可笑しな漫画家が異世界転生した模様。ーただの神様達と神獣や少女で漫画家を困らせるようです。ー

影狼

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真。ー詩。ー

鈴の音。ー葉。ー

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『ああ、こんなに酷いことになるなんて!』

『お嬢様!お下がりください!
あとは私共にお任せいただければお嬢様方の安全は保証されます!』

『お待ちください!』
『……………そうですか、その前に。
「お嬢様」のご意志は確認されましたか?
……あなた方の大切な鳥籠の「お嬢様」はこうしてあなた方の前にいらっしゃいます……。』

そこにやってきたのは燕尾服を着た男性だ。
「お嬢様」と呼ばれた、『明るめのグリーンドレスを着た女性』を自然と庇うように前に行っている。
いや、気配を消していたと言うべきか。
前に行った燕尾服を着た男性も黒い面をつけており、素顔は不明だ。
だが静かながらそのよく通る声に、護衛の屈強な男達は驚くだろう。

『よく見えるか?
そう、この物々しい雰囲気所以に名家だけじゃなく。
どのお偉いさん方も、護衛たちも何らかの面を付けてるのはな。
素顔を見られないために、していることなのさ。
だがそれを比喩してか、御霊の隠宴マスカレードナイトと囁かれているのが現状ってこった。』

窓からひょこっと覗きながら、「疲れを癒す処」まで案内する男性に『何者か』は疑問を抱いていた。

『この家は、「本当に」家なのか』と。
そもそも悪魔信仰なんて嘘では無いのか、と。

何かが鳴るような音がはっきりと聞こえた。

それを契機に、「形」が変容した。
それは立派な城だった。
とは言えど今は、変貌している「バルコニー」から見られているような気がした。
それは立派な城だった。
変貌ぶりに感嘆の息を漏らすだろう。
閑話休題。
先程まで見ていた場所、ではあったが。
態とがましく思えるほどにした。
『何者か』は、見て見ぬふりあるいは感じないふりをし男性の話に耳を傾けつつ、正面玄関から入った。
それは立派な城だった。
「何者か』はその変貌ぶりに思わず密かに、感嘆の息を漏らすだろう。
どうせ「招待」されているだろう、と推測を立てた。
これより確実であろう推察を立てたが、それも見透かされているだろうと思った。
ましてや自らより格上であるはずの、名家の「皆様」に謀略で勝てるはずもないと分かり、それでも、だ。
そう思いつつ「城主達」のいるバルコニーへと、身体を向けて。
敬意を忘れずに、表明するように。

かの尊い方々に届かなかろうが、届こうが残念ながら尊い方々には関係ないのだろう。

それはそれは、身体を曲げ美しいお辞儀をした。
そして、間髪入れずに柔らかな微笑を浮かべた。
すると、そのまま向けられていた視線が不意に柔らかくなった。

恐らくは私の経緯も知っての事、ならばそちらの流儀に則って見ようではないか。
まずは、「城主」達の元にご挨拶へ行かせてもらうとしよう。
それから、優雅で麗しいお嬢様にご挨拶へ行かせてもらいますね。
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