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1.全ての始まり

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11年前ーー。


「奏斗!早く起きなさい!学校遅れるよ!」

いつものお母さんの声で目が覚める。

「あと5分…。」

「あと5分じゃないでしょ!ほら、早く起きる!」

そう言いながら、僕がかけていた布団を取った。

「寒いじゃないか!」

「もー、何言ってるの!さぁ、早く歯を磨いて!」

「ちぇ、はーい。」

僕はそう言って洗面所へ向かった。
そして、歯磨きをしていると

「おにいちゃん!おはよう!」

と妹の陽香がドアからひょこっと顔を出して笑顔で挨拶をしてきた。

「おはよう」

陽香はまだ3歳でとても可愛く自慢の妹だ。
よく僕に幼稚園の出来事などを話してくれる。

「今日ね、友達とおままごとする約束をしているんだよ!」

「そうなんだ、楽しみだね!」

「うん!」

そんな話をしているうちにあっという間に時間が経ち、陽香は幼稚園へ僕は学校に向かった。
何事もない普通の毎日。
僕はそういう日が続くと思っていた。
そう、あの日まではーー。

あの日はいつものように学校に行っていた。
もうすぐ授業が終わりそうなときに、そのときがやってきたのだ。

グラグラグラ…

「え、地震?」

急にグラグラと地面が揺れだす。
次第に揺れは激しくなってきた。

「きゃあああ!!」

「みんな、机の下に隠れて!」

担任の先生が叫んだ。
クラスのみんなはすぐさま机の下に隠れる。
そして、どこからかドーンと大きい音が鳴り響いた。

『なんの音だ…?』

僕はそう思いながらも机の足の部分を強く握りしめた。
そして、数分経って地震がようやく止んだ。

「うわーん!怖かったよー。」

「みんな落ち着いて!まだ机から出たらダメだよ!まずは放送が来るのを待ちましょう。」

クラス中が騒がしくなっている。
そして、ピンポンパンポーンと放送の音が流れ始めた。

【地震が発生しました。皆さんは落ち着いて、今すぐ校庭へ避難してください。これは訓練ではありません。もう一度連絡します。地震がーー】

「みんな、今すぐ校庭へ行くよ!怪我してる子はいない?」

みんなが動こうとしたそのとき、放送から変な音が聞こえてきた。

【今すぐ校庭へ避難…ドーン!ギュヤアアア!え、なに!?きゃあああ!グチャピチャ…】

「え、なんの音?」

放送はそのままシーンと静かになった。
先生の声じゃない声。そして、何かの音。
明らかに放送室で何かが起こったということだけは分かった。

「ち、ちょっと放送室に行ってきますね。みんなは避難する準備をしておいてください。」

そう言って、先生は放送室へ向かった。
そして、あれから数分が経つが先生はまだ帰ってこない。
危機的な状況。またいつ地震が来るのか分からないこの状況で、僕たちは先に避難しようとしたそのとき

ドーン!

突然、教室の壁が壊れた。

「きゃあああー!!」

「うわー!」

みんなが一斉にして叫ぶ。

『けほっごほっ、何が起きたんだ…!?』

確認しようとしたけど、視界がくもっていてよく見えない。
そして、薄々と見え始めてきた。

「みんな!大丈…夫…。」

僕がそう言いながら瓦礫の山になった壁を見た瞬間、腰が抜けるかのように全身の力がなくなった。

「ひぃ…!」

瓦礫の山には数人ぐらいの人が下敷きになって死んでいた。

「きゃああああ!!」

「いやあああ!」

クラスのみんなは青ざめた顔で叫ぶ。

ガラッ…

その瓦礫の山を踏むかのように見たことのない巨大なバケモノが教室に入ってきた。

「ひっ…!?」

「な、何だこのバケモノは…!?」

そのバケモノは僕たちを見た瞬間

「ギェエエエエエ!!!」

と叫び、突然襲いかかってきた。

「に、にげろおお!」

「きゃゃあああ!」

バケモノは細長い足でたくさんの人をグサグサと突き刺していく。
そして突き刺した人が多くなると大きな口を開けてボリグチャバキッと食べ始めた。

「あぁあいつっ…!ひ、人を食ってやがるぞ!」

「こ、殺される…!」

「いやだ…!助けて…!お母さん…!」

僕たちは必死で逃げた。
友達、転んでしまった人、恐怖で動けなくなった人など、たくさんの人が食い殺された。
廊下や教室は血だらけ。
まるで地獄を見ているかのような気分だった。

「はぁ、はぁ。」

僕は体力が尽き、物陰に隠れる。
遠くではまだ人の叫び声が聞こえてきた。

『誰か…!助けて…!』

僕はブルブル震える自分の身体を抱きしめながら強く願った。
そのとき

ドーン!

とまた大きな音が聞こえた。

「え…。」

隣を見るとまたさっきのとは違うバケモノが目の前にいた。

「お、終わりだ…。」

僕はグッと目をつぶった。

グシャ…!

という音が聞こえ、僕は殺されたかと思ったがいつまで経っても痛みが来ない。

『え…?』

僕は恐る恐る目を開けてみた。

「ギ、ギャアアアア…!」

目の前のバケモノは体から血を流し、ズダーンと倒れる。

「な、何が起こって…。」

僕は何が起こったのか分からず、唖然としていると

「大丈夫か!」

と1人の男が声をかけてくれた。

「生存者を確認!今すぐ避難所へ誘導します。」

『助かった…?』

僕は安心したのか、スっと意識が無くなった。
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