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第118話 第三王子は鬼の形相を見る!

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マリーパパの要望で、歓迎会を兼ねて相撲大会をすることになり、準備万端で気合いの入るダンベル、バット、パトリック、メアリー嬢他、お前ら相撲だけじゃなく魔法も練習しろよ。と言いたくなる『シュウ』です。


今回はお母上様とお父上様が来るまでのマリーパパ達の接待係としてエリスと僕は欠場となります。


意気揚々とマリーパパ達が戻って来ました。

マリーパパはもうる気満々です!
今回、死人しびとが出ませんように!と『ハルタンたぬき』に祈るばかりです。二号生のみんなも地上最強の生物マッチョ公爵と相撲が取れるとあっては大興奮で鼻血ブッー!状態です。

廻しを着けたマリーパパの背中には打撃に特化した戦闘用の筋肉オニのかおの形相が浮かび上がっていた…… 本気だ! マリーパパが本気になってる! マジでる気だ!

見解の対戦方法は参加者の要望とマリーパパの一番でも多く取組みをしたいとの強い要望で、東方マリーパパを抜かした全員、西方はマリーパパ一人となった。

二号生、魔物さん達、ハルタンの人達、マリーママを合わせた70名、驚異の70番勝負となった。


――このオヤジ、本物ガチモン戦闘狂バーサーカーだ!


マリーパパが土俵に上がると場内の空気が変わった!

「まずは、バット君。君からた! 本当の死合しあいという物を教えてあげよう。さあ、土俵に上がりたまえ」

「ハイ!」

バットは気合いの入った返事をして土俵に上がった。

行司が開始の掛け声を上げる。

「はっきょ~い のこった!」

バットは低い体勢からマリーパパにぶつかった。バットは廻しを取り、押し出そうとしたが、マリーパパは微動だに動かない。しかも、マリーパパは力をいない! まるで、大人と小さな子供が相撲を取っているかのようだった。マリーパパはバットの廻しの後ろをヒョイっと持ち上げるとバットを土俵の外へポイッとゴミを投げるように投げ飛ばした!

「決まり手は~ つかみ投げ~ つかみ投げ~」


――1番目から、めったに出ない大技が出た! よほどの豪腕じゃないと出来ない技だぞ! 


一方、投げられたバットはみんなに支えながら泣いていた。負けて悔しかったのだろうか?

「おおー!! やっと、あの伝説の地上最強の生物マッチョマリーパパと闘うことが出来たぁぁ!! チョーマンモスうれPー! みんな、退いてくれ! 握手だ! マリーパパと握手してもらうんだァァァア!!」


――悔しくて泣いてた訳じゃなかった。バット、マンモスうれPーとか、お前はいつの時代の人間だよ……


「次は俺だ!」
「いや、私が対戦する!」
「俺に決まってるだろ!」
「マリーパパにサバ折りしてもらうんだ!」
「私はロメロスペシャルをしてもらうんだよ!」
「ロメロスペシャルをやったらマリーパパが負けるじゃないか! ここはパロスペシャルだろ!」
「俺は気合いの入った張り手をされたい!」
「おいどんはアイアンクローでお願い申す」


――マリーパパ大人気! 二号生はじめ、魔物さんも伝説の地上最強の生物マッチョと闘いたいらしい…… 中にはドM発言もまじっていたが、どうして、そんなに死に急ぎたいのか理解に苦しむ……


人間だろうが魔物だろうがマリーパパの前では、赤子同然の闘いだった。リンリンさんのスピードに楽々と対処し、技のデパートと二つ名を持つ、ボルトさんやトーカゲさんの技すら新米力士とは思えない巧みな技で倒し、ミノノモンタさんのパワーにも圧倒的なパワーでなぎ倒した。まさに地上最強に相応しい戦闘狂バーサーカーだった。しかも、息切れはしていない。

マリーがよく僕に言っていたことを思い出す。

『お父様がもし地上最弱の生物マッチョなら、私は二番目に弱い生物マッチョでも良いわ!』


――まさにその通りだと思った…… もしかして、マリーパパは異世界転生したタチの悪い勇者じゃないのか? チート過ぎるだろ!


そして、70番勝負も残すは三番、サムソンさん、マリー、マリーママを残すのみとなった。

マリーパパは首を『ポキッ ボキッ』と鳴らし余裕の表情を浮かべている。このオヤジに土を付けることは出来るのか……

「次は俺だな。強き者よ。待たせたな」

「さあ、ろうか?」

サムソンさんは土俵に上がり集中している。場内はあまりの緊張で静まり返った……

「はっきょ~い のこった!」

二人は四つ組となり、パワー対パワーの対決となった。サムソンさんにはこれまでのスモウレスラーエドモン○ほんだの意地がある。ここで、負けるわけにはいかない!

マリーオヤジも地上最強の生物マッチョの二つ名にかけて負けるわけにはいかない!

お互いの意地と意地の張り合いだ!

マリーオヤジの背中を見ると鬼の形相かおが現れた…… 土俵上の空間が歪みはじめた瞬間、マリーオヤジがサムソンさんのパワーがまるで無かったように前に出る!

そして、サムソンさんの足が土俵の外へ出てしまった。


「決まり手は~ 押し出し~ 押し出し~」


場内はでは、ものすごい歓声が上がる。

「おい、今の見たか? 背中に鬼の顔だぞ!?」
「マジか!? あんなの初めて見たわ!」
「あれが伝説の鬼の形相かおなのね!」
「筋肉で鬼の形相かおが出来るのかよ! 信じられネェ!」
「あのサムソンが…… ま、負けた……」


マリーオヤジとサムソンさんは握手をしたがらお互いの肩を叩きあい、健闘を讃えあった……

次はマリーとの対戦だ!


ここに、伝説の地上最強の親子喧嘩が始まる……
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