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第130話 第三王子はアホと言われる!

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急に現れた邪悪の根源レイニーに戸惑う僕たちをよそにドヤ顔で話しを進めるレイニー! コイツに関わると、ろくな目にあわない逃げ腰になる『シュウ』です。



「レイニーさん、御自おんみずら答えてくれるわけですね?」

「その謙虚な姿勢、気に入りました。では、お答えしましょう……」



『ゴクリ』

レイニーの溜めに緊張でのとがなってしまった。


「公爵様から陛下へ書状を届けてくれと言われてたのをずっと忘れて今、届けに行って来たばかりです」


――マリーパパからの頼まれ事をずっと忘れてただと? しかも、ドヤ顔でしゃべるほどのことじゃないだろ!


「ハァ~ そですか。ありがとうです~」

ぼくはレイニーに呆れた態度で返事をした。気持ちを切り替えて、エリスに再度聞き直した。

「エリス様。このモブドゲスヤロー第三王子にお手を煩わせる必要はありません。ここは私にお任せに下さい」

またもやレイニーがドヤ顔でしゃしゃり出て来た……

「いや、ここは私が……」

エリスがレイニーを止めようとしたが、

「全知全能のエリス様、ここは私がこのボケナスに陛下の分までビシッと言ってやりますから」


――あの~レイニーさん。さっきから王族を貶してなすよね? 父上の分までってなんのこと?


「この親子はつくづく人使いが荒い、めっちゃアホで、どうしようもないアホ。さらに救いようの無いアホと来たもんだ!」

「ハァ~」

「良いですか? バカちんを遥かに越えたボクちん! 脳みその中をほじって良く私の話しを聞くのです」

「ハァ~」


――大事な事なので『アホ』を二回言われたと思ったら三回も言われてしまった…… ボクちんってなんだよ。意味が全然わかんねぇーよ! それに、脳みその中をほじくったら死んでしまうだろう! そもそもまともに僕に仕えたことなんて無かっただろう! 王族に対するお前の態度の方がおかしいと思うんだが……


「あの~ レイニーさん。脳みそじゃなく耳の間違いじゃないですか?」

「エリス様の使徒である私に間違いはありません。その腐った脳みそでは私の崇高な話しも入らないでしょうからほじるのです」

「……………………」

「では、エリス様は、この親子クズどもは余計なことしやがって面倒くせぇー事させるなよ。疲れるじゃねぇーか! 土の中に帰って寝てろよ。このすべての汚染物質の総合デパートが! と答えたかったのです」


「……………………」


「エリス様。ビシッと言ってやりましたよ」

「ち、ちょっと、待ってレイニーさん! 私、そんなこと考えてないし、言ってないよ!」

「こんなクズに遠慮は要りません。エリス様もビシッと言ってやって下さい!」


――なぜ? コイツは、すぐに崇拝しているエリスを貶めるかなぁ…… エリスも困ってるじゃないか! コイツ本当にエリス・フォンテーヌ様の専属メイド、レイニーさんの生まれ変わりなのか?


「あとで、シュウ君にはビシッと言うから話しを進めさせてもらっても良い?」

「エリス様がそう言うのであれば致し方ありません。今回はこの辺で止めておきますが、エリス様を貶めることは無いように、のろまなたぬきのボクちんは気を付けるように」



「「……………………」」


――なんで僕がエリスを貶めていることになっているんだ? いつか邪悪の根源《レイニー》の頭の中を見てみたい…… 脳みその換わりにカニ味噌が入っていたりして……


「話しを戻すわね。魔法石の価値を下げる必要があってことよ」

「魔法石の価値を下げる?」

「いつでもどこでも安価で購入出来たらどう思う?」

「希少価値が無くなる……」

「シュウ君的には言えば、身近なコンビニエンスストアで買い物する感じかな?」

「コンビニかぁ……  ――!? コンビニ? なんでエリスかコンビニを?」

「――ハルタン様から……」


――またもや、ハルタンたぬきか!? あのたぬき、異世界でコンビニ文化を広げる気か?


「魔法石の大量生産が出来るのかい? それに照明器具、水を出したりする蛇口とか相当な数を準備する必要があるし、あと、コンビニとかにするのであれば世界各地に店舗を構える必要もあるが、どうするんだい?」

「魔法石とかは魔力属性にもよるけど魔法が使えたら誰にも出来るからハルタンの人たちにお願いしたら良いと思う。意外と簡単に出来てしまうのよ」

「一個づつだと大変じゃない?」

「一度にまとめて出来るからそんなに大変じゃないわ。問題はどう店舗を増やすかなの」

「そうだよな…… 魔法とか信じてない国ばかりだし、どうやって魔道具を知ってもらうかだよな」

「多分だけどその答えがお義父様の手紙じゃないかしら」

「父上の?」

「マリーパパとお義父様の間で何かしらの動きがあると思うわ」

「あの父上がねぇ……」


『ふぅ~』

マリーパパが父上からの手紙を読み終わり、大きな溜め息をついた……
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