私の転生先を神様(竜神様)が"勝手に"決めました ~ドラゴンテイマーになりました~

黒炎 瑠懿

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閑話 ~箸休めにどうぞ~

ドレイクの1週間異世界旅行 4 (~祖父母というものは~)

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 謁見の間に通され中に進む。近衛兵だろうか?周りを警戒しているようだ。大半はフードを目深に被った俺のせいなのだが今は気にしない。


 玉座まで来ると、膝間付き頭を垂れた。ゆっくりと歩く音が響く。それも複数の足音だ。


「おもてを上げよ」
 フードを被っているがおもてを上げた。
「フードを取ることは可能か?」
 顔が見たかったのだろう。フードに手を掛けめくり顔を露にした。
 すると、目の前の玉座にいる皇帝ももちろん、周りにいた者もそしてドレイクも驚いた。
 そこには幾分か歳を重ね老いた自分ドレイクと、砂時計を反転させたかの様な若かりし姿の自分陛下が目の前にいたのだ。

 両者しばらく固まっていると、突然玉座の横の扉が勢い良く開いた。そこには寝間着姿の陛下と同じく歳を重ねた女性で、彼女はドレイクを見た瞬間涙を流しながら、ヨロヨロと歩いて来た。
 一瞬、身構えたが感づかれてしまい、一気に距離を詰められて両手を伸ばして来た。


「ごめんなさい。エレバル。淋しい想いをさせてしまって......助けに行けない母で......ごめんなさい。貴方を守ってあげられなくて......」
 女性はドレイクは抱き締めて何度も謝罪する。時折頭を撫でながら合えた喜びと虚しさで感情が定まっていないらしい。
 そして、エレバルという人を知らない。もし彼(?)彼女(?)が生きているなら、なんて行っただろうか。悩みながら言葉を紡いだ。
「俺は、エレバル出はないですが、その人が生きているなら≪もう悩まないで下さい。私の分まで生きて前を見てください≫と思っていると思います」
 
 一瞬だけ、眼を見開いた彼女はその後笑みを浮かべて眠りに就いた。慌てて彼女を支え途方に暮れていると、陛下が歩み寄る。

 真っ正面から彼を見る。眼の色と年齢が違うだけで、ほとんど同じな彼は眼を細目ながら笑みを浮かべる。
「妻の長年の憂いを解放してくれ感謝する。妻をこちらに......君は確か、"安息の島"の出身なんだったね。名前を聞いても良いだろうか?」
 そう言うと陛下は、彼女を掬い上げ横抱きにした。それから、近くに控えていた女性近衛兵の2人に妻を託し、寝室と医師を手配していた。
 そういえば、名前を名乗らず固まったままでナアナアになっていたのを思い出した。

「失礼しました。俺の名はドレイク。先程陛下の仰っていた"安息の島"出身です。しかし、俺には父も母も兄弟姉妹もおりません」
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