に言っとけよ!
情報共有は団体行動の基本だろうが!
「あんた達やっぱり知り合いだったのか……」
「黙っていて申し訳ありません。殿下とは、以前から面識があります」
さっきから出てくるオズワルドという名前に馴染みがないのか、ロレンナとダーウード宰相は怪訝な顔をしている。マスルールが王宮に手引きしていたと聞いて、二人はますます訝しげな顔になった。
「あ、皆さんには知らない人間の名前を連呼しててすいません。オズワルドというのは、デルトフィアの王子で、俺に不死鳥の卵を取り戻して来いって無茶振りしたはた迷惑な奴です。多分そのうち姿を現すと思いますので、紹介はその時に」
このタイミングでオズワルドのことを雑に説明すると、皆は分かったような分からないような顔になった。そもそも記憶阻害の影響があるから、名前を言ったところで覚えられない人は覚えられない。本人が現れた時にちゃんと紹介すればいいだろう。
マスルールが怪しいということに関しては、俺は結構早い段階で気付いていた。
オズワルドが難なく王宮に現れたことといい、イラムに侵入していたことといい、普通に考えたら誰かがオズを内部に手引きしたと思うだろう。あいつの忘却魔法がいくら優秀だとしても、あんなにスムーズにイラムに入り込んでくるなんておかしい。
ライネルやクリスも王宮に潜入していたんだから、それだって誰かの協力が必要だったはずだ。あの王子は特殊能力のおかげで自分は簡単に忍びこめても、人を潜入させるのは向いていない。
そしてオズワルドのことを忘れないほど神聖力が強く、不死鳥の卵の闇オークションの情報を漏らしたり、デルトフィアに計略を図ろうとするラムルの内部情勢を彼に教えるような人間は、俺の知り得る限り一人しかいない。
二人がいつから顔見知りだったのかは知らないが、オズがマスルールを利用して王宮に潜入したことは多分間違いない。
思い返すと、オズワルドはマスルールに対して他人に対する態度としては少しおかしいところもあったしな。
オズワルドの奴、そのくらい俺にも伝えとけよ。
あいつの俺を巻き込まないようにっていう無駄な気遣いが、これに関しては余計なお世話すぎる。
マスルールがオズワルドを手引きしてる協力者だと知っていれば、俺はこの二日間もう少し上手く動けたんじゃないか?
そう考えてから、いや、そうでもないかと思い直す。
いずれにしても六女典礼とアシュラフ皇帝に関してはオズワルドは関係ないし、俺もマスルールも想定外のことが多すぎた。
でも次にあの王子にあったら絶対文句言ってやる。
「あの方からは、くれぐれもあなたには逃亡犯のことがバレないように、危険が及ばないように注意しろと言われていました」
マスルールが少し居心地が悪そうにしながら言う。
「そもそもはデルトフィアから国外に逃げた指名手配犯がわが国の内部に潜んでいるようだと知って、殿下に情報を渡したのは私です。私もバレンダール卿に手を貸してクレイドルに計略を巡らせている内部の人間を炙り出したかった。殿下に頼まれてそちらの二人が王宮に入れるように手も貸しましたが、そのうち陛下が六女典礼を始めてしまい、それに加えてあなたがイラムに転がり込んで来てしまったので、私もしばらく混乱していました」
「……俺が自ら転がり込んだんじゃない。あの悪魔に勝手に買われてイラムに突っ込まれたんだよ」
「そうですね……。すみません、陛下にオークションのことを嗅ぎつけられたのは私の瑕疵です」
でもその悪魔がアシュラフ皇帝に取り憑く原因を作ったのは俺だから、やっぱり巡り巡って俺のせいってことになるのか?
もう状況がややこしくてこんがらがる。
悩み始めた俺の頭をグウェンが撫でてきた。
「君は巻き込まれただけだ。全ての責任は君を拉致したオズワルド第二王子殿下にある」
「グウェンー」
俺は横向きのまま彼に抱きついて広い胸に頭を擦り付けた。背中に腕が回って慰めるように抱き返してくれる。
そうだ。きっかけを作ったのは思いつきで俺を拉致したオズワルドなんだよ。だから俺は悪くない。多分。
落ち着いてまた前を向くと、皆が生暖かい目を向けてくるが俺は気にしない。情緒不安定なんだ。少しくらいは大目に見てほしい。
ーーママどうしたのー?
メルと戯れていたベルが俺の膝に顎を乗せてきたので、首元の被毛をふわふわさせてもらって癒された。
「なんでもないよ。ありがとう。もうちょっとで終わると思うけど、暇だったら外に遊びに行ってきてもいいよ」
そう言うと、少し考える顔になったベルは頷いた。
ーー僕おそと行ってくるー。
ベルが立ち上がると立髪にじゃれついていたメルはぴょんと跳んで俺の膝に乗った。
「メルは行かないの?」
「ぴぃ」
残る、と言っているのか、メルは俺の膝から下りない。
「僕も行きますね」
パンを食べ終わったウィルがベルに続いて立ち上がった。
「ウィル、ベルをよろしく。外は水路があるから気をつけてね、あまり奥には入らないように」
「わかりました」
頷いたウィルがベルを連れてリビングから出て行った。二人とも鈴園の中を珍しそうに眺めていたから、探検したかったのかもしれない。
話が途切れたが、俺が確認したかったことはこれで聞けた。
バレンダール公爵の案件に手を出すかどうかは、皇帝の悪魔騒動が片付いてからグウェンと交渉しよう。
そろそろアシュタルトの話に流れを戻そうかと思った時、マスルールが深刻そうな顔で「確認したいのですが」と言って俺を見てきた。
「オズワルド殿下からは、一昨日の夜を最後に連絡が途絶えています。あなたには何か知らせがありましたか」
そう聞かれて、俺はきょとんと目を瞬かせる。
「一昨日会ったとき、オズはグウェンを探して来るって言ってたはずだけど。グウェンの方から先に来ちゃったから、入れ違いになってまだどこかで探してるんじゃ?」
そういえば、俺もオズには昨日の夜も会っていないな。
軽く首を傾げると、マスルールは思案するような顔になって眉を寄せた。
「私は、彼を地上に下ろしていないんです。一昨日」
「え?」
予想外のことに俺も眉を寄せる。
下ろしていない?
つまりオズは地上に下りてないってことか?
一昨日の夜から?
「マスルールさん以外で誰かに忘却魔法をかけて下ろしてもらったとか……」
「私がいるのに、他の皇族を頼る理由がわかりません。わざわざ忘却させるのも面倒でしょうし、彼の魔法は忘れさせるのであって、従わせることはできないはずです」
「確かに……」
やけにきっぱり言い切るマスルールの態度を少し怪訝に思いながらも、俺は頷く。
でもそうすると、オズワルドはまだイラムの中にいるってことにならないか?
「あいつ、行方不明ってこと? イラムで迷子?」
どういうことなんだ。
俺が大変な目に遭っていたこの二日間、あいつは消息不明だったのか?
俺が不審な顔をすると、マスルールは緊張感のあるトーンで話を続けた。
「そちらの方を探しに行く前に鍵を探さなければならないと言って、別れたきり戻って来ませんでした」
「また鍵……?」
あいつも鍵を探してんのかよ。
そういやあの悪魔も鍵がどうとか言ってたんだよな。
ふと昨日の夜の悪魔とのやり取りを思い出していたら、今度は横からルシアも口を出してきた。
「あの、私もおかしいなと思っていました。お兄ちゃんとオズワルド殿下に連絡を取るために、サラさんが昨日地上に下りましたが見つからなくて、私もイラムの中を探しましたがやっぱり見つかりませんでした」
「……じゃあ、あいつ本当に行方不明なのか? イラムで?」
それを聞いて俺は鍵のことを一旦頭の隅に置き、盛大に呆れた声を出した。
あのお騒がせ王子はこの重大なときに何してんだよ。
「現状では殿下がいなくても問題はない。放っておこう」
グウェンが俺を抱えたまま無情なことを言い、オズをバッサリ切り捨てようとする。
彼の言い様に少し頬を引き攣らせたマスルールが食い下がった。
「殿下の荷物がイラムの私の部屋に置いたままなので、何かあったのではないかと思うのですが……」
それを聞いて俺はまた首を傾げる。
「イラムの中を探してみたんですか?」
「はい。昨日の夕方から私もイラムの中と地上の宮殿は一通り探しましたが、見つかりませんでした」
「それならやっぱり、誰かひっかけて自分で地上に下りたんじゃ? あの王子はたまにぶっとんだことをするから、何か思いついてふらっと外に出てるとか」
「それならいいのですが……」
この人、やけにオズワルドに対して過保護だな。
マスルールが昨日の夜捕まらなかったのは、これが理由だったのか。まさかうちのお騒がせ王子のせいだったとは思わなかった。
「あいつは魔力も強いし、忘却魔法が使えるから一人でも滅多なことにはならないと思う。イラムの中で見つからないなら、アシュラフ皇帝の件が片付いてから探してみよう」
あの王子のことだから、もしかしたら今日の夜にでもふらっと戻ってくるかもしれないしな。
俺がそう言うと、マスルールはまだ腑に落ちないという顔をした。何か言いたげな表情で口を開きかけ、逡巡してからその口を閉じる。
彼の態度に違和感を感じつつも、俺はオズワルドの件は一旦横に置いて話の流れを元に戻すことにした。
アシュタルトの居場所も分からない以上、呪いの方を先に片付けるべきだろう。
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