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俺が転移の用意を整えた話
しおりを挟む「そういえば、祝福とかスキルとか、どんなのがあるんだろう」
ポップアップされたウィンドウをスライドさせて、隠れていた表示画面を見つけ出した。
一番最初にみていた画面である。
祝福の文字に触れると、新たにポップアップウィンドウが出てきた。
【受ける祝福】
創造神の寵愛
・創造神の力によりご都合主義展開に出来る
・毎日届く創造神からの試練をクリアしなければならない
精霊王の祝福
・精霊に愛される
・精霊と会話が出来る
・人間からは好かれなくなる
「え、何この二択」
またズラーっと祝福が並んでいるのかと思いきや、まさかの二択に思考が停止しかける。
というより祝福の内容がなんとも言えない。
創造神の寵愛はご都合主義展開に出来るイコール、現実世界に帰還はしやすいのだろうけど、毎日お告げが届くとは……。
一方の精霊王の祝福は精霊と会話出来るというのに心惹かれるものの──なんといっても異世界転生もののある意味王道要素だからだ──人間からは好かれなくなるってめちゃくちゃ生きづらそうでしかない。
「これ、スキルの方はどうなんだ?」
祝福の下に書いてあるスキルの文字に触れると祝福の時と同じようにポップアップウィンドウが出てきた。
【授かるスキル】
鑑定
・あらゆるものの詳細を知ることが出来る。
収納
・あらゆるものを異空間にしまうことができて、それをいつでも取り出すことが出来る。
六神通
・神足通、天耳通、他心通、宿命通、天眼通、漏尽通の六つを毎日一つだけ、使用出来る。
「え、少な過ぎない?」
──そんなことはありません。
またあの声が脳内に聞こえてくる。
──きちんとどの世界観でも通用するよう、授けられる祝福と与えられるスキルを調節しているのです。
「どの世界観でも?」
──はい。 例えばイリスの恋煩いのように、魔法のない世界線でダメージ無効だとか取得しても意味がありません。 なので、予めどの転移先をチョイスしても、矛盾しないように祝福とスキルを調節しています。
「いや、単に選ばなかったらいいだけじゃないの。 というか、その世界線で収納スキル必要か?」
──必要に決まってます! アイテムボ……収納スキルがあるかないかで雲泥の差です!
こいつ今アイテムボックスって言いかけたよな?
──例えば、目の前に英和辞典を借りに攻略対象が現れたとします。 なのに、英和辞典が手元になければイベントをこなせません! ですが! アイテムボ……収納があることにより、いつでも英和辞典を取り出すことが出来て、イベントもこなせるわけです!
「……で?」
──はい?
「いや、意味がわからない」
──どこがです?
「仮にアイテムボックスはオーケーだとして、精霊王のなんちゃらていう祝福はアウトじゃないの? 魔法のない世界で精霊とか居ないだろ」
──そこはアレです。 不思議系で通せますし、なにより不思議なものが見える脇役総嫌われからの総愛され展開は萌えるんです。
うーん、やばいな。
いまいち何を言ってるのか理解できない。
全く辻褄が合っていないというか、支離滅裂というか、ぶっちゃけただの性癖なんじゃ……。
「……」
とりあえず俺は聞かなかったことにして、目の前のスキル内容に思考を向ける。
というか、鑑定ぐらい異世界転移のオプションでつけといてくれよと思いつつ、次に書いてある収納という言葉に「まじでなんで収納なんだ」と呟いた。
例の声も何度かアイテムボックスと言いかけていたし、なんでわざわざ収納って名称にしたのだろうか。
「これ、いまいちよくわからんのだよな」
六神通という文字にクエスチョンマークが浮かぶ。
説明文を読んでもいまいちわからない。
地獄に関する六道がなんたらとか、そういうあれそれだろうか?
でも、神だとか通だとか、字面だけ見ると何らかの力だったり?
曖昧な記憶を引っ張りながら頭をひねっていると、あの声が訂正に入る。
──六神通とは、簡潔にいうと人智を超えた六つの神の力ですね。
「へ、へえ」
神の力というワードに強く惹かれる一方、なんでこのスキルはオーケーなんだと疑問が浮かぶ。
駄目だ、気にしないで置こう。
スルースキル大事。
にしても、神の力……か。
いまいち天耳通や漏尽通だとか、ピンとこないものが多いけれど、他心通とか人の心読めそうだし、神足通とかめちゃくちゃ速く走れそうでなんかかっこいい。
六神通の説明文だけは各力の箇所のみ青白く光っているので、多分触れると詳しい説明が聞けるのだろう。
俺はとりあえず漏尽通という全く連想出来ない力から解釈を聞こうと青白く光る漏尽通の文字に触れた。
──煩悩が尽き、今生を最後にし、二度と世界に生まれないことを知る智慧。
「はい?」
つまりどういうことだってばよ、と、脳内で某忍者がログインする。
──簡潔に言えば、生まれ変わることはなくなったと知る力です。
「……それ、知ったところでなんか役立つの?」
神の力なんていうけれど、思ったよりも使えない力なのかもしれないな、なんてことを考えながら、神足通に触れる。
──自由自在に自分の思う場所に行き来できる。 簡潔にいうと瞬間移動の上位互換であり、空中飛行、水面歩行、壁をすり抜けることも出来る力です。
「な、なんだと」
前言撤回。
神の力めちゃくちゃ有能だった。
天耳通、他心通、宿命通、天眼通と順々に説明を聞いた結果を簡潔に脳内でまとめていく。
天耳通は世界全ての声や音を聞き分けられる力。
つまり某偉人的な力だけど、使う場面が来るかと言われると微妙。
他心通は俺の想像通りの力で他人の心の中を全て読み取れる力。
めちゃくちゃほしい。
宿命通は自他の過去や前世、生活を知る力。
他人の過去や前世とかには興味ないが、自分の前世はなんなのかは地味に気になっていたりする。
天眼通は生き物の輪廻転生をみる力で、いつ死ぬのかなどもわかるらしい。
すごい。
一通り六神通の詳細を聞き終えたところで、再び頭に浮かんできた疑問。
なんでこのスキルだけは魔法のない世界で通用できるんだ?
「はあ」
無意識にため息が出る。
まあ、気にしても意味ないのだろうけど。
さてまあ、自分のことを考えますか。
というか、もしかしてもしかしなくても、祝福を創造神の寵愛にするとご都合主義展開ってことで、マジックバックを手に入れたり、鑑定出来るマジックアイテムが手に入るのではないか?
「よし、決めた! 受ける祝福は創造神の寵愛、授かるスキルは六神通で!」
俺の声があたりに虚しく響く。
特に何も反応がない。
「えーと」
もう一度画面をみる。
一見すると何も変化はない。
しかし、よくよく一文字一文字確認していくと、少し前まで青白く光っていた『祝福』と『スキル』の文字が黒くなっている。
黒くなった文字に触れても、ポップアップウィンドウは出てこない。
どうやらいつの間にか、この二つの項目については選択を終えたと判断されたようである。
「あとは移転先、か」
移転先の文字に触れて、移転先一覧を開く。
「てか、なんで移転先だけこんなに多いんだ……」
俺は悩んでいた二つの移転先を思い出す。
たしか、『明かされる海の都の謎と奇跡』と『三人のウィザード』だったか。
「というか、精霊王のなんちゃらが無いと明かさるーの方はクリアー出来なさそうだな」
──そんなことはないですよ。 なにせご都合主義展開になる創造神の寵愛を授かってますから。
「お、おう……そうか」
だが、精霊王のなんちゃら選んでないのに大地の精霊を探す展開はなあ。
流石に違う感がある。
「よし、決めた! 三人のウィザードで!」
悩んだ末、俺は三人のウィザードを選択した。
いよいよ俺も創作の世界でしか経験できないであろう、異世界転移を経験出来るのか、と、胸が高鳴る。
「よし」
ひと呼吸置いて、俺はやけにバクバクとうるさい心臓をなだめながら、パイプイスに座り、目を閉じたのだった。
──それじゃ、よい異世界ライフを。 イッチくん。
「え?」
イッチくん?
リアルでは限られた人しか呼ばない俺のあだ名をなんでこの声の人が知っているんだ?
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