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第13話 ヤベェーヤツに会いに行く!

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「マルクス。ちょうど良い一緒にクリス嬢のところに言って話を聞いてみようぜ」

「イヤ、遠慮する! そんなヤベーヤツのところに行ったら俺まで変な目で見られる!」

マルクスはマジでビビり屋さんだなぁと思い、親切心から今からクリス嬢に会いに行こうと提案してみたが、マルクスは首を縦に振らない。

「僕、1人では行けないんだよ」

「1人で行けない? まさかお前、女に対してコミュ障なのか?」

マルクスは僕を馬鹿にしたような口調で問い掛けた。

「違う! 違う! そうじゃな~い」

僕は名曲のフレーズを引用して否定してみた。

「何か違うんだ?」


――僕の渾身のボケをスルーされてしまった…… 悲しいなぁ……


「僕が1人で1人の女子生徒に行ってみろファンクラブのヤツらにあとから何をされるかわかったもんじゃない! 社会的に抹殺されるかも知れないんだぞ!」

「お前のファンは普通のファンと違って異常だからな…… それならサンペータ達を連れて行ったら良いだろ」

マルクスは至極全うな提案をしたが、

「アイツらは僕の側近だ。何かあった時に身内だからと言って証言に信憑性に欠けてしまう。そこでマルクス、君の出番だ! どうか僕を助けると思ってクリス嬢の所まで付き合ってくれ! どうしても『邪神眼』と『漆黒の魔龍、デモンドキル・フューエル』の話を聞きたいんだ。頼むよ、マルクス」

僕はちっぽけなプライドなど捨て、マルクスに頭を下げた。どうしても僕はクリス嬢と中二病の熱い会話をしたいのだ

「わ、わ、わかったから頭を上げてくれ。付き合えば良いんだろ? その代わりクリス様との話には加わらないぞ。それで良いか?」

「ありがとう、マルクス。さすが僕の親友だ! ついて行ってくれると信じてたよ」

「アレク…… お前…… 本当に王族なのか? 平民に頭を下げる王族がどこに居るってんだよ」

「ここに居るだろ」

「ハァ~」

マルクスは呆れ顔で了承してくれた。

「じぁ、今からクリス嬢の所に行くぞ」

「ハァ? 今からか? もう少しで次の授業が始まるぞ。昼休みとかにしろよ」

「――!? しょうがない授業をサボるわけにもいかんからな。ヨシ! 昼休みに頼んだぞ」





昼休みになり、マルクスと共にクリス嬢の元へ向かった。

僕とマルクスの二人が歩いているのが珍しいのか女子生徒達がジロジロと見てくる。普段ルブラン達側近と居るのが当たり前になっていたのでこの組合せは貴重なのだろう。

クリス嬢の居る教室に着いた。教室の中を覗くとクリス嬢は1人窓辺に立ち空を見上げいた。

近くにいた男子生徒にクリス嬢を呼んで貰うよう丁寧にお願いした。王族だからと言って横柄な態度は厳禁だ! 元社畜サラリーマンとしてのプライドがそれを許さない。

男子生徒は快く承諾してくれ、出来ればヤベェヤツには関わりたく無い表情でクリス嬢に話しかけていた。きっと彼は僕と同じで恥ずかしがり屋さんが影響して女性には慣れていないのだろう……

クリス嬢が僕らに気付きこちらにやって来た。

「アレク様、私に何か用なの? 早く用件を言って、そうしないと私の中の『漆黒の魔龍、デモンドキル・フューエル』が目覚めてしまう」

早くもクリス嬢の中二病発言が炸裂し、マルクスはドン引きしていた。

「いや、特別な用とかではないのだが、デモンドキル・フューエルについて聞いておきたくて少しの時間良いだろうか?」

僕はデモンドキル・フューエルに興味があることを示した。

「それなら良いわ。私の研究室に行きましょう」

クリス嬢は自分の研究室があるという場所まで案内をしてくれた。


――個人の研究室まであるとは…… 中二病の匂いをプンプンさせる部屋なんだろう。マルクスはこの時点でもう、関わりたくないと言っていたが、密室に男女二人とはあらぬ誤解を生みかめないとして、マルクスに同行を無理やり…… いや、丁寧にお願いして承諾してもらった。


クリス嬢が案内してくれた先は文化部の部室が並んでいる棟だった。その一廓に『超常現象部』と書かれた部屋の前でクリス嬢は止まった。

「私の研究室はここよ。入って」

「超常現象部かぁ…… では、お邪魔させてもらうよ」

僕らはクリス嬢のあとに続いて研究室という名の部室に入った。


――!? なんてことでしょう。窓は厚いカーテンで閉められており、日光の光が僅かに入って来る程度で薄暗く、床には魔方陣が描かれ、壁一面には少年少女達から中年の紳士淑女のいかにもザ・中二病と思わせるポーズを決めた肖像画が飾られ、棚には精巧に作られた人形が飾られていた。。

僕は直感でヤバイ! ヤバイぞ! 僕の手に負える物件ではないと感じた。ヲタクとかのレベルの問題じゃない! ガチのガチ、ガチもんのヤベェヤロウだと認識させられた。『ブリスト』のクリスはここまで中二病キャラが酷くなかった。

彼女に一体何があったのだろう……
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