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2章 前編
動き出した世界( 3 ~中央皇帝の皇帝の中庭にて~)
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別の視点
ある晴れ渡る日、帝国の中庭にて小さな茶会が開かれた。今日は東以外の王達と前中央皇帝両陛下の毎年の恒例茶会の日だ。王達は両陛下の実子でそれぞれ北、西、南、中央の王にして国を蛮族から守っている。
近年東の公国にて人族が、攻略に向け進軍しているとの話が聞こえている。
しかし、東を守るはずであった末の子は、19年前にある有能な近衛兵に託して以来会っていない。
それどころか、その者は先の惡魔との大戦の最中この帝国に帰り身を挺して、息を引き取る間際に「安息の地にて、私の番に託した」と伝え散った。
その後、安息の地とされる場所は人族と惡魔達により滅亡し消息を断った。
今は亡き卵を最期に看ることもなく、妻は「絶対に生きている」と心を病み、悲しみに暮れながらようやく立ち直ったが、その時から卵が産まれなくなってしまい今に至る。春の柱が亡くなった事により、多くの者が子や卵が産めなくなってしまったのだと気付いた時には、すでに手遅れ。今では我が孫も望めないのだと諦めるしかない。
そして、東を守ることも出来ず、只見守ることしか出来ない我が身を呪った。
しかし半年前、神の導きにより安息の地に赴き人化の儀を久々にした。
今回の子はオスのドラゴンで分厚い大きな布を眼部下に被りながら歩いてくる。少し違和感があったが、多分【スカルドラゴン】だからなのだろう。嫌われることの多い種族なので、彼なりに配慮したのだろう。
そして彼の血縁者席に小さな少女が座っていた。沢山のドラゴンに囲まれた少女が、眼を輝かせながらこちらを見た時、ある予感が脳裏を駆け巡った。
【彼女は春の柱だ。しかも、"誕生"と"生命"を司る竜の1人だ】と。
そして気付いた。血縁者の席にいる少女が柱の竜であるならば、目の前のドラゴンは何者なのか?
身体付きからして、【スカルドラゴン】であることは窺えるが、もし彼が春の柱ならば今の状態でも特徴があるはずだ。確認したいが儀式中なので後にすることにした。
神に祈りながら人化の儀を行う。
光に包まれドラゴンは完璧に少年の姿なった。最初にしてはなかなか筋が良いと感心した。
白銀の髪に日焼けした健康的な肌、そして宝石の様な濃いアメジストの瞳に精悍な顔立ちの少年。
そして、席に座っていた少女が見惚れていた。しかし、こんな時間なので当たり前なのだが、少女は途中で眠ってしまった。傾いた彼女は椅子から転げ落ちそうなる。
すると慌て様に彼は途中で彼女に近寄った。かなり慌てていたのだろう。人化が解けその姿を見て皆言葉を失った。
その姿は先代の春の柱その者だったのだ。
黒色の骨の鎧に筋肉質な身体はうっすらと鱗が生えている。胸の中心にはアメジストの魔石が嵌め込まれており、方翼に2枚の大鳥の様な翼ともう方翼の2枚は骨バネになっていた。尻尾も骨で出来ており、鞭のように靱やかでいながら無機質。手足は甲冑の小手の様に骨で覆われている。
戦闘中の先代の"平穏"と"安らかな眠り"を司る竜に、酷使していた。
やっと終わるのだ。終わり無き地獄が......そしてやっと始まるのだ。幸福て新たなの未来が......
涙を流す者もいる中、気が付いたドラゴンは罰が悪そうに渋い顔をし人化し少年の姿になる。その腕にはスヤスヤと少女が眠っている。
「お帰りなさいませ、柱の竜様方。あなた方の帰還をお待ちもうしました」
私は代表として言い、跪き神戸を垂れた。皆それに習い皆が傅く。
「頭を上げて下さい!俺はまだ、柱になっていないし、この事は神が定めた時まで待って下さい。その時も傅くの止めて下さい。この子にもしないで下さいね?」
慌てて少年は話す。そしてこれからのことも話終え皆解散する。
皆晴れ渡る様な清々しい顔をしていた。新たな時代が来たと皆思い未来に想いを馳せ、過去に別れを告げたのだった。
ある晴れ渡る日、帝国の中庭にて小さな茶会が開かれた。今日は東以外の王達と前中央皇帝両陛下の毎年の恒例茶会の日だ。王達は両陛下の実子でそれぞれ北、西、南、中央の王にして国を蛮族から守っている。
近年東の公国にて人族が、攻略に向け進軍しているとの話が聞こえている。
しかし、東を守るはずであった末の子は、19年前にある有能な近衛兵に託して以来会っていない。
それどころか、その者は先の惡魔との大戦の最中この帝国に帰り身を挺して、息を引き取る間際に「安息の地にて、私の番に託した」と伝え散った。
その後、安息の地とされる場所は人族と惡魔達により滅亡し消息を断った。
今は亡き卵を最期に看ることもなく、妻は「絶対に生きている」と心を病み、悲しみに暮れながらようやく立ち直ったが、その時から卵が産まれなくなってしまい今に至る。春の柱が亡くなった事により、多くの者が子や卵が産めなくなってしまったのだと気付いた時には、すでに手遅れ。今では我が孫も望めないのだと諦めるしかない。
そして、東を守ることも出来ず、只見守ることしか出来ない我が身を呪った。
しかし半年前、神の導きにより安息の地に赴き人化の儀を久々にした。
今回の子はオスのドラゴンで分厚い大きな布を眼部下に被りながら歩いてくる。少し違和感があったが、多分【スカルドラゴン】だからなのだろう。嫌われることの多い種族なので、彼なりに配慮したのだろう。
そして彼の血縁者席に小さな少女が座っていた。沢山のドラゴンに囲まれた少女が、眼を輝かせながらこちらを見た時、ある予感が脳裏を駆け巡った。
【彼女は春の柱だ。しかも、"誕生"と"生命"を司る竜の1人だ】と。
そして気付いた。血縁者の席にいる少女が柱の竜であるならば、目の前のドラゴンは何者なのか?
身体付きからして、【スカルドラゴン】であることは窺えるが、もし彼が春の柱ならば今の状態でも特徴があるはずだ。確認したいが儀式中なので後にすることにした。
神に祈りながら人化の儀を行う。
光に包まれドラゴンは完璧に少年の姿なった。最初にしてはなかなか筋が良いと感心した。
白銀の髪に日焼けした健康的な肌、そして宝石の様な濃いアメジストの瞳に精悍な顔立ちの少年。
そして、席に座っていた少女が見惚れていた。しかし、こんな時間なので当たり前なのだが、少女は途中で眠ってしまった。傾いた彼女は椅子から転げ落ちそうなる。
すると慌て様に彼は途中で彼女に近寄った。かなり慌てていたのだろう。人化が解けその姿を見て皆言葉を失った。
その姿は先代の春の柱その者だったのだ。
黒色の骨の鎧に筋肉質な身体はうっすらと鱗が生えている。胸の中心にはアメジストの魔石が嵌め込まれており、方翼に2枚の大鳥の様な翼ともう方翼の2枚は骨バネになっていた。尻尾も骨で出来ており、鞭のように靱やかでいながら無機質。手足は甲冑の小手の様に骨で覆われている。
戦闘中の先代の"平穏"と"安らかな眠り"を司る竜に、酷使していた。
やっと終わるのだ。終わり無き地獄が......そしてやっと始まるのだ。幸福て新たなの未来が......
涙を流す者もいる中、気が付いたドラゴンは罰が悪そうに渋い顔をし人化し少年の姿になる。その腕にはスヤスヤと少女が眠っている。
「お帰りなさいませ、柱の竜様方。あなた方の帰還をお待ちもうしました」
私は代表として言い、跪き神戸を垂れた。皆それに習い皆が傅く。
「頭を上げて下さい!俺はまだ、柱になっていないし、この事は神が定めた時まで待って下さい。その時も傅くの止めて下さい。この子にもしないで下さいね?」
慌てて少年は話す。そしてこれからのことも話終え皆解散する。
皆晴れ渡る様な清々しい顔をしていた。新たな時代が来たと皆思い未来に想いを馳せ、過去に別れを告げたのだった。
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