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後悔 1
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僕は主を守れなかった。
生まれてすぐに親に捨てられた僕は、種族の違う後の兄に主の元に連れて行かれた。
最初はなんだか分からなかった。ただ温かく優しい人だった。
しばらくして、主は二重人格という人だと知った。厳密には主の体には2つの魂が複雑に絡み合い1人の人間になったという話だ。
主人格のユキともう1人の人格のミユというらしい。合わせて美由紀と言うらしい。ミユが教えてくれたけど、ユキに本当は美由紀という名前を両親から貰い、もう1人の存在と名前が無いのを知って名前をお互いに付け合って今の名前にしたと教えてくれた。
僕とミユは仲良しだ。本当はミユと結婚したかったけど兄にこの世界では結婚はできないと教えられた。それに結婚できたら俺はユキとしたいがお前はミユが好きだろ。それに譲る気はないだろうし、たがら今のままが一番いい関係を築けていると思う。とも言ってた。
頭が良く体はがっしりとして大きく、部下(警察犬)からの信頼もあり統率力は他の街よりも強いのではないだろうか。警察庁のお偉いさんが兄に子供ができたら1人譲り受けたいと里親候補に立候補してきた。それ程に兄は優秀な人材(犬材?)らしい。
それに憧れ、この街の野良猫たちのボスを僕が継いで街の安全を守ることに徹した。犯人の追跡や情報提供と容疑者の監視を強化し、兄に報告し容疑者を捕まえるという流れを作ってみた。兄は少し心配していたがありがとうと感謝され、野良猫たちの中では外飼の家猫なる者もいた。
主の親友は猫の自警団だねと言われそれが街中に広がった。通りをたまたま歩いていたら「自警団猫が歩いている」と言われたり煮干しなどのおやつをもらったりしている。
部下(自警団猫)たちにはおやつは貰いすぎないように、もし多くもらったら巡回に参加出来ない下の子に渡すことを義務化した。
それなりに忙しい毎日はあっという間に過ぎ、兄の仕事の相棒(主の親友の夫で警察官)の所に待望の赤ちゃんが出来た頃、僕たちは自分たちの妻と子を授かって何度か里親に出した。
みんな大変優秀で、里親先も大変満足している様だ。まぁ、僕は子供が立て続けに生まれた為、子が生まれた2年目に夫婦ともに去勢手術をした。それなりに痛かったが仕方ない事だと諦めた。
そんな、少し賑やかな毎日が続くと思っていたある日、不穏な影は唐突に現れた。
その日は兄も兄の相棒も仕事で家を留守にしていた。家には主と親友と親友の仕事仲間2人(親友は漫画家で主は家の管理人らしい)と僕と僕らの妻と子がいた。なんとなく嫌な予感がして、ミユに頼んでみんなを主のお祖母ちゃんの部屋に向かった。
子供らは言うことを聞かないので主にお願いしてキャリーに入れてもらい、お祖母ちゃんの部屋に入った。中はザ田舎の茶室といった感じの部屋で、基本は身の危険が迫っている場合のみ硬く(物理的に)閉ざされている場所だそう。
解錠に時間が掛かったものの無事中に入ることが出来た。中から鍵を掛けると家の窓ガラスが割れる音と人が中に入った音が聞こえた。話の内容からどうやら相棒が過去に捕まえた強盗団らしく、報復の為にわざわざ居場所を調べ上げお礼参りに来たようだ。暇な人たちだ。念の為窓辺にいた際鳴いたので今頃は兄に身の危険が迫っていることは知っているだろう。
家の中をひっくり返しながら目的の人物を探しているらしい。ガシャンガシャンと何かが落ちる音かあちこちから聞こえて来る。たまに苛立ちから叫び声も聞こえている。部屋数だけは家人より多いことが功を奏したようだ。
そんな中主は冷静に畳を剥がし床下の秘密の抜け道を開いていた。中は広く実は隣の敷地(お偉いさんの家)の納屋に通じている。
勿論許可は生前のお祖母ちゃんが家主と話し合って納屋風緊急避難所を作ったのだ。お祖母ちゃんが亡くなった後、主が家主から聞き僕と親友夫婦と兄が詳細や道順を知っている。
畳と床板がくっついているので少し重たいらしいが、難なく剥がし中の親友と仕事仲間の2人が階段を慎重に降りて行く。中はヘッドライトを付けないと暗くて分からないからだ。キャリーを仕事仲間が持って行く際僕は妻に子供達を頼んだ。
生まれてすぐに親に捨てられた僕は、種族の違う後の兄に主の元に連れて行かれた。
最初はなんだか分からなかった。ただ温かく優しい人だった。
しばらくして、主は二重人格という人だと知った。厳密には主の体には2つの魂が複雑に絡み合い1人の人間になったという話だ。
主人格のユキともう1人の人格のミユというらしい。合わせて美由紀と言うらしい。ミユが教えてくれたけど、ユキに本当は美由紀という名前を両親から貰い、もう1人の存在と名前が無いのを知って名前をお互いに付け合って今の名前にしたと教えてくれた。
僕とミユは仲良しだ。本当はミユと結婚したかったけど兄にこの世界では結婚はできないと教えられた。それに結婚できたら俺はユキとしたいがお前はミユが好きだろ。それに譲る気はないだろうし、たがら今のままが一番いい関係を築けていると思う。とも言ってた。
頭が良く体はがっしりとして大きく、部下(警察犬)からの信頼もあり統率力は他の街よりも強いのではないだろうか。警察庁のお偉いさんが兄に子供ができたら1人譲り受けたいと里親候補に立候補してきた。それ程に兄は優秀な人材(犬材?)らしい。
それに憧れ、この街の野良猫たちのボスを僕が継いで街の安全を守ることに徹した。犯人の追跡や情報提供と容疑者の監視を強化し、兄に報告し容疑者を捕まえるという流れを作ってみた。兄は少し心配していたがありがとうと感謝され、野良猫たちの中では外飼の家猫なる者もいた。
主の親友は猫の自警団だねと言われそれが街中に広がった。通りをたまたま歩いていたら「自警団猫が歩いている」と言われたり煮干しなどのおやつをもらったりしている。
部下(自警団猫)たちにはおやつは貰いすぎないように、もし多くもらったら巡回に参加出来ない下の子に渡すことを義務化した。
それなりに忙しい毎日はあっという間に過ぎ、兄の仕事の相棒(主の親友の夫で警察官)の所に待望の赤ちゃんが出来た頃、僕たちは自分たちの妻と子を授かって何度か里親に出した。
みんな大変優秀で、里親先も大変満足している様だ。まぁ、僕は子供が立て続けに生まれた為、子が生まれた2年目に夫婦ともに去勢手術をした。それなりに痛かったが仕方ない事だと諦めた。
そんな、少し賑やかな毎日が続くと思っていたある日、不穏な影は唐突に現れた。
その日は兄も兄の相棒も仕事で家を留守にしていた。家には主と親友と親友の仕事仲間2人(親友は漫画家で主は家の管理人らしい)と僕と僕らの妻と子がいた。なんとなく嫌な予感がして、ミユに頼んでみんなを主のお祖母ちゃんの部屋に向かった。
子供らは言うことを聞かないので主にお願いしてキャリーに入れてもらい、お祖母ちゃんの部屋に入った。中はザ田舎の茶室といった感じの部屋で、基本は身の危険が迫っている場合のみ硬く(物理的に)閉ざされている場所だそう。
解錠に時間が掛かったものの無事中に入ることが出来た。中から鍵を掛けると家の窓ガラスが割れる音と人が中に入った音が聞こえた。話の内容からどうやら相棒が過去に捕まえた強盗団らしく、報復の為にわざわざ居場所を調べ上げお礼参りに来たようだ。暇な人たちだ。念の為窓辺にいた際鳴いたので今頃は兄に身の危険が迫っていることは知っているだろう。
家の中をひっくり返しながら目的の人物を探しているらしい。ガシャンガシャンと何かが落ちる音かあちこちから聞こえて来る。たまに苛立ちから叫び声も聞こえている。部屋数だけは家人より多いことが功を奏したようだ。
そんな中主は冷静に畳を剥がし床下の秘密の抜け道を開いていた。中は広く実は隣の敷地(お偉いさんの家)の納屋に通じている。
勿論許可は生前のお祖母ちゃんが家主と話し合って納屋風緊急避難所を作ったのだ。お祖母ちゃんが亡くなった後、主が家主から聞き僕と親友夫婦と兄が詳細や道順を知っている。
畳と床板がくっついているので少し重たいらしいが、難なく剥がし中の親友と仕事仲間の2人が階段を慎重に降りて行く。中はヘッドライトを付けないと暗くて分からないからだ。キャリーを仕事仲間が持って行く際僕は妻に子供達を頼んだ。
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