可笑しな漫画家が異世界転生した模様。ーただの神様達と神獣や少女で漫画家を困らせるようです。ー

影狼

文字の大きさ
上 下
3 / 299

話をしようか、おまえのことについて。ー神様が告げたのは何ですかね?ー

しおりを挟む

どうして、【お前が】まだここにいるのか理解できない。
娘を殺した、張本人が。
「何故あなたがここに?」
~~……♪ザザザッ……ザザザッザザーッ、ガザッ……ガザーーーーーーザザーッ……。
『それはな、監視のためだよ。
お前たちの尊敬する問題児の獣の、な。』
頭の中に、ノイズと共に文字が浮かぶ。
ザーザザー……ザザーッ……ザザザッ……ガガッ……ガザーーー……。
『そうしなければ、逃げるのだろう?
名も知らぬ世界の中で飢え死ぬのなら、監視されていた方がよっぽどマシだと思うが?
…………なあ?「ーーーーーーーーーーーー」、そう思うだろう?』
「おぎゃあああ!!!!」
ッ……前世の名前だけは呼ばないで!
お願い、名前だけは……。
ザザーッ……ザ、ザ、ザザーッ、ザザ、ザ、ザ、ザザーッ、ザ……ザザーッ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、……。
『安心しろ、名前も愛もたっぷりやろう。
俺に見捨てられ餓死したくないのなら、別の名を考えるもいい、真名を与えられるのもいい。
それが出来ないのなら……なあ?「ーーーーーーーーーーーーーー」。』
ッ…………。
一体、目の前に居る人はなんだ?
…………ああ、目的は解った。
『………………。』
だが隣を見ても、隣に居るひとには敵わないのに。

俺は、改めて隣に居るひとに向き直った。
すると、肌が密着するほど身体を近づけられた。
そして頭を掴まれ、顔を近づけられた。
目の前にいるのに遠いひとに向けられる、侮辱と嘲笑。
包帯の中に隠されている眼はきっと、あの時のように冷たく鋭い刃物のような厳しい眼をしているだろう。
確かでいて肌に刺さるような静かな恐ろしさ、得体の知れない恐怖やそれらを一身に受けている。
ゆったりゆらゆら、ゆったりゆらゆら、ゆったりゆらゆら、ゆったりゆらゆら……ゆらゆら、ゆらゆら……ゆったりゆらゆら……ゆらゆら、ゆらゆらゆらゆら、ゆらゆら、ゆったりゆらゆら、ゆったりゆらゆら……ゆらゆら……。
相変わらず、尻尾はゆっくりと揺れている。
ああ、変わらないひと。
そして微かに和んだ後に、気を引き締めた。
和んだところで表情は何もかも変わらないのだから、目の前に居るひとの眼差しも姿勢も掴む手の力も。
名前を呼ばれることに対しての恐怖を、刻み込まれることも充分に恐ろしく感じた。
ザ、ザ、……ザザーッザザザッ……ザザザッザザーッ、ザザーッ、ザザザッザザーッ、ザザザッ……。
話を切り替えるように、地図を取り出してある所を指さしてノイズ混じりの文字を頭の中に浮かべ、説明し始めたひとに倣って俺もそれを見る。
『で、だ。
この世界の名前は『ヴィタセピミスーフ』と言ってな、今いる所は…え~っと。
辺境の町である『セントヒェモネッケ』でお前の娘は俺に、見られながら産まれたんだよ。
『アリア・ミーツ=セリソネオ』。
今の世の名はそれだが、後々この村も魔物に襲われ、名もなき娘として人身売買にかけられるだろうよ。
ふふっ、それもいいな。
さて。
俺に喰われて死ぬのか、そこのメス駄犬に攫われて千切られるのか、果てさて。
ふっ、おまえがどんな結末を迎えるか非常に楽しみだ。
「なあ?
『アリア』。」』
……………………………………。
ザザーッ……ザザーッザザザザーッザザザザーッザザザザザッザザーッ……ザザザッザザーッザザーッザザザザザッザザーッザザーッザザ……ザザーッザザザザザザザッザザーッザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザ……。
『……………………………………。』
『……どうだ?
使い捨ての眼を通して、酷いことを見た感想は?』
『………………ふむ、それならばこのまま行っても無駄足ですね。』
ザザザザザザーッ…………。
『……………………それなら………………。』
『…………。』
………………まあ、精々頑張んなよ。
『忌々しい王族の血を引くモノよ』。

そうして、木の上に座る黒い手を操っているであろうモノが一匹と一人の傍に居るかのように現れて黒い手を地中から出して引きずり込みました。

ん、おはよう。
ん?俺?
え?誰だって?
ん~……まあ敵ではないから安心してよ。
「ほんとですか~?ふふふ……。」
ん、ほんとうだよ。
で、アリアちゃん。
「はい?」
俺らとこの世界回ってみないかい?
「……ふふ、出来るのならやってみたいですよ。」
「でも、ね。
この檻から逃げられないんです。」
へ~……ふふ、好都合だね。
はい、これで君を攫えるよ。
奴隷売買だとか亜人売買をする用の檻の前で、指ひとつを錠の役割を果たす魔法陣の前で、空中を払うように撫でると魔法陣の光がなくなり、空間の雰囲気が変わった。
錠が割れて、外れるような音がした。
ま、それに興味はないけれど。
それから俺は衛生面も心理面も考えられていない冷たい檻の中に入って、アリアちゃんの身体を失礼してお姫様抱っこするような格好で抱えた。
~~♪
「ふふ、不思議な咏。」
ふふ、そうだね。
さあ、着いた。
ここが、アリアちゃんの新しい住処だよ。

『アリア、待ってたよ。
ようこそ、僕らの家へ。
とは言っても洞穴だけれど、許してね。』
「ありがとうございます。
貴方は?」
『僕?
名前がなかったから仮の名前でフューズって呼ばれてるよ。
どうぞよろしくね、アリア。』
そうして、その狐は微笑んだ。
狐にしては二回り、三回り大きい。
白い身体に赤い線が走っているけれど、痛くはないのかと聞いても首を横に振りながらそのことは忘れた、と言ったフューズ。
フューズは誰の神獣なのか、俺は気になって聞いてみたけれど言えないのだと。

『さて、僕らはアリアの護衛を言付けられてるんだ。
これで主に与れるよ。』
『あ、主から伝言来た。
『アリア、話をしようか。
おまえの事について、な。』』
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで220万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

修復スキルで無限魔法!?

lion
ファンタジー
死んで転生、よくある話。でももらったスキルがいまいち微妙……。それなら工夫してなんとかするしかないじゃない!

処理中です...