上 下
24 / 211

第24話 第三王子は魔境の森で……!

しおりを挟む
「まずは、シュウ君。あなたはロッシュウ・ルーン・アルパトス様の生まれ変わりよ。そして、私は大賢者・エリス・フォンティーヌ様の生まれ変わりなの……」

「「は い????」



前世、前々世だけではなく『ロッシュウ・ルーン・アルパトス』の生まれ変わり!?
僕って何者?の『シュウ』です。


「エリス待ってくれ! 急に言われても頭が追い付かないよ! そもそも天地創造の神・ネキザ…… 名前が出てこない…… なんだっけ? とにかくその人たちって誰?」

――名前を覚えきれなかった…… 僕の頭はそんなに悪くない! 多分……


「――私があなたの味方だって話したの覚えてる?」

「あぁ、覚えてるよ」

「そう、ありがとう。まずは、遥か昔に魔法が盛んな時期があったの、そんな時期に魔法が使えない令嬢がいたの。彼女は魔法を使えないことに悩み苦しんでいたんですって。そんな時、天地創造の神・ネキザアニウス様は眷属の大魔導神・ハルタン様と呼ばれるたぬきを彼女に使わされたの。ハルタン様の指導の元、彼女は魔法を使えるようになったんですって、彼女がのちの大賢者・エリス・フォンティーヌ様となられたのよ」

「大魔導神・ハルタン……さまは、たぬき!?」

正直、たぬきに様を付けるのはどうかと思ったが、昔からたぬきは人を化かすとか言われているから魔法とか使えたんだろうな。たぬきが魔法の指導するってファンタジーの世界だな。

「シュウ君、ハルタン様を普通のたぬきだと侮ってはダメよ! 大賢者・エリス・フォンティーヌ様を導かれた、たぬきなのよ! 相当、魔力の高い方だったと思うわ」

「そうか、ごめん。 話しを続けて」

「そうね、続けるわね。大賢者でもあり王妃でもあるエリス・フォンティーヌ様を
心身共に支えられたのが、大魔導士・ティーファンド王国国王ロッシュウ・ルーン・アルパトス様なのよ。その時代、魔法は繁栄を極めるわ。でも、栄枯盛衰えいこせいすいって言葉があるように時代が進むにつれて、天地創造の神・ネキザアニウス様、大魔導神・ハルタン様の信仰と魔法は衰退していくことになるの。」


――エリスって栄枯盛衰えいこせいすいって言葉知ってるんだ! べ、別にバカにしてるわけじゃないんだからね! ちょっとした誤解よ!


――ツンデレ乙! ツンデレ要素完遂!



どう考えても日本の熟語だよな? この世界にもそんな言葉あるんだなぁ……


「さらに、時代は流れティーファンド王国も滅び、ほとんどの人は魔法を使えなくなったの。まぁ、時代の流れよね…… でもね、そんな中にも魔法を使える人たちは確かにいたの細々だけどね。そして、迫害と魔女狩りの始まりね。」

ヒスト・リーファン先生の授業で言ってたことだ……
エリスは暗い表情で続けて、

「魔法を使えない者にとって魔法は脅威なのよ。すべての災いを魔法のせい、いや、違うわね。魔女のせい…… 魔女のせいにしたの。その方が自分たちの辛い現実から目を背ける事が出来るから…… そして、利己的な冤罪裁判…… 魔女たちにとっても冤罪を掛けられた女性たちには地獄だったと思うわ。魔法が使えるってだけで普通の人間なのにね……」

「「……………………」」

――僕とレイニーは言葉を失った。


「住む場所も何もかも奪われ、当時の魔女たちは怒りに怒ったわ。でも、エリス・フォンティーヌ様の血筋を受け継いでいた魔女のおさが『怒りは争いを生み、慈悲の心は争いを止める』ってみんなを食い止めていたの。」

――エリスは……

「そんな中、魔女のおさの娘さんが魔法の使えない民衆に捕まったの!」


「「――――!?」」


「魔法を使えば簡単に民衆を退け、逃げられたと思うの、でも、娘さんはそれをしなかったわ。魔法を使える人間と魔法を使えない人間の融和、共存共栄を…… 命を掛けて訴えたそうよ。その結果、有罪有りきの裁判で拷問されて処刑されたわ……」


「「――――!?」」


「魔女のおさは娘さんの亡骸を見て、嘆き、悲しみ、民衆や貴族に対して落胆したみたいなの。周りに居た魔女たちはその姿を見てついに怒りが爆発したわ。魔女のおさは、みんなを止めようとしたけど、最終的には止めることは出来なかった。
――魔女たちは娘さんを処刑した憎きエントロンド帝国へ向け進撃したわ、途中の村や町、都市を攻撃魔法で蹂躙して行ったわ。魔女たちの恨みは相当深かったみたい。文字通り皆殺しと言ってもいい位の惨状だったんだって」


「「……………………」」


「エントロンド帝国の帝都に着いた時、魔女のおさが攻撃魔法で傷ついた女の子を見つけたの。その女の子を見て、魔女のおさは自分の娘を思いだしたの、娘さんが融和、共存共栄を命を掛けて訴えたことを思い出し、我に返り進軍を辞めたわ」

僕は恐る恐るエリスに聞いた

「エリス、その後、魔女はどこかに消えたって習ったけど本当はどうなったの?」

「その後ね、魔女たちは誰にも邪魔をされない安住の地を探したの。そして、やっとの思いで安住の地を見つけたの」

「その、安住に地って?」

「シュウ君。今、あなたのいる『魔境の森』よ」


「「えぇーーーーーーっ!?」」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜

楠ノ木雫
恋愛
 病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。  病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。  元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!  でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?  ※他の投稿サイトにも掲載しています。

殿下、人違いです。殿下の婚約者はその人ではありません

真理亜
ファンタジー
第二王子のマリウスが学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付けた相手は人違いだった。では一体自分の婚約者は誰なのか? 困惑するマリウスに「殿下の婚約者は私です」と名乗り出たのは、目も眩まんばかりの美少女ミランダだった。いっぺんに一目惚れしたマリウスは、慌てて婚約破棄を無かったことにしようとするが...

退屈な人生を歩んでいたおっさんが異世界に飛ばされるも無自覚チートで無双しながらネットショッピングしたり奴隷を買ったりする話

菊池 快晴
ファンタジー
無難に生きて、真面目に勉強して、最悪なブラック企業に就職した男、君内志賀(45歳)。 そんな人生を歩んできたおっさんだったが、異世界に転生してチートを授かる。 超成熟、四大魔法、召喚術、剣術、魔力、どれをとっても異世界最高峰。 極めつけは異世界にいながら元の世界の『ネットショッピング』まで。 生真面目で不器用、そんなおっさんが、奴隷幼女を即購入!? これは、無自覚チートで無双する真面目なおっさんが、元の世界のネットショッピングを楽しみつつ、奴隷少女と異世界をマイペースに旅するほんわか物語です。

亡き妻を求める皇帝は耳の聞こえない少女を妻にして偽りの愛を誓う

永江寧々
恋愛
二年前に婚約したばかりの幼馴染から突然、婚約破棄を受けたイベリス。 愛しすぎたが故の婚約破棄。なんとか笑顔でありがとうと告げ、別れを終えた二日後、イベリスは求婚される。相手は自国の貴族でも隣国の王子でもなく、隣の大陸に存在する大帝国テロスを統べる若き皇帝ファーディナンド・キルヒシュ。 婚約破棄の現場を見ており、幼馴染に見せた笑顔に一目惚れしたと突然家を訪ねてきた皇帝の求婚に戸惑いながらもイベリスは彼と結婚することにした。耳が聞こえない障害を理解した上での求婚だったからイベリスも両親も安心していた。 伯爵令嬢である自分が帝国に嫁ぐというのは不安もあったが、彼との明るい未来を想像していた。しかし、結婚してから事態は更に一変する。城の至る所に飾られたイベリスそっくりの女性の肖像画や写真に不気味さを感じ、服や装飾品など全て前皇妃の物を着用させられる。 自分という人間がまるで他人になるよう矯正されている感覚を覚える日々。優しさと甘さを注いでくれるはずだったファーディナンドへの不信感を抱えていたある日、イベリスは知ることになる。ファーディナンドが亡き妻の魂を降ろそうとしていること。瓜二つの自分がその器として求婚されたことを。 知られていないと思っている皇帝と、彼の計画を知りながらも妻でいることを決めた少女の行く末は──…… ※中盤辺りまで胸糞展開ございますので、苦手な方はご注意ください。 2024年11月14日に完結しました。

工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する

鈴木竜一
ファンタジー
旧題:工芸職人《クラフトマン》はセカンドライフを謳歌する~ブラック商会をクビになったので独立したら、なぜか超一流の常連さんたちが集まってきました~ 【お知らせ】 このたび、本作の書籍化が正式に決定いたしました。 発売は今月(6月)下旬! 詳細は近況ボードにて!  超絶ブラックな労働環境のバーネット商会に所属する工芸職人《クラフトマン》のウィルムは、過労死寸前のところで日本の社畜リーマンだった前世の記憶がよみがえる。その直後、ウィルムは商会の代表からクビを宣告され、石や木片という簡単な素材から付与効果付きの武器やアイテムを生みだせる彼のクラフトスキルを頼りにしてくれる常連の顧客(各分野における超一流たち)のすべてをバカ息子であるラストンに引き継がせると言いだした。どうせ逆らったところで無駄だと悟ったウィルムは、退職金代わりに隠し持っていた激レアアイテムを持ちだし、常連客たちへ退職報告と引き継ぎの挨拶を済ませてから、自由気ままに生きようと隣国であるメルキス王国へと旅立つ。  ウィルムはこれまでのコネクションを駆使し、田舎にある森の中で工房を開くと、そこで畑を耕したり、家畜を飼育したり、川で釣りをしたり、時には町へ行ってクラフトスキルを使って作ったアイテムを売ったりして静かに暮らそうと計画していたのだ。  一方、ウィルムの常連客たちは突然の退職が代表の私情で行われたことと、その後の不誠実な対応、さらには後任であるラストンの無能さに激怒。大貴族、Sランク冒険者パーティーのリーダー、秘境に暮らす希少獣人族集落の長、世界的に有名な鍛冶職人――などなど、有力な顧客はすべて商会との契約を打ち切り、ウィルムをサポートするため次々と森にある彼の工房へと集結する。やがて、そこには多くの人々が移住し、最強クラスの有名人たちが集う村が完成していったのだった。

宰相夫人の異世界転移〜息子と一緒に冒険しますわ〜

森樹
ファンタジー
宰相夫人とその息子がファンタジーな世界からファンタジーな世界へ異世界転移。 元の世界に帰るまで愛しの息子とゆったりと冒険でもしましょう。 優秀な獣人の使用人も仲間にし、いざ冒険へ! …宰相夫人とその息子、最強にて冒険ではなくお散歩気分です。 どこに行っても高貴オーラで周りを圧倒。 お貴族様冒険者に振り回される人々のお話しでもあります。 小説投稿は初めてですが、感想頂けると、嬉しいです。 ご都合主義、私TUEEE、俺TUEEE! 作中、BLっぽい表現と感じられる箇所がたまに出てきますが、少年同士のじゃれ合い的なものなので、BLが苦手な人も安心して下さい。 なお、不定期更新です。よろしくお願いします。

外れスキルと馬鹿にされた【経験値固定】は実はチートスキルだった件

霜月雹花
ファンタジー
 15歳を迎えた者は神よりスキルを授かる。  どんなスキルを得られたのか神殿で確認した少年、アルフレッドは【経験値固定】という訳の分からないスキルだけを授かり、無能として扱われた。  そして一年後、一つ下の妹が才能がある者だと分かるとアルフレッドは家から追放処分となった。  しかし、一年という歳月があったおかげで覚悟が決まっていたアルフレッドは動揺する事なく、今後の生活基盤として冒険者になろうと考えていた。 「スキルが一つですか? それも攻撃系でも魔法系のスキルでもないスキル……すみませんが、それでは冒険者として務まらないと思うので登録は出来ません」  だがそこで待っていたのは、無能なアルフレッドは冒険者にすらなれないという現実だった。  受付との会話を聞いていた冒険者達から逃げるようにギルドを出ていき、これからどうしようと悩んでいると目の前で苦しんでいる老人が目に入った。  アルフレッドとその老人、この出会いにより無能な少年として終わるはずだったアルフレッドの人生は大きく変わる事となった。 2024/10/05 HOT男性向けランキング一位。

猫アレルギーだったアラサーが異世界転生して猫カフェやったら大繁盛でもふもふスローライフ満喫中です

真霜ナオ
ファンタジー
主人公の市村 陽は、どこにでもいるごく普通のサラリーマンだ。 部屋中が猫グッズで溢れるほどの猫好きな陽だが、重度の猫アレルギーであるために、猫に近づくことすら叶わない。 そんな陽の数少ない楽しみのひとつは、仕事帰りに公園で会う、鍵尻尾の黒猫・ヨルとの他愛もない時間だった。 ある時、いつものように仕事帰りに公園へと立ち寄った陽は、不良グループに絡まれるヨルの姿を見つける。 咄嗟にヨルを庇った陽だったが、不良たちから暴行を受けた挙句、アレルギー症状により呼吸ができなくなり意識を失ってしまう。 気がつくと、陽は見知らぬ森の中にいた。そこにはヨルの姿もあった。 懐いてくるヨルに慌てる陽は、ヨルに触れても症状が出ないことに気がつく。 ヨルと共に見知らぬ町に辿り着いた陽だが、その姿を見た住人たちは怯えながら一斉に逃げ出していった。 そこは、猫が「魔獣」として恐れられている世界だったのだ。 この物語は、猫が恐れられる世界の中で猫カフェを開店した主人公が、時に猫のために奔走しながら、猫たちと、そして人々と交流を深めていくお話です。 他サイト様にも同作品を投稿しています。

処理中です...