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この街を出よう。いつまでもここに留まっていても仕方がない。
トウコは幸せに生きている。
自分がこの街にいると、いつかトウコと出会ってしまうかもしれない。
もうトウコは自分とは会いたくないだろう。
そして自分ももう、過去に囚われるのはやめよう。
席を立ったミツルが店を出ようとした時、前から歩いて来た男とぶつかってしまった。
俯きがちに顔を伏せて「悪い」と言って通り過ぎようとしたミツルの腕を、赤みがかった金髪に、少しくすんだ青い目をした男が掴んだ。
「おいおい、お前。ちょっと待て」
組合員が多く出入りする店ということもあり、男も大柄な体で大剣を担いでいるところを見ると、組合員だろう。
面倒な男に絡まれてしまった。
ミツルが内心盛大に顔を顰めた時、男が思いもよらない言葉を吐いた。
「お前、ミツルって奴じゃないか?」
思わずミツルが顔を上げると、「お。やっぱその目の色。お前ミツルだろ?」と言われ、ミツルは慌てて顔を伏せた。
「あれ?違うか?トウコのダチのミツルじゃないのか?」
はっとして再び顔を上げると「どっちだよ。ミツルか?違うのか?」と言われ、思わず「…そうだけど…なんで…」と呟く男は破顔した。
「おー!やっぱお前ミツルか!探してたんだぜ!よし、一杯奢ってやるからちょっと俺たちと飲もうぜ!」
男はミツルの腕を掴んだまま、つい先ほど立ったばかりのテーブルにずんずんと歩いて行く。
訳が分からずミツルが男に引き摺られていると、仲間らしき数人の男が苦笑しながらミツルの肩を叩いてきた。
「悪いね。うちのリーダーは強引でさ」
「まあ、悪い奴じゃないからちょっと付き合ってくれよ」
「リーダーがお前のこと探してたのは本当だ」
一体何なのだと目を白黒させたミツルはそのまま強引に席に座らせられ、有無を言わさず酒の入ったグラスを握らされた。
「トウコの野郎からミツルって昔馴染みがこの街に来てるから、ミツルが嫌がらなければ、俺んとこのチームに誘ってみろって言われてよお。お前荷物持ちやってるんだろ?」
どうしてトウコがそんなことを。
意味が分からず、ミツルは口を開けずにいたが、男は構わず言葉を続けた。
「誘ってみるからそいつどこいるんだって言ったら、あいつ平然とした顔で、知らないから探せだとよ!」
男が、がははと豪快に笑う。
「癖っ毛でこげ茶、目は黒に見える濃い青、ちょっと猫背で俯いてる奴がミツルだって言われて、さすがに困っちまったよ。そうしたら、その特徴に似た奴が俺にぶつかってきやがった!」
また、がははと笑った男が「で、どうする?俺んとこ来るか?」と聞いてきたが、すぐに男の仲間が苦笑しながら口を挟んだ。
「おい、アレックス。お前、さっきから一人で喋ってるけど、全然説明になってないからな。おまけに、お前、自分の名前も名乗ってないぞ」
「そうだった、わりいわりい」
全然悪いと思っていなさそうに豪快に笑った男は、アレックスと名乗った。
この第16都市で、主に護衛の仕事を専門に請け負っている組合員チームのリーダーをしているとのことだった。
護衛の仕事が多いが、それ以外の仕事もやっており、チーム専門の荷物持ちを増やしたいと思っている、だから自分のチームに入らないかとアレックスは話した。
固まったまま何も言わないミツルを、不思議そうな顔で見ていたアレックスがまた豪快に笑いながら話し出した。
「やっぱお前、トウコのこと怒ってんのか?あいつもひでえ奴だよなあ。お前も知ってるだろうが、トウコは馬鹿で脳筋だから許してやれよ!な!」
ミツルの背中をばしばしと叩きながらそう言ったアレックスは、トウコがこう言っていたと話し出した。
―子供の頃、ミツルにもミツルの親父さんにも散々世話になったんだ。それなのに、私はもう2人の顔を思い出せなくなってて。この間、久しぶりにミツルに会ったけど、ミツルは私のことがすぐに分かったみたいなのに、私は全然分からなかったんだ。だからミツルは私のことを怒ってるかもしれない。
―それ以前に、そもそも私はミツルに大分不義理なことをしてしまったから。だから、本当はずっと昔から私のことを憎んでて、私なんかに会いたくなかったかもしれないんだ。
―この街に私がいるから、ミツルはもう別の街に移動したかもしれない。まだいたとしても、すぐに離れるつもりかもしれない。だから、ミツルがアレックスの誘いを断ったら、それ以上誘わないでやってくれ。
「…親父…俺の親父って…」
ようやく口を開いたミツルがようやくそれだけ言うと、アレックスは「お、やっと喋ったなお前」と笑って続けた。
「お前の親父さんにトウコも身体強化を教えて貰ったんだろ?トウコが言ってたぞ。ミツルは魔力は少ないけど、身体強化の腕はピカイチだってな。だから、見た目で判断せずちゃんと誘えって」
「そんな…トウコが…本当にそんなことを…?」
「おう、そう言ってたぜ。あーそれ以外にもこうも言ってたなあ」
―あいつ身体強化の腕はいいんだけど、それ以外はからっきしなんだ。だから、この間も死の森で死にかけてた。アレックスのところに居ればそう簡単には死なないだろう?ミツルが入るって言ったらよろしく頼むよ。
―悪いね。変な頼みをしちゃって。忘れてた分際でこんなこと言うのもなんだけど、ミツルは私の大事な友人で、恩人で、兄みたいなもんなんだ。
「…俺…もうトウコに嫌われたとばっかり…」
「なんだあ?お前らお互いに同じこと思ってたのかよ。だったら明日にでもとっとと仲直りしろよ。」
「リーダー、破壊屋の馬鹿3人は南0都市に行ってるだろ」
「お、そうだったな。まあそのうち帰ってくるし、そん時はちゃんと仲直りしよろ?な?」
大事な友人で、恩人で、兄みたいなもの。
「はは…兄か。トウコのやつ、人の気も知らないで…」
ミツルが両手で顔を覆ってそう言うと、アレックスがまた豪快に笑った。
「なんだあ?お前、トウコに気があったのか?やめとけ、やめとけ。あんな女に惚れたら苦労するだけだぞ。それにトウコに会ったんなら、目つきの悪い金髪野郎にも会っただろ?トウコに手出したら、あいつに文字通り八つ裂きにされるぞ」
ずっとトウコのことを守りたいと思っていたけれど、守られていたのは自分の方だったのかもしれない。
トウコに出会ったあの日から、自分はあの護衛団で孤独ではなくなった。
馬鹿にされるのが怖くて人と関わることを拒絶していた自分が、クリフを父とまで思えるようになったのはトウコがいたからこそ。
「俺ずっとトウコのことを守りたいって思ってたんだ…」
ミツルの言葉に、アレックスと仲間たちがきょとんとした顔をし、一斉に爆笑した。
「馬鹿だなあお前!」
本当に自分は馬鹿だった。
「ミツル、お前、トウコがガキの頃を知ってんだろ?あいつどんなんだったんだよ?今みてえに怖い女だったのか?ちょっと教えろよ」
「…小さくて、可愛い女の子だった」
ミツルが涙でぐしゃぐしゃの顔でそう答えると、またアレックスたちが爆笑した。
「よし、一杯だけじゃなくて今日は俺が全部奢ってやるよ。飲め飲め!」
ミツルの背中を叩きながらアレックスがそう言い、仲間たちもミツルのグラスに酒を注いだ。
ミツルが泣き笑いの顔で子供の頃の話をする度にアレックスたちは爆笑し、時に驚いた。
アレックスたちがトウコと金髪の男の無茶苦茶ぶりを話し、その度にミツルは驚き、ミツルが知らない空白の8年を思い、また少し涙した。
この街に留まってもいいのだろうか。
トウコがいるこの街で、新しい居場所を作ってもいいのだろうか。
トウコに謝ろう。
トウコのことを憎んでも嫌ってもいないと、ちゃんと伝えよう。
まずはそれからだ。
あの街を出て初めて、ミツルは楽しいと思える夜を過ごした。
トウコは幸せに生きている。
自分がこの街にいると、いつかトウコと出会ってしまうかもしれない。
もうトウコは自分とは会いたくないだろう。
そして自分ももう、過去に囚われるのはやめよう。
席を立ったミツルが店を出ようとした時、前から歩いて来た男とぶつかってしまった。
俯きがちに顔を伏せて「悪い」と言って通り過ぎようとしたミツルの腕を、赤みがかった金髪に、少しくすんだ青い目をした男が掴んだ。
「おいおい、お前。ちょっと待て」
組合員が多く出入りする店ということもあり、男も大柄な体で大剣を担いでいるところを見ると、組合員だろう。
面倒な男に絡まれてしまった。
ミツルが内心盛大に顔を顰めた時、男が思いもよらない言葉を吐いた。
「お前、ミツルって奴じゃないか?」
思わずミツルが顔を上げると、「お。やっぱその目の色。お前ミツルだろ?」と言われ、ミツルは慌てて顔を伏せた。
「あれ?違うか?トウコのダチのミツルじゃないのか?」
はっとして再び顔を上げると「どっちだよ。ミツルか?違うのか?」と言われ、思わず「…そうだけど…なんで…」と呟く男は破顔した。
「おー!やっぱお前ミツルか!探してたんだぜ!よし、一杯奢ってやるからちょっと俺たちと飲もうぜ!」
男はミツルの腕を掴んだまま、つい先ほど立ったばかりのテーブルにずんずんと歩いて行く。
訳が分からずミツルが男に引き摺られていると、仲間らしき数人の男が苦笑しながらミツルの肩を叩いてきた。
「悪いね。うちのリーダーは強引でさ」
「まあ、悪い奴じゃないからちょっと付き合ってくれよ」
「リーダーがお前のこと探してたのは本当だ」
一体何なのだと目を白黒させたミツルはそのまま強引に席に座らせられ、有無を言わさず酒の入ったグラスを握らされた。
「トウコの野郎からミツルって昔馴染みがこの街に来てるから、ミツルが嫌がらなければ、俺んとこのチームに誘ってみろって言われてよお。お前荷物持ちやってるんだろ?」
どうしてトウコがそんなことを。
意味が分からず、ミツルは口を開けずにいたが、男は構わず言葉を続けた。
「誘ってみるからそいつどこいるんだって言ったら、あいつ平然とした顔で、知らないから探せだとよ!」
男が、がははと豪快に笑う。
「癖っ毛でこげ茶、目は黒に見える濃い青、ちょっと猫背で俯いてる奴がミツルだって言われて、さすがに困っちまったよ。そうしたら、その特徴に似た奴が俺にぶつかってきやがった!」
また、がははと笑った男が「で、どうする?俺んとこ来るか?」と聞いてきたが、すぐに男の仲間が苦笑しながら口を挟んだ。
「おい、アレックス。お前、さっきから一人で喋ってるけど、全然説明になってないからな。おまけに、お前、自分の名前も名乗ってないぞ」
「そうだった、わりいわりい」
全然悪いと思っていなさそうに豪快に笑った男は、アレックスと名乗った。
この第16都市で、主に護衛の仕事を専門に請け負っている組合員チームのリーダーをしているとのことだった。
護衛の仕事が多いが、それ以外の仕事もやっており、チーム専門の荷物持ちを増やしたいと思っている、だから自分のチームに入らないかとアレックスは話した。
固まったまま何も言わないミツルを、不思議そうな顔で見ていたアレックスがまた豪快に笑いながら話し出した。
「やっぱお前、トウコのこと怒ってんのか?あいつもひでえ奴だよなあ。お前も知ってるだろうが、トウコは馬鹿で脳筋だから許してやれよ!な!」
ミツルの背中をばしばしと叩きながらそう言ったアレックスは、トウコがこう言っていたと話し出した。
―子供の頃、ミツルにもミツルの親父さんにも散々世話になったんだ。それなのに、私はもう2人の顔を思い出せなくなってて。この間、久しぶりにミツルに会ったけど、ミツルは私のことがすぐに分かったみたいなのに、私は全然分からなかったんだ。だからミツルは私のことを怒ってるかもしれない。
―それ以前に、そもそも私はミツルに大分不義理なことをしてしまったから。だから、本当はずっと昔から私のことを憎んでて、私なんかに会いたくなかったかもしれないんだ。
―この街に私がいるから、ミツルはもう別の街に移動したかもしれない。まだいたとしても、すぐに離れるつもりかもしれない。だから、ミツルがアレックスの誘いを断ったら、それ以上誘わないでやってくれ。
「…親父…俺の親父って…」
ようやく口を開いたミツルがようやくそれだけ言うと、アレックスは「お、やっと喋ったなお前」と笑って続けた。
「お前の親父さんにトウコも身体強化を教えて貰ったんだろ?トウコが言ってたぞ。ミツルは魔力は少ないけど、身体強化の腕はピカイチだってな。だから、見た目で判断せずちゃんと誘えって」
「そんな…トウコが…本当にそんなことを…?」
「おう、そう言ってたぜ。あーそれ以外にもこうも言ってたなあ」
―あいつ身体強化の腕はいいんだけど、それ以外はからっきしなんだ。だから、この間も死の森で死にかけてた。アレックスのところに居ればそう簡単には死なないだろう?ミツルが入るって言ったらよろしく頼むよ。
―悪いね。変な頼みをしちゃって。忘れてた分際でこんなこと言うのもなんだけど、ミツルは私の大事な友人で、恩人で、兄みたいなもんなんだ。
「…俺…もうトウコに嫌われたとばっかり…」
「なんだあ?お前らお互いに同じこと思ってたのかよ。だったら明日にでもとっとと仲直りしろよ。」
「リーダー、破壊屋の馬鹿3人は南0都市に行ってるだろ」
「お、そうだったな。まあそのうち帰ってくるし、そん時はちゃんと仲直りしよろ?な?」
大事な友人で、恩人で、兄みたいなもの。
「はは…兄か。トウコのやつ、人の気も知らないで…」
ミツルが両手で顔を覆ってそう言うと、アレックスがまた豪快に笑った。
「なんだあ?お前、トウコに気があったのか?やめとけ、やめとけ。あんな女に惚れたら苦労するだけだぞ。それにトウコに会ったんなら、目つきの悪い金髪野郎にも会っただろ?トウコに手出したら、あいつに文字通り八つ裂きにされるぞ」
ずっとトウコのことを守りたいと思っていたけれど、守られていたのは自分の方だったのかもしれない。
トウコに出会ったあの日から、自分はあの護衛団で孤独ではなくなった。
馬鹿にされるのが怖くて人と関わることを拒絶していた自分が、クリフを父とまで思えるようになったのはトウコがいたからこそ。
「俺ずっとトウコのことを守りたいって思ってたんだ…」
ミツルの言葉に、アレックスと仲間たちがきょとんとした顔をし、一斉に爆笑した。
「馬鹿だなあお前!」
本当に自分は馬鹿だった。
「ミツル、お前、トウコがガキの頃を知ってんだろ?あいつどんなんだったんだよ?今みてえに怖い女だったのか?ちょっと教えろよ」
「…小さくて、可愛い女の子だった」
ミツルが涙でぐしゃぐしゃの顔でそう答えると、またアレックスたちが爆笑した。
「よし、一杯だけじゃなくて今日は俺が全部奢ってやるよ。飲め飲め!」
ミツルの背中を叩きながらアレックスがそう言い、仲間たちもミツルのグラスに酒を注いだ。
ミツルが泣き笑いの顔で子供の頃の話をする度にアレックスたちは爆笑し、時に驚いた。
アレックスたちがトウコと金髪の男の無茶苦茶ぶりを話し、その度にミツルは驚き、ミツルが知らない空白の8年を思い、また少し涙した。
この街に留まってもいいのだろうか。
トウコがいるこの街で、新しい居場所を作ってもいいのだろうか。
トウコに謝ろう。
トウコのことを憎んでも嫌ってもいないと、ちゃんと伝えよう。
まずはそれからだ。
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