142 / 158
閑話 ~箸休めにどうぞ~
ドレイクの1週間異世界旅行 4 (~祖父母というものは~)
しおりを挟む
謁見の間に通され中に進む。近衛兵だろうか?周りを警戒しているようだ。大半はフードを目深に被った俺のせいなのだが今は気にしない。
玉座まで来ると、膝間付き頭を垂れた。ゆっくりと歩く音が響く。それも複数の足音だ。
「おもてを上げよ」
フードを被っているがおもてを上げた。
「フードを取ることは可能か?」
顔が見たかったのだろう。フードに手を掛けめくり顔を露にした。
すると、目の前の玉座にいる皇帝ももちろん、周りにいた者もそしてドレイクも驚いた。
そこには幾分か歳を重ね老いた自分と、砂時計を反転させたかの様な若かりし姿の自分が目の前にいたのだ。
両者しばらく固まっていると、突然玉座の横の扉が勢い良く開いた。そこには寝間着姿の陛下と同じく歳を重ねた女性で、彼女はドレイクを見た瞬間涙を流しながら、ヨロヨロと歩いて来た。
一瞬、身構えたが感づかれてしまい、一気に距離を詰められて両手を伸ばして来た。
「ごめんなさい。エレバル。淋しい想いをさせてしまって......助けに行けない母で......ごめんなさい。貴方を守ってあげられなくて......」
女性はドレイクは抱き締めて何度も謝罪する。時折頭を撫でながら合えた喜びと虚しさで感情が定まっていないらしい。
そして、エレバルという人を知らない。もし彼(?)彼女(?)が生きているなら、なんて行っただろうか。悩みながら言葉を紡いだ。
「俺は、エレバル出はないですが、その人が生きているなら≪もう悩まないで下さい。私の分まで生きて前を見てください≫と思っていると思います」
一瞬だけ、眼を見開いた彼女はその後笑みを浮かべて眠りに就いた。慌てて彼女を支え途方に暮れていると、陛下が歩み寄る。
真っ正面から彼を見る。眼の色と年齢が違うだけで、ほとんど同じな彼は眼を細目ながら笑みを浮かべる。
「妻の長年の憂いを解放してくれ感謝する。妻をこちらに......君は確か、"安息の島"の出身なんだったね。名前を聞いても良いだろうか?」
そう言うと陛下は、彼女を掬い上げ横抱きにした。それから、近くに控えていた女性近衛兵の2人に妻を託し、寝室と医師を手配していた。
そういえば、名前を名乗らず固まったままでナアナアになっていたのを思い出した。
「失礼しました。俺の名はドレイク。先程陛下の仰っていた"安息の島"出身です。しかし、俺には父も母も兄弟姉妹もおりません」
玉座まで来ると、膝間付き頭を垂れた。ゆっくりと歩く音が響く。それも複数の足音だ。
「おもてを上げよ」
フードを被っているがおもてを上げた。
「フードを取ることは可能か?」
顔が見たかったのだろう。フードに手を掛けめくり顔を露にした。
すると、目の前の玉座にいる皇帝ももちろん、周りにいた者もそしてドレイクも驚いた。
そこには幾分か歳を重ね老いた自分と、砂時計を反転させたかの様な若かりし姿の自分が目の前にいたのだ。
両者しばらく固まっていると、突然玉座の横の扉が勢い良く開いた。そこには寝間着姿の陛下と同じく歳を重ねた女性で、彼女はドレイクを見た瞬間涙を流しながら、ヨロヨロと歩いて来た。
一瞬、身構えたが感づかれてしまい、一気に距離を詰められて両手を伸ばして来た。
「ごめんなさい。エレバル。淋しい想いをさせてしまって......助けに行けない母で......ごめんなさい。貴方を守ってあげられなくて......」
女性はドレイクは抱き締めて何度も謝罪する。時折頭を撫でながら合えた喜びと虚しさで感情が定まっていないらしい。
そして、エレバルという人を知らない。もし彼(?)彼女(?)が生きているなら、なんて行っただろうか。悩みながら言葉を紡いだ。
「俺は、エレバル出はないですが、その人が生きているなら≪もう悩まないで下さい。私の分まで生きて前を見てください≫と思っていると思います」
一瞬だけ、眼を見開いた彼女はその後笑みを浮かべて眠りに就いた。慌てて彼女を支え途方に暮れていると、陛下が歩み寄る。
真っ正面から彼を見る。眼の色と年齢が違うだけで、ほとんど同じな彼は眼を細目ながら笑みを浮かべる。
「妻の長年の憂いを解放してくれ感謝する。妻をこちらに......君は確か、"安息の島"の出身なんだったね。名前を聞いても良いだろうか?」
そう言うと陛下は、彼女を掬い上げ横抱きにした。それから、近くに控えていた女性近衛兵の2人に妻を託し、寝室と医師を手配していた。
そういえば、名前を名乗らず固まったままでナアナアになっていたのを思い出した。
「失礼しました。俺の名はドレイク。先程陛下の仰っていた"安息の島"出身です。しかし、俺には父も母も兄弟姉妹もおりません」
0
お気に入りに追加
190
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

ここは貴方の国ではありませんよ
水姫
ファンタジー
傲慢な王子は自分の置かれている状況も理解出来ませんでした。
厄介ごとが多いですね。
裏を司る一族は見極めてから調整に働くようです。…まぁ、手遅れでしたけど。
※過去に投稿したモノを手直し後再度投稿しています。

3回目巻き戻り令嬢ですが、今回はなんだか様子がおかしい
エヌ
恋愛
婚約破棄されて、断罪されて、処刑される。を繰り返して人生3回目。
だけどこの3回目、なんだか様子がおかしい
一部残酷な表現がございますので苦手な方はご注意下さい。

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

転生テイマー、異世界生活を楽しむ
さっちさん
ファンタジー
題名変更しました。
内容がどんどんかけ離れていくので…
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
ありきたりな転生ものの予定です。
主人公は30代後半で病死した、天涯孤独の女性が幼女になって冒険する。
一応、転生特典でスキルは貰ったけど、大丈夫か。私。
まっ、なんとかなるっしょ。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

元捨て子の新米王子様、今日もお仕事頑張ります!
藤なごみ
ファンタジー
簡易説明
転生前も転生後も捨て子として育てられた少年が、大きく成長する物語です
詳細説明
生まれた直後に病院に遺棄されるという運命を背負った少年は、様々な境遇の子どもが集まった孤児院で成長していった。
そして孤児院を退寮後に働いていたのだが、本人が気が付かないうちに就寝中に病気で亡くなってしまいす。
そして再び少年が目を覚ますと、前世の記憶を持ったまま全く別の世界で新たな生を受ける事に。
しかし、ここでも再び少年は生後直ぐに遺棄される運命を辿って行く事になります。
赤ん坊となった少年は、果たして家族と再会する事が出来るのか。
色々な視点が出てきて読みにくいと思いますがご了承ください。
家族の絆、血のつながりのある絆、血のつながらない絆とかを書いて行く予定です。
※小説家になろう様でも投稿しております

転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる