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そして番になるとき
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半年後。イギリス北西部のとある街。
広大な造船工場の敷地では働き盛りの男たちが仕事に精を出していた。活気ある風景の視察を行うエリオットの姿がある。成彦はサテンスキー侯爵家専用車の運転手に手早く礼を言い、車を降りた。
「エリオット様」
名前を呼ぶと、エリオットが振り返る。
「待っていたよ成彦、迎えに行けなくてすまない」
「平気です、四六時中エリオット様の手を煩わせてしまうと家の方々の目が厳しくなります」
「私が留守の間、何か嫌がらせを受けたかい?」
「いつもどおり・・・でした」
「そうか」
「そんな顔しないで、エリオット様。その都度、ドミニクさんが庇ってくださいましたし、僕は気にしていません。百合や兄たちから励ましの手紙が届いたんですよ」
ちなみに秀彦からの手紙には景彦の名前が連名で添えてあった。相変わらず素直じゃない。
こちらに渡ってきてからというもの、成彦はサテンスキー侯爵家の屋敷で紳士淑女教育という名の監視を受けていた。もともと日本の華族家の人間だった成彦は教養の類いを身につけている。意識せずとも日本人ならではの繊細な所作は見惚れるものがあり、文句のつけようがなく別の意味で教師を困らせていた。
しかしその中でも、本場の英語習得には苦労しており、これにはあえて成彦が聞き取れないよう嫌がらせされていることも絡んでいるのだが、エリオットの番として認めてもらうために必死に取り組んだ。
前向きに頑張る成彦の姿勢に嫌がらせの手数が減りつつある。
そして本日、屋敷の外出許可が降りたのにはとある大切な理由が・・・。
「あの、僕、まだ匂ってないでしょうか。車に乗る前に薬は飲みました」
エリオットがうなじに鼻を近づける。
「かすかに、フェロモンを感じるね」
「あっ、どうしよう・・・エリオット様はお忙しい時間なのに」
「いいや、すぐ行こう。いつでも動けるように待っていた。成彦のフェロモンも他の人間に嗅がせるわけにはいかない」
「ごめんなさい、ありがとうございます」
「何を言う。私が耐えられないからだ。やっと待ち望んだヒートじゃないか」
成彦は肩を抱き寄せられ頬を赤らめた。
日本で生活していた頃はお抱えの医師に細かく健康管理をされていたこともあり、二ヶ月に一度の頻度で規則的に訪れていたヒート。不安を掻き立てられるほど間が空いたのは初めてだった。
エリオットに打ち明けて呼んでもらった医師には環境の変化による心労が原因だと診断されていた。
だが暮らしに慣れてきた頃合いでヒートの兆候が出て、ほっと一安心したのである。
外出許可が降りなくてもドミニクが連れ出してくれる手筈だった。今やエリオットがサテンスキー侯爵家のルールだ。これまでは出し惜しんでいたというエリオットの生まれ持った才覚を目の当たりにし、一族は彼に強く出られない。
「・・・はぁ、はぁ、ぁ、エリオット様の顔を見たから匂いが濃くなってしまったかもしれません」
「うん? どうして?」
「っ、わかってるのに、言わせようとしてますね」
「そうだよ、聞かせて」
意地悪で優しい声に翻弄される。
「したいです。早く・・・・・・」
「私もだよ。ああ、本当だ、フェロモンが濃くなったね」
「はい」
「たまらないね。早く奪ってしまいたい、さぁ宿まで頑張って」
成彦はエリオットの外套に包まれながら宿に移動した。ふらふらの足取りを支えられていたが、宿泊部屋に入った途端に身体が浮き上がった。
エリオットが成彦を横抱きし、ベッドに運んでくれる。
「これは恥ずかしいです」
「プリンセス仕様はお気に召さないか」
「僕はお姫様ではないので」
「ははは、そりゃあそうだ」
エリオットが笑う。しかしそうこうしているうちにベッドに降ろされた。
成彦の傍らに跪くエリオットは気品に溢れて精悍な男性だ。金髪碧眼の容姿を差し引いたとしても、長身で逞しい筋肉を備えた肢体はそれだけで賞賛すべき美術品のようだった。初めて見た時も思ったことだ。
「僕はオメガだけれど男なので姫にはなれませんが、エリオット様は立派な王子様のようです」
密室に入ったせいか、エリオットのフェロモンが強く嗅ぎ取れる。鼻から吸い込んでしまうたび、体温が上がり呼吸が乱れる。
「・・・ふ、あ、んんっ」
瞳に映ったエリオットに欲情していた。
今はまだ触れられていないのに、成彦の全身に甘ったるい疼きが走った。
成彦は噛んでもらえる瞬間を期待して興奮を高めてしまう。
「エリオット様、僕、もう・・・・・・」
「わかっている」
エリオットの顔から余裕が消えた。
けれど荒い息を吐きながらも、いつも以上に丁寧に時間をかけてキスをしてくれた。順を追って吸い上げられた全身に薔薇色の花びらが散って肌が火照る。
「ぁ・・・ぁあ、エリオット様・・・エリオット様・・・」
成彦は焦れて頭を抱き寄せた。
ペニスも後ろの蕾もしとどに濡れている。
口で言えずに擦りつけると、服を脱ぎ捨てた生まれたままの二人の素肌がくちゅりと音を立てた。
エリオットの手が股間に触れる。
ごくりと上下する喉仏を愛おしく見つめていると、蕾を撫でられてひくんと震えた。
「ぁ・・・ん、ぅ」
「ヒート中だからだね、とても熱くて柔らかい」
第一関節ほどまで埋まった指が引き抜かれ、すぐに増やされる。揃えられた指が挿入されると、いいところを探して動いた。ぐぐっと指の付け根まで埋めて奥をくすぐり、入り口は解すようにマッサージされ、そして熱と疼きをいっぱいに含んで凝った一点を見つけられてしまう。
「ひゃ、んああ!」
「やっぱりここがいいね」
エリオットが目を細め、しこりをなぶる。
「あっ、あっ、射精してしまいます・・・・・・っ」
成彦は涙を滲ませて嫌々をした。欲しかった刺激だが、そこを触られると後ろと一緒にペニスも気持ち良くなってしまい、じっとしていられなくなるのだ。
エリオットが怪我をしないよう暴れる成彦に体重をかける。
「出していいんだよ」
「やぁん、駄目・・・んぁあっ、もっ、あっ、ぁああ!」
「上手だよ、気持ちいいね、成彦」
エリオットは射精した成彦の頬にキスをする。
身体を起こした彼が昂ぶりを堪えているのがわかった。
はぁはぁと荒く呼吸をした時にアルファ特有の犬歯に似た尖った歯が見えて、ぞくりとうなじが疼く。
甘いしびれは脊髄を伝い、上半身から下半身に響いた。すでにぐっしょりと濡れている窄まりから蜜がとぷりと垂れ、影響されるように互いのフェロモンが格段に濃さを増したのだろう、成彦は意識が飛びそうなくらいに頭がくらくらしていた。
これでは正常な思考は無理だ。
理性で抑えていたタガが外れる。酔っぱらいのようにエリオットの頬には赤みが差し、興奮した瞳は恐ろしい眼力を放って成彦を離さない。
怖いと思う。———なのに欲しいと思う。
本能がこの人を求めている。
ぬぷんと指が引き抜かれると、蜜液が糸を引いていた。
エリオットはたっぷり濡らした指で雄蕊を取り出し、彼のそれも先走りでぐしょぐしょだったが、さらに上から成彦の蜜液で濡らしていく。
成彦は手と膝をついて後ろ向きになった。
うなじを噛んでもらうための体勢だ。
シーツにたらたらと粗相じみた染みができるのが恥ずかしい。けれど、そんなことよりももう待てない。
「力を抜いていて」
残った理性を振り絞ったようだ。
振気遣ってくれるエリオットを振り返って見上げ、成彦はこくんと頷く。
双丘が割りひらかれ、重たい嵩が押しあてられた。
「ふ、ぁ、ぁああ」
エリオットの雄蕊がはいってくる。襞を限界まで伸ばし、壊れそうな隘路をみちみちと進んでくる。
腰を何度も引いては押し込まれ、ぬぷん、じゅぷ、と蜜液が泡立つ音がした。
「っ、ぅ、うう」
エリオットが唸り苦悶の声を漏らす。
「くっ、止まれない!」
フェロモンに充てられたエリオットは荒々しく腰を打ちつけた。成彦はいきなり最奥を叩かれ、悲鳴をあげた。
「ひぃ、ああっ」
「すまない・・・愛してる・・・愛してるよ成彦」
まるで愛の言葉が免罪符になるかというように繰り返して覆いかぶさってくる。
「あぅ、ぅあ、あ・・・ぁ・・・ぁ」
余裕のないエリオットが愛おしく感じた。
雄の本能に従ったガツガツと突き上げるだけの動きがしだいに馴染み、腰を打ちつけられるたび、とてつもない快感に変わった。
「は、ぁ、んぁあ」
律動が早くなり、エリオットの息がうなじにかかる。
「噛むよ」
「ん、ンッ、きて・・・・・・」
そう返事をした瞬間、うなじに鋭い痛みが走った。
ついに噛まれたのだ。
やっと番になったのだと感動を覚えると、全身に強い電流が走った感覚がした。その一瞬を終えた途端、エリオットから与えられる快感が十倍にも二十倍にも跳ね上がった。
「あ・・・ぁ・・・あえ?」
痛みを感じていたうなじさえも、ひりひりジワジワしびれて気持ちいい。
「エリオット様・・・嬉しいです・・・すごいです・・・」
「ああ、すごいな。幸せだよ」
覆いかぶさったエリオットが感極まった声を出し、成彦を抱きすくめた。
成彦は喜びのあまり中を締め上げてしまい、エリオットのものが大きく跳ねて熱いほとばしりを放つ。
腹の奥に広がっていくのは幸せの種だ。
これからどんなふうに根づいてくれるのだろうか。
成彦の目尻から溢れたのは、そんな願いを込めた温かい涙だった。
それから二人は一晩中・・・いや三日三晩は休まずに愛し合った。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
広大な造船工場の敷地では働き盛りの男たちが仕事に精を出していた。活気ある風景の視察を行うエリオットの姿がある。成彦はサテンスキー侯爵家専用車の運転手に手早く礼を言い、車を降りた。
「エリオット様」
名前を呼ぶと、エリオットが振り返る。
「待っていたよ成彦、迎えに行けなくてすまない」
「平気です、四六時中エリオット様の手を煩わせてしまうと家の方々の目が厳しくなります」
「私が留守の間、何か嫌がらせを受けたかい?」
「いつもどおり・・・でした」
「そうか」
「そんな顔しないで、エリオット様。その都度、ドミニクさんが庇ってくださいましたし、僕は気にしていません。百合や兄たちから励ましの手紙が届いたんですよ」
ちなみに秀彦からの手紙には景彦の名前が連名で添えてあった。相変わらず素直じゃない。
こちらに渡ってきてからというもの、成彦はサテンスキー侯爵家の屋敷で紳士淑女教育という名の監視を受けていた。もともと日本の華族家の人間だった成彦は教養の類いを身につけている。意識せずとも日本人ならではの繊細な所作は見惚れるものがあり、文句のつけようがなく別の意味で教師を困らせていた。
しかしその中でも、本場の英語習得には苦労しており、これにはあえて成彦が聞き取れないよう嫌がらせされていることも絡んでいるのだが、エリオットの番として認めてもらうために必死に取り組んだ。
前向きに頑張る成彦の姿勢に嫌がらせの手数が減りつつある。
そして本日、屋敷の外出許可が降りたのにはとある大切な理由が・・・。
「あの、僕、まだ匂ってないでしょうか。車に乗る前に薬は飲みました」
エリオットがうなじに鼻を近づける。
「かすかに、フェロモンを感じるね」
「あっ、どうしよう・・・エリオット様はお忙しい時間なのに」
「いいや、すぐ行こう。いつでも動けるように待っていた。成彦のフェロモンも他の人間に嗅がせるわけにはいかない」
「ごめんなさい、ありがとうございます」
「何を言う。私が耐えられないからだ。やっと待ち望んだヒートじゃないか」
成彦は肩を抱き寄せられ頬を赤らめた。
日本で生活していた頃はお抱えの医師に細かく健康管理をされていたこともあり、二ヶ月に一度の頻度で規則的に訪れていたヒート。不安を掻き立てられるほど間が空いたのは初めてだった。
エリオットに打ち明けて呼んでもらった医師には環境の変化による心労が原因だと診断されていた。
だが暮らしに慣れてきた頃合いでヒートの兆候が出て、ほっと一安心したのである。
外出許可が降りなくてもドミニクが連れ出してくれる手筈だった。今やエリオットがサテンスキー侯爵家のルールだ。これまでは出し惜しんでいたというエリオットの生まれ持った才覚を目の当たりにし、一族は彼に強く出られない。
「・・・はぁ、はぁ、ぁ、エリオット様の顔を見たから匂いが濃くなってしまったかもしれません」
「うん? どうして?」
「っ、わかってるのに、言わせようとしてますね」
「そうだよ、聞かせて」
意地悪で優しい声に翻弄される。
「したいです。早く・・・・・・」
「私もだよ。ああ、本当だ、フェロモンが濃くなったね」
「はい」
「たまらないね。早く奪ってしまいたい、さぁ宿まで頑張って」
成彦はエリオットの外套に包まれながら宿に移動した。ふらふらの足取りを支えられていたが、宿泊部屋に入った途端に身体が浮き上がった。
エリオットが成彦を横抱きし、ベッドに運んでくれる。
「これは恥ずかしいです」
「プリンセス仕様はお気に召さないか」
「僕はお姫様ではないので」
「ははは、そりゃあそうだ」
エリオットが笑う。しかしそうこうしているうちにベッドに降ろされた。
成彦の傍らに跪くエリオットは気品に溢れて精悍な男性だ。金髪碧眼の容姿を差し引いたとしても、長身で逞しい筋肉を備えた肢体はそれだけで賞賛すべき美術品のようだった。初めて見た時も思ったことだ。
「僕はオメガだけれど男なので姫にはなれませんが、エリオット様は立派な王子様のようです」
密室に入ったせいか、エリオットのフェロモンが強く嗅ぎ取れる。鼻から吸い込んでしまうたび、体温が上がり呼吸が乱れる。
「・・・ふ、あ、んんっ」
瞳に映ったエリオットに欲情していた。
今はまだ触れられていないのに、成彦の全身に甘ったるい疼きが走った。
成彦は噛んでもらえる瞬間を期待して興奮を高めてしまう。
「エリオット様、僕、もう・・・・・・」
「わかっている」
エリオットの顔から余裕が消えた。
けれど荒い息を吐きながらも、いつも以上に丁寧に時間をかけてキスをしてくれた。順を追って吸い上げられた全身に薔薇色の花びらが散って肌が火照る。
「ぁ・・・ぁあ、エリオット様・・・エリオット様・・・」
成彦は焦れて頭を抱き寄せた。
ペニスも後ろの蕾もしとどに濡れている。
口で言えずに擦りつけると、服を脱ぎ捨てた生まれたままの二人の素肌がくちゅりと音を立てた。
エリオットの手が股間に触れる。
ごくりと上下する喉仏を愛おしく見つめていると、蕾を撫でられてひくんと震えた。
「ぁ・・・ん、ぅ」
「ヒート中だからだね、とても熱くて柔らかい」
第一関節ほどまで埋まった指が引き抜かれ、すぐに増やされる。揃えられた指が挿入されると、いいところを探して動いた。ぐぐっと指の付け根まで埋めて奥をくすぐり、入り口は解すようにマッサージされ、そして熱と疼きをいっぱいに含んで凝った一点を見つけられてしまう。
「ひゃ、んああ!」
「やっぱりここがいいね」
エリオットが目を細め、しこりをなぶる。
「あっ、あっ、射精してしまいます・・・・・・っ」
成彦は涙を滲ませて嫌々をした。欲しかった刺激だが、そこを触られると後ろと一緒にペニスも気持ち良くなってしまい、じっとしていられなくなるのだ。
エリオットが怪我をしないよう暴れる成彦に体重をかける。
「出していいんだよ」
「やぁん、駄目・・・んぁあっ、もっ、あっ、ぁああ!」
「上手だよ、気持ちいいね、成彦」
エリオットは射精した成彦の頬にキスをする。
身体を起こした彼が昂ぶりを堪えているのがわかった。
はぁはぁと荒く呼吸をした時にアルファ特有の犬歯に似た尖った歯が見えて、ぞくりとうなじが疼く。
甘いしびれは脊髄を伝い、上半身から下半身に響いた。すでにぐっしょりと濡れている窄まりから蜜がとぷりと垂れ、影響されるように互いのフェロモンが格段に濃さを増したのだろう、成彦は意識が飛びそうなくらいに頭がくらくらしていた。
これでは正常な思考は無理だ。
理性で抑えていたタガが外れる。酔っぱらいのようにエリオットの頬には赤みが差し、興奮した瞳は恐ろしい眼力を放って成彦を離さない。
怖いと思う。———なのに欲しいと思う。
本能がこの人を求めている。
ぬぷんと指が引き抜かれると、蜜液が糸を引いていた。
エリオットはたっぷり濡らした指で雄蕊を取り出し、彼のそれも先走りでぐしょぐしょだったが、さらに上から成彦の蜜液で濡らしていく。
成彦は手と膝をついて後ろ向きになった。
うなじを噛んでもらうための体勢だ。
シーツにたらたらと粗相じみた染みができるのが恥ずかしい。けれど、そんなことよりももう待てない。
「力を抜いていて」
残った理性を振り絞ったようだ。
振気遣ってくれるエリオットを振り返って見上げ、成彦はこくんと頷く。
双丘が割りひらかれ、重たい嵩が押しあてられた。
「ふ、ぁ、ぁああ」
エリオットの雄蕊がはいってくる。襞を限界まで伸ばし、壊れそうな隘路をみちみちと進んでくる。
腰を何度も引いては押し込まれ、ぬぷん、じゅぷ、と蜜液が泡立つ音がした。
「っ、ぅ、うう」
エリオットが唸り苦悶の声を漏らす。
「くっ、止まれない!」
フェロモンに充てられたエリオットは荒々しく腰を打ちつけた。成彦はいきなり最奥を叩かれ、悲鳴をあげた。
「ひぃ、ああっ」
「すまない・・・愛してる・・・愛してるよ成彦」
まるで愛の言葉が免罪符になるかというように繰り返して覆いかぶさってくる。
「あぅ、ぅあ、あ・・・ぁ・・・ぁ」
余裕のないエリオットが愛おしく感じた。
雄の本能に従ったガツガツと突き上げるだけの動きがしだいに馴染み、腰を打ちつけられるたび、とてつもない快感に変わった。
「は、ぁ、んぁあ」
律動が早くなり、エリオットの息がうなじにかかる。
「噛むよ」
「ん、ンッ、きて・・・・・・」
そう返事をした瞬間、うなじに鋭い痛みが走った。
ついに噛まれたのだ。
やっと番になったのだと感動を覚えると、全身に強い電流が走った感覚がした。その一瞬を終えた途端、エリオットから与えられる快感が十倍にも二十倍にも跳ね上がった。
「あ・・・ぁ・・・あえ?」
痛みを感じていたうなじさえも、ひりひりジワジワしびれて気持ちいい。
「エリオット様・・・嬉しいです・・・すごいです・・・」
「ああ、すごいな。幸せだよ」
覆いかぶさったエリオットが感極まった声を出し、成彦を抱きすくめた。
成彦は喜びのあまり中を締め上げてしまい、エリオットのものが大きく跳ねて熱いほとばしりを放つ。
腹の奥に広がっていくのは幸せの種だ。
これからどんなふうに根づいてくれるのだろうか。
成彦の目尻から溢れたのは、そんな願いを込めた温かい涙だった。
それから二人は一晩中・・・いや三日三晩は休まずに愛し合った。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
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