雨の日に再会した歳下わんこ若頭と恋に落ちるマゾヒズム

倉藤

文字の大きさ
上 下
16 / 33
第一章

温度差

しおりを挟む
「もうわかった。お前も黙れ」

 そこからは夢中になろうと行為だけに意識を向けた。優しく触れられた箇所は疼いてたまらないのに、やはり物足りなくて、自分から黙れと言ったくせに苦悶を漏らした。

「ん・・・はあ、強く」
「ふふ。・・・・・・やらしい」

 本堂は乳首のリングに指を引っ掛け手前に引き伸ばす。ピアス穴が痛むが、伊津は恍惚した心地になった。

「ぁぅ、うっ!」

 ゆるゆると熱く湿った舌がへそ周りを這い、下生えを唾液で濡らしながら勃ち上がった幹を探し当てると、先端に登っていく。

「んあ、本堂・・・いい」

 伊津はうっとりと呟く。ジュルと先っぽを吸われ、喉奥まで呑み込まれたペニスはビクビクと反り返って快感を享受する。
 より深く愛するために本堂は伊津の性器を口から出すと、伊津を持ち上げてダイニングテーブルに寝かせ、脚を広げさせた。

「伊津さん、乳首は自分で弄ってて」

 そう言い脚の間に顔を埋め、先端から竿全体を口に含んだ。激しい出し入れが始まり、口淫の合間には、怖いくらいの力でぎゅっぎゅっと袋を揉まれる。反射的に閉じようとする脚は、本堂がいるせいで閉じられなかった。

「ひっ、ぅ、う、ううう———!」

 痛いと気持ちいいが混同する。
 電流が爆ぜるように脳裏が点滅して、脳みそをかき混ぜられる感じが好きで、伊津は腰を震わせて達した。

「ぎゃ、あ、あっ、吸うなっ、ひぃ、ん・・・あぁぁ」

 吐精する勢いよりも強く吸われている。無理やり吸い出される感覚に身悶えた。出なくなった後には、舌で鈴口をほじくられ最後の一滴まで搾り取られる。

「あっ、あっ、もう無理」
「まだここからだろ?」

 本堂はニヤリと笑うと、がっちりと脚を押さえ込んだまま、窄まりに舌を這わせた。

「無理・・・無理・・・・・・、ふざけんなっ・・・限界」

 しかし皺を広げるように丹念に入り口を慣らされ、吐息が漏れる。恥ずかしいが、本堂のものが欲しくて、そこはヒクヒクと媚びていた。

 舌が抜かれ、指が侵入してくる。伊津のナカを知っている指は大胆に奥へと進んでくる。
 そして的確に、伊津の感じるしこりを押した。

「ひゃ、っ、ぃやっ、あっ」

 リズミカルにノックされ、伊津の腰が合わせるようにびくんびくんと跳ねる。
 力を失くしていたペニスは勃ち上がりを見せ、本堂は見逃さずに握り込んだ。前立腺を押されながら、上下に扱かれると、腹の奥がきゅんと締まる感覚がする。

 ———欲しい。そこまで・・・欲しい。

 伊津はへそを撫でて、涙の滲む瞳を本堂に向けた。

「本堂・・・っ、挿れて」
「挿れてる」
「違う。指じゃなくて、お前のそれ」

 だが本堂はかぶりを振った。

「駄目だ。伊津さんが諦めてセーフワードを言ってくれるまで挿れない」
「なんだよそれ。セーフワードになってないだろうがよ」
「それでもだ。これだけでも失神するまで満足させられる」

 窄まりを拡げる指に腹部がひくんと震えたが、伊津は唇を噛んだ。

「お前はぜんぜんサド役に向いてねぇ。もっとガツガツやれ。足りない・・・・・・っ」
「伊津さん」

 本堂は覆い被さってくる。

「伊津さん。俺は本気だから。いつかわかってくれ」
「本堂」

 真面目な顔で見つめられ、伊津は息を詰めた。

 ———こいつは。

 鼓動する胸の中で、捻じ曲がった感情がむくむくと湧きあがる。

 ここまでして、———本当にいつか・・・でいいのかよ。
 それは逃げ腰になってるだけじゃないのか。
 俺のことが好きなら、いつかなんて言わずに今。

「伊津さん? ぼーっとしてるぞ」
「ちっ、一生言ってやんねぇよ」
「じゃあ一生こうしてていいってことだな。伊津さんも一生、生殺しだ」
「馬鹿め。別にお前以外にも男なんざ山ほど・・・」

 いいや。これまでが無かったんだから、これからだって無い。
 本堂が血まみれで飛び込んでこなければ、再び男と触れ合う機会なんてありえなかった。

 自分はもう嫌というほど思い知らされたじゃないか。
 他人の言葉に信用性が無いのを知っている。

 ———なのに、また、脆い関係にのめり込んでた。

 思いとどまれて良かった。

 伊津は考えるのをやめて口を閉ざす。許された幸せだけを受け止めるために目を閉じた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない

絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

いつかコントローラーを投げ出して

せんぷう
BL
 オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。  世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。  バランサー。  アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。  これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。  裏社会のトップにして最強のアルファ攻め  ×  最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け ※オメガバース特殊設定、追加性別有り .

組長と俺の話

性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話 え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある? ( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい 1日1話かけたらいいな〜(他人事) 面白かったら、是非コメントをお願いします!

目が覚めたら囲まれてました

るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。 燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。 そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。 チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。 不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で! 独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。

甘々彼氏

すずかけあおい
BL
15歳の年の差のせいか、敦朗さんは俺をやたら甘やかす。 攻めに甘やかされる受けの話です。 〔攻め〕敦朗(あつろう)34歳・社会人 〔受け〕多希(たき)19歳・大学一年

a pair of fate

みか
BL
『運命の番』そんなのおとぎ話の中にしか存在しないと思っていた。 ・オメガバース ・893若頭×高校生 ・特殊設定有

オメガなパパとぼくの話

キサラギムツキ
BL
タイトルのままオメガなパパと息子の日常話。

かわいい王子の残像

芽吹鹿
BL
 王子の家庭教師を務めるアリア・マキュベリー男爵の思い出語り。天使のようにかわいい幼い王子が成長するにつれて立派な男になっていく。その育成に10年間を尽くして貢献した家庭教師が、最終的に主に押し倒されちゃう話。

処理中です...