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第111話 本題に入ろう

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放課後になり、いつもの王族専用の部屋でヒロイン達を待っていた。

サンペータ達はヒロイン達と話があると伝えて、今回は遠慮してもらった。サンペータから

「もうハニートラップには引っ掛かるなよ。あとでごちゃごちゃになって俺達を巻き込むのだけは勘弁してくれ」

との側近とは思えない、ありがたいお言葉をいただいた。

『コン コン』

「はい」

ノックの音に返事を返すと、

「ルナールです。アレク様よろしいでしょうか?」

「ああ、構わない。遠慮なく入ってくれ」

「失礼します」

悪役令嬢+チョロインズが部屋に入ってきた。

「まあ、適当に座ってくれ」

「――!? クリス。何をしてるんだ!」

「えっ!? アレクが適当に座れって言ったから」

「いや、いや、確かに適当に座ってくれとは言ったが、どうして僕の膝に座ろうとする」

事もあろうにクリスは僕の膝に座ろうとしたのだ。サンペータの言う通り、危うくハニートラップに引っ掛かるところだった。ヤバかった! クリスの年を考えれば、犯罪者となり、全てを失うところだった。

「クリスちゃんは私の膝の上よ」

フローラお姉様がクリスに声を掛ける。

「ハイ!」

クリスは元気に返事を返し、トコトコとフローラお姉様に近寄り、ちょこんと膝の上に乗った。

「クリスちゃん、えらいわね~」

フローラお姉様はそう言って、クリスの頭をナデナデしていた。

一体、僕のいない間に何があったのだ?

『ゴホン』

僕は一度咳払いをし、禁断の究極魔法について語った。

究極魔法を使うと、何日間か昏睡状態になること。究極魔法についてはごく一部の究極魔法を父上と母上は知っているが、知らない魔法もあること。その中に僕が使えない究極魔法も存在していること。そして、金髪から銀髪になり、半年程で元に戻ることを伝えた。

「では、アレク様は戦場でその究極魔法を使われたということですか?」

マリアが口に手を当てながら話した。

「出来る限り、民間人の犠牲を出したくなかったからね。仕方がなく使ったんだよ」

「それは一体どういうことですか?」

ルナールが青い顔をして僕に聞いてきた。

「う~ん。なんて言ったら良いのかぁ~。グランプロス兵と市街戦になった時、アイツら自国民を人間の盾にして攻撃してくるんだよ」

「――自国民を盾に!? 誰より先頭に立って国民を護るのが貴族であり、騎士道では無いのですか? それを市民を盾に使うなんて」

さすが転生者とは言え、公爵令嬢だけのことはある。悪役令嬢ストーカーだけど……

「それで、僕もブチギレしちゃって、ついつい究極魔法を使っちゃったんだよね」

「その魔法ってどんな魔法なの?」

メアリーは相変わらずタメ口だった。

「みんなにはショッキング過ぎるから話したくはないんだけど……」

「教えて! 教えて! 教えて!go○」

「怒られるからヤメロ!」

ミレーユがとんでもないことを口走りやがり、思わず、即行でツッコミを入れてしまった。

「アレク様、私達は大丈夫ですから」

フローラお姉様が涼しげな顔で大人の対応をした。

「至る所からゲリラ戦をしてくるんだよ。壁から急に襲いかかったりで、こちらの兵も民間人を盾にされたら攻撃なんて出来ない。もし、民間人を殺してしまったりしたら、他国からの非難が起こってしまう…… 仕方なく隠れている兵に究極検知魔法『隠潜伏発見魔法かくれんぼ』を使い、敵兵の位置を割り出し、究極即死魔法『皆全員即死ミンナシネ』を使って皆殺しをしたんだ。その代償がこの髪の毛の色って訳さ」


「「「――!?」」」


みんな黙り込んでしまった。


――そりゃ~そうなるよな。誰だって、戦争とは言え、人をブッ殺して来ました。と言ったら絶句するよな。


「ア、アレク様…… それは民間人を護る為なのですか仕方がないかと……」

マリアが一応のフォローは入れてくれたようだが、僕の手は汚れてしまっている。しかも敵とは言え、親友と言って過言ではなかったアイスキーを殺めた時点で人間として終わっている……

「ありがとう。少しは気が楽になるよ」

僕の心は落ち込むばかりだが、必要以上に心配されたり、同情してもらう方が余計にツライ。

「話の本題に入ろうか」

「えっ!? 話の本題?」

僕の言葉にマリアは驚いていた。僕の髪の毛が本題だと思っていたのだろう。僕は強引に本題に入った。

「もし、君達が日本に帰れるとしたら、君達は日本に帰りたいかい?」
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