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裏。ー影。ー
ズレーロ。ー腑に落ちる。ー
しおりを挟むふ、ふふ。
はははは!!
やってくれたな、王直属の部隊めが!
王の側近は未だ発見されていない、この男が気づくことなど到底できないし不可能だ。
主君に命じられていた、一言で済んだ。
その御心のままに、采配に従うのみ。
『祖に遭え。』
仮面に隠された、眼光は________残念ながら。
その胸中は主君、『ガルド・██████』にしか判らない。
ただ今は淡い希望を抱いて。
甘い世界なぞに居たおまえに、甚だしい恐ろしさは耐えられるか。
些か疑問ではあるが、興をさかす。
果など知らずに渦巻く、欲望の中心へと____。
『絶えよ、すべからく。』
ああ、愉快でならない。
おまえの辿る道が、どのように分かたれるかが。
さぁ、勇み足をして絶望の坩堝に飛び込め。
『命を可愛がらせてくれ、片や世界を救う聖者。』
『片や、世界を破滅へ導く申し子。』
『おまえたちの、系譜を見守ろう。』
『大義、で、あった、『ガルド』。』
跪く君主、其れこそが。
彼の国の民へ、恩恵を貸与せんと足掻く王の正体なりや。
地に居る『人の仔』は、一世界に_____。
浮遊しながら、『邪神』の形をして満足気に褒賞を授ける『何方か』が居た。
ふと、腐臭がしたような気がしたが気の所為か。
風に吹かれて、ぴったりと正装にくっつくそれは、漂いながら嗤う。
今宵も芳醇な、しかし醒めぬ酔いを運ぶ。
それに当てられたのか、彼の顔が赤くなった。
酩酊にごく近しい、高揚感と同時に。
目眩が一瞬起きて気が遠くなりつつあった王は、違和感を感じる。
それはささやかな、けれどもほんのりする香りで、鼻腔をくすぐる。
そうして、王の言葉に載せられたモノは。
お粗末な物で、さりとて取り上げる内容でもなかったが。
『これは一体…………………?』
皆様方には一応、お膳立てしておく。
沈黙が流れた、これで気まずくなったように思えるも。
不意に、金髪が目の前に見えた。
不意に、空間が裂けた。
良きかな、良きかな。
我慢は一時であろうが、せめて。
その後に有るきょうありに、相応しくあれよ。
その奥に、二体の尻尾がひらりと蝋燭にて揺らめく。
そうして、金髪の間から見える目が細められて。
囁かれ、彼は倒れる。
首を彩るのさ、見事な程までにね!
嵐のようでそして容易に、『人の仔』一人の精神へと影響を与え。
しんしんと降りしきる雪の夜に、それらはいつの間にか消え入った。
甘やかに、細やかにするその声。
はて、それを何とする?
『……は……取った。……の、……ああ。』
『お前に……『________』へ授けよう、大儀であった。』
決まっておろうよ。
それは正に疫病神の如し。
嗚呼、しかし、正しく正しく、朴念仁よ!
嗚呼、面白し!面白し!面白しかな!面白し!大層きょうあり!
面白し、面白し、或いは幽冥の如し、漂う面妖なものかな。
嗚呼、やんごとなきお方に良くぞやりよる。
アレらには、能く、能く言い聞かせよ。
さりとて言い聞かせられない由があれば、わっちの名を出すが良い。
さんばらに崩れたくなくば、だが。
後日、国王と側近が行方不明になったと記事が何百も書かれたとか。
『██████国王と側近、失踪!』
『近隣諸国の、国民の皆様には哀悼の意を_____。』
中には、一夜明けて国ごと滅亡したと書かれていたとの記述があり。
それらはごく僅かな記事で書かれていただけだが、真偽を問われる事もあろう。
聡い、者達の伝手により手繰り寄せられるか……。
翻って、遥か遠い未来にて紐解かれることとなる可能性がある__________。
______確かに死神と謂われる存在感、威圧感が流れるやも。
なんて、そんなまやかし信じられないくらい疲弊しているのだろうね。
あの国は、壊れてしまったから。
『おぃおぃ、こりゃァ雪見酒に洒落こめってのかい。』
『……………美味ぇ、ん………?』
『これまたペッピンなムスメさんがいるじゃねェか、ちったぁ酒に付き合ってくれよ。』
『……………………あーァ、振られちまった。
だが逢瀬の時ゃあ、覗いちゃなんねえ。そりゃ無粋ってもんだ。』
『なあ、そう思わねェか………手前も。』
今夜は、堰月でありながら美しい月夜……それも弓張月。
それが故に。
血気盛んな鬼が一匹、二匹潜んでいるようだ。
はたまた数多の魔物が潜み、軈て常世を荒らすやも。
『………………________願いはすれど平穏な処など、ありはしないのだから。』
『期待も、しない方がオマエ、ラクだぞ?』
くすくす。
今度はちゃんと、アナタが悦ぶように、私からゆっくり「接待」してあげるわよ?
だからその時は人間として、お客様としていらっしゃいな。
可愛い凡人さん。
そんな女人の囁く甘言に惑わされないよう、惑乱しないよう、と。
どうかどうか、と貴方に庶いますよ。
ご用心為され。
なんたって、此処は。
_______死の神が治め、管理する死が溢れた処なのですからね。
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