可笑しな漫画家が異世界転生した模様。ーただの神様達と神獣や少女で漫画家を困らせるようです。ー

免罪符。ーただ居る。ー

すみません、少々かたらせてもらいますね。
ああ、貴方もですか。

「………『記憶も、価値観も、思想も、何もかも、です。
乱され、蹂躙され、穢された上に玩具にされました。
『ならば、せめて……と』その想いで遺したその『名』が『もうとうの昔に喪われしその『世界』に在ること』さえ……。
「アレら」と『奴ら』と〈彼ら〉、それから……『█████████』“共”にとっては邪魔で煩わしく“処理したい”事柄であって……遺すことはもちろん。
あまつさえ。
かたることさえも“許されはしなかった”のですよ。
………………この先、この先。
……今はまだまだ遠い未来もう月光しか照らさない久遠の道に。
『ソレ』に値する忌々しい『名』を彼ら彼等は、与えられるでしょう。
けれども『主』の『方々』に『赦された』のが、『私達』にとってのせめてもの救い……………でしょう。
けれど、その代償に「感情とその果てに与えられた輝かしい『名』と想いすらも」亡くしたかのように。
あるいは…彷徨うようになってしまうのですね。
その時を待ち侘びるように。
身体願望が朽ち果てても。
朽ち果てたそれよりも更に、更に、更に強い渇求を、あるいは渇望を。
それが叶えられる訳でも、それを与えられる訳でもないと言うのに。
それでも尚何かを亡くしたまま、望みを抱え豆粒のように遠く遠くにいて、永遠に彼ら彼等の元下へ追いつけぬまま彷徨い歩くのです。』

…………。

その通りだ。

『何処か』で彷徨している『男性』が居た。
但し遠すぎた、豆粒のように小さく見える。

閑話休題といたします。

『ふぅー……疲れたよ。』
「お疲れ様です。『彼等』が保護して下さってるのですが見事に、『役に立てなくて』申し訳ない限りですね。」

『そうかな？今も未来も過去のように思うよ、そう思うだろ。
……ねえ、『かの楪の煉蘆牢に囚われた捕虜の妃を守護するモノ』。』
「ええ、私もそう思います。
はい、どうしました？『かの黒耽にすり寄る鋭狼』。
もしや何か不安に思われる出来事がありましたか？」
『うん、まさにその『何かナニカ』が脱走したようだよ。』
「はぁー……やれやれ。面倒ですが捕縛に行かなければなりませんね。」
『そうだね、僕らは『脱け出せるからいいのだけど』。
『彼ら』はどうなんだろうね、まあ行こうか。』
「……承知しました、それでは共に参りましょう。」
『……『役立たず研究員共』を始末に。」

「まったくもって底も見えない深淵如法暗夜の孤独が這い寄りやがて心を染めて餌食にしてしまう何処かにて、二匹二人の獣仔が廻る廻る。
暴虐を尽くそうと、動く。
全ては全ては……『彼等』のために。
さてさて、どうしたもんかな。」
くるくると指を動かして、嘲弄する『男性』がいる。

その手には、瓶が収められていて。

切れるもので切ったであろう指で瓶をつつー、となぞると。
地面にある大きな魔法陣と、『男性』の前に跪いている「何者か」の背中に紋様が浮き上がった。
にっこりと笑って、首を傾げその髪が顔にさらりとかかる。
後ほどキミが、少しでも苦しんでくれることを俺は好むよ。
だってそうじゃないか、それはとても喜ばしいことなんだ。
模倣をするように奪取でもするのか魔法陣の中心に、薬瓶を置いた。
少しは何かに執着してくれているのは、明白ではあるけれどもその目的は解らず、とんと未だに不明なままな訳だ。
「さあ、行っておいで。」
とんとん、と地面を杖で叩いて『転移魔法』をかけましたね。