12 / 33
第一章
セーフワードは言えない
しおりを挟む
「あ、うっ」
伊津は畳にしかと額を打ちつけた。四つん這いの形とはいえ、手が後ろに回っているため、畳に顔が擦れる。例えるなら土下座に近い。首も痛い。
「油断しないでよ伊津さん、俺も無知じゃない」
一瞬で自由を奪われ、支配された。
冷や汗と共に這い上がってくる興奮。期待以上だ。
「ふ、いいよ・・・・・・もっとやれよ」
「煽ったことを後悔させてあげようか。ああ、いいな、じゃあセーフワードは『本堂さん大好き、ごめんなさい』にしよう」
「言ってろ、ガキンチョ。なげぇわ!」
「ほんと口が悪いよ。最高」
着流しの尻を捲り上げられ、下着を下ろし、生身になった肌に手始めの一発。乾いた音を立てて本堂が尻を叩く。
「ぅあっ」
「いい尻だ。その辺の若い女よりもそそる」
「そうかよ・・・ゲテモノ好きだな」
「素直じゃないのは結構だが、口はつぐんでおいた方がいい。今は、ご主人様は俺だ。口に出していいのはセーフワードか、喘ぎ声だけにしろ。命令だ」
趣味でもないくせに、ご主人様だなんてどこで覚えてきたんだと呆れる。命令ならば背けない。従ってやる。
伊津はむしろ手ほどきしてあげるつもりで口を閉じたが、不意打ちでペニスの先端の丸みを撫でられ、仔犬の鳴き声のような声がこぼれた。
恥ずかしいやつだ。
「ひゃ、ん!!」
何すんだとばかりに仰ぎ見れば、本堂は冷静に口元だけを引き上げた。
「反抗的だな。だが伊津さんのここはまるで正反対の反応だなぁ?」
「・・・・・・っ!」
本堂は背中から覆い被さって、伊津の耳元に口を近づける。
にゅちにゅちと先走りに濡れた先端をしごかれ、隠しきれていない己れの貪欲さに気づかされた。
突き放した言い方をせずに、濁さず素直に、本堂に身を委ねて快感を貪りたい。
こいつになら自分の尊厳を奪わせてもいい。
屈服してからは早かった。伊津の心は溶かされて崩された。暴言を吐くうるさい唇は閉口した。
居間に響くのは命令する本堂の声とみだらに鳴く伊津の声だけ。
「あ、ぅ、んんう」
本堂は執拗に背中へ口づけを落としている。
何ヶ所もきつく吸い上げて痕を残され、俺の背中には啜りたくなるほど美味い果実でもついているのかと訊いてやりたくなる。
その間もペニスを握る手は休まず働き、敏感に膨らんだ亀頭を親指でぐりぐりといじった。
「・・・ひ、ひあっ」
雫の滲んだところに指を食いこませて擦られるたび、伊津は射精感をこらえて頭を振った。
「こらっ」
本堂はペニスの根本を掴み、逃げた腰を咎める。
「動くな」
大きな手は幹だけでなく、しごくのに合わせてボールが入った袋まで器用に握りこみ揉みしだいだ。
「あっ、ああっ」
ごりごりと二つのボールが擦れ合い、本堂の手の中で可哀想に形を変える。
手つきは繊細で優しいのに、急所を握られていることに変わりはない。その絶妙なバランスが伊津をさらに駆り立てた。
「ここ、うっかり潰しちゃいそう」
握った手に力を込められ、本能が危機を感じて暴れる。
「はぁぁ・・・・・・うっ!!」
ぎちぎちと痛みが増して限界を焼き切り、伊津のペニスは精液を漏らしていた。
吐精した伊津は反射的に青ざめた。
組長の許可なく射精してしまった。
息を詰めたまま動かなくなった伊津に、本堂は安心させるように囁く。
「俺はこういうのもあっていいと思うが?」
髪をすいた穏やかな手つきに肩の力が抜ける。
たまっていた涙がこぼれたのと同時に、呼吸が戻った。
———こいつは竜善組長じゃない。
息を吸い込んだ喉をひと撫でされ、本堂がその流れのまま顎を持ち上げた。
「伊津さんの泣いた顔は結構くる。泣いて、泣いて、伊津さんがもういいイきたくないってセーフワードを言うまで犯し続けてやるから。望みどおりにな」
「・・・・・・ん」
本堂は再びのしかかってきた。
尻の割れ目に猛った雄の象徴が当たる。張り出した瘤のような頑強な剛直。
窄まった後孔にじわじわと圧をかけられ、はっ、はっ、と伊津の呼吸が上がった。
本物の男を受け入れるのは数年ぶり。慣らさなずに突っ込まれたら間違いなく内臓が裂けるだろう。
入り口がわずかに広がる。ぎゅっと孔を締めてみても、重たい肉塊にみしみしと拓かれていく。
しかし痛みを覚えたところで圧が和らいだ。
「このまま突き破ってほしいか?」
「あ・・・・・・ぃや・・・」
「嘘をつかない。伊津さんのちんこがもう半勃ちしてる」
本堂が伊津のペニスを握り、ぐちゃぐちゃと容赦なくしごく。
「ンっんんぅう! 出る、ああっ、出る出る出るっっ!」
ぼたぼたと畳の上が汚れる。
放出感でぶるりと震えた伊津のそこは、休む間もなく続いた責め苦にむせび泣かされた。
後ろでは本堂が窄まりの入り口を慣らすように腰を前後させ、時折り押し込んでは、頭がめり込むぎりぎりで腰を引く。
「アっ、あっ、あ、あ、止め、や、ぐあああっ」
「セーフワード以外は聞かない」
「ひ、ひぃ・・・・・・ぅあっ」
次から次にやってくる快感の連鎖。
後孔は本堂の我慢汁でびしょびしょにされてぬかるんでいる。
このまま一気に性器を押し込んで本堂のモノで壊してほしい。壊れてもいい。
想像すると、幸福感で脳裏が点滅した。
精液を出しきった伊津のペニスが、勢いよくぷしゃりと潮を撒き散らす。
「あ、あああ・・・・・・ぅ、う、ううう」
止まらない。腹の底から迫り上がってきたマグマみたいな熱い飛沫が、尿道を拡げ押し出される。
痙攣する伊津は息を吸うのに精一杯で、喘ぎながら脱力する。
この日は最後までセーフワードは口にできなかった。
伊津は畳にしかと額を打ちつけた。四つん這いの形とはいえ、手が後ろに回っているため、畳に顔が擦れる。例えるなら土下座に近い。首も痛い。
「油断しないでよ伊津さん、俺も無知じゃない」
一瞬で自由を奪われ、支配された。
冷や汗と共に這い上がってくる興奮。期待以上だ。
「ふ、いいよ・・・・・・もっとやれよ」
「煽ったことを後悔させてあげようか。ああ、いいな、じゃあセーフワードは『本堂さん大好き、ごめんなさい』にしよう」
「言ってろ、ガキンチョ。なげぇわ!」
「ほんと口が悪いよ。最高」
着流しの尻を捲り上げられ、下着を下ろし、生身になった肌に手始めの一発。乾いた音を立てて本堂が尻を叩く。
「ぅあっ」
「いい尻だ。その辺の若い女よりもそそる」
「そうかよ・・・ゲテモノ好きだな」
「素直じゃないのは結構だが、口はつぐんでおいた方がいい。今は、ご主人様は俺だ。口に出していいのはセーフワードか、喘ぎ声だけにしろ。命令だ」
趣味でもないくせに、ご主人様だなんてどこで覚えてきたんだと呆れる。命令ならば背けない。従ってやる。
伊津はむしろ手ほどきしてあげるつもりで口を閉じたが、不意打ちでペニスの先端の丸みを撫でられ、仔犬の鳴き声のような声がこぼれた。
恥ずかしいやつだ。
「ひゃ、ん!!」
何すんだとばかりに仰ぎ見れば、本堂は冷静に口元だけを引き上げた。
「反抗的だな。だが伊津さんのここはまるで正反対の反応だなぁ?」
「・・・・・・っ!」
本堂は背中から覆い被さって、伊津の耳元に口を近づける。
にゅちにゅちと先走りに濡れた先端をしごかれ、隠しきれていない己れの貪欲さに気づかされた。
突き放した言い方をせずに、濁さず素直に、本堂に身を委ねて快感を貪りたい。
こいつになら自分の尊厳を奪わせてもいい。
屈服してからは早かった。伊津の心は溶かされて崩された。暴言を吐くうるさい唇は閉口した。
居間に響くのは命令する本堂の声とみだらに鳴く伊津の声だけ。
「あ、ぅ、んんう」
本堂は執拗に背中へ口づけを落としている。
何ヶ所もきつく吸い上げて痕を残され、俺の背中には啜りたくなるほど美味い果実でもついているのかと訊いてやりたくなる。
その間もペニスを握る手は休まず働き、敏感に膨らんだ亀頭を親指でぐりぐりといじった。
「・・・ひ、ひあっ」
雫の滲んだところに指を食いこませて擦られるたび、伊津は射精感をこらえて頭を振った。
「こらっ」
本堂はペニスの根本を掴み、逃げた腰を咎める。
「動くな」
大きな手は幹だけでなく、しごくのに合わせてボールが入った袋まで器用に握りこみ揉みしだいだ。
「あっ、ああっ」
ごりごりと二つのボールが擦れ合い、本堂の手の中で可哀想に形を変える。
手つきは繊細で優しいのに、急所を握られていることに変わりはない。その絶妙なバランスが伊津をさらに駆り立てた。
「ここ、うっかり潰しちゃいそう」
握った手に力を込められ、本能が危機を感じて暴れる。
「はぁぁ・・・・・・うっ!!」
ぎちぎちと痛みが増して限界を焼き切り、伊津のペニスは精液を漏らしていた。
吐精した伊津は反射的に青ざめた。
組長の許可なく射精してしまった。
息を詰めたまま動かなくなった伊津に、本堂は安心させるように囁く。
「俺はこういうのもあっていいと思うが?」
髪をすいた穏やかな手つきに肩の力が抜ける。
たまっていた涙がこぼれたのと同時に、呼吸が戻った。
———こいつは竜善組長じゃない。
息を吸い込んだ喉をひと撫でされ、本堂がその流れのまま顎を持ち上げた。
「伊津さんの泣いた顔は結構くる。泣いて、泣いて、伊津さんがもういいイきたくないってセーフワードを言うまで犯し続けてやるから。望みどおりにな」
「・・・・・・ん」
本堂は再びのしかかってきた。
尻の割れ目に猛った雄の象徴が当たる。張り出した瘤のような頑強な剛直。
窄まった後孔にじわじわと圧をかけられ、はっ、はっ、と伊津の呼吸が上がった。
本物の男を受け入れるのは数年ぶり。慣らさなずに突っ込まれたら間違いなく内臓が裂けるだろう。
入り口がわずかに広がる。ぎゅっと孔を締めてみても、重たい肉塊にみしみしと拓かれていく。
しかし痛みを覚えたところで圧が和らいだ。
「このまま突き破ってほしいか?」
「あ・・・・・・ぃや・・・」
「嘘をつかない。伊津さんのちんこがもう半勃ちしてる」
本堂が伊津のペニスを握り、ぐちゃぐちゃと容赦なくしごく。
「ンっんんぅう! 出る、ああっ、出る出る出るっっ!」
ぼたぼたと畳の上が汚れる。
放出感でぶるりと震えた伊津のそこは、休む間もなく続いた責め苦にむせび泣かされた。
後ろでは本堂が窄まりの入り口を慣らすように腰を前後させ、時折り押し込んでは、頭がめり込むぎりぎりで腰を引く。
「アっ、あっ、あ、あ、止め、や、ぐあああっ」
「セーフワード以外は聞かない」
「ひ、ひぃ・・・・・・ぅあっ」
次から次にやってくる快感の連鎖。
後孔は本堂の我慢汁でびしょびしょにされてぬかるんでいる。
このまま一気に性器を押し込んで本堂のモノで壊してほしい。壊れてもいい。
想像すると、幸福感で脳裏が点滅した。
精液を出しきった伊津のペニスが、勢いよくぷしゃりと潮を撒き散らす。
「あ、あああ・・・・・・ぅ、う、ううう」
止まらない。腹の底から迫り上がってきたマグマみたいな熱い飛沫が、尿道を拡げ押し出される。
痙攣する伊津は息を吸うのに精一杯で、喘ぎながら脱力する。
この日は最後までセーフワードは口にできなかった。
2
お気に入りに追加
100
あなたにおすすめの小説

いつかコントローラーを投げ出して
せんぷう
BL
オメガバース。世界で男女以外に、アルファ・ベータ・オメガと性別が枝分かれした世界で新たにもう一つの性が発見された。
世界的にはレアなオメガ、アルファ以上の神に選別されたと言われる特異種。
バランサー。
アルファ、ベータ、オメガになるかを自らの意思で選択でき、バランサーの状態ならどのようなフェロモンですら影響を受けない、むしろ自身のフェロモンにより周囲を調伏できる最強の性別。
これは、バランサーであることを隠した少年の少し不運で不思議な出会いの物語。
裏社会のトップにして最強のアルファ攻め
×
最強種バランサーであることをそれとなく隠して生活する兄弟想いな受け
※オメガバース特殊設定、追加性別有り
.

ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。

君はアルファじゃなくて《高校生、バスケ部の二人》
市川パナ
BL
高校の入学式。いつも要領のいいα性のナオキは、整った容姿の男子生徒に意識を奪われた。恐らく彼もα性なのだろう。
男子も女子も熱い眼差しを彼に注いだり、自分たちにファンクラブができたりするけれど、彼の一番になりたい。
(旧タイトル『アルファのはずの彼は、オメガみたいな匂いがする』です。)全4話です。
インテリヤクザは子守りができない
タタミ
BL
とある事件で大学を中退した初瀬岳は、極道の道へ進みわずか5年で兼城組の若頭にまで上り詰めていた。
冷酷非道なやり口で出世したものの不必要に凄惨な報復を繰り返した結果、組長から『人間味を学べ』という名目で組のシマで立ちんぼをしていた少年・皆木冬馬の教育を任されてしまう。
なんでも性接待で物事を進めようとするバカな冬馬を煙たがっていたが、小学生の頃に親に捨てられ字もろくに読めないとわかると、徐々に同情という名の情を抱くようになり……──

組長と俺の話
性癖詰め込みおばけ
BL
その名の通り、組長と主人公の話
え、主人公のキャラ変が激しい?誤字がある?
( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )それはホントにごめんなさい
1日1話かけたらいいな〜(他人事)
面白かったら、是非コメントをお願いします!
日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが
五右衛門
BL
月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。
しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──
噛痕に思う
阿沙🌷
BL
αのイオに執着されているβのキバは最近、思うことがある。じゃれ合っているとイオが噛み付いてくるのだ。痛む傷跡にどことなく関係もギクシャクしてくる。そんななか、彼の悪癖の理由を知って――。
✿オメガバースもの掌編二本作。
(『ride』は2021年3月28日に追加します)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる