81 / 269
神様と悪い神様のおはなし。ー終。ー
しおりを挟むある所に、悪い神様がいました。
その悪い神様がいる所は、いつも同じではありませんでした。
ある所に、光輝く泉に、お城に、花咲く庭がありました。
そのほかにも、たくさんあったのですが。
特に、いる所。
その3つの綺麗な所が、悪い神様は好きでした。
そうなのです。
特に、お気に入りだったのはこの3つでした。
悪い女神様がいた場所は、この3つでした。
その悪い女神様は、目をかくして悪い神様以外には、決して見せません。
遠い昔に、治らない傷を負ってしまったからなのです。
悪い神様は、たくさんバツを与えていました。
悪い神様は、暗くて、怖くて、寒い処に、沢山落としていました。
悪い女神様は、沢山手を差し伸べていました。
悪い女神様は、キズついてもたくさん手を差し伸べていました。
そのほかにも、たくさんあったのです。
とっても分かりにくいところがいっぱいあったので、国のみんなはだいこんらん!
その悪い神様は分かっていたのに、分からないふりをしていました。
すべては、すべては……。
それに怒った神様は、悪い神様がいる所を全部取ってしまいました。
「………… ああ……導いたしましょう。」
「………… ああ……導いたしましょうか?」
それで終わりにできるような、悪い神様ではないのです。
「…………おまえはそうするのか。………それなら……いい考えが。」
「それならわたくしめにおまかせを!」
「………………。“紗奈頼んだ”…………。
……それじゃ俺がこうして……………。」
紗奈という誰かは、その言葉を聞き狐と、巫女様を伴って何処かへ、行ってしまいました。
「これでわるさなどできないだろう。」
そう思ってあんしんしていたら、こんどはそのわるい神さまの一人がおこってしまいました。
大きな大きないくつもの森、それから世界だけでなく国のみんなにとても強い呪いをかけました。
それから。
かみさまたちのうちの、ひとりにとびきり強い呪いをかけたのです!
うんとこまってしまったかみさまが、わるいかみさまたちの体のじゆうをしばりました。
しばられてしばらく、たちました。
とうとうそのうちの一人のわるいめがみさまは、泣いてしまいました。
泣き続けました。
大地がかれるまで、泣き続けたのです。
大いに、大いに泣き続けました。
すると、キレイな花がさきました。
とんがり帽子をかぶってめをかくしているわるいめがみさまが、たすけてくれるというのです!
とんがりぼうしのわるいめがみさまが手を前に突き出し、丸くて音のでる石がいれてあるつえを振ったその時。
黒いちょうが、その花のみつをとってとびたちましたら、花からあやしい光が出現したのです!
それを見て何かを思いついたのでしょうか。
不思議な糸と、その怪しい光や、同じように不思議な力を使って、わるい男神さまは「守護者」を、あっという間に織りました。
それから、かみさまたちのまわりに合う綺麗な、色とりどりのうすいベールを、織りました。
わるいかみさまたちは、すこしだけよろこびました。
感じょうひょうげんが、にがてなわるいかみさまもいるのですから、このよろこびが伝えられるのは、とてもとてもむずかしいのです。
そして、みんなでけんをとりかみさまをたおしました。
たおしたとおもったら、おおまちがいでした。
そのしかえしに、わるいかみさまたちはみんなみんな。
たおされてしまいました。
すると、とったところ全部が変わってしまったのです!
光輝く泉に、お城に、花咲く庭が光らなくなったり、ぼろぼろにくずれていったり、花がかれていったりと、さあ大変大変!
かみさまは、こうかいしました。
こうかいして、泣いています。
こうかいして、こうかいして。
もうおそいのです。もうおそいのです。
許してくれるわるいかみさまたちは、この美しい所に、いません。
いまも、あの美しかったところを戻そうと、必死になっているのです。
愛でたし愛でたし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
こうして、わるいかみさまはたおされて、かみさまはいきました。
ね?
幸せな結末でしょう?
それで、おしまい。
それが、ハッピーエンドだと思わない?
ふふふ。
“誰か”は、独りごちます。
誰にも、聞かれてないところで、ひとり、“独り”。
ゆらゆら、ゆらゆらと黒いローブが揺れます。
たん、たん、たたん。
たっ、た、たったったっ。
たたん、たったったっ、たん、たん、たっ、たっ、たったったったっ。
それは軽やかなステップを、踏んでいる。
踊っているのだろうか。
それは楽しげで、やけに。
ゆっくり、ゆっくり踊っていく。
軽やかに踏まれていく。
優雅に、優雅に。
其処は、何処かにある廃城だ。
城壁は白く、美しかった。
民達は幸福の閾値を満たしており、臣下は王族ひいては王のために。
残念ながら、豪華絢爛とは程遠いけれどそれでも愛する民に誇るべき、かつて国民に愛されていた城だ。
そして賢王含め、聡明な王族の居た、美城であった。
それから、最も尊ばれていた人の仔はとある人物に任せ、戦場に赴いた。
そのとある人物とは、ヘルウンデ・シャーロットであった。
王が戻るまで、『残ると決意した民を守るように』、と拝命を賜ったのだ。
そして、孤軍奮闘を成すが、敵国が放った奴隷のハチャメチャな戦術や|敵国の優秀な宰相や指揮官の、巧みな戦術が幸をなしたのだろう。
間接的に、そうなってしまったのだけれど。
宰相と指揮官の組んだ少数精鋭部隊、そして地形を活かした少数精鋭部隊の卓越した戦闘技術や空間認識能力の高度さはもちろん、恐らく今のヘルウンデ・シャーロットには予測不能と思われる頭脳を用いて、着実に確実に襲撃してきた。
あるいは、攻め入って来たのかもしれないが。
その末に、少数精鋭部隊とやはりハチャメチャな戦術を取る奴隷の手により、滅んだ。
あるいは、宰相と指揮官の手により、滅んだ。
人海戦術か、はたまた挟撃か。
もしかすると、情報錯綜による混乱及び内部統制の崩壊を計ったのであろうか?
今となっては出典は不明とされており、残念に思うだろう。
直接的に、そうなってしまったのだけれど。
士気が最高潮に達した様子の兵隊たちの手により、滅んだ。
惜しくも滅んでしまった城であり、美しかった国。
それが今の、主無き城下町であり賢王と共に、愛して居た久遠の地へ去った国の悲しき末路である。
『さて、どうだったかな?』
たん、たん、たたん。
たっ、た、たったったっ。
彼女の動きが止まり、黒い手が彼女の身体を掴み捻りあげる。
『面白かったかな?
まあ、私には関係ないけど。』
彼女の身体は悲鳴をあげる。
空間を引き裂かれ、為す術なくそれごと引きずって消えていく。
彼女の悲鳴を遺して、「形骸」がこちらを見た。
それを見やるかのように、虚ろな瞳は一瞬だけ動かされて。
なにと、問いかけている気がする。
そんな“彼女”へと、魔の手が迫る。
“彼女”は 『終幕』、『終幕』と 相成りま すよォ。
たたん、たったったっ、たん、たん、たっ、たっ、たったったったっ。
その「形骸」が空間にすぅっ、と消えたその瞬間。
黒い人影が空間の向こうに見えたが、それは直ぐに通り過ぎて行った。
そして、「黒い手」が手招きをする。
まるで……。
いやいや、そんな訳がないじゃないか。
『……偵察終わったし私らはこれで失礼するよ。』
たんたん、……とっ。
それから名残惜しそうな『彼女』の声が聞こえた。
ステップを踏む音が聞こえた。
綺麗に、一回転でもしたのか外に飛ぶ音が致します。
かつて、この城にいた王族の関係者であったのか。
それは誰もが、知る由もない。
王族は全員滅んだのだからそれでいいじゃないか。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
*****************************
***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。***
*****************************
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
実はスライムって最強なんだよ?初期ステータスが低すぎてレベルアップが出来ないだけ…
小桃
ファンタジー
商業高校へ通う女子高校生一条 遥は通学時に仔犬が車に轢かれそうになった所を助けようとして車に轢かれ死亡する。この行動に獣の神は心を打たれ、彼女を転生させようとする。遥は獣の神より転生を打診され5つの希望を叶えると言われたので、希望を伝える。
1.最強になれる種族
2.無限収納
3.変幻自在
4.並列思考
5.スキルコピー
5つの希望を叶えられ遥は新たな世界へ転生する、その姿はスライムだった…最強になる種族で転生したはずなのにスライムに…遥はスライムとしてどう生きていくのか?スライムに転生した少女の物語が始まるのであった。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる