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第98話 禁忌の魔法
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真のバーサーカー集団は全力疾走で、第1防衛ライン陣地との間を詰める。
「カルイ副司令。敵軍の様子がおかしくないか? 何と言えば良いのだろうか、何か鬼気迫ると言うか、目がイッテる感じがするんだが、僕の見間違いか?」
敵軍の異様な気配を感じていた。カルイ副司令官は、
「確かに異様な雰囲気が…… ま、まさか!? もしかして、敵兵は洗脳魔法が施されているのでは……」
「な、なんだって! 洗脳魔法と言ったら、世界条約で禁止されている。禁忌の魔法じゃないか! どうして禁忌の魔法を……」
「それだけ、敵さんも追い詰められているってことですな。世界条約を破ってまで…… 馬鹿なことを」
カルイ副司令官は無表情のまま、淡々と答えていた。僕はカルイ副司令官の言葉を聞いて、
「カルイ副司令! 第2防衛ライン陣地まで撤退するぞ! あの数じゃ、堀が持たない。第1防衛ライン陣地部隊は速やかに第2防衛ライン陣地まで撤退! 急げ! 援護射撃も忘れるな!」
僕は大声で叫んだ。昨日の戦闘で堀の中には敵兵の遺体で溢れかえりそうになっている。このまま、第1防衛ライン陣地に留まって、接近戦にでもなったら、こちらの被害も大きくなる。戦争は被害が出るのは当たり前だが、被害は少なければ少ないほど、それに越したことはない。
「アレク様、この場は私に任せて早く第2防衛ライン陣地へ お急ぎください」
「いや、君達を置いて、僕だけ逃げるわけには行かない」
「アレク様、この場からお逃げ下さい。あなた様に何かあったら、フロンガスター王国の希望も何もかも無くなってしまいます。自分達が援護します。ですから早くお逃げ下さい」
今まで共に戦っていた一般兵達が僕を気遣い声を掛けてくる。
「すまない…… 決して、命を捨てることは絶対するな! いいか、第2防衛ライン陣地で待ってるからな。必ず…… 絶対に会おうな! 死ぬなよ!」
優しい僕は彼らだけの為に忖度して、死亡フラグを立ててあげた。 ――僕は戦場でも敵味方関係なく優しいのだ!
こうして、第1防衛ライン陣地は後退を余儀なくされた。
第2防衛ライン陣地に着くと、
「味方を援護するんだ! 誰一人として死なせるなよ!」
この台詞を言うと物語の設定上、味方が死んでしまう事になっているのは十分に知っているが、それでも僕はあえて言ってみた。
それと、もう一つお約束として、助けを求める味方を私怨から来る感情で、味方を撃ち殺す。やはり、これも定番だよな。と思いつつ味方が無事に第2防衛ライン陣地へ戻って来ることを願った。
第1防衛ライン陣地を放棄した僕らは、一人の犠牲者を出すことなく、第2防衛ライン陣地まで引くことが出来た。
これもすべて、仲間を思いやり、信じる。兵士一人ひとりの信頼関係と連携の取れた援護射撃。そして、昨日の敵兵を片付けるのが面倒臭いと感じ、そのまま放置していた敵兵の亡骸のおかげだった。ゴロゴロ転がっている死体が前進してくる敵兵の足元を不安定にし、足止めをしてくれるとは思わなかった。
――ありがとう。名もなき敵兵の亡骸よ。あとでしっかりと仲間の所に投げ返してあげるからね♡
第1防衛ライン陣地の兵員と第2防衛ライン陣地の兵員か合流し、若干の狭さはあるが、無事に合流することが出来た。スナイドル銃の射手が約2倍となったが、敵兵力に比べれば、まだ足りない。
「伝令! 伝令!」
僕は即座に伝令呼び、伝令に向かって命令を出す。
「第3、第4防衛ライン陣地の砲兵を残し、第2防衛ライン陣地へ早急に移動! この第2防衛ライン陣地を最終防衛ラインとする」
「ハッ! 直ちに!」
伝令係は急ぎ、その場から去った。僕はその伝令係の後ろ姿に
「急げ!! 大至急だ!!」
と、声を掛ける。伝令係は走りながらも、
「ハッ!」
と返事を返した。僕は別に走りながら、返事をしなくても良いのにと思いながら、彼の真面目さを評価している。 死亡フラグにならなければ良いが……
禁忌の洗脳魔法で、バーサーカー集団と化した敵軍は、第1防衛ライン陣地にたどり着いた。そして、次々と堀の中に落ちて行き、ついに堀が死体とまだ息のある兵士によって、埋め尽くされてしたまった。
まだ息のある兵士の背を踏みつけ、第2防衛ライン陣地へと迫って来た。
「カルイ副司令。敵軍の様子がおかしくないか? 何と言えば良いのだろうか、何か鬼気迫ると言うか、目がイッテる感じがするんだが、僕の見間違いか?」
敵軍の異様な気配を感じていた。カルイ副司令官は、
「確かに異様な雰囲気が…… ま、まさか!? もしかして、敵兵は洗脳魔法が施されているのでは……」
「な、なんだって! 洗脳魔法と言ったら、世界条約で禁止されている。禁忌の魔法じゃないか! どうして禁忌の魔法を……」
「それだけ、敵さんも追い詰められているってことですな。世界条約を破ってまで…… 馬鹿なことを」
カルイ副司令官は無表情のまま、淡々と答えていた。僕はカルイ副司令官の言葉を聞いて、
「カルイ副司令! 第2防衛ライン陣地まで撤退するぞ! あの数じゃ、堀が持たない。第1防衛ライン陣地部隊は速やかに第2防衛ライン陣地まで撤退! 急げ! 援護射撃も忘れるな!」
僕は大声で叫んだ。昨日の戦闘で堀の中には敵兵の遺体で溢れかえりそうになっている。このまま、第1防衛ライン陣地に留まって、接近戦にでもなったら、こちらの被害も大きくなる。戦争は被害が出るのは当たり前だが、被害は少なければ少ないほど、それに越したことはない。
「アレク様、この場は私に任せて早く第2防衛ライン陣地へ お急ぎください」
「いや、君達を置いて、僕だけ逃げるわけには行かない」
「アレク様、この場からお逃げ下さい。あなた様に何かあったら、フロンガスター王国の希望も何もかも無くなってしまいます。自分達が援護します。ですから早くお逃げ下さい」
今まで共に戦っていた一般兵達が僕を気遣い声を掛けてくる。
「すまない…… 決して、命を捨てることは絶対するな! いいか、第2防衛ライン陣地で待ってるからな。必ず…… 絶対に会おうな! 死ぬなよ!」
優しい僕は彼らだけの為に忖度して、死亡フラグを立ててあげた。 ――僕は戦場でも敵味方関係なく優しいのだ!
こうして、第1防衛ライン陣地は後退を余儀なくされた。
第2防衛ライン陣地に着くと、
「味方を援護するんだ! 誰一人として死なせるなよ!」
この台詞を言うと物語の設定上、味方が死んでしまう事になっているのは十分に知っているが、それでも僕はあえて言ってみた。
それと、もう一つお約束として、助けを求める味方を私怨から来る感情で、味方を撃ち殺す。やはり、これも定番だよな。と思いつつ味方が無事に第2防衛ライン陣地へ戻って来ることを願った。
第1防衛ライン陣地を放棄した僕らは、一人の犠牲者を出すことなく、第2防衛ライン陣地まで引くことが出来た。
これもすべて、仲間を思いやり、信じる。兵士一人ひとりの信頼関係と連携の取れた援護射撃。そして、昨日の敵兵を片付けるのが面倒臭いと感じ、そのまま放置していた敵兵の亡骸のおかげだった。ゴロゴロ転がっている死体が前進してくる敵兵の足元を不安定にし、足止めをしてくれるとは思わなかった。
――ありがとう。名もなき敵兵の亡骸よ。あとでしっかりと仲間の所に投げ返してあげるからね♡
第1防衛ライン陣地の兵員と第2防衛ライン陣地の兵員か合流し、若干の狭さはあるが、無事に合流することが出来た。スナイドル銃の射手が約2倍となったが、敵兵力に比べれば、まだ足りない。
「伝令! 伝令!」
僕は即座に伝令呼び、伝令に向かって命令を出す。
「第3、第4防衛ライン陣地の砲兵を残し、第2防衛ライン陣地へ早急に移動! この第2防衛ライン陣地を最終防衛ラインとする」
「ハッ! 直ちに!」
伝令係は急ぎ、その場から去った。僕はその伝令係の後ろ姿に
「急げ!! 大至急だ!!」
と、声を掛ける。伝令係は走りながらも、
「ハッ!」
と返事を返した。僕は別に走りながら、返事をしなくても良いのにと思いながら、彼の真面目さを評価している。 死亡フラグにならなければ良いが……
禁忌の洗脳魔法で、バーサーカー集団と化した敵軍は、第1防衛ライン陣地にたどり着いた。そして、次々と堀の中に落ちて行き、ついに堀が死体とまだ息のある兵士によって、埋め尽くされてしたまった。
まだ息のある兵士の背を踏みつけ、第2防衛ライン陣地へと迫って来た。
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