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裏。ー影。ー

ならば魅かれてみるか?ー怨念と狂月。ー

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推しを推して、存分に死ね。

『ならば美しくかつ至宝の一品をやろう』
邪神達はその言葉達に絶望歌の火を告げさせようとした。

そうして魔神達は、反旗を翻し抗ったが。

それでも殊更聖戦にはほど遠く。

謳われることのない邪神は鬼へと変貌し、その魑魅魍魎共は邪悪に嗤った。

吾が虚栄を張ってどうするというのか。

ある邪神は化け物へ化生した。

とある邪神は堕落した。

別の邪神は魔物へ変貌した。

声が響く。

『邪神は散るが定め。』

等と、うつけものが。

どの邪神が言ったか、さて。

その邪神は恐らく後悔しないだろう。

不敵な笑みを浮かべた気がした。

顔が見えないために、それは気のせいだったようだ。

『ならば毒をやろう……』

『苦しめ、愉しませよ………。』

『闇と安寧は我が手中故に………。』

【我等が居る限り________!!】

その言葉に一つ、それも一柱の神への呪いを刻んで。

『それとも、灼かれてみるか?』

すっ、と一柱の神へ何かを真っ直ぐ投げると。

即座に神の魂ごと輪廻から切り離され、燃えた。

変貌したとは言えど、曲がりなりにも邪神だ。
その力は現在いまも、在る。
『変容し、堕ちたとて邪神ぞ。』
『吾は。』
『ふん、その炎は消えぬ。』

『消させぬ。』

これらは意訳だ。
『邪神』の中でも一際凶星であり、傑物の所以。

その『邪神』達は、シルエットで姿を隠していふ。
創成時に、数多の【人間】を救済するも。
変わりはしないそれ未来を見て、憂いた魔神達が『獣』を創り上げた。
その最中、「聡明な」【人間】がいた。
その「聡明な」【人間】は内省し、自身を罰した。
すると『人の仔』へ生まれ変わって。
それを見た『邪神』達は大いに悦び、『人の仔』を使い【人間】を殺した。
すると、『人の仔』へと変容しそれも、________。

それから【人間】と『人の仔』は、分断された。
諍いが絶えなかったからだろうか。

それとも『人の仔』を愛せなかった『神々』がそれを憂いて報復をしようとした、と。
【人間】を使い、『人の仔』を殺した所以で。
分かたれたのだろうか。

それが故に、聖戦が起きたのは神代の昔だ。

聖戦と称し、そのために『居場所』を奪う『神々』が、『邪神』が。
剰え、それをかたる『獣人』が現れ始めたのは。

二体の龍がいたこともあったが。
慈愛の言葉をかけ、それでも愛された側がそれを優先する訳では無いと、淘汰した。
文献によると片割れの龍は去り、置いていかれた龍は狂いきれず、五体あるいは六体の守護者を生んだとある。
そして欠けた世界へ連れ添って、それから置いていった。

守護者の一人はかつての『かの鬼女』が愛した世界を守り、一人は守護するはずだった世界を壊し、一人は放蕩し、一人は彷徨い、一人は堕ちた。

もう既に世界から流れ去った神々も、その中にはいただろう、かなしいことだが。

『____……』
                              ー は。ー

ノイズが酷いが、一つ声が聞こえた。

                     ー失礼いたします。ー

二撃、即座に一閃。

                     ー失礼いたします。ー

三は、その一瞬後に二千。

                     ー失礼いたします。ー

四撃、瞬きする間に三線の音が鳴る。

                     ー失礼いたします。ー

五撃目に、敵は四番目には言うことなく剣戟音。

                     ー失礼いたします。ー

六、四の五の言わずに懐剣の音。

                     ー失礼いたします。ー

七、懐刀の剣戟音。

                     ー失礼いたします。ー

八の打ち合う音が聞こえる。

                    ー失礼いたします。ー

九、蜂蜜酒はいかがですか?

                    ー失礼いたします。ー

夕暮れですがその美しい光景の中でも、銃撃を食い止めるのに苦戦中ですね。

                    ー失礼いたします。ー

十一戦もしていましょう。

                     ー失礼いたします。ー

十二の剣戟音が聞こえましょう?

                     ー失礼いたします。ー

いやはや、十三も続くのですね。

                      ー失礼いたします。ー

十四の時が動く、とはよく言ったものです。

                      ー失礼いたします。ー

十五と言えば…ふむ。

                      ー失礼いたします。ー

十六の剣戟音が酷くなりますね。

                     ー失礼いたします。ー

十七の鼠達が鳴いていますね。

                     ー失礼いたします。ー

十八番の童歌は御座いますかねェ…。

                     ー失礼いたします。ー

十九の春、といえば修羅と春にございます。

                    ー失礼いたします。ー

二十はワルプルギスの夜でしょうか。

                    ー失礼いたします。ー

二十一は、あの方の願いに適いましたでしょうか。

                    ー失礼いたします。ー

二十二と言えば、ゴエティアの悪魔と言いますか。

                   ー失礼いたします。ー

二十三の銃剣の鍔迫り合いですね。

                   ー失礼いたします。ー

二十四時間は一日です。

                   ー失礼いたします。ー

二十五の剣戟音と同時に、一日千秋と言いますし。

                   ー失礼いたします。ー

二十六、常闇が貴方がたを包み呑みこみこみましょう。

                   ー失礼いたします。ー

二十七の赤いクナイが打ち返されます。

                   ー失礼いたします。ー

二十八にて、撃沈いたしました。

                   ー失礼いたします。ー

二十九、あの仔は無事でしょうか。

                   ー失礼いたします。ー

三十にて、討ち取りました。

                   ー失礼いたします。ー

三十一はアレらの独壇場でございます故。

                   ー失礼いたします。ー

三十二にて、すべからく。

                   ー失礼いたします。ー

三十三の剣戟音が辺りに反響するだろう。

                   ー失礼いたします。ー

三十四の目が、貴女方を見ているが当然の如く何もしない。

                   ー失礼いたします。ー

三十五、穿つ音がした。

                   ー失礼いたします。ー

三十六を迎えた刹那、咀嚼音が聞こえた。

                   ー失礼いたします。ー

三十七、斬り掛かるような音が致しました。

                   ー失礼いたします。ー

三十八、銃撃音のような音も続けて聞こえるようだ。

                   ー失礼いたします。ー

三十九、気の所為でしょうか。

                   ー失礼いたします。ー

四十、『かの天層』様もお労しいですね。

                   ー失礼いたします。ー

四十一、激しい戦闘音が姦しいでしょうが興が冷めないようでしたら、嬉しい限りです。

                     ー失礼いたします。ー

四十二、きっと素敵なレアマカナ贈り物が届くことでしょう。

                    ー 失礼いたします。ー

四十三、貴女の処へ浅慮な輩が出没しなければいいですね。

                     ー失礼いたします。ー

四十四、あなたの眼の虹もとても綺麗ですし、私たちは殺し合いましょう?

                     ー失礼いたします。ー

四十五、ちいっとばかし痛え目に遭うかもしれませんなァ。

                    ー失礼いたします。ー

四十六、個の実力を計れぬならぬるま湯に浸かっているが良い。

                    ー失礼いたします。ー

その『人物』達はすべからく、シルエットで姿を隠していふ。

だと言うのに、一人だけでこの有様だ。

『邪神』の中でも一際凶星である、傑物で。

その『人物』が『人物』たる所以。

卓越した高等技術の他に、凄まじい戦闘技術を遺憾無く発揮できている点だろう。

……それらはさておき、話が逸れたようだ。



跳躍してから蹴鞠の要領で、懐に入り込むと力強く一撃与えくつくつと喉を鳴らした。

なのになんの脈絡もなく、何の合図もなく天界から黒雷が落ちた。
すると、生き物のようにのたうち回る『ナニカ』を傍に侍らせた。

『ならば魅かれてみるか?』

そうして密かに喜び、名も忘れられる呪いをかけられ最愛とともに封印された後に。

ある邪神は化け物へと化生した。

とある邪神は堕落した。

別の邪神は魔物へ変貌し、渡った。

聖神達と邪神の一部を残し、あとは全て時代ものがたりから消失した。

その名は、後に名喰いの神と呼ばれる神の手によって喪われたのだが。

今昔に深い爪痕を残して。

歴史の影に潜み、各地の深くで。

息づいている。

『わが愛しき世界は死んだ。
ならば、祓え。
祓え。
祓え。
この『愛された世界』に憑いた悪神を_____。
すべからく怨歌を謳う願わないモノ共を!
祓ってみせよ_________。
__________それすなわち。』

それすなわち__________酸漿にて、人の血肉を食み、魂を啜る異形に違いないと。


笑い、時には彷徨っているから。
___悪いことをしたら、悪魔が魔物が。
……___魔女たちが、骨の馬を連れてぱくりとその身体におまえをいれてしまうよ。
………たとえばからい食べ物の色をした、キモノを着た大きな身体の人を見たなら、この料理を食べて!ってお願いしたらいいよ。
……その大きな身体に渦巻く、苛めたくなっちゃう心が巣食わなければ無事に、送り届けてくれるかもよ。ただし、___言葉に注意を払ってくれるかい?

…そう、帰るまでは気をつけてってことだよ。
その人はほわほわって気持ちよくすることをしらないんだ。
忘れちゃったのさ、長い間過ごすうちに。
きっとね。
その代わりにちくっと心をいたくして、崖の外に追い込んでしまうようなやさしくない言葉をかけるんだって。
それでいて、悲しい気持ちにさせることを喜んでいるんだとかね。

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