可笑しな漫画家が異世界転生した模様。ーただの神様達と神獣や少女で漫画家を困らせるようです。ー

かの忌々しい王族の血を引くモノのおはなし。ー現れるは愚かな杖でございましょう。ー

ああ…鮮血で彩られた魔法陣から、何かが出てくる。

………杖？

その杖はなにかの金属製で出来ているのか、不思議な色をしていた。
七色に見えるのに、時々禍々しい色に変わる。
…………………『弟』の醜悪な笑顔とは何らかの関係が見えなくもないのだが……。
……ただ、『別の』悪魔を呼んだ。
ただ、それだけだ。
……この杖に宿る悪魔と弟の呼ぼうとした悪魔が、敵対している可能性も頭に入れて後々調べておくか。

…………そんなことを考えていたら、杖が妹の傍にふよふよと浮遊しながら近づいてきた。
『…………探したぞ、王族にまつわる血を持つ娘。
契約を結び、我らを従えよ。
『承った。
数多の同胞よ、闇より現れいでよ。
この娘に、力を授けようぞ。』
娘が孕むであろう子にもお前と同じくらいの、年にまた契りを交わそう。
…………忘れるな、『ユヒヌ･カージェデ＝ホルネテ』。
我らは常にお前と共にある。』
それは徐々に人の形になると、契約を結ぼうと語りかけた。
妹は頷いた。
闇からそれと同じくらいの人の形をした、モノが数多出てきた。
そして手を翳すと、闇の球体が現れた。
それが手から離れると、バウンドしながら粒子になった。
黒い光が彼女の身体の周りに、漂っている粒子から発光された。
辺りが眩しくてつい、目を瞑った。

私の周りにある粒子から、黒い光が出た。
眩しくて目を瞑ったけれど、頭の中に声が響いた。
『…………忘れるな、『ユヒヌ･カージェデ＝ホルネテ』。
我らはお前と共にある。』
何の感情も込められていないような声にきっとお兄様は感じただろうけれど、微かな喜びが滲み出ていた。