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根の暗影。ー泉に花筏ー

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……。

ちりんっ、とこの場所には似合わない鈴の音が微かにした。

それと、草を踏みしめる音やがさがさといった雑音が心地好い。

樹木の根が移動しながら、範囲を広げている。
よく見ると、赤い液体がついている様子。
その近くに押しだされる形ではあるが白い何か、あるいは強い力で引き千切られた形跡がある腕か、あちこち噛み跡があったり噛み砕かれたであろう髑髏か何かが見えていた。
……ふむ、ひいふうみい。
5000程はあるようだな。
大雑把に数えているだけで、大量にあるかもしれんが。
善き哉善き哉。

それはともかく、そこにいるのは。

おや、逃げられたようだ。残念な結果が出た。
食わせてやりたかったというのに。

……ほんに。
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