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唯の魔法使い。おとぎ話の濡天の。終
しおりを挟むそれからみんなは濡天の魔法使いを見ることが、なくなりました。
それから、何年か時が経ちました。
それでも噂は、出回り続けました。
ですが濡天の魔法使いはいると、信じられてきました。
それから皆が見ていない隙に濡天の魔法使いは、更なる旅をするために遠い遠い国に旅立ちました。
おしまい。
挿絵もちもち。
印字もルティ
んー…さて、こんなところかな??
…………ねぇねえ、『はズま』。この前このおとぎ話の複製を手に入れて、七ページくらいの絵本風にしてみたの!
どうかな?
ワたしは、『はズま』にそう言って現物の複製と絵本を渡し、笑いながら言った。
『…………。』
本を捲る音が心地いい。
インクの匂いが堪らない。
複製のボロボロになった古めかしい紙質がいい。
…………風の音も、葉の落ちる様子も木々の揺らめく様子も堪らない。
柔らかな陽だまりの池もいい。
それらに紛れ込んで、影が潜むのも心地いい。
…………ああ。綺麗な水の影。
…湖か何かが、そこにあるのかな?
『はズま』、読み終わった?
『……………。』
頷いたところを、本の複製とおとぎ話を元にした絵本を、受け取りながら微笑んで見た。
そっか~!じゃああそこに湖か何かがあるみたいだから、行こっか!?
『……………。』
頷いて、彼女について行く『はズま』はふと振り返った。
『……………。』
『……………。』
暫しの沈黙の間を空けて、彼女の行った方について行った。
『……………。』
柔らかな陽だまりの池を避けて、陽炎のように揺らめいて現れたのは黒い面をつけている『モノ』。
その下に黒い布と、白い包帯をつけていて尻尾がある男性。
黒い面をつけているからか、眼は見えない。
穏やかな風が吹き黒い布がはためいて、口元が見えた。
ーーーーだったはずでした。
黒い髪に赤い眼を持つ白い面をつけている男性と、白い眼に水色の髪をひと縛りにしているのですがこれまた面をつけている男性がいました。
それから涼し気な茶色の目に、燃えるような赤い髪をしていると同時に、面をつけているのですが両側には黒いカスミソウのような模様が彫ってある所と同じようなところに、痣のある男性やその他の男性達が佇んでいました。
それと同時に白無垢を着たような格好の、顔は白い包帯と触手のような可愛らしい蕾と布で隠されている女性達が現れました。
……共通点は、顔を隠していることや痣や紋様を含め身体のどこかにそれらがあることと、みな男性に付き従っているようにも見えることでございましょう。
ーーーー口元は、見えませんでした。
ーーーーそんなわけで。
ーーーー忽然と男性達は、消えました。
ーーーー跡に残るは、陽だまりの池に照らされ目玉に触手が生えたような一匹の魔物の眼ごと、抉れたような残骸が光に紛れて消えてゆくだけでした。
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