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第55話 鶴翼の陣
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マジギレ天才軍師様を黙らせるとは末恐ろしいロリビッチこと中二病患者のクリス嬢!
メアリー嬢は唇をプルプルさせながら
「そ、そうね。ムッビッチよね。ありがとうクリスちゃん」
メアリーは心の傷を負いながらもクリス嬢を受け流した。最後のありがとうは良く分からないが……
僕は天才軍師様のムッビッチを受け入れる度量の大きさに感心した。これ以上、ヤベェコンビに関わると戦火拡大になると断腸の思いでの判断だったのだろう。
「アレク様。いつまでにシン・ジャージのデザインをお渡しすればよろしいですか?」
メアリー嬢とクリス嬢のやり取りを漠然と見ていると、突然、メアリー嬢が僕に話を振って来た。
「はぁい!?」
僕がマヌケな返事をすると、
「私の話を聞いていなかったの? これだから顔だけのヤロウは……」
メアリー嬢は呆れた顔で言い放った。
――全てにおいて完璧なイケメン王子の僕を顔だけのヤロウですか! コイツは王族を敬うという心は無いのか? コイツをいつかギロチンに送ってやる。
「ちょっと考え込んでいたもので、すまない」
彼女のその言葉使いにはイラッときたが、情けないと思うだろうが、華麗に受け流されてもらった。これ以上、コイツらに関わると僕の方が天国への扉をノックしてしまいそうだ。
「私達がデザインをするから、それをいつまでにアレク様に渡したら良いかってことよ」
メアリー嬢はブチギレながら教えてくれた。
「ジャージを作るのに2日程欲しい。作り終わったら、また持ってくるよ」
「……………………」
メアリー嬢は黙り込み、頭の中で『パチパチ』とソロバンを弾いている音が聞こえた気がした。
「わかったわ。明日までにはデザインを渡せるようにするわ。みんな、急いで取り掛かるわよ」
「あ……」
メアリー嬢は僕の返事を待たずにみんなを連れて教室を出て行った。
「何で僕がこんな目に…… ギャルビッチ、清楚ビッチ、おじょビッチ、推しビッチ、ロリビッチ、ビッチ・ダ・ビッチ、ガチビッチ、ムッビッチの言葉が耳から離れない……」
肩をガクッと落とし、教室に一人残された僕は、何のためにここへ来たのだろうと頭を抱え込んでしまった。
◇
翌日の放課後――
僕達がいつもの部屋へ向かおうとした時、ロリビッチことクリス嬢が僕達の教室にやって来た。
まだ教室にいた男子生徒達はクリス嬢と認識した瞬間、なぜかプルプルと痙攣を始めた。もしかしたら、前回のアホ毛の乱の心の傷が呼び起こされたのかもしれない。
「アレク! メアリーちゃんが急いで来て来るように伝えてくれって言ってた」
クリス嬢は大きな声で僕に呼び掛けた。周りにいたクラスメートが一斉に僕の方を『これから公開処刑が行われるのか?』『どうか、生きて帰って来てくれよ』『骨は必ず拾ってやるからな』と、でも言いたげな目で僕を見つめていた。
「わかった。今から行くよ」
僕が席から立つとクリス嬢は僕の腕に自分の腕を無理やり絡めさせ歩き出した。
後日、僕の後ろ姿は、幼女に引き連れられる生活に疲れたパパのようだったとみんなから教えられた。
◇
ルナール嬢の教室に着くと、そこにはメアリー嬢、ルナール嬢、マリア嬢、フローラ嬢、ビッチ・ダ・ビッチことガチビッチのミレーユ嬢、その他モブ女子生徒が数人か待機していた。
――なんだよ! この超安定した布陣は、まるで『鶴翼の陣』じゃねぇか! これじゃ僕のメンタルをボロクソに潰しに来てるじゃないか!
「おまたせ、ムッビッチちゃん! アレクを連行してきたよ!」
「――!?」
メアリー嬢は綺麗な顔に無数の青スジをピクピクと浮かべながら、
「ありがとうね。ロリビッチ」
初っぱなからディスりから始まるという混沌の世界。これから僕の運命はどうなるのだろうか?
メアリー嬢は唇をプルプルさせながら
「そ、そうね。ムッビッチよね。ありがとうクリスちゃん」
メアリーは心の傷を負いながらもクリス嬢を受け流した。最後のありがとうは良く分からないが……
僕は天才軍師様のムッビッチを受け入れる度量の大きさに感心した。これ以上、ヤベェコンビに関わると戦火拡大になると断腸の思いでの判断だったのだろう。
「アレク様。いつまでにシン・ジャージのデザインをお渡しすればよろしいですか?」
メアリー嬢とクリス嬢のやり取りを漠然と見ていると、突然、メアリー嬢が僕に話を振って来た。
「はぁい!?」
僕がマヌケな返事をすると、
「私の話を聞いていなかったの? これだから顔だけのヤロウは……」
メアリー嬢は呆れた顔で言い放った。
――全てにおいて完璧なイケメン王子の僕を顔だけのヤロウですか! コイツは王族を敬うという心は無いのか? コイツをいつかギロチンに送ってやる。
「ちょっと考え込んでいたもので、すまない」
彼女のその言葉使いにはイラッときたが、情けないと思うだろうが、華麗に受け流されてもらった。これ以上、コイツらに関わると僕の方が天国への扉をノックしてしまいそうだ。
「私達がデザインをするから、それをいつまでにアレク様に渡したら良いかってことよ」
メアリー嬢はブチギレながら教えてくれた。
「ジャージを作るのに2日程欲しい。作り終わったら、また持ってくるよ」
「……………………」
メアリー嬢は黙り込み、頭の中で『パチパチ』とソロバンを弾いている音が聞こえた気がした。
「わかったわ。明日までにはデザインを渡せるようにするわ。みんな、急いで取り掛かるわよ」
「あ……」
メアリー嬢は僕の返事を待たずにみんなを連れて教室を出て行った。
「何で僕がこんな目に…… ギャルビッチ、清楚ビッチ、おじょビッチ、推しビッチ、ロリビッチ、ビッチ・ダ・ビッチ、ガチビッチ、ムッビッチの言葉が耳から離れない……」
肩をガクッと落とし、教室に一人残された僕は、何のためにここへ来たのだろうと頭を抱え込んでしまった。
◇
翌日の放課後――
僕達がいつもの部屋へ向かおうとした時、ロリビッチことクリス嬢が僕達の教室にやって来た。
まだ教室にいた男子生徒達はクリス嬢と認識した瞬間、なぜかプルプルと痙攣を始めた。もしかしたら、前回のアホ毛の乱の心の傷が呼び起こされたのかもしれない。
「アレク! メアリーちゃんが急いで来て来るように伝えてくれって言ってた」
クリス嬢は大きな声で僕に呼び掛けた。周りにいたクラスメートが一斉に僕の方を『これから公開処刑が行われるのか?』『どうか、生きて帰って来てくれよ』『骨は必ず拾ってやるからな』と、でも言いたげな目で僕を見つめていた。
「わかった。今から行くよ」
僕が席から立つとクリス嬢は僕の腕に自分の腕を無理やり絡めさせ歩き出した。
後日、僕の後ろ姿は、幼女に引き連れられる生活に疲れたパパのようだったとみんなから教えられた。
◇
ルナール嬢の教室に着くと、そこにはメアリー嬢、ルナール嬢、マリア嬢、フローラ嬢、ビッチ・ダ・ビッチことガチビッチのミレーユ嬢、その他モブ女子生徒が数人か待機していた。
――なんだよ! この超安定した布陣は、まるで『鶴翼の陣』じゃねぇか! これじゃ僕のメンタルをボロクソに潰しに来てるじゃないか!
「おまたせ、ムッビッチちゃん! アレクを連行してきたよ!」
「――!?」
メアリー嬢は綺麗な顔に無数の青スジをピクピクと浮かべながら、
「ありがとうね。ロリビッチ」
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