99 / 211
第98話 第三王子は逃走する!?
しおりを挟む
ビルダーの水スライムに対しての心無い発言に憤りと心痛める『シュウ』です。
「ビルダー、良く見てくれよ。あのかわいらしいつぶらな瞳、あの屈託のないお口を!」
「――なあ、シュウ。目も口も鼻も俺には無いように見えるんだが?」
「――!? 確かに…… 無いね……」
「そうだろ。水スライムのどこが可愛いんだ?」
「心の問題だよ。心の目で見れば、きっとドラ○エのスライムに見えてくるはずだ!」
「ドラ○エってなんだ?」
「あっ、いや、なんでもない。今のは聞かなかったことにしてくれ」
「ロッシュウ様。またやらかしですか?」
――!? レイニー!
またしても知らないうちに僕の背後を取るとは…… さては、ガチ勢の暗殺者!?
「レイニーさん、急に出てくるのはやめてくれって、いつも頼んでるだろ! 一言掛けてから現れてくれ」
「『ロッシュウ様』と声を掛けておりますが?」
「声と現れるのが同時じゃないか! そんなのは先に声をかけました。とは、言わないよ!」
「そうですか…… 私にとっては別にどうでも良いですけど」
――!? もう、この人どうにかして欲しい……
「レ、レ、レイニーさん。ど、どうして、こ、ここへ」
――ほら、ビルダーも邪悪の根源を見ただけで前回のトラウマが甦ってるじゃないか!
「ビルダー様。お顔が優れないご様子ですが?」
――!? お顔が優れない? 何かおかしくないか? 何かが…… お顔が優れない…… 顔がブサイクってことか?
「レ、レ、レイニーさん。い、いや。そのようなことは……」
「なら、いいです。ビルダー様、モブ扱いだったのに最近、ご活躍されておりますね?」
「…………………」
――!? なんて辛辣なことを…… 闇をさらに闇に堕とすのは禁止! それだけは…… それだけは人としてどうなんだ!?
「それで、レイニーさん。何の用なの?」
僕は、空気を変えようとレイニーに声をかけた。
「陛下より手紙を預かっておりました」
「父上から?」
――こんな時期に手紙とは…… 何か胸騒ぎがする…… 父上や、母上に何かあったのでは……
レイニーから手紙を受け取り、急いで手紙を開けてみた。
――!?
『ガクッ』
僕は、膝から崩れ落ちた……
『新年 おめでとう』
と、だけ書かれた紙が一枚! 紛らわしいわぁ!! しかも、まだ新年じゃねぇーーし!!
「レイニーさん、この手紙は一体?」
「陛下より、新年になったら渡すように言付かっておりました」
「それで、なんで今このタイミングで……」
「手紙が重いからです」
「――!? ハァ? なんで手紙が重いんだよ! お前のいつも『二刀流フレイル』隠し持ってるじゃないか! それは重くないのか?」
「ふぅ、二刀流フレイルは私の体の一部ですから重くはないのですよ。おわかりになりますか?」
「そうなんですか……」
――これ以上ツッコミを入れるとヤツの手中にハマってしまう…… どうしたら良いんだ! ビルダーが闇に堕ちてしまう…… たとえ我が身が犠牲になってもビルダーを護らなければ……
「じゃ、僕はこの辺で次に行くよ。じゃあねぇー」
僕は、ビルダーをその場において逃走した。
すまん。ビルダー! 僕は、やっぱり自分自身の身が水スライムより可愛いのだ!
目の前にパトリックが……
「シュウ。僕から離れないようにお願いしてたじゃないか!」
「おお、パトリック!すまん。ビルダーと話をしていて遅くなってしまった」
「あれが魔物なんだね?」
「そうだよ。人を襲ったりしないし、かえって人間の役にたってるよ。怖くないだろ?」
「ああ、初めて見るから怖いものだと思ってたよ」
「そうだよな。魔物より人間の方が怖いからな」
「そ、そうだね……」
――しっかりとパトリックに闇を植え付ける邪悪の根源恐るべし……
「じゃ、そろそろみんなのところへ行こうか?」
「次は農村部に行くんだよね?」
「サムソンさんたちが待ってると思うよ」
「サムソンさんって、確か魔物だったよね?」
「サムソンさんはオーク族の族長なんだよ。『心』『技』『体』の揃った強いオークさんだよ」
「恐くないの?」
「ああ、恐いよ。あの強さはエリスの折り紙つきだからね」
「僕、会うのが恐くなってきた……」
「パトリックも一度、闘えばその恐さが良くわかるよ」
「………………」
こうして僕たち一行は農村部へと向かった。
「ビルダー、良く見てくれよ。あのかわいらしいつぶらな瞳、あの屈託のないお口を!」
「――なあ、シュウ。目も口も鼻も俺には無いように見えるんだが?」
「――!? 確かに…… 無いね……」
「そうだろ。水スライムのどこが可愛いんだ?」
「心の問題だよ。心の目で見れば、きっとドラ○エのスライムに見えてくるはずだ!」
「ドラ○エってなんだ?」
「あっ、いや、なんでもない。今のは聞かなかったことにしてくれ」
「ロッシュウ様。またやらかしですか?」
――!? レイニー!
またしても知らないうちに僕の背後を取るとは…… さては、ガチ勢の暗殺者!?
「レイニーさん、急に出てくるのはやめてくれって、いつも頼んでるだろ! 一言掛けてから現れてくれ」
「『ロッシュウ様』と声を掛けておりますが?」
「声と現れるのが同時じゃないか! そんなのは先に声をかけました。とは、言わないよ!」
「そうですか…… 私にとっては別にどうでも良いですけど」
――!? もう、この人どうにかして欲しい……
「レ、レ、レイニーさん。ど、どうして、こ、ここへ」
――ほら、ビルダーも邪悪の根源を見ただけで前回のトラウマが甦ってるじゃないか!
「ビルダー様。お顔が優れないご様子ですが?」
――!? お顔が優れない? 何かおかしくないか? 何かが…… お顔が優れない…… 顔がブサイクってことか?
「レ、レ、レイニーさん。い、いや。そのようなことは……」
「なら、いいです。ビルダー様、モブ扱いだったのに最近、ご活躍されておりますね?」
「…………………」
――!? なんて辛辣なことを…… 闇をさらに闇に堕とすのは禁止! それだけは…… それだけは人としてどうなんだ!?
「それで、レイニーさん。何の用なの?」
僕は、空気を変えようとレイニーに声をかけた。
「陛下より手紙を預かっておりました」
「父上から?」
――こんな時期に手紙とは…… 何か胸騒ぎがする…… 父上や、母上に何かあったのでは……
レイニーから手紙を受け取り、急いで手紙を開けてみた。
――!?
『ガクッ』
僕は、膝から崩れ落ちた……
『新年 おめでとう』
と、だけ書かれた紙が一枚! 紛らわしいわぁ!! しかも、まだ新年じゃねぇーーし!!
「レイニーさん、この手紙は一体?」
「陛下より、新年になったら渡すように言付かっておりました」
「それで、なんで今このタイミングで……」
「手紙が重いからです」
「――!? ハァ? なんで手紙が重いんだよ! お前のいつも『二刀流フレイル』隠し持ってるじゃないか! それは重くないのか?」
「ふぅ、二刀流フレイルは私の体の一部ですから重くはないのですよ。おわかりになりますか?」
「そうなんですか……」
――これ以上ツッコミを入れるとヤツの手中にハマってしまう…… どうしたら良いんだ! ビルダーが闇に堕ちてしまう…… たとえ我が身が犠牲になってもビルダーを護らなければ……
「じゃ、僕はこの辺で次に行くよ。じゃあねぇー」
僕は、ビルダーをその場において逃走した。
すまん。ビルダー! 僕は、やっぱり自分自身の身が水スライムより可愛いのだ!
目の前にパトリックが……
「シュウ。僕から離れないようにお願いしてたじゃないか!」
「おお、パトリック!すまん。ビルダーと話をしていて遅くなってしまった」
「あれが魔物なんだね?」
「そうだよ。人を襲ったりしないし、かえって人間の役にたってるよ。怖くないだろ?」
「ああ、初めて見るから怖いものだと思ってたよ」
「そうだよな。魔物より人間の方が怖いからな」
「そ、そうだね……」
――しっかりとパトリックに闇を植え付ける邪悪の根源恐るべし……
「じゃ、そろそろみんなのところへ行こうか?」
「次は農村部に行くんだよね?」
「サムソンさんたちが待ってると思うよ」
「サムソンさんって、確か魔物だったよね?」
「サムソンさんはオーク族の族長なんだよ。『心』『技』『体』の揃った強いオークさんだよ」
「恐くないの?」
「ああ、恐いよ。あの強さはエリスの折り紙つきだからね」
「僕、会うのが恐くなってきた……」
「パトリックも一度、闘えばその恐さが良くわかるよ」
「………………」
こうして僕たち一行は農村部へと向かった。
0
お気に入りに追加
54
あなたにおすすめの小説
公爵家に生まれて初日に跡継ぎ失格の烙印を押されましたが今日も元気に生きてます!
小択出新都
ファンタジー
異世界に転生して公爵家の娘に生まれてきたエトワだが、魔力をほとんどもたずに生まれてきたため、生後0ヶ月で跡継ぎ失格の烙印を押されてしまう。
跡継ぎ失格といっても、すぐに家を追い出されたりはしないし、学校にも通わせてもらえるし、15歳までに家を出ればいいから、まあ恵まれてるよね、とのんきに暮らしていたエトワ。
だけど跡継ぎ問題を解決するために、分家から同い年の少年少女たちからその候補が選ばれることになり。
彼らには試練として、エトワ(ともたされた家宝、むしろこっちがメイン)が15歳になるまでの護衛役が命ぜられることになった。
仮の主人というか、実質、案山子みたいなものとして、彼らに護衛されることになったエトワだが、一癖ある男の子たちから、素直な女の子までいろんな子がいて、困惑しつつも彼らの成長を見守ることにするのだった。
【完結】やり直しの人形姫、二度目は自由に生きていいですか?
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「俺の愛する女性を虐げたお前に、生きる道などない! 死んで贖え」
これが婚約者にもらった最後の言葉でした。
ジュベール国王太子アンドリューの婚約者、フォンテーヌ公爵令嬢コンスタンティナは冤罪で首を刎ねられた。
国王夫妻が知らぬ場で行われた断罪、王太子の浮気、公爵令嬢にかけられた冤罪。すべてが白日の元に晒されたとき、人々の祈りは女神に届いた。
やり直し――与えられた機会を最大限に活かすため、それぞれが独自に動き出す。
この場にいた王侯貴族すべてが記憶を持ったまま、時間を逆行した。人々はどんな未来を望むのか。互いの思惑と利害が入り混じる混沌の中、人形姫は幸せを掴む。
※ハッピーエンド確定
※多少、残酷なシーンがあります
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2021/07/07 アルファポリス、HOT3位
2021/10/11 エブリスタ、ファンタジートレンド1位
2021/10/11 小説家になろう、ハイファンタジー日間28位
【表紙イラスト】伊藤知実さま(coconala.com/users/2630676)
【完結】2021/10/10
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が子離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
スキル【海】ってなんですか?
陰陽@2作品コミカライズと書籍化準備中
ファンタジー
スキル【海】ってなんですか?〜使えないユニークスキルを貰った筈が、海どころか他人のアイテムボックスにまでつながってたので、商人として成り上がるつもりが、勇者と聖女の鍵を握るスキルとして追われています〜
※書籍化準備中。
※情報の海が解禁してからがある意味本番です。
我が家は代々優秀な魔法使いを排出していた侯爵家。僕はそこの長男で、期待されて挑んだ鑑定。
だけど僕が貰ったスキルは、謎のユニークスキル──〈海〉だった。
期待ハズレとして、婚約も破棄され、弟が家を継ぐことになった。
家を継げる子ども以外は平民として放逐という、貴族の取り決めにより、僕は父さまの弟である、元冒険者の叔父さんの家で、平民として暮らすことになった。
……まあ、そもそも貴族なんて向いてないと思っていたし、僕が好きだったのは、幼なじみで我が家のメイドの娘のミーニャだったから、むしろ有り難いかも。
それに〈海〉があれば、食べるのには困らないよね!僕のところは近くに海がない国だから、魚を売って暮らすのもいいな。
スキルで手に入れたものは、ちゃんと説明もしてくれるから、なんの魚だとか毒があるとか、そういうことも分かるしね!
だけどこのスキル、単純に海につながってたわけじゃなかった。
生命の海は思った通りの効果だったけど。
──時空の海、って、なんだろう?
階段を降りると、光る扉と灰色の扉。
灰色の扉を開いたら、そこは最近亡くなったばかりの、僕のお祖父さまのアイテムボックスの中だった。
アイテムボックスは持ち主が死ぬと、中に入れたものが取り出せなくなると聞いていたけれど……。ここにつながってたなんて!?
灰色の扉はすべて死んだ人のアイテムボックスにつながっている。階段を降りれば降りるほど、大昔に死んだ人のアイテムボックスにつながる扉に通じる。
そうだ!この力を使って、僕は古物商を始めよう!だけど、えっと……、伝説の武器だとか、ドラゴンの素材って……。
おまけに精霊の宿るアイテムって……。
なんでこんなものまで入ってるの!?
失われし伝説の武器を手にした者が次世代の勇者って……。ムリムリムリ!
そっとしておこう……。
仲間と協力しながら、商人として成り上がってみせる!
そう思っていたんだけど……。
どうやら僕のスキルが、勇者と聖女が現れる鍵を握っているらしくて?
そんな時、スキルが新たに進化する。
──情報の海って、なんなの!?
元婚約者も追いかけてきて、いったい僕、どうなっちゃうの?
殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません
真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...
満腹令嬢は料理がしたい ~こんな貧乏臭い料理など食えるか! 婚約者に手料理を罵倒され、料理を禁止された私。約束を守るため家出を決意しました~
日之影ソラ
ファンタジー
とある貴族令嬢のシスティーナは、母親の影響で料理が大好きだった。そんな母親が病気で亡くなる時、いつまでも料理が好きでいることを約束する。
月日は流れ、大きくなった彼女は今も料理が大好きだった。ある日、婚約者にお願いされて手料理を振る舞う。しかし、料理を見た婚約者が怒り出す。
「こんな貧乏くさい料理が食べられるか! 僕を馬鹿にしているのか!」
このことをきっかけに関係は破綻、婚約も破棄されてしまう。大好きな料理を否定され、家からも追い出されそうになった彼女は決意する。
料理を続けるために家を出ることを。
これは元令嬢の料理人が、本当の居場所を見つけるまでのお話。
【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています
空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。
『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。
「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
復讐の始まり、または終わり
月食ぱんな
恋愛
婚約破棄したのち、国外追放された両親から産まれたルシア・フォレスター。その身を隠し、まるで流浪の民のような生活を送る中、両親が母国に戻る事に。そのせいで人と関わる事のなかったルシアは、善と悪の心を学ぶフェアリーテイル魔法学校に入学する羽目になる。
そんなルシアが目指すのは、世界が震える悪役になること。そして両親を追放した王国に復讐を果たすことだ。しかしルシアは魔法学校に向かう道中、復讐相手の一人。自分の両親を国外追放した者を親に持つ、ルーカスに出会ってしまう……。友達、恋、そして抗う事の許されない運命に立ち向かう、悪役を目指す女の子の物語です。なろう様で先行連載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる