妻が森で幼女を拾い、我が家の養女に迎えました。

黒炎 瑠懿

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閑話(過去の話~始まりの~)

義兄と私8

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誰かの視点

 とりあえず、私の治療が終わったらしい。久々に左目で景色を見る。特に視界の歪みやぼやけなどはない。少年は鏡を取り私に見せた。そこには、私の姿がハッキリと写っている。しかし、今までと違う点としては左目がみえているぐらいで変わりはない。
「どうだい?ハッキリと見えるかな?」
「大丈夫だ。見えている」
「目も能力も治してしまったけど大丈夫だったかい?もし、気に入らないなら魔法陣を仕込んだ眼帯を作ってあるから、それを使ったらいい。俺は特殊加工魔導具専門の付与技師エンチャント・クラフターだから」
 そう少年が言うと机の中から黒い三角形の眼帯を取り出した。表面には口を開けて牙を剥き出しにした獣のような加工がされていた。正直少し怖いような気がする。小さい子が見たら必ず泣くだろう。
「............」
「ごめんよ。これはいつも俺がつけている眼帯だから。これでも、冒険者もやっていてね。時々良い素材が手にはいるから、それを組み合わせて適当に付けてるだけだから。後で君専用の眼帯を作るから、気にしないで」
 絶句してしまったかと思ったらしい彼は怒濤のごとく、言い訳を並べ始めた。別に好みが合わないとか場違いなデザインは兎も角、使われている革は見る人が見れば分かるほどの革で、大体Aランク相当の魔獣の革だろう。牙に至っては、かなり状態のよい代物だった。何故こんなところに付けてるいるのだろうか?センスの問題なのだろうか。趣味趣向の問題なのか。あれか。前にどこかの商人が言っていた「人には異種族関係なくある病気にかか人がいる。自分はどの種族よりも強いと自負してみたり、なんの力を持たない目に"この右目に宿りしナンヤラカンラヤ"と豪語してみたりなど、様々あるようだが大体12才から長くても18才までで症状が緩和されるそうだが、魅入られた者は一生付き合わなければならない病気」があるそうだ。もしかしたら、少年は魅入られた者なのだろうか?大丈夫だろうか?
 疑問で首を傾けていたら、少年と目が合い。少年は念押しのごとく「別に俺は中二病じゃないから。あくまで突発性の効果付与のために装飾品の良し悪し抜きで作ったものだから」と首を振りながら言っていた。

 もしかしたら、触れてはいけない何かがあるかもしれない。
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