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2章 前編
動き出した世界( 2 ~東の公国にて~)
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※ 長め
「それは、話して良かったのかい?」
「広めなければ特に問題ないかと。リラは元々先代の火の柱の末娘の孫で、今も数ヶ月に1度のペースで里帰りしてますよ。ちなみに私は3代前の風の柱で、年末年始に会いに行っていますし。半年前に春の柱のうちの1人の人化の儀に出席しましたしね」
「春の柱に合ったのか?」
この言葉にはかなり驚いたのだろう。リード公子は聞き返す。
「そうですよ。これ話して大丈夫かい?」
オリーク卿は相棒竜に訪ねる。すると、【大丈夫だ】と言うように頷かれる。それから彼は話を再開した。
「春の柱は別名で本来の名は、"誕生"と"生命"を司る竜と"平穏"と"安らかな眠り"を司る竜。この御二人から成り立っています。このうちの"平穏"と"安らかな眠り"を司る竜の人化の儀があり、その時に拝見しましたよ。とても精悍な顔立ちの男児でしたよ。それに"誕生"と"生命"を司る竜の方は竜人の血が濃かったのでしょう。かわいらしい方でした」
「ちょっと待て!2人いたのか?そもそも、柱の竜はドラゴンがなる者ではないのか?」
慌てたようにレオ公子が割って入った。呆れたとばかりにオリーク卿と相棒竜がため息を吐く。
「私達柱の竜の血縁者は、それぞれ違う姿で生まれることがあります。それこそ、親の血筋に魔人がいればたまに魔人の姿で生まれたり、逆にドラゴンから聖獣が生まれ、その聖獣から竜人が生まれることもありますよ。それこそドラゴンと竜人の番は珍しくもありませんしね」
絶句していると突然、地震が起きた。揺れが大きく立つことも出来ない。なのにオリーク卿はスクッと立ち相棒竜とは、違う方向の窓から魔法を放つ。どうしたかと聞くと帰って来た言葉は「城下町の建物の倒壊を危惧して、倒壊防止の魔法と移転魔方陣を頭上に展開し落下物の処理をしまただけです。すみません」と返してきた。
遠いと言っても柱の竜の血筋。こんな芸当も出きるのだと改めて痛感した。
揺れが収まるとどこからか歌が聞こえ出した。讃美歌のような美しい歌声は低音から高音まであった。中には少しだけ音程を外している者もいたが、とても美しい音色だった。
「もう少し落ち着いたら良かったのにな。全く大地のドラゴンは......」
そう言いながら、ため息を付くオリーク卿と相棒竜。だったが彼は3人の公子の方を見て
「公子方こちらに、ドラゴン達が歌い始めましたよ」
3人は急いで外を見る。そこには大小様々なドラゴン達が鳴き声を上げていた。中には城よりも大きいドラゴンが空白の土地に何匹かいて、首を伸ばしながら天に向かって鳴いていた。多分揺れはこのドラゴン達だろう。
するとオリーク卿の相棒竜も歌い出した。とても温かみのある鳴き声で歌うが少しだけ違った。
まるで何かを告げるように天に向かって鳴いていた。
「どうやら、生まれたみたいですね。最後のお子が......良かった......本当に良かった」
オリーク卿は涙を流しながら天に向かって祈っていた。そんな彼を慰めるように相棒竜が顎を擦り付けて鳴く。
そんな様子を見てリード公子、レオ公子とゼア公子は互いを見やり頷き合った。
「オリーク卿。我々に貴殿の知識をご教示いただくことは可能でしょうか?」
リード公子が聞くとオリーク卿は笑みを浮かべて、こう告げるのだった。
「私で良ければお教えしましょう。全てを......ただし、柱の竜側と公国側の一般常識がかなりずれているため、周囲からは好奇な目に晒される可能性もありますが......」
「大丈夫だ。父にも話を通す。そうすれば、好奇な目にも会わないだろう」
「それに知らない知識に触れれば何か国のためなりそうだ」
「そうだよ。面白そうだ」
助言したがどうやら、この国の公子様方は好奇な目も勉強も苦ではないらしい。
オリーク卿は少し笑いながらも真剣に答えるのだった。
「それでは、その時は竜化の儀に必要な魔力の鍛え方からしましょうか。今からなら1年後の竜化の儀にも間に合いましょう」
「「「それは、面白そうだ!」ね!」」
それからしばらく、オリーク卿の執務室で話し合った3人の公子達は、父に話を通してから魔力を増やす術を教えて貰うのだった。
「それは、話して良かったのかい?」
「広めなければ特に問題ないかと。リラは元々先代の火の柱の末娘の孫で、今も数ヶ月に1度のペースで里帰りしてますよ。ちなみに私は3代前の風の柱で、年末年始に会いに行っていますし。半年前に春の柱のうちの1人の人化の儀に出席しましたしね」
「春の柱に合ったのか?」
この言葉にはかなり驚いたのだろう。リード公子は聞き返す。
「そうですよ。これ話して大丈夫かい?」
オリーク卿は相棒竜に訪ねる。すると、【大丈夫だ】と言うように頷かれる。それから彼は話を再開した。
「春の柱は別名で本来の名は、"誕生"と"生命"を司る竜と"平穏"と"安らかな眠り"を司る竜。この御二人から成り立っています。このうちの"平穏"と"安らかな眠り"を司る竜の人化の儀があり、その時に拝見しましたよ。とても精悍な顔立ちの男児でしたよ。それに"誕生"と"生命"を司る竜の方は竜人の血が濃かったのでしょう。かわいらしい方でした」
「ちょっと待て!2人いたのか?そもそも、柱の竜はドラゴンがなる者ではないのか?」
慌てたようにレオ公子が割って入った。呆れたとばかりにオリーク卿と相棒竜がため息を吐く。
「私達柱の竜の血縁者は、それぞれ違う姿で生まれることがあります。それこそ、親の血筋に魔人がいればたまに魔人の姿で生まれたり、逆にドラゴンから聖獣が生まれ、その聖獣から竜人が生まれることもありますよ。それこそドラゴンと竜人の番は珍しくもありませんしね」
絶句していると突然、地震が起きた。揺れが大きく立つことも出来ない。なのにオリーク卿はスクッと立ち相棒竜とは、違う方向の窓から魔法を放つ。どうしたかと聞くと帰って来た言葉は「城下町の建物の倒壊を危惧して、倒壊防止の魔法と移転魔方陣を頭上に展開し落下物の処理をしまただけです。すみません」と返してきた。
遠いと言っても柱の竜の血筋。こんな芸当も出きるのだと改めて痛感した。
揺れが収まるとどこからか歌が聞こえ出した。讃美歌のような美しい歌声は低音から高音まであった。中には少しだけ音程を外している者もいたが、とても美しい音色だった。
「もう少し落ち着いたら良かったのにな。全く大地のドラゴンは......」
そう言いながら、ため息を付くオリーク卿と相棒竜。だったが彼は3人の公子の方を見て
「公子方こちらに、ドラゴン達が歌い始めましたよ」
3人は急いで外を見る。そこには大小様々なドラゴン達が鳴き声を上げていた。中には城よりも大きいドラゴンが空白の土地に何匹かいて、首を伸ばしながら天に向かって鳴いていた。多分揺れはこのドラゴン達だろう。
するとオリーク卿の相棒竜も歌い出した。とても温かみのある鳴き声で歌うが少しだけ違った。
まるで何かを告げるように天に向かって鳴いていた。
「どうやら、生まれたみたいですね。最後のお子が......良かった......本当に良かった」
オリーク卿は涙を流しながら天に向かって祈っていた。そんな彼を慰めるように相棒竜が顎を擦り付けて鳴く。
そんな様子を見てリード公子、レオ公子とゼア公子は互いを見やり頷き合った。
「オリーク卿。我々に貴殿の知識をご教示いただくことは可能でしょうか?」
リード公子が聞くとオリーク卿は笑みを浮かべて、こう告げるのだった。
「私で良ければお教えしましょう。全てを......ただし、柱の竜側と公国側の一般常識がかなりずれているため、周囲からは好奇な目に晒される可能性もありますが......」
「大丈夫だ。父にも話を通す。そうすれば、好奇な目にも会わないだろう」
「それに知らない知識に触れれば何か国のためなりそうだ」
「そうだよ。面白そうだ」
助言したがどうやら、この国の公子様方は好奇な目も勉強も苦ではないらしい。
オリーク卿は少し笑いながらも真剣に答えるのだった。
「それでは、その時は竜化の儀に必要な魔力の鍛え方からしましょうか。今からなら1年後の竜化の儀にも間に合いましょう」
「「「それは、面白そうだ!」ね!」」
それからしばらく、オリーク卿の執務室で話し合った3人の公子達は、父に話を通してから魔力を増やす術を教えて貰うのだった。
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