『お零れ話』

影狼

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番外編

もう一人の男性の諦めー祓幽の神様と愛情ー

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『皆様方』、こんな辺鄙な『劇場』においで下さりありがとう存じます。
「ありがとうございます!」
『劇場』の【案内人】を務めさせていただきます、『劇場』のものでございます。
「同じく『劇場』の【案内人】を務めさせていただきます、『劇場』のものでございます。」
私達はお客様方に、お辞儀をしました。
さて、こんなところで話してしまい申し訳ありません。
席にお座り下さいませ。
「それでは私たちがご案内致しますね!暗いので足元にご注意くださいますようお願いいたします。」

『皆様方』が席にお座りになられたのを、見届けて彼が言いました。
「ご注意点を、告げさせていただきます。」
・全ての小説が二次創作対象になります。
・オリジナルキャラが出演いたします。
・キャラ崩壊が起こる可能性がございますので、ご注意くださいますようよろしくお願い申し上げます。
・シーン切り替え、回想シーンが頻繁に挿入されるので、事前に私達がアナウンスでご案内いたします。
・回想シーンにて暴力シーン、情事シーンがある可能性がございますので苦手な方もしくは、お嫌な方がいらっしゃいましたら『劇場』から速やかにご退場していただければ、全額返却いたします。

ご注意点は以上になります。
一ベルを鳴らさせていただきます。

リィイイィィイイィイイィイィン……。











本ベルを鳴らさせていただきます。

リィイイィイィイイィイイイイン……。





「演目名を告げさせていただきます。」
『もう一人の男性の諦めー祓幽の神様と愛情ー』でございます。

之より、演じますはとある男性と祓幽の神様が出会いまして『娘』の本当の過去と、娘に対して愛情を話す物語になります。

遅くなりましたが、演じ(始め)させていただきます。
「開幕致しますー、開幕致しますー。」
ーーー演目開始いたします。ーーー

んー……ここは気持ちいいな……。

「貴方もですか、『小間熾』サン。
それに『アパートの住人に集るモブ』サンでもありますね。
ねえ?『かの蒼き傷を持つモノ』。」
「ははっ、何のことでしょうか~。
集るフリをしたモブですよー?」
「さぁてね、真実はどうだろうかなー?」
「ふふっ、で。
ここに来た理由は~勿論、分かっていますねー?」
「ああ、分かっているよー?
『娘』の本当の過去を、あれに渡した「肉塊」の「娘」の本当の過去をー、あとついでに『娘』の処遇はどーするか、だねー。」
「分かってるじゃないですかー。
流石『白龍様』ですねー?」
「~~♪
さて、話しますよー。」

ーーー男性の膿(ノイズ)到達ーーー。
ーーーこれより、回想シーンに参ります。ーーー
娘である、小間紗希が産まれた時は、とても嬉しかった。
…………いつの間にか俺達は『それ』を、娘だと思い込まされ幻惑魔法をかけられたんだ。
『ただの人型をしている死体に』紗希として接していた。
『彼女が』産んだそれは、『赤子』だったけれど『死産』だった、と後から友人で二重スパイのやつから聞いた。

幻惑魔法をかけられていない普通のものたちが傍から見ると、『死体と歩き回ったり話していたただの頭のおかしい夫婦』に見えただろう。

それが一年も続いたんだ。

『それ』を『娘』だと一瞬でも一日でも一年でも思ってしまっていたのを今でも思い出すと吐き気を催すよ。

『到底到底許せなかった。
何故自らの首を絞めるようなことを勇んでするのか。』
それで自分たちが、さらに苦しむことすら想像も出来ないとは哀れに思う暇もないくらい、あいつらのことが許せなかったよ。
それだけでも業腹に思ったというのに、あまつさえ俺たちの大事な大事な『娘』を虐待していたそうじゃないか!!

そして別の名前を付けていたそうだ!!
『茉芸』という名前を、な!
それを聞いた瞬間、アパートの大家を演じていた『堺雪衣』に突撃したさ!

『おい!『堺雪衣』!
『白龍様』を緊急だと言って何としてでも呼べ!今回は俺も手伝うから!』
『わかりましたよー。
『かの祓幽の神様』、『彼』がお呼びでございますー。』

おやおやー、焦った様子の彼が、いきなり部屋に現れ「突撃」してきましたねー。
『準備は勿論、万端でございますよー。
さあ、『喚びましょうか』ー。』
『『高天原に神留坐す神魯岐神魯美の命以て皇御祖神伊邪那美命筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に御禊祓ひ給ふ時に生坐る祓戸の大神等諸々の枉事罪穢を祓ひ賜え清め賜えと申す事の由を天津神国津神八百万の神等と共に天の斑駒の耳振り立てて聞食せと恐み恐み白す。』』

『今回は初めてお前たちが喚ぶとはなー……。
それで、『娘』のことだな?
「あれ」は『鈬居梧值』と『鈬居紳弓』が持っているが……さて、どうするべきか分かっているだろう?』
『ええ。
堺雪衣、行くぞ。』

それから鈬居梧值と、鈬居紳弓の人形に扮している二重スパイの友人に「あれ」を譲ってもらい、幻惑魔法をかけて鈬居梧值と鈬居紳弓の起きている時間であいつらのところに行って偶然を装って、ばったり会った。
それから産まれたと報告して、二年育てたけれど育てきれないと言ってそのこを捨てた酷い親、と見せかけた。
『よう!梧值、紳弓!
あれからもう十年も経つのか~、ああそうだ。
『この子』ヤッて産まれたんだがな~、育てきれないからお前らにやるよ。
精々、頑張れよ!ギャハハハッ…………。』

元々はお前らの子なんだが、な。
友人が回収してきてくれたようで『なにかに使えるか。』、と思い、取っておいてくれたそうだ。
それからあいつらの目を盗んで『娘』を抱えて移動してもらい取り戻していただいた。
娘はとても安心したそうで泣きまくっていたが、眠っている。
が、まだ安心できない。

『白龍様』のお話によると別のところの動物すら寄り付かない『森』の深い深い中にいたそうで、最奥ですらない所で見つけたのだそうだとか。

『更には護られているように、白い花弁が倒れている娘の周りに舞っていた』のだそうで。
「………………『マスター』のお蔭、だと思いたいが…………。
真実はどうだろうかなー……。」

ーーー閑話休題、でございます。ーーー

そこで『白龍様』のお力を借りて、同時に尊き五柱の神様を桜の花弁に変えてあいつらの家に忍び込ませた。
そしてあいつらを『俺らの』世界に呼んだ。
ああ、もちろん「あれ」はあいつらの的になったよ。
…………愚かで憐れな奴ら。

ーーー男性の膿(ノイズ)終了いたします。ーーー

「一応確認しておこう。
親子に起きた『ノイズ』は?」
「『かの黒いものを操る方』が入り込んで、膿を引き摺りだしました。」
「よろしい。」
「ありがとうございます。」
「『かの老方をなさる方』がもどき一体と親一体を、処分いたしましたことを喜ばしく思います。」
「本当にね。」
「で、あの子の処遇はどーするか、だねー?」
「それなのですが、『人形』の方はまだ温存しておいて『娘』の方は姉の方に送ろうかと。
「娘」は制約により、転生体としてこの世界に存在させていただけますことを恐れながら、恐れながら申し上げます。」
「ああ、もちろん。」
「『娘』の方の名は『鈬居茉芸』でしたが本来ならあれも私たちの子でした。
つまり、あれらが『死産』と偽って我らの子2人を盗って虐待していたということになります。
改めまして『ノフィクゥ・リァヒ』と名を告げましょう。」
「んー……ここ、どこ?
…………私、『あれ』に水に沈められて。
……おや、そこにいますは『白龍様』。
『お父様』、ありがとう。
………………「あのこは」戻したのね。」
「ああ、『元の親』に、な。」
「そうなの、ふんっ。
いい気味だ。」
「だんだん俺に似てきたな。」
「そりゃあお父様の子ですから。」
「ははっ、違いねぇな。」
「ふふ、そうですね。」
「ふふ、楽しそうでなによりだ。」

ーーー演目終了いたします。ーーー

「少し物足りないですわー……。」

「あはは、そう仰らないでください。」
「お疲れ様……。」
「お疲れ様じゃったのぅ。」
「ふ、お疲れ様、だな。」
「おれ、あんまり、活躍して、なかった。」
「お前は、ノイズを、引き起こし、たじゃ、ね、ぇか。
充分、凄いと、思、うが、な。」
「あ、りが、とう『かの救いのない宵、の中に、蠢く性を、求める、神様』。
『かの舞手様』も、お、疲れ様、だよ。」
「………………お疲れ様。」

さて、『皆様方』当『劇場』にご来場ありがとう存じます。
「『皆様方』、お気をつけておかえりくださいませー!」
(『 劇場』の【案内人】がそう言いますと45度に腰を曲げてお辞儀いたします。
【もう一人の案内人】が元気にそう言いますと、それから【案内人】に倣いまして45度に腰を曲げてお辞儀いたします。)
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