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第3話 ハルタンとご主人様の運命的な出会い!

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変体を解き目的もないまま俺は歩き始めた。


――1時間後


やはり、河童の変体と親友との異世界大草原夏場所『夢の15番勝負』の激闘
での名誉の負傷と魔力の消費が激しい過ぎた……  


『このままではマズイ! い、いし、いしきが……』

俺はその場に倒れこんでしまった。


 








目を覚ますと煌びやか豪華な部屋、オシャレな籠に入った俺が居た!

『此処はどこだ! なぜ?俺はこんなところにいるんだ?』

俺は、状況判断も出来ず逃げ出そうと暴れた。

ところが、逃げ出そうとする俺を捕まえる若い女がいた。俺はさらに抵抗して暴れるが女の腕力に負けてしまった…… 俺の力が弱いのでない! あの女の力がゴリラ並みなのだ!

「ちょっと、暴れないで頂戴! お嬢様~! たぬきが目を覚ましましたよ! お嬢様~!」

奥の部屋から少女が飛び込んで来た。

「暴れないで! あなたケガをしているのよ! そんなに暴れたらまたキズ口が開いちゃうわ!」

俺は、必死な少女の声を聞き、抵抗を辞めた……

「ふぅ~ やっと大人しくなりましたね」

「そうね、これだけ暴れればすぐに元気になるわよね」

「フフフ そうですね。お嬢様」

「たまたま、私達が散歩しているところに倒れていて、すぐに治療をしたけどなかなか目を覚まさなくて心配しちゃったわよ」

そう言って、少女はあたたかな目で俺に微笑んでいた。

そうして、俺のケガが治るまで傍にいて看病をしてくれた…… 
少女の優しさに触れた俺は、あのまま倒れこんでいたら、ほかの野生動物の餌食になっていただろう。自然界とは倒れているものには厳しいのだ。

この少女に命を助けてもらったことに感謝し、その優しさから、この命尽きるまで恩返しをしていこうと決めた。

――ここで恩を返さなかったら『たぬき道』に反する行いだ。この少女を俺のご主人様として忠誠を誓う!

のちに知ったことだが、少女の名前は、『エリス・フォンティーヌ』、ティーファンド王国の貴族、フォンティーヌ公爵家のご令嬢だ。15歳。
もう一人の女は、『レイニー・ホォルト』こちらも貴族、ホォルト男爵家のご令嬢で18歳、ご主人様の専属メイドとしてお仕えしている。

ご主人様たちは、ちょうど夏休み入ったばかりだったらしくフォンティーヌ家の領地に帰省している途中で、休憩がてら散策をしているところで俺を助けてくれたそうだ。意識が無かったからよくは知らないが……

長くなったが、これが、俺が異世界転移とご主人様との出会いだ。


ご主人様の提案で俺の名前は、なぜか前世と同じ『ハルタン』になった。

その後、俺は、フォンティーヌ家の領地で過ごした。

ご主人様とレイニーさんはじめ、フォンティーヌ公爵家当主セトリック様、公爵夫人マリーヌ様、使用人のみんなには良くしてもらった。

――数週間が経ち、夏休みの終わりが近づいてきた。 その頃になると俺のケガも治った。それと、この異世界についても学ぶ事が出来た。この異世界には魔法があるらしい。

因みに、ご主人様が魔法を使っている所は見た時はないが、学校で魔法を習うとのことだった。それと、魔物もいるようだ。親友の緑のヤツは『ゴブリン』という魔物だそうだ。

道理で動物とは違う強さがあったんだな! さすが親友兼好敵手・ゴブリン!

ご主人様たちは、学校に戻る為、準備に追われている。俺は、準備には役に立たないので邪魔にならないようマリーヌ様の膝の上でモフモフの癒し係として活躍している。

ご主人様の学校はティーファンド王国の王都オゼストアにある貴族の令息令嬢が通う名門『アリフェスト学園』と言うらしい……


学校へ向かう日が近づくたびにご主人様の顔は暗く沈んでいく。いつも傍にいるレイニーさんにも見せない顔だ。ご主人様はきっと不安や心配事があるのだろう。それを周りの人には心配させたくないと隠しているのにちがいない。

夜、ご主人様がベットで横になる。俺は枕元で丸くなる。突然、ご主人様がすすり泣きが聞こえた。きっと、辛い思いがあるのだろう。

「ハルタン、私、学校に行きたくないよ…… またみんなに魔法が出来ないってバカにされちゃうよ…… オーク女って言われちゃうよ…… 嫌だよ……」

俺は、突然のご主人様の辛い想いを聞いていたたまれなかった。
オーク女のどこが悪い! 確かにご主人様は顔は可愛いのに体は『たぬき体型だ』!
俺の地元に帰ったら仲間のたぬきはご主人様を見たら黙っているヤツはいないだろう! 逆ハーレムなんてやりたい放題だ!


――ご主人様は、たぬき体型を気にしている様子だ。痩せる為に食事制限をしたり、運動も毎日欠かさずにしているが、どうしても痩せないらしい。それで、とうとう栄養不足で倒れたこともあった。と耳にした。

俺の目から見れば、ご主人様の魔力は周りの人に比べても数段多い、100年に一匹の天才と呼ばれ、さらに、じいさん神様から貰った魔力を合わせても俺以上の魔力を保有している。まさに、魔力のバケモノと言ってもおかしくはない。100年、いや、1000年の逸材と呼んでも良いくらいだ。

ご主人様は、泣きながら寝入ってしまった……

多分、ご主人様が魔法を使えないのは膨大な魔力と魔法属性の絡み合いにより、魔力を体に巡らす機能が上手く行えず、外に排出できない魔力は体に貯りたぬき体型なったのではという結論が出た。ここは、俺が一肌脱ごうじゃないか! 

――言っておくが毛皮じゃないぞ!

問題はいつ魔力の循環と魔法の特訓をするかだ、ご主人様は散歩が好きだから、その時に、ばけ学で人間の姿に変体し、偶然を装いご主人様に会い魔力の循環を教えるという計画を練った……


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