可笑しな漫画家が異世界転生した模様。ーただの神様達と神獣や少女で漫画家を困らせるようです。ー

裏。ー影。ー

現出。ーあれかし誑かし。ー

『我が王……このような姿で申し訳ありません。』
雨に濡れたフードを脱がないまま、拝謁した『人物』がそのまま腰を下ろし礼をした。

『祈りの為に散った華達が、あったことを忘れないでくれませんか？
…なんて、甘言を囁くのは『主』の方々の影響なんでしょうかね。
……よくぞ、戻ってきました。
『伊佐』。』

そう告げたのは、狼型の魔物の一匹『サリーミン』。
王の傍に控えているが、執事の格好をしているのは彼の完全なる趣味だ。

『謹んで感謝いたします。』

よく見てみると、フードのあちこちには血がベッタリとついていたようだ。

…………………………まだ狂ってはくれないんだね

……………………………………………ふふ。

『ありがとう、『伊佐』』

『伊佐』と呼ばれたモノは一瞬固まると、更に深く礼をした。

下がっていいですよ、と告げた『側近』は僅かに微笑む。
……とは言っても、黒ローブに身を窶していたから微笑んだか、定かではなかったのだけど。

さて、ここにいる魔物達はほとんど。
「きみ」をみているよ。
…………“君達も”当然、ね。

すると魔物が、一匹現出する。

究呼蜥蜴アルバンスベネと言う魔物だが、服装は紫で統一されており何処か、不気味な雰囲気も見受けられる。
その容貌は「よく分からなかった」。

閑話休題それはさておき、魔物達の記憶はほとんど失われないね。
『人の仔』ら、「人の仔」らも同様に過ぎない。
逆に【人間】は喪失するだけだ。
……とは言っても、神代の昔からここは変わらなかった。
侵攻があるまでは、平和を貴んでいたそう。

少し疲れてしまったから交代ね？

はいはい、わかったよ。

あー、それでな。

『……ご無礼をしました。
ただいま帰還しました。』

一礼をし、側近達にも恭しく挨拶をした後に。
傍に控えている、『サリーミン』に告げる。

『素襖と言ったか。そ奴はどうするのだ？』

その魔物はこう言ったぞ。
『……活かしておくのか？』

魔物の名は……これだったか。
『パナヴァ』……ってモンだな。
懐かしいな。